新型コロナウイルスの影響により収入が減少した為、奨学金の返還が困難になっている方も多いかと思います。
新型コロナ関連の給付金や助成金、特例の制度が多く実施されていますが奨学金の返還に関する制度も多く、いくつかの対策が行われています。返還期限の猶予や奨学金の減額など、困難な状況を乗り越える為の施策があります。
そこで、この記事では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、奨学金の返還が出来ずに困っている方に向けた制度を一覧でご紹介していきたいと思います。
それぞれ内容や対象者が異なるので是非参考にしてみて下さい。また、現在奨学金制度を利用していない方に向けた支援対策もまとめているので最後までチェックして下さい。
日本学生支援機構の奨学金の返還期限猶予
日本学生支援機構が行っている返還期限猶予は、災害、傷病、経済困難、失業などを利用として返還困難な事情に陥った場合、返還期限の猶予を申請できるという制度です。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少する等、奨学金の返還が困難となり、返還期限猶予を希望される方に向けて特例で臨時対応を行っています。
通常は、「奨学金返還期限猶予願」と「減収等に関する証明書類」の2点の提出が必要でしたが、「減収等に関する証明書類」を準備できない場合には、「猶予願」のみ提出いただければ、振替を停止することが可能です。
対象者
新型コロナの影響により収入が減少した、または職を失ったなどの理由により、奨学金の返還が困難となった方が対象となります。
経済困難の認定にあたっての収入・所得金額の基準は以下のようになります。
- 給与所得者…年間収入金額(税込み)300万円以下
- 給与所得以外の所得を含む場合…年間所得金額(必要経費等控除後)200万円以
また、現在基準を満たしていなくても、今後条件を満たす可能性がある場合も対象となります。
臨時対応の期間
臨時対応の期間は普段とは異なり、令和2年5月から令和2年7月までの3か月分の振替分が対象期間となります。
また、提出期限も設けられており、制度を利用したい方は早めに対応することをおすすめします。
- 5月12日(火)までの提出(必着)⇒5月返還分から口座振替停止
- 6月12日(金)までの提出(必着)⇒6月返還分から口座振替停止
- 7月8日(水)までの提出(必着)⇒7月返還分から口座振替停止
届出・提出先
返還期限猶予の申請にあたっては、奨学金返還期限猶予願およびマイナンバー提出書を記入し、返還困難な事情の証明書を添付した上で、不備がないか確認したチェックシートとともに日本学生支援機構に送付する必要があります。
独立行政法人 日本学生支援機構
猶予減額受付窓口 〒119-0385
猶予願・チェックシート・マイナンバー提出書の入手や必要な証明書の用意などは以下からアクセスし確認を行って下さい。
注意点
返還期限猶予はあくまでも返還の期限を延長するものであり、返還総額が減額になるわけではありません。また、利子などを含む返還予定総額に変わりはありません。
通常の返還期限猶予では、最長で180か月の猶予が設けられています。臨時対応ではなく、通常の返還期限猶予を利用したい方は以下の公式HPからご確認下さい。
日本学生支援機構の奨学金の減額返還
日本学生支援機構が行っている奨学金の減額返還は、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方の中で、当初約束した割賦金を減額すれば返還可能である方を対象に実施されている制度です。
返還期限猶予のように臨時対応は行っていませんが、その他経済的理由に新型コロナウイルスの感染拡大による収入減少も含まれる為、申請を行うことが可能となります。
一定期間、当初の返還月額を減額して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長します。毎月の返還額を減額するため、返還が困難になった場合でも無理なく返還を続けることができます。
対象者
減額返還制度を利用するためには、以下の条件が必要になります。
・災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難であること。
経済的事由の場合は、目安として所得証明書等の年間収入金額325万円以下(給与所得以外の所得を含む場合は年間所得金額225万円以下)です。なお、本人の被扶養者について1人につき38万円を収入・所得金額から控除することができます。
・願出及び審査の時点で延滞している場合は、適用されません。
延滞を解消することにより願出が可能となります。
・口座振替(リレー口座)加入者のみ利用可能です。
※口座振替(リレー口座)未加入の方については、口座振替(リレー口座)手続きの終了後に、「預・貯金者控」(金融機関受付印があるもの)のコピーを「奨学金減額返還願」に添付して願い出てください。なお、口座振替(リレー口座)加入申込書の様式は、必ず「窓口用」を使用してください。
