厚生 労働省 補助 金

厚生労働省が補助する4つの助成金と5つの制度をやさしく解説

助成金

企業にとって、返済する必要のない補助金や助成金は、多くのメリットがある資金調達法です。
補助金や補正金を上手に活用すれば、事業の支援となるでしょう。
しかし「補助金や助成金の仕組み」や「数多くある種類」をきちんと把握していない方は、多いのではないでしょうか?
こちらの記事では、曖昧でわからないと言われている「助成金と補助金の違い」や厚生労働省で実施している助成金についてわかりやすく解説していきます。
また、助成金を活用した際の成功例と失敗例も紹介していきますので、助成金や補助金を上手に活用するために、ぜひご覧になってみてください。

助成金の役割

厚生 労働省 補助 金

助成金は、民間の金融機関が行っている返済しなくてはいけない融資と異なり、返済する必要はありません。
条件を満たせすことで、国や地方自治体からの助成金を受給できるようになります。
このような助成金は、就職できない人に雇用を促したり、派遣社員や契約社員から正社員へのランクアップに向けての支援をしています。
さらに、セミナーなどを通じて社員のスキルアップを図るサポートなど、助成金は様々な支援を通じて大切な役割を果たしているのです。

補助金との違いについて

厚生 労働省 補助 金

国や自治体から支給される補助金と助成金は、「返済する必要がない」お金を支給してくれるという点が一緒なので、同一のものと思われがちですが、「雇用関係のお金か?」「それ以外のお金か?」という点が違っています。
助成金との違いを簡単に言うと、補助金は国や地方自治体が決めた予算内で賄わなければなりません。
また、公募を行い審査をクリアすることよって支給されます。
助成金の場合は、公募や審査などはなく、条件を満たすことさえできれば支給されます。

4つの厚生労働省が実施している助成金

厚生 労働省 補助 金

助成金は厚生労働省が実施しているので、安心して利用することができますが、細かく分けると数多くの種類があるので、混乱してしまうかもしれません。
こちらでは、厚生労働省が実際に行っている代表的な助成金となる「時間外労働等改善助成金」「中小企業退職金共済制度」「職場定着支援助成金」「キャリアアップ助成金」の4つの助成金について、わかりやすく紹介していきます。

①時間外労働等改善助成金
②中小企業退職金共済制度
③職場定着支援助成金
④キャリアアップ助成金

時間外労働等改善助成金

労働者の時間外労働の上限規制等に対応できるようにするために、「生産性を高めて労働時間を短縮しよう」としている中小企業や小規模事業者に対して行っている助成金です。
時間外労働等改善助成金は、厚生労働省より支給され、労働時間の改善や促進に役立っています。

中小企業退職金共済制度

中小企業退職金共済制度は、自身の力で退職金制度を設けることが難しい中小企業者に対して、事業の相互共済と国の援助によって従業員に退職金が支払われるように設けられています。
中小企業退職金共済制度は、「独立行政法人勤労者退職金共済機構」に毎月決まった金額を掛け金として納付し、従業員が退職した際に、所定の金額が従業員の退職金として支払われるようになっている仕組みです。
中小企業退職金共済制度の納付金額は、従業員によって選択することができ、5,000~30,000円の間で設定が可能となっています。

職場定着支援助成金

厚生 労働省 補助 金

事業主が従業員の離職率の低下を防ぐために取り組みを行っていると、その事業主に対して助成金が支払われます。
この時に助成の対象とされるのは、評価、処遇制度の導入、研修制度の導入などのを行うと助成の対象となります。

評価・処遇制度の内容には、次の制度が含まれています。
◆登用制度(昇進・昇格基準の明確化)
◆賃金制度(退職金・ボーナス)
◆手当制度(通勤手当・役職手当)

上記の制度を導入:10万円の支給
1年間の離職率が一定割合低下:追加で60万円の支給

「上記の制度を導入」するたびに10万円は支給されますが、「1年間の離職率が一定割合低下」での60万円は、1回だけの支給となります。

キャリアアップ助成金

事業主が、契約社員や派遣社員などの非正規社員を正社員として、キャリアアップさせた時に助成金が支給されます。
キャリアアップ制度には、「正社員化コース」「処遇改善関係コース」の2つのコースがあり、「正社員コース」の場合はキャリアアップさせたあとに、6ヶ月後の支配賃金が約5%以上増額していなければなりません。
「処遇改善関係コース」は、就業規則の相談を受けてから、規則改定を実施します。
その後6ヶ月に、賃金の支払いが終わっている必要があります。
「正社員コース」も「処遇改善関係コース」も、それぞれの過程が完了した後に、支給申請を行います。
その後、審査が行われ通過したら支給が決定することになります。
キャリアアップ助成金は、他にもコースがあるので詳しくは下記を参照してみてください。

参照:キャリアアップ助成金のご案内

勤労者福祉関係の5つの制度

厚生 労働省 補助 金

ここからは、勤労者が利用できる福祉関係の制度をわかりやすくご紹介していきます。
5つの制度をよく理解して、活用したい制度を見つけ出しましょう。

①勤労者財産形成促進制度
②財形貯蓄制度
③事務代行制度
④財形給付金・基金制度
⑤財形教育融資制度

①勤労者財産形成促進制度

退職後に困らないように、安心した生活を維持するために設けられた制度です。
「勤労者財産形促進法」も基づいて、勤労者の退職してからの生活や資産形成を目的とした貯蓄を、事業主や国がサポートしていきます。

