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資金調達法を3つに分類、金融機関以外の調達法が見えてくる

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資金調達方法を検討するときに、まず考えるのが「どの資金調達法にするのか?」ということです。
金融機関での資金調達法が思い浮かぶ方も多いと思いますが、それ以外にも様々な選択肢が存在していることをご存知でしょうか?
数多くの資金調達法があるにもかかわらず、経営者であってもその選択肢を全て把握している方は多くはないでしょう。

そこで、こちらの記事ではわかりやすく3つの資金調達法を分類した上で、全ての資金調達法を紹介していきます。
金融機関以外の資金調達法もありますので、ぜひチェックしてみてください。

まずは3つの資金調達法を知っておくこと

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資金調達法の選択肢は数多くあるために、把握するのは難しいのですが、資金調達法を3つに分類することで、わかりやすく整理していきましょう。

資金調達法は「アセット・ファイナンス」「デット・ファイナンス」「エクイティ・ファイナンス」と、3つの種類によって分けることができます。

「アセット・ファイナンス」とは、会社の資産を何らかの形で資金調達に変えていく方法のことをいい、「デット・ファイナンス」は金融機関から借り入れる負債によって資金を調達する方法のことを言います。
3つ目となる「エクイティファイナンス」とは、会社に投資をしてもらい資金を得る方法のことです。

【3つに分類した資金調達法】

「アセットファイナンス」=会社の資産を何らかの方法で資金に変える

「デット・ファイナンス」=負債を負うことによっての資金調達

「エクイティファイナンス」=会社に投資してもらう資本による資金調達

次に、3つに分類された資金調達法の中には、どのような方法があるのかをそれぞれ詳しくみていきます。

資産を資金に変えるアセット・ファイナンスで可能な11の資金調達法

「アセット・ファイナンス」は、会社が保有している資産から生み出される信用力を利用した資金調達法です。
キャッシュフローと返済原資(裏付け)となる資産となる不動産、債権、知的財産権などを用いて資金調達が行われます。
企業の信用力から資金を調達してくると考えるとわかりやすいでしょう。

◆「アセット・ファイナンス」の例

・不動産を担保とした融資

・金融資産、知的財産権などのキャッシュフローを生む資産は「アセット・ファイナンス」の対象となる。

「アセット・ファイナンス」による具体的な11の資金調達法

「アセット・ファイナンス」には、下記の11つの資金調達法があります。
①不動産、有価証券など使っていない資産を売る
②無駄な在庫を売る
③売掛債権を売る(ファクタリング)
④資産を売却した後にそのままリース契約を結んで使い続けるセール&リースバック
⑤会社経営者や個人事業主の持ち家を売却して不動産リースバック
⑥特許やライセンス、商標、開発権など営業権を売る
⑦債権回収
⑧保険積立金を取り崩す
⑨交渉によってオフィスの敷金(保証金)を回収する
⑩経営者への貸付・仮払金を回収する
⑪火災保険・地震保険の保険金請求で資金調達する
自身が活用できそうな「アセット・ファイナンス」を、上記の中からピックアップしておくといざというと時に安心です。

負債によっての資金調達を考える前に、所有している資産から上記のような「アセット・ファイナンス」が行えないか、検討してみておくとよいでしょう。

負債で資金調達をするデット・ファイナンスの14の資金調達法

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金融機関を介して行う融資は、負債で資金調達をするデット・ファイナンスとなります。

金融機関からの融資以外にも、手形割引や社内預金制度、不動産担保ローンなど、数多くのデット・ファイナンスの資金調達法があります。
次に、デット・ファイナンスとなる具体的な14の資金調達法をひとつずつ解説していきます。

①政府系の金融機関などからの公的融資

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融資の中でも一番低い金利での借り入れが可能となるのが公的融資です。
公的融資を行なっている金融機関は、政府系金融機関や地方公共団体、信用保証協会などがあります。
日本政策金融公庫、商工組合金庫などは政府系の金融機関で、地方公共団体の制度融資は、都道府県や市区町村で設けられている制度融資となります。

また、信用保証協会の保証付融資は、金融機関が行なっている融資を信用保証協会が保証する形の融資です。
金融機関は貸し倒れのリスクから回避できるように、信用度の低い中小企業でも融資が受けられる可能性が高まります。
ただし、金融機関の支店では受け持っている企業がたくさんあるため、親身な対応は期待できないというデメリットな部分を持っています。

②民間の金融機関からの融資

一般的な資金調達法としてメジャーとなっている銀行融資です。
銀行融資はひとつではなく、信用保証協会の保証付融資や銀行独自に設けているプロパー融資などが用意されています。
実績のある信用力の高い企業ならプロパー融資が向いています。
プロパー融資は貸し倒れのリスクが伴ってくるために、借主には一定の信用力が必要となります。
信用保証協会の保証付きの融資で返済実績を積んで、利益性のある企業と認められてから利用するとよいでしょう。

③ビジネスローンを利用しての融資

ビジネスローンは、銀行でのプロパー融資も信用保証協会の保証付融資も利用できない時には、ビジネスローンが利用できるかも知れません。

ビジネスローンは、中小企業や零細企業のために設けられたローン商品です。
無担保、保証人なしで利用できることに加えて、審査が甘くなっていますが、その分金利が高く設定されています。

銀行やノンバンクとなる消費者金などが、ビジネスローンを提供しています。

④売掛債権担保融資

売掛債権を担保にして行う融資のことを売掛債権担保融資と呼んでいます。
債権譲渡登記を介して所有権を証明すれば担保としての効力が発揮でき、金融機関は売掛債権を担保にして融資を行ってくれます。

