中小企業の皆様は、補助金・助成金を活用していますか?
これまで活用した事がないという方が多いのではないでしょうか?
原則的に返済不要で、うまく活用できれば、起業時の強力な資金調達方法になる可能性があります。
今回は起業時に役立つ下記5種類の補助金に絞って紹介していきます。
①地域創造的起業補助金
②事業承継補助金
③小規模事業者持続化補助金
④ものづくり補助金
⑤IT導入補助金
どれもとても有用な制度なので、是非参考にしてみてください。
①地域創造的起業補助金
地域創造的起業補助金は新しく事業を立ち上げようと考えている人に対して、初期段階で掛かる経費をサポートしてくれる補助金です。
例年の申請期間は、毎年春頃に1ヶ月程の期間で受け付けています。また、この補助金は創業前の企業からでも申請できるのが特徴です。
補助額
補助率:補助対象経費の2分の1
金額:外部調達資金がない場合→50万円〜100万円
外部調達資金がある場合→50万円〜200万円
地域創造的起業補助金の対象者
地域創造的起業補助金の対象者は、下記の両方の条件を満たしていなければなりません。
〇公募開始日以降に創業するもので、補助事業期間完了日までに個人開業あるいは会社、企業組合、協業組合、特定非営利活動法人の設立を行い、代表となるもの。
ちなみに「会社」とは、会社法上の株式会社、合同会社、合名会社、合資会社を指します。
〇事業実施完了日までに計画した補助事業遂行のために新たに1名以上の従業員を雇用する。
条件
地域創造的起業補助金を受けるためには、産業競争力強化法に基づき、認定市区町村又は認定連携創業支援事業者による認定特定創業支援事業の支援を受けなければなりません。
また、下記のすべての条件を満たさなければなりません。
・使用目的が事業遂行のためだと明確に特定・証明することができる経費
・交付決定日以降、補助事業期間内の契約・発注によって生じ、証明することができる経費
・領収書等、証拠書類によって金額・支払いを確認できる経費
②事業承継補助金
本補助事業の対象となる事業承継は、2016年4月1日から補助対象事業期間完了日または、2019年12月31日のいずれか早い日までに、中小企業者等間における事業を引き継がせる者(以下「被承継者」という。)と事業を引き継ぐ者(以下「承継者」という。)の間でM&A等も含む事業の引き継ぎを行った又は行うこととします。
なお、承継者と被承継者による実質的な事業承継が行われていない(例:グループ内の事業再編)又は承継者側に承継前に事業を経営していた実態がない(Ⅱ型に限る。)と事務局が判断した場合、審査において評価に反映する場合があるので留意してください。
補助対象者
【対象となる中小企業者等】
業務分類 | 資本金の額又は出資の総額 | 常勤従業員数 |
製造業その他(※1) | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業(※2) | 5千万円以下 | 100人以下 |
(※1)ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下又は従業員900人以下
(※2)旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下、ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は従業員300人以下
【小規模事業者の要件】
本事業における小規模事業者とは、上記の【対象となる中小企業者等】の要件を満たし、以下の定義に該当する者とします。
小規模企業活性化法に従い、宿泊業及び娯楽業を営む従業員20人以下の事業者を小規模事業者として規定します。)
業務分類 | 定義 |
製造業その他 | 従業員20人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 従業員20人以下 |
商業・サービス業 | 従業員5人以下 |
※被承継者がみなし大企業の場合は、補助対象外となります。
③小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販路開拓(創意工夫による売り方やデザイン改変等)の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
小規模事業者が、商工会・商工会議所の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の2/3が補助されます。補助上限額:50万円。
対象となる取り組みの例
⑴広告宣伝
新たな顧客層の取り込みを狙い、チラシを作成・配布
⑵集客力を高めるための店舗改装
幅広い年代層の集客を図るための店舗のユニバーサルデザイン化
⑶商談会・展示会への出展
新たな販路を求め、国内外の展示会へ出展
⑷商品パッケージや包装紙・ラッピングの変更
新たな市場を狙って商品パッケージのデザインを一新
※以下の場合は、補助上限が100万円に引き上がります。
(A)市町村による創業支援等事業の支援を受けた事業者
(B)買物弱者対策の取り組み
業務効率化(生産性向上)の取組み
小規模事業者持続化補助金は、地道な販路開拓等の取り組みをする場合が対象となりますが、販路開拓とあわせて行う業務効率化(生産性向上)の取り組みを行う場合には、その取り組みについても、補助対象事業となります。
※業務効率化(生産性向上)の取組のみの申請書は認められません(副次的な取り組みとして可)
<取り組みの例>
⑴「サービス提供等プロセスの改善」
例:業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減
⑵「IT利活用」
例:新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する
例:新たにPOSレジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する
例:新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する
④ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業向けに設備投資やサービス・試作品の開発を補助してくれる返済不要の補助金です。
主に機械装置費、原材料費、技術導入費、クラウド利用費などを経費にすることが可能です。
補助額
革新的サービス(一般型)
→上限1,000万円
革新的サービス(コンパクト型)
→上限700万円
ものづくり技術
→上限1,000万円
共同設備投資
→上限5,000万円(500万円/社)
ものづくり補助金の対象事業者
対象事業者は中小企業・小規模事業者等となっており、「3~5年で、『付加価値額」年率3%及び『経常利益」年率1%の向上を達成できる計画」の提出が必要となっています。
申し込みから全体の流れ
ものづくり補助金の全体の流れは次のとおりです。
▼認定支援機関と一緒に事業計画書や申請書類を作成
申請書類には認定支援機関の印鑑が必要になります。
創業融資と異なり、「自分でやる!」とはいきません。
認定支援機関は、
中小企業庁「認定支援機関検索システム」で探すことができます。
認定支援機関と一緒に作る事業計画書の内容は、創業融資の創業計画書と変わりません。
ただし、ものづくり補助金は新しいサービスや試作品の開発、生産性向上の取り組みを支援する目的の補助金ですので、その点をふまえて作成する必要があります。
「これまで、このように試作品開発に取り組んできました」
「機械装置を使えば、現在の問題をこのように解決できます」
というようにアピールします。
業種にもよりますが、写真やグラフ、図など、見た目で印象を与えることも重要になります。
この点が創業計画書と異なるポイントです。
[全体の流れ]
事業計画書および申込書類の形式は全国中小企業団体中央会のホームページで入手できます。
↓
▼募集期間内にものづくり補助金事務局に申し込み、審査を受ける
申込書類は、電子データの形で提出します。
「ミラサポ」というホームページを使って送信します。
紙に打ち出して、郵送で提出することはできません。
審査は書面審査のみです。面接審査はありません。
↓
▼事務局から結果通知をもらう
申し込みから結果通知まで1ヵ月から2ヶ月かかります。
申し込んだ人全員が補助金を受けられるとは限りません。
落ちる可能性はあります。
↓
▼事業を実施し、事務局に事業内容を報告
経費が補助される期間=補助対象期間は約半年です。
事業完了後には領収書や請求書など、証拠書類と一緒に報告書を提出する必要があります。
↓
▼事務局から補助金が交付
提出した証拠書類は数ヶ月間にわたってチェックされます。
書類の不備を指摘された場合、修正対応が必要となり、これに相当な時間と手間がかかります。
経費が目的通りに使われたと認められれば、交付されます。
認められなければもらえません。
↓
▼その後5年間、引き続き事業状況を事務局に報告
補助金交付後も、結構長い間、報告させられます。
⑤IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするものです。
自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図ることを目的としています。
IT導入補助金の注意点
注意点があります。
1企業が利用できる範囲です。
2019年度は40万円~450万円となりました。
2018年は15万~50万円でした。
ここから言えることは二つです。
一つは80万円以下の案件は対象外ということです。(小規模事業者持続的発展支援補助金の活用がおそらく可能)
二つ目は1社あたりの金額があがる=採択件数が減る可能性があるということです。
仮に1社あたり100万円(200万円のツール導入)の補助金とすれば、100億円の予算だと1万社です。200億円でも2万社。
もし1万社だと2018年の2割以下、一次募集分だけで埋まります。
もし1社あたりの単価があがれば減ります。
IT導入補助金活用検討企業がやること
そこで、IT導入補助金を活用しツール導入を考えようとされる企業がすることは2つです。
・一つは最初の募集で必ず申請すること
二次募集はないかもしれません。
・二つ目は今から何をするかツール導入目的を考えておくこと
金額が多くなれば、導入に関する検討は長くなります。
仮に450万円の補助を受ける場合、いったん900万円を支払う必要がありますし、
急いで見積もり依頼などを募集開始時にする必要があります。
受け身でやっていてはだめです。
2018年はそれほど審査が厳しくなかったですが、今後は間違いなく厳しくなります。
2018年緩和されたウェブサイト導入に関する要件も厳しくなる可能性があります。
また、この補助金は企業の事業活動を効率化し収益をあげるために行うものです。
「補助金目的」では間違いなくお金の無駄遣いになります。
自社にとって必要なものは何なのか?事業計画はどうするのか?
そこまで3月までに考えて、様々なツール導入などに活用することをお勧めします。
IT事業者側は、そのニーズを日ごろから分析し、必要なツール・サービスを4月に登録できるよう準備しておきましょう。
まとめ
以上、必ずおさえておきたい、起業家が選べる5種類の補助金まとめでした。
特に、業務の効率化を図るうえで、一番におススメするのはIT導入補助金だと言えます。
起業時の資金が必要なタイミングで、事業資金の足しにできる補助金。
しかも、返済が不要という点は、とてもありがたいものです。
一方、応募条件や申請書類が複雑なものがほとんどで、受給までにはかなりの時間と労力がかかります。
それでも、資金不足のせいでビジネスチャンスを逃すことがないよう、ぜひ活用してみてください。