耕作 放棄 地 補助 金

耕作放棄地の改善で利用できる2つの補助金制度を詳しく解説

補助金

耕作放棄地とは、元々農地だったところが、耕作を放棄することによってできる土地のことで、そのままにしておくと、農地に戻せなくなるほど荒れた土地になってしまいます。

農作業は、高齢になると身体的な負担が大きくなるもので、農作業を続けていくことが困難となり、仕方なく耕作を放棄してしまう、ということもあります。

農地には雑草や害虫の増加を防止するために農薬を使いますが、耕作を放棄している土地では、農薬を使うことはないため、雑草や害虫が増えて周辺の農地にも同様の影響が出てきてしまいます。

こういった問題を解決するために、耕作放棄地を有効に活用できる補助金があります。

本記事では、農林水産省が実施している、耕作放棄地再生利用交付金と、各市町村における補助金の実例として厚木市で実施されている耕作放棄地再生推進事業費補助金を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

耕作放棄地再生利用事業費補助金の魅力

耕作 放棄 地 補助 金

耕作放棄地再生利用事業費補助金の魅力は何といっても、その補助される項目の多さであると言えます。障害物除去、廃棄物処理、深耕、整地、これらの作業と併せて行う土壌改良等に要する経費などが補助対象経費となります。

補助金という性質上、膨大な書類の作成や実際にお金が手元に届くまでには半年から一年ぐらいかかるということがありますが、それを差し引いても余りある恩恵が受けられます。

農業機器は、高額になることが多いため、場合によっては、数百万円規模の補助金を得ることもできるというのも耕作放棄地再生利用事業費補助金の魅力でもあります。

農林水産省耕作放棄地再生利用交付金

耕作 放棄 地 補助 金

農林水産省が実施する耕作放棄地再生利用緊急対策における耕作放棄地再生利用緊急対策交付金は、引き受け手によって行う耕作放棄地の再生や再生された農地の利用者、これから農業を始める方への研修や作付け、加工から販売、あるいは必要な施設の整備などを総合的に支援します。

この交付金は、年々増加する耕作放棄地を食料供給の強化のために農地を確保して、再生された耕作放棄地を有効活用して、地域の農地における鳥獣害の拡大や病害虫の繁殖などの抑制を図るなど様々な問題の解決に役立てることを目的としています。

耕作放棄地再生利用交付金の取組み主体

農林水産省耕作放棄地再生利用交付金の取組み主体は以下の通りです。

耕作放棄地再生利用交付金の取組み主体は、都道府県協議会・地域協議会・農業を営む個人・法人・法人格のない団体の5つに分けられます。

交付金額

農林水産省耕作放棄地再生利用交付金の交付金額は以下の通りです。

耕作放棄地再生利用交付金の交付金額は、再生利用活動と施設等補完整備の2つに分けられ、それぞれ経費の2分の1以内となっています。

再生利用活動と施設等補完整備の交付金

⑴再生利用活動
再生利用活動とは、貸借等で耕作放棄地を再生または再利用する取組のことを指します。

①再生作業
再生作業は、荒廃農地において障害物除去や深耕、整地、家畜による刈払等のことを指します。

賃借権・使用貸借権の設定・移転、所有権の移転、農作業受委託等によって耕作する者を確保して、又はその見通しをもって行う一定以上の労力と費用を必要とする農地の再生作業を支援します。

・地域の農業者が再生作業を行う場合等は荒廃の程度に応じ、3万円/10a又は5万円/10aが交付されます。

・ 荒廃の程度が大きく重機等(ブルドーザーやチェーンソー等)を用いて行う経費が高額となる再生作業の場合はその係る経費の2分の1が交付対象です。

②土壌改良
土壌改良(土づくり)は、肥料、有機質資材の投入、緑肥作物の栽培等のことを指します。

また、自力等によって耕作放棄地の再生作業が行われた場合は、所有者が営農を再開する場合も含めて、土壌改良と営農定着を支援します。

・交付金は2.5万円/10a(最大2年間)となっています。

③営農定着(作物の作付け)
水田等有効活用促進交付金の対象作物を除く、2.5万円/10a(1年間)が交付金額となります。

④就農研修
・ 農業法人等実践研修やIJUターン等就農研修の交付金は一律定額ですが詳細については後述します。「新規就農希望者への研修の支援」の項をご覧ください。

⑤経営展開
・経営展開も一律定額です。
経営相談・指導、実証ほ場の設置・運営、マーケットリサーチ、加工品試作、試験販売等の経営展開するときに交付金を支給されます。

⑵ 施設等補完整備
施設等補完整備の交付額は2分の1です。用排水施設、鳥獣被害防止施設、直売所・加工施設、市民農園、農業用機械、農業用施設等の整備などが対象です。

新規就農希望者への研修の支援

⑴農業法人等が雇用就農者に対して行う研修
〇助成内容
・研修費用を月額9万7千円を上限に最長12ヶ月間助成されます。
・新規就農者の住居手当、通勤手当等も月額3万3千円を上限に助成されます。