※ご自身が金融機関で手続きを行っていない状態の口座振替(リレー口座)加入申込書を提出されても、口座加入処理ができず、不備となりますのでご注意ください。
手続き方法
奨学金減額返還願の同意事項・注意事項を必ず確認して、返還が困難な事情及び今後の見通しを詳細に記入の上、マイナンバーおよび返還困難な状況がわかる証明書を添付し、手続きを行う必要があります。その後、審査のうえ結果を通知されます。
提出が必要な書類は以下のようになります。
- 奨学金減額返還願&チェックシート&マイナンバー提出書
- 経済困難な状況を示す証明書
- 個人信用情報の取り扱いに関する同意書
- 口座振替(リレー口座)加入申込書の預貯金者控え
書き方や書類のダウンロードは以下のURLからご確認下さい。
提出先は以下の住所への郵送で行う必要があります。専用の郵便番号になっているので、こちらの郵便番号とあて先のみで届きます。
〒119-0385
独立行政法人日本学生支援機構 猶予減額受付窓口
郵送以外の受付は行っていないのでご注意下さい。また、書類の不備も増えているので、記入する時には間違いないの内容に慎重に行いましょう。
各大学等へ学費の納付猶予や減免等について要請
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、経済的に困難となった学生等に向けて学費の納付猶予や減免などが、文部科学省から各大学などに要請されました。
現在では10個の制度が設けられており、条件に当てはまる方は支援を受けることが可能です。以下では、幅広い方が対象となる3つの制度をご紹介していきます。
高等教育の修学支援新制度 【非課税世帯及びそれに準ずる世帯の方】
こちらの制度は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯を対象に,学生生活に必要な生活費等をカバーする給付型奨学金と授業料等減免による支援を行う制度です。
通常,前年度の課税標準額により審査を行いますが,新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した場合には,家計急変後の収入見込みにより審査されます。
家計急変の対象とならない方についても,年2回の在学採用(令和2年度1回目は4~6月)に申込むことができます。対象となりそうかどうかは,進学資金シミュレーターで確認することが可能です。
申込時期:在学採用(令和2年度1回目は4月~6月),家計急変の採用(随時)
申込先:各大学等の窓口(各大学等を通じて日本学生支援機構に申込みを行います)
問合先:給付型奨学金について 各大学等の窓口(日本学生支援機構奨学金相談センター TEL 0570-666-301)
授業料等減免について 各大学等の窓口
※授業料等減免については,給付型奨学金の支援区分と共通です
日本学生支援機構の貸与型奨学金 【幅広い世帯の方】
日本学生支援機構の貸与型奨学金では,第一種(無利子)奨学金及び第二種(有利子)奨学金に
よる支援があります。貸与額は選択可能です。
通常,前年度の収入金額等により審査を行いますが,新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した場合には,家計急変後の収入見込みにより審査されます。
家計急変の対象とならない方についても,在学採用(4月~6月)に申込むことで支援が受けられます。
第一種奨学金は月額2~6.4 万円(自宅・自宅外,学校種ごとで貸与月額は異なります。),第二種奨学金は月額2~12 万円(貸与利率:[利率見直し方式]0.002%,[利率固定方式]0.070%(令和 2 年 3 月貸与終了者の場合)から貸与金額を選択できます。
新制度よりも幅広い所得の世帯の方が対象となり,対象となりそうかどうかは,進学資金シミュレーターで確認することができます。なお,入学時に希望により入学後第一回目の振込時にまとまった金額(10 万円~50 万円)の貸与(入学時特別増額)を申請することもできます。
申込時期:在学採用(4月~6月),家計急変の採用(随時)
申込先:各大学等の窓口(各大学を通じて日本学生支援機構に申込みを行います)
問合先: 各大学等の窓口(日本学生支援機構奨学金相談センター TEL 0570-666-301)
各大学等の授業料納付猶予・延納や各大学独自の授業料等減免等【制度等により異なる】
概要:経済的に困難な方については,多くの大学等で,授業料の納付猶予や延納等を行っています。また,各大学等が独自に授業料等減免や奨学金の制度を持っている場合もあります。
問合先:各大学等の窓口
まとめ
今回の記事では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、奨学金の猶予や減額、学費の猶予や減額を行うことが出来る制度をご紹介しました。
コロナウイルスの影響は非常に大きく、学生の未来を奪いかねない状況になっており、かなり切迫しています。
支援制度を利用することで、今の困難を乗り越えることが出来る可能性もあるので、お困りの方は是非利用してみて下さい。