近年では、スマホのアプリなどを利用したキャッシュレス決済が増えてきていますよね。
2008年時点でキャッシュレス決済の普及率は約11%程度ありましたが、その割合は年々増加し続けています。
2020年になった今後もキャッシュレス決済の急激な普及も止まる勢いを知りません。
そこで、まだキャッシュレス決済を導入していない企業は導入を検討することをおすすめします。
当記事はキャッシュレス決済の導入を検討している事業者へ向けて、キャッシュレス決済を導入する時に深く関係する「キャッシュレス・消費者還元事業」と「軽減税率対策補助金」について詳しく見ていきましょう。
消費税が10%に増税
昨年の2019年10月から消費税が8%から10%に増税されましたね。
もともとは、2015年に消費税額が上がる予定でしたが、2017年に見送りされ、さらに2017年からも先送りにされ、ようやく2019年10月に消費税10%へと増税しました。
そして、増税にあたり政府は軽減税率制度の活用ややキャッシュレス決済の利便性を考え、普及を進めています。
軽減税率とは、外食を除く飲食料品と新聞の税率に関しては8%に据え置かれます。
この軽減税率制度と、ポイントなどがあるキャッシュレス決済を組み合わせて支払いをすることによって、消費者は消費税が10%になった後でも負担額を軽減することができます。
増税とともに実施される制度
10%に消費税が増税されるに伴って「軽減税率制度」と「キャッシュレス支払いのポイント還元の制度」が開始されました。
【軽減税率制度】
消費税が10%に増税するに伴って、消費者は2%の負担が大きくなりました。わずかの額とは思われるかもしれませんが、低所得者にとっては大きな負担となります。
そして、低所得者の負担を軽減するために、定められた品目に限っては消費税8%が適用されます。
8%が適用されるものは基本的に、日常生活に置いて多くの消費者が消費・活用しているものです。
具体的には、飲食料品や新聞が対象となります。
ただし、飲食料品に限っては「酒類」「外食」を除くなど定められています。
そのため、例えばハンバーガーを購入し、テイクアウトした場合は消費税8%ですが、店内飲食になると10%が適用されます。
【キャッシュレス支払いのポイント還元】
増税に伴って実施されたのが、「キャッシュレス・消費者還元事業」です。
これは、近年普及が広がってきている「キャッシュレス支払い」をすることによって還元されるポイントです。
これは、近年需要が高まってきている「キャッシュレス支払い」でのポイント還元です。
キャッシュレス決済の対象となる支払い方法は、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済・バーコード決済などが対象です。
そして、これらの支払い方法で商品を購入すると、消費者に購入額の5%または2%のポイントが還元される仕組みとなっています。
この施策は期間限定で、2019年10月から2020年6月末までの9ヶ月間実施される予定です。
キャッシュレス・消費者還元事業とは
キャッシュレス・消費者還元事業とは、消費税10%の増税に伴って、消費者の負担を下げたり、消費者の利便性の向上の観点も含め、2019年10月~2020年6月までの9ヵ月間の間、キャッシュレス決済を行うことによって消費者へのポイント還元や、事業者への補助を支援する事業です。
しかし、そもそもこの制度は消費者の負担を減らす事が主ではなく、あくまでも小規模事業者のキャッシュレス化を進める目的から始まった制度です。
そして、キャッシュレス・消費者還元事業を行うことにより、消費税増加に伴う消費者の負担感を減らし、消費喚起を促すとともに、消費者・事業者共に、キャッシュレス化を進める狙いもあります。
また、キャッシュレス・消費者還元事業の制度を活用する事業者は、国からの決済手数料の補助だけでなく、キャッシュレス決済の導入に必要な費用の補助を受けることができます。
ただし、団法人(一般・公益)、財団法人(一般・公益)、医療法人(社会・社団・財団)などは、キャッシュレス・消費者還元事業の対象外となるので注意しましょう。
補助内容
キャッシュレス決済・消費者還元事業は2019年10月から9か月間で実施されます。
現在は2020年3月なので、残り約3ヶ月間程度の期間が残っています。
ちなみに、キャッシュレス決済・消費者還元事業は下記の様な補助内容があります。
■消費者還元5%
■加盟店手数料3.25%以下への引き下げを条件として、さらに国が1/3を補助
■中小企業の負担ゼロで端末導入(1/3を決済事業者、残り2/3を国が補助)
■フランチャイズ等の場合は消費者還元2%(端末費用及び加盟店手数料の補助はなし)
まず、キャッシュレス決済事業者が中小・小規模事業者に募集をかけて、登録をさせます。
そして、キャッシュレス決済手段を提供して、消費者がその中小・小規模事業者でキャッシュレス決済をすると最大5%のポイント還元が行われます。
そのポイントの原資はキャッシュレス決済事業者が国に補助金請求をすれば、もらうことが可能です。
キャッシュレス決済導入、消費者のメリットは?