〇要件
雇用開始から6ヶ月未満の方が対象で、新規就農者(研修生)を正規雇用し、研修を実施することが要件です。
また、農業法人のほか、農家も申請も可能となっていますが、雇用保険、労働者災害保険に加入することが必要になります。

⑵IJUターン等就農希望者への研修
〇支援内容
IJUターン等就農希望者への研修の支援内容は、地域協議会や市町村・JA等がIJUターンにより将来的に農業を生業にしたいと希望する者に対して、 就農に必要な知識や技術などを習得させるための研修が支援されます。

IJUターン等就農希望者への研修の経費としては、外部講師への謝金、旅費、研修資料作成費・研修会場代・資材費、機械経費等となります。

また、農業法人等又はIJUターン等での就農希望者が、耕作放棄地を引き受けて耕作する、又はその見込みがある場合に支援対象となります。

実証ほ場の設置・運営、加工品試作、試験販売の支援

実証ほ場の設置・運営の流れとしては、耕作放棄地の再生作業(刈払、抜根、耕起、整地 等)の実施のあとに、作付け・展示・PRという流れになります。

その後、加工品試作(加工品試作に係る賃金、材料費又は委託料等を支援)から試験販売(試験販売に係る賃金等を支援)の流れになります。

水利施設や農道、侵入防止柵等の整備の支援

水利施設や農道などの基盤整理の流れとしては、まずは水路の改修、その後に農道の改修、最後に暗渠排水といったようになります。

侵入防止柵等などの鳥獣被害防止施設は、ワイヤーメッシュ柵や、電気牧柵などの設置のことを指します。

いずれも、設置の補助率は2分の1となっています。

農産物の加工施設や直売所等の整備

農産物の加工施設や直売所等の整備も交付金の対象となっています。
それぞれ、補助率は2分の1となっています。

お問い合わせ

農林水産省耕作放棄地再生利用交付金のお問い合わせは以下の通りです。

〇お問い合わせ先
農村振興局地域振興課
電話番号:03-6744-2081

厚木市耕作放棄地再生利用事業費補助金

耕作 放棄 地 補助 金

厚木市耕作放棄地再生利用事業費補助金は、耕作放棄地の再生・利用をするために、その取り組みや、それに関する施設などの整備を支援します。

これによって、「耕作放棄地再生利用緊急対策」の実施を進めるために厚木市内の耕作放棄地を速やかに解消することを目的としています。

補助金交付対象者

厚木市耕作放棄地再生利用事業費補助金の補助金交付対象者「厚木市農業再生協議会又はその会員」となっています。

補助対象経費

厚木市耕作放棄地再生利用事業費補助金の補助対象経費は、耕作放棄地の再生や再生したときに使用する農業機械や車両、器具ならびに耕作放棄地に関わる備品の購入に必要となる費用が対象となります。

補助金の額

厚木市耕作放棄地再生利用事業費補助金の補助額は、次の通りです。

耕作放棄地の再生においては、再生する農地面積10アール当たり50,000円です。

ただし、重機等を用いて再生作業を行う場合には、総事業費の2分の1で、農業機械等の購入においては総事業費の35パーセント以内が補助の対象となっています。

補助金の申請

補助金の交付を申請する対象者は、補助金交付申請書に、事業計画書、収支予算書、見積書やカタログ等を添付して市長に提出する必要があります。

補助金交付の決定

厚木市長は、補助金の交付の申請を受けたときは、申請書や必要であれば現地まで行って審査し、適当と認めた場合においては速やかに申請者に決定の報告をしなくてはなりません。

また、厚木市長は他に必要だとするものについては別途条件を付けることができます。

事業実績の報告

補助金の交付決定を受けた補助事業者は、補助事業が完了したとき、事業実績報告書に事業報告書、収支決算書、領収書の写し、完成写真などの書類を添えて、市長に報告しなければいけません。

お問い合わせ

厚木市耕作放棄地再生利用事業費補助金のお問い合わせ先は次の通りです。

〇お問い合わせ
農業政策課
〒243-8511
厚木市中町3-17-17(市役所第二庁舎8階)
電話番号:046-225-2800
FAX:046-223-0174

まとめ

耕作 放棄 地 補助 金

耕作放棄地の改善に係る「農林水産省耕作放棄地再生利用交付金」「厚木市耕作放棄地再生利用事業費補助金」を紹介してきました。

耕作放棄地の再生の取り組みを行うと交付される「厚木市耕作放棄地再生利用事業費補助金」は、使用する農業機械、車両、器具及び備品などの経費について補助してくれますのでおすすめです。

耕作放棄地や農業の人手不足がもたらす問題点というのは高齢化による労働力不足や農地の受け手がいない、土地条件の悪さなど山積みで、どれから手を付けたらいいか迷ってしまうと思いますが、地域の皆さんで話し合って一つづつ問題を解決されるのがいいでしょう。

また、補助金を利用するということは、耕作放棄地解消の一端を担ってはいますが、それで全て解決できるわけではありません。

地域の力で耕作放棄地の発生抑制・解消に向けた取り組みを促進することで、耕作放棄地の再利用に務めることがとても大切です。

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