⑤取引先からの前払い

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一般的には、商品やサービスを提供したあとに支払いを行いますが、魅力ある商品やサービスならば前払いでの回収が可能性が高まります。

前払いで事業が運営していけるのであれば、キャッシュフローは大きく改善していきます。

⑥従業員から受ける社内預金制度

従業員が会社に預金することを社内預金といい、会社側からみると社員から資金を調達する方法のひとつとなります。

金融機関などの利息を払うとしたら、社員にそれよりも低い利子を付けて借りた方が得になるということになります。
社員にとっても、会社にとっても魅力的な資金調達法と言えるでしょう。

⑦流動資産担保融資「ABL」

流動資産担保融資とは、在庫や原材料などの流動資産を担保にした融資のことです。
売却しなければ利益が得られない在庫などを担保として活用する資金調達法となります。

ABLを利用するには、動産譲渡登記を用いて担保が債権者のものであることを証明することで、融資が受けられるようになります。

⑧手形割引

商品やサービスの売上によって企業は収益を得ますが、その代金として売掛債権ではなく手形として支払いを受けることがあります。
しかし、手形は売掛債権よりも支払期間が長く設定されていることが多いので、すぐに現金化することはできません。

そのようなときには、手形を銀行に売却することで短期間の資金調達が可能となります。

ただし、売掛債権と売却のファクタリングでは異なる点があるので注意してください。
ファクタリングは手形割引を行なった手形が、もしも不渡りとなった場合には、買い戻す義務が生じることから、手形割引は融資のひとつとして分類されています。

⑨借り換え

借り換えは、金利の高いローンの残高から金利の低いローンへと借り換えることをいいます。

もしも、金利の低いローンへの借り換えが可能となれば利息が低くおさえられて、毎月の返済額に余裕が持てます。

⑩法人カードを使用してのキャッシング

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経費の支払いに利用できるクレジットカードを法人カードは、カードによってキャッシング機能が備わっています。
法人名義のカードを利用してのキャッシングは、事業資金となる資金調達法へとつながります。

限度額が小さく発行には日数がかかりますが、通りやすい審査、低金利、24時間365日のATMでの借り入れが可能な資金調達法となります。

⑪リスケジュール

返済が苦しくなったときに、債権者に相談して返済計画を立て直すことをリスケと言います。
返済額の減額や据置期間が設けられれば、一時的に返済の負担が軽減することができます。

ただし、確実に返済できなければ債権者は交渉に応じてくれませんので、確実な返済計画が重要となります。

⑫不動産担保ローン

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不動産を担保としている不動産ローンは、銀行やノンバンクが行っています。
一般的に担保としての評価は約70%とされており、不動産評価格の70%までの金額を借り入れることができます。

不動産担保として利用できるものは、2番抵当、3番手抵当、借地権、家族所有物件でも利用すること可能です。

⑬コミュニティクレジット

地域社会の中で、信頼性のある会社同士が信託会社を設立し、参加している会社同士が部分保証を行うことで、金融機関や信託会社の融資を受けやすくする方法です。

設立した信託会社が融資を行うという枠組みになっていますが、実際に運用するのは難しいと言える資金調達法です。

⑭社債「少人数私募債」

社債を利用して資金調達方となりますが、この場合は国が発行する国際ではなく、会社が発行する社債をさします。

大企業の場合には、社債発行にコストをかけてもダメージとなりませんが、中小企業の場合では、それほどコストをかけての公募することは難しく、しかも公募しても購入者は集まらないと言えるでしょう。

このようなことを踏まえて登場となったのが少人数私募債です。
少人数私募債は、49人(会社)以下の投資家に対して発行ができる社債で、引受人も発行会社の関係者のみです。

社債となりますので、投資家には利息を支給しなければならず、投資家を集めるためには高めの利率設定がポイントとなります。
ただし、金融機関やビジネスローンと違い、直接の資金調達方となるためにコスト面は比較的安くおさえることができます。

資本を利用するエクイティ・ファイナンスの6つの資金調達法

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会社が株券を発行し、事業に必要な資金調達をすることをエクイティファイナンスといいます。
エクイティファイナンスによって得た資金は、バランスシートの資本の部に入ることになります。
主に、公募や私募による増資(普通株式発行)、転換社債型新株引受権付社債(CB)、優先株の発行などがエクイティファイナンスによる資金調達法となります。

エクイティファイナンスによる6つの資金調達法

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エクイティファイナンスによって可能となる資金調達法は、原則として返済期限が設けられていません。
設備投資等で資金が必要となった時、成長企業が活用するなどが有効的な利用方法となるでしょう。

エクイティファイナンスの6つの資金調達法は下記の通りとなります。

①新株を発行して増資(第三者割当増資)
②ベンチャーキャピタル(VC)による出資
③エンジェルによる出資
④新株予約権(ストックオプション)
⑤従業員持ち株会
⑥ベンチャーキャピタルが設立する投資事業有限責任組合(中小企業ファンド)
⑦クラウドファンディング
⑧事業譲渡・M&A
⑨IPO(株式公開・上場)

まとめ

3つに分類された資金調達法について、それぞれ解説してきました。
資金調達法には、いろいろな選択肢があります。

資金調達方は数多く存在するため、知らないでいると有効な資金調達法にたどり着けなくなってしまう場合もでてきます。
特に中小企業の経営者においては、金融機関の融資やビジネスローン以外にもある資金調達法の選択肢を知り、会社にあった方法を見つけ出していくことが大切です。

まずは、資金調達法の固定観念を無くして、数多くある資金調達法を検討してみてください。

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