では、国が補助金を出してまでキャッシュレス決済を普及させて消費者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここではキャッシュレス決済が導入されることによる消費者側のメリットを見ていきます。
ポイント還元や割引
キャッシュレス決済をすると多くの場合、支払い額に対して一定の割合でポイントが還元されます。
また、定期的にキャッシュレス事業者は加盟店での買い物で割引を受けられるキャンペーンをしているため消費者にとって有利なことが多いです。
これらのことから、キャッシュレス決済は現金で払う時と比べて常に一定の割引が受けられるため消費者にとってはとてもメリットが大きいものとなっています。
さらに、今回取り上げたキャッシュレス決済・消費者還元事業によって消費者に対する還元率が高くなります。
よって、消費者はキャッシュレス決済ができる店で買い物をする傾向が強まるでしょう。
キャッシュレス・消費者還元事業、事業者のメリットは?
キャッシュレス・消費者還元事業に事業者が参加するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
事業者の大きなメリットは以下の3つが挙げられます。
■集客力アップ
■レジ業務の効率化
■導入の自己負担なし
それぞれ詳しく見ていきましょう。
集客力アップ
キャッシュレス・消費者還元事業では中小・小規模事業者は5%、フランチャイズは2%の消費者還元が行われます。
これを消費者にアピールすることで他の事業者と価格において差別化でき、集客力を上げることが可能です。
ひいては、売上の向上につながります。
レジ業務の効率化
キャッシュレス・消費者還元事業を利用し、キャッシュレス決済に必要な端末を導入すると、現金を常に管理する必要がなくなります。
また、レジ打ちをする従業員の負担を減らすことができ、人件費削減にも大いに役立つでしょう。
また、回転率によって売上が変わるようなお店であれば、キャッシュレス決済の導入によって、無駄な支払いの時間がなくなり、売上げアップにも繋がります。
導入の自己負担なし
キャッシュレス・消費者還元事業では、負担なしで中小・小規模事業者はキャッシュレス端末の導入が可能です。
端末費用は1/3を決済事業者、残りを国が負担してくれます。
軽減税率対策補助金とは
軽減税率対策補助金は軽減税率の対象になる商品を扱っている中小・小規模事業者に対する補助金です。
補助の対象は軽減税率に対応するために必要な経費となっています。
キャッシュレス決済・消費者還元事業は全ての中小・小規模事業者を対象としていますが、軽減税率対策補助金は軽減税率に対応が必要な事業者のみが対象となっています。
この軽減税率対策補助金は以下の3つのポイントから詳しく説明していきましょう。
■複数税率対応レジの購入補助制度
■電子的受発注システムの改修補助制度
■中小企業のための支援制度
複数税率対応レジの購入補助制度
複数税率対応レジの購入補助制度は日頃から軽減税率商品を販売しており、今後も継続していくために複数の税率に対応しているレジを導入・改修しなければいけない中小・小規模事業者に対する補助金制度です。
補助率は基本的には3/4となっています。
しかし、レジ1台のみ機器導入を行う時の費用が3万円未満の場合は4/5、タブレットなどの汎用端末の場合は1/2です。
補助額の上限はレジ1台あたり20万円まで、1事業者あたり200万円までとなっています。
電子的受発注システムの改修補助制度
電子的受発注システムの改修補助制度は電子的受発注システムを使って日頃から軽減税率商品を取引していて、今後も継続していくためにシステムを改修・入替をする中小・小規模事業者に対する補助金制度です。
この制度はすでにEDI・EOSなどの電子発注システムを利用している事業者のみが使えるので注意しましょう。
補助率は基本的に3/4です。
しかし、補助対象範囲外の機能を含むパッケージ製品・サービスは初期購入費用の1/2が経費となり、それに3/4が乗じられて補助金が計算されます。
補助額の上限は小売事業者の発注システムの場合は1,000万円、卸売事業者の受注システムの場合は150万円、両方の改修・入替が必要な場合は1,000万円です。
まとめ
以上