②財形貯蓄制度

財形貯蓄制度には3つのタイプが用意されています。
3つには、お金の使い道を限定していない「一般財形貯蓄」や60歳以降の年金払いを担う「財形年金貯蓄」、さらに住宅の購入や増改築を目的している「財形住宅貯蓄」の3つのタイプがあります。

③財形給付金・基金制度

事業主が資金を出し合って一定期間の勤務を行った後に、該当となっている勤労者に財政給付金を支払うという制度です。
企業の中で財形貯蓄をしている勤労者に対して行なわれています。

④財形教育融資制度

勤労者本人もしくは、勤労者の親族が、教育をうけるために必要な資金を貸付を行っている制度です。
財形貯蓄残高に応じて、国内外の大学、高等学校、専修学校などに進学するにあたっての必要な進学資金や修学中に必要な資金を融資します。
財形教育融資制度の限度額は450万円です。

⑤事務代行制度

中小企業の事業主が財形貯蓄の事務に時間を費やすことがないように、事務代行団体に委託することができる制度です。

助成金を受給して成功したケース

厚生 労働省 補助 金

ここまでで、厚生労働省で実施している助成金や勤労者福祉関係の制度をわかりやすく解説してきました。
次に、助成金を利用することによって成功につなげていった事例を紹介していきます。
実際に「どのように助成金を活用していったのか?」を見てみましょう。

IT企業の助成金受給のケース
①キャリアアップ助成金の正社員化コースを活用
前年の業績がよかったために新しく契約社員やアルバイトを20名ほど雇用しました。半年間非正規の従業員として雇用し、勤務態度や業務の成績をみて20人のうち15人を正規の従業員として雇用しました。
※キャリアアップ助成金は年間で最大15人を対象として受給申請することができます。受給できる金額は対象の従業員ひとりあたり最大50万円で、東京都の場合1人あたり60万円が上乗せで支給され、合計で一人あたり110万円の受給が可能です。
今回の事業主の方は非正規の従業員のうち15人を正規の従業員として雇用したので110万円×15人で1,650万円の助成金を受給することができました。
②職場定着支援助成金を活用
日々の残業による疲労や、PCの長時間操作による疲労などから離職率が高いと言われるIT業界。今回の事業主の方も会社の業績があがる反面、離職率が高いことに悩んでいました。
※従業員がより働きやすき職場環境を整え、離職率を下げるために雇用管理制度の導入を行いました。雇用管理制度には5つの制度があり、1つの制度を導入するごとに10万円受給することができます。
今回は5つの制度のうち「評価・処遇制度」「メンター制度」「研修制度」を導入し助成金を申請し30万円受給することができました。

失敗した事例と原因について

厚生 労働省 補助 金

成功した例を見てみましたが、失敗してしまうケースも出てきます。
こちらでは、失敗してしまった事例をみていきます。

失敗の事例を見ることで、このような失敗を起こさせないよように対策をとることを考えましょう。

キャリアアップ計画書の提出遅れによる失敗例

【キャリアアップ計画書の提出遅れ】
株式会社A社は、キャリアアップ助成金のうち正社員化による助成金の取得を検討していました。A社はに、5人の有期雇用労働者を雇用しており、最低でも57万円×5人=285万円の支給がえられる考え、さらには生産性要件が満たされれば、360万円が支給されるはずです。また、社長Bは、この資金をあてにして車の購入計画をしていました。
この会社の担当者Cは、有期雇用労働者を6月以上雇用した後に正社員化すれば、要件を満たすと考えていました。キャリアアップ計画書が必要なことはなんとなくわかっていましたが「あとから出しても大丈夫」「場合によっては、支給申請の時に出しても間に合うだろう」と思い5人を正社員化した後に、キャリアアップ計画書を作成して提出しました。その結果、キャリアアップ助成金は一切支給されませんでした。もちろん、車の購入計画もお流れになってしまいました。

失敗の原因

上記の例で、なぜ助成金が下りなかったというと、キャリアアップ助成金は、「キャリアアップ計画にも基づいて正社員化した会社(労働者)」に対して支払われる助成金です。
そのため、上記のように正社員化した後に、キャリアアップ計画を提出したのでは、助成金の対象にはならないのです。
そのようにならないためにも、正社員化の前にキャリアアップ計画書を労働基準監督署に送り、受領印をもらうようにしてください。

まとめ

厚生 労働省 補助 金

助成金や助成金の違いの説明を始めとして、厚生労働省で実施している「4つの代表的な助成金」や「勤労者福祉関係の5つの制度」について、さらには成功例・失敗例も交えてわかりやすく紹介してみました。
厚生労働省が設けている助成金や制度は数が多くわかりにくい面もありますが、「4つの代表的な助成金」や「勤労者福祉関係の5つの制度」として捉えると理解できたかと思います。
また、具体的な成功例や失敗例を知ることで、同じような過ちを起こさないように、事前に計画をしていくことが大切となってきます。
企業や働く勤労者にとってのサポートとなる助成金や制度を利用して、事業の安定と安心して働ける職場につなげていきましょう。

この記事をシェアする