私たちは、普段生活していく中で、様々な金融機関と取引しています。具体的には、銀行や証券会社、保険会社、カード会社など、その種類は多岐に渡っています。
一方で、私たちは、長い間、金融機関と取引しているにも関わらず、案外その金融機関が取り扱っている商品やサービスをよく知らないということもあるのではないでしょうか?
ここでは、改めて知っておきたい以下7つの日本の金融機関を種類別にまとめてみました。
①中央銀行
②普通銀行
③信託銀行
④信用金庫・信用組合
⑤証券会社
⑥保険会社
⑦ノンバンク
①中央銀行
中央銀行は国の金融機構の中核となる公的な銀行です。日本は日銀、イギリスはイングランド銀行、欧州連合(EU)欧州中央銀行(ECB)がこれにあたります。
中央銀行には主に以下の三つの機能があります。
⑴発券銀行
銀行券(紙幣)を独占発行します。銀行券を安定して供給するとともに、紙幣の信用が損なわれないよう、汚損したら廃棄するなどの管理をしています。
⑵銀行の銀行
民間銀行は中央銀行に預金口座を開設しています。
この口座を通じて民間銀行から預金を受け入れたり、資金を買い出したりする「銀行にとっての銀行」の役割を果たすほか、銀行間の決済を仲立ちする機能も担います。
⑶政府の銀行
国税などで受け入れた政府の資金を管理します。国債や外国為替関連の事務の一部も政府から委託されています。
中央銀行の最も重要な役割は、物価の安定をはあることを通じて経済の健全な発展を支えることです。
②普通銀行
銀行法に基づいて設立された銀行です。主な業務は預金の受け入れ、資金の貸し付け、手形の割引、為替取引などが挙げられます。一般に、都市銀行・地方銀行に区別されます。
都市銀行
東京や大阪などの大都市に本店を置き、全国規模の業務展開をしている普通銀行です。短期融資を中心に行う銀行で、預金者からお金を預かり、それを企業などに貸付けることで利益を出します。
地方銀行
普通銀行のうち地方都市に本店を置き,主として所在する都道府県を営業地盤とする銀行です。
日本では 1936年に全国地方銀行協会が設立されて以来この用語が一般化しました。
地方における預貯金の吸収と地元産業への貸し付けをおもな業務としていましたが,2000年代になって県境をまたいだ合併・統合が活発となり,複数の都道府県で営業を展開する地方銀行の広域化・再編が進んでいます。
③信託銀行
普通の銀行は預金、貸付、為替などの「銀行業務」を行っていますが、信託銀行は、普通の銀行が行っている「銀行業務」に加えて、「信託業務」と「併営業務」を行っています。
信託銀行の主な業務内容
〇銀行業務
個人や法人からお金を預かる「預金業務」や企業などに融資する「貸付業務」、振込による送金など口座間のお金の移動を行う「為替業務」などがあります。
〇信託業務
信託業務とは、個人や企業から信託を引き受け、信託財産を予め定められた目的にしたがって受益者のために管理・運用する業務をいいます。
信託業務の中で、具体的にどのような商品があるのかということについては、「信託商品」として信託協会メインサイトにて紹介していますので合わせてご覧ください。
信託では、お金だけでなく、株式などの有価証券、不動産、金銭債権など、金銭的価値のあるものであればなんでも信託することができるので、いろいろな種類の信託があります。
併営業務
遺言書の保管や遺言執行業務などの相続関連業務、企業の株主の名簿を管理する業務などの証券代行業務、不動産の売買の仲介業務などがあります。
この併営業務は信託銀行等の信託兼営金融機関にのみ認められている業務です。
④信用金庫・信用組合
「信用金庫」とは、地域の人々が会員となり、その地域の相互扶助を目的とした非営利の金融機関です。
一方の「信用組合」とは、中小企業や個人などが組合員になり、組合員の相互扶助を目的とした非営利の金融機関です。
若干の違いはありますが、どちらも非営利の協同組織であり、会員や地域社会の利益を優先する点が共通しています。
信用金庫・信用組合の経営理念
信用金庫は信用金庫法を元に設立され、「国民大衆のために金融の円滑化を図り、その貯蓄の増強に資する」という経営理念を掲げています。
地域の相互扶助を第一に考えており、以下の3つのビジョンを掲げています。
・地域社会貢献への奉仕
・中小企業の健全な発展
・豊かな国民生活の実現
利用には会員(組合員)資格が必要
信用金庫・信用組合を利用するためには、会員(信用組合は「組合員」)になる必要があります。
会員(組合員)になるには、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
・営業地域に居住している人
・営業地域に勤務している人
・営業地域で事業をしている人(条件あり)
ただし3つ目の事業者に関しては、信用金庫・信用組合ともに、以下のような細かい条件があります。
■信用金庫
・従業員300人以下または資本金9億円以下
■信用組合
・従業員300人以下または資本金3億円以下
(卸売業は100人または1億円、小売業は50人または1億円サービス業は100人または5千万円)
資格条件を満たしている場合、出資をすると会員(組合員)になれます。
出資金は1万円からであることが多く、追加出資も可能です。
この出資金は機関を脱退する時に返還されます。
⑤証券会社
証券会社とは、株式や債券(国債や社債など)の売買、投資信託(投資家から集めた資金を専門家が運用する金融商品)、不動産投資信託(REIT/リート。Real Estate Investment Trustの略で、投資家から集めた資金で不動産に投資し、得られた賃貸料や売買益を投資家に配当する商品)の売買などを手がける企業です。
証券業界の仕組み
証券会社は、店舗を設置して法人・個人顧客と取引を行う従来型の証券会社と、個人顧客を対象にしたインターネット系証券会社とに大別できます。
従来型の証券会社は、顧客と対面しながら、きめ細やかな提案ができる点が長所です。
一方のインターネット系証券会社は、店舗の維持にコストがかからないことから、売買手数料を安く設定している点が売りだと言えます。
証券会社の業務は、大きく分けて4つ
⑴ブローカー業務
トレーディング業務とも言い、顧客が希望する売買注文を受けて、市場で売買の仲介・取次を行います。
⑵ディーリング業務
自社の資金で株式や債券の売買を行って利益を追求します。
⑶アンダーライター業務
企業が株式や社債などを発行する際に、証券会社自らが責任を持って引き受け役となり、それを個人や企業に販売します。
⑷セリング業務
売りさばき業務とも言い、企業が株式や社債などを発行する際に、企業やほかの証券会社などの委託を受けて販売します。
アンダーライター業務とは異なり、売れ残った際のリスクは負わなくてよいこととなってます。
さらに近年では、「投資銀行業務」に力を入れる証券会社が増えています。
⑥保険会社
保険会社とは、健全で適切な運営と公正な保険募集により、保険契約者を保護する目的で制定された「保険業」を営む会社のことです。
銀行や証券会社などと同じ金融機関ですが、保険商品の開発や販売、各種手続きなど保険に関する運営全般を行っています。
保険会社の種類
保険会社とは、健全で適切な運営と公正な保険募集により、保険契約者を保護する目的で制定された「保険業」を営む会社のことです。
銀行や証券会社などと同じ金融機関ですが、保険商品の開発や販売、各種手続きなど保険に関する運営全般を行っています。
⑴生命保険会社の特徴
生命保険会社は主に「第1分野」の保険を取り扱っています。
多くの場合、死亡時の保険金・入院時の給付日額などは契約時に決定され、実際に支払いが発生したときにはその金額がそのまま支払われるケースがほとんどです。
また、契約期間を10年以上とする商品が多く、長期にわたる保障の提供が前提となる点も生命保険会社の特徴です。
外務員などが自宅や職場に訪問して契約を行う形態のほか、インターネットを通じた申込の取り扱いなども増えています。
⑵損害保険会社の特徴
損害保険会社は主に「第2分野」の保険を取り扱っており、「自動車保険」や「火災保険」ではあらかじめ支払いの上限額や免責金額(補償金額のうち契約者の自己負担となる金額)を決めてから契約を行います。
保険金の支払いが発生した際には、上限額を超えない範囲で実際の損害額が支払われるケースが多くなっています。
保険期間が1年などの短期に設定された商品が多い点、代理店や自動車販売店からの加入が多い点なども損害保険の特徴といえます。
⑦ノンバンク
ノンバンクとは、銀行のような預金(=お金を借りる)業務を行わずに、与信業務(=お金を貸す・立て替え・保証)だけを行う企業を指します。
言葉の通り、ノンバンク=「銀行ではない」組織のことで、たとえば銀行・信用金庫・信用組合・JAなどはノンバンクに含まれません。
貸付を行うためのお金は、主に銀行などから借り入れしています。
審査・融資スピードはノンバンクが早い
会社や融資商品によりますが、審査・融資のスピードはノンバンクの方が早い場合が多いです。
最も早いのは消費者金融で、審査結果が出るまで最短30分という会社もあり、早ければ即日で借入れが可能です。
クレジットカードは、審査・カード発行・郵送といった流れになりますので、利用できるまで1週間程度かかります。
また信販会社を利用し、店頭での割賦販売は即日で利用することも可能です。
銀行カードローンは審査から借入まで比較的早いですが、最短でも翌日、平均すると2営業日から3営業日かかることが多いです。
また銀行のフリーローンは、1週間から2週間程度かかります。
ノンバンクは銀行より金利が高い
ノンバンクは、上限金利に近い17%~18%で融資を行っている会社が多いです。
一方で銀行は融資商品によって、上限金利が違ってきます。
以下は、みずほ銀行の融資商品の上限金利です。
みずほ銀行、各種ローンの固定金利(18年7月)
・カードローン:14%
・多目的ローン(いわゆるフリーローン):6.7%
・教育ローン:4.3%
・ネット住宅ローン:1.245%
なぜ、これほど金利に差が出るのでしょうか?
一つは、借入金額の違いです。
ノンバンクの借り入れは銀行よりも少額なケースが多く、その分だけ金利も高くなります。
その他、審査が比較的甘いこと、資金使途(借りたお金の使い道)が原則自由なことも、ノンバンクの金利が高い原因とされています。
審査に自信がない人はノンバンク
収入が少ない、他社からの借入があるなど、審査に自信がない人はノンバンクでのキャッシングやカードローンがおすすめです。
ノンバンクは銀行より審査が通りやすい傾向がありますので、自分の属性に自信がない場合は利用を検討してみましょう。
ただし銀行より金利が高くなりますので、計画的に利用することが大切です。
まとめ
いかがでしたか?金融機関にはその種類ごとに特色があります。
改めて金融機関に関して調べていくと、今まで見過ごしてた新たな発見もあるかもしれません。
各社のサービスを比較して、うまく使い分けるのがおすすめです。
例えば、生活資金は入出金がしやすい銀行へ。5年間は使わない、または、使わないようにしたいという資金があれば、銀行や証券会社などで社債・国債を買うのもいいかもしれません。
将来的に起業や住宅ローンを考えているなら、地元の銀行や労働金庫などの低金利商品を検討するのもいいでしょう。
また、ローンを取り扱っている特定の銀行と長くお付き合いしておくと、取引実績ができて有利になるかもしれません。
それぞれの金融機関の特徴を踏まえたうえで、ライフスタイルに合わせて活用してください。