古物商

古物商の起業時に使える4つの助成金と許可申請の方法を紹介

助成金

古物商には、中古車販売業、リサイクルショップ、中古のCDやDVD販売、古着屋などの事業があります。気軽に始められるイメージがある古物商ですが、許可が必要なのをご存知でしょうか?
もしも、古物商を営むのであれば、きちんと許可を取っておく必要が出てきます。そこでこちらの記事では、古物商として起業を考えた方に向けて、許可をえるためのポイントと起業時に利用できる4つの助成金と補助金をご紹介していきます。
古物商を始めようとしている方は、参考にしてみてください。

古物とは一度使用された物品

古物商

古物商は、古物を扱う業態ですが、「古物」とはどのような物を指しているのでしょうか?
古物商を営むための法律となる「古物営業法」で、「古物」がどういうものか説明されています。他の法律の条文と比較するとわかりやすいので、まずはその条文を見てみましょう。

『「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。』
わかりやすく言うと、「古物」は消費者によって使用された物、何らかの理由により手放し再び売りに出された品物ということになります。
新品で使用されていない品物であっても、一度取引された品物であれば古物に該当しますので注意してください。

古物の種類13品目

古物商

上記のように定義されいる古物ですが、実際には古物の種類は13種類に分類されています。どのような品物が古物となるのか、確認しておきましょう。

①美術品類(書画、彫刻、工芸品等)
②衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)
③時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)
④自動車(その部分品を含む)
⑤自動2輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。)
⑥自転車類(その部分品を含む)
⑦写真機類(写真機、光学器等)
⑧事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等)
⑨機械工具類(電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具類)
⑩道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等)
⑪皮革・ゴム製品類(カバン・靴等)

⑫書籍
⑬金券類(商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令第1条各号に規定する証票その他の物をいう)
このように古物は13種類に分けられて、どの古物を扱うかによって業態も変わっていきます。

古物商にあたる業態

古物商

古物商には、扱う品物や業態によって様々な事業がありますが、全てに許可が必要となるわけではなく、許可が必要な場合と、そうでない場合あることを、確認しておいてください。
次に、「許可が必要な場合」と「必要が不要な場合」を解説します。

許可が必要な場合

古物商としての許可が必要となる場合は、買い取って販売するときです。自分が使用しているのではなく、他人から買い取った場合です。
◆古物を買い取って販売する場合
◆古物を買い取って使えそうな部品等を販売する場合
◆古物を買い取って修理を施して販売する場合

許可が不要な場合

古物商としての許可がいらない場合は、自分で使用していた品物を販売する場合です。
ただし、購入するときから転売を目的としている場合は、許可が必要となるので注意しましょう。
その他にも、無償でもらったものを販売するときも許可をとる必要はありません。

インターネットなどの場合

古物商同士での古物を売買するとき、また交換のために市場を開催するときには「古物市場主許可」が必要となります。
最近では、インターネットでの売買が盛んになってきました。インターネット上で、オークションサイトを運営するのであれば、「古物競りあっせん業許可」が必要となりますので、覚えておいてください。

犯罪を防止するための許可制

古物商

古物商は、なぜ許可を取らなければ行けないと思う方もいるかも知れませんが、許可することで、犯罪を防止に役立っています。
誰かが使用していた古物は、強盗や窃盗などの犯罪で得た品物が含まれているかもしれません。もしも、古物が許可なく自由に取引できてしまったのなら、犯罪に関わった品物が制限なく流通し売買されてしまうことになります。その結果、犯罪が助長されることになるでしょう。
このように、犯罪を助長させないために、古物商を営む者に対して、許可制を導入しているのです。

古物商として許可申請する方法

古物商

古物商として起業する前には、上記のような理由で申請を行わなう必要があります。
申請先は、主たる営業所が存在する都道府県公安委員会です。
申請するにあたって、古物営業について専従の管理者の選任が必要となり、使用権限を有する事務所を設けなければなりません。
申請する際の書類は、管理者と役員全員について略歴書、住民票、身分証明証、登記されていないことの証明証などが必要となり、欠格事由などが審査されていきます。
また、申請を行ってから許可が出るまでの期間は、数週間~2ヶ月ほどですが、申請する公安委員会によって異なります。
古物商には、このような審査はありますが、資格や要件がないので比較的取りやすい許可です。

改正により届出に変更

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古物商の許可は、平成30年の法改正によって、変わりましたので確認しておいてください。
以前の古物商許可は、営業所があるところの都道府県ごとに許可を必要としていましたが、その他の都道府県に営業所を設けている場合には、届出のみですむことになりました。
47都道府県の営業所を設けていたとしても、各都道府県ごとに許可申請しなくてもよく、主たる営業所のみの許可だけですみます。ただし、届出は行ってもらうことになります。

古物商を開業するときに利用できる助成金や補助金

古物商

古物商を開業するには、事業運営や開業のための資金調達がポイントとなりますが、簡単なものではありません。金融機関などからの融資は、一般的な方法ですが返済が必要となり、利息も発生します。
一方で助成金や補助金は、返済する必要がないお金です。助成金と補助金を有効的に活用すれば、事業の資金調達につなげていけます。

助成金・補助金とは

助成金と補助金は、国もしくは地方自治体から交付される返済しなくていいお金です。しかし、助成金と補助金は目的と対象が違っています。
「助成金」は、従業員教育や育児休暇活用などの目標を企業が努力し、一定の条件を満たすことで受給されます。
「補助金」は、設備投資やホームページの導入など、事業拡大や活性化する目的とする費用に対して給付されます。また、受給する際には審査をクリアしないといけないために、申請すれば受給できるという訳ではないのです。
「助成金」の方が受給しやすく、「補助金」の方が受給しにくいということになるでしょう。

起業時に活用したい4つの助成金と補助金

古物商

助成金や補助金は、数多く設けられていますが、ここでは起業時に活用できる4つの助成金と補助金をご紹介します。
古物商の開業を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。

キャリアアップ助成金

有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者などの正社員ではない労働者をキャリアアップさせるために、正社員化や待遇改善、人材教育を行った事業主に給付される助成金です。
受給するためには、雇用保険事業所ごとにキャリアアップ管理者を要し、キャリアアップ計画書を作成して、管轄の労働局長より受給資格の認定を受けなければなりません。
さらに、実際にキャリアアップ計画書に基づいて実施することになります。
キャリアアップ助成金は、「正社員化コース」「人材育成コース」「処遇改善コース」などの7つのコースに分類されているので、それぞれのコースの条件を満たせば、古物商の開業時にキャリアアップ助成金を活用することができます。

創業補助金

起業する際にかかる必要経費の一部を補助してくれる制度です。経済産業省が設けている助成金で、年度によって名称が異なっています。令和元年度は「創業支援等事業者補助金」として募集していました。
人件費や事業費などの補助対象経費の区分ごとに補助率2/3以内で補助し、補助上限額は1,000万円、交付決定下限額は50万円となっている制度です。
公募している1ヶ月ほどと短いので、マメにチェックしておきましょう。

小規模事業者持続化補助金

従業員数の少ない企業や個人事業主が、日本商工会議所または全国商工会連合会のアドバイスを受けて事業計画や創業計画を作成し、申請することで補助金が得られる制度です。
制度の対象となるには、申込みする際には起業していること、従業員が20名以下(一部業種は5名以下)が条件となりますので、注意してください。

地域中小企業応援ファンド【スタート・アップ応援型】

中小企業が取り組む新規事業の地域貢献度が高く、ファンド運営会社(各都道府県の中小企業支援機構など)に採択されれば、そのファンドの運用益から補助金が給付される制度です。
中小企業基盤整備機構(中小機構)と各都道府県の公共団体や金融機関などが共同出資して行なわれています。

この他にも、助成金や補助金は数多くありますが、廃止されているものや新たに設けられているものなど様々です。
助成金や補助金は、つねに最新の情報をまめに確認しておくようにしてください。

まとめ

古物商を開業するにあたって、古物商の業態と古物商の許可申請を詳しく解説し、さらには起業時に活用できる助成金や補助金についてご紹介しました。
古物商の許可は取りやすく、他と比べると比較的開業しやすい業態ですが、きちんと許可をとってから開業することが大切となってきます。
古物商の認可は、平成30年の法改正によって、他の都道府県に営業所を置く場合は、届出だけですむようになりました。主たる営業所だけの許可だけでよいので、さらに開業がしやすくなったと言えるでしょう。
さらに、記事で紹介した「返済の必要がない助成金や補助金」を活用すれば、古物商としてスムーズに運営していける可能性が大きくなっていきます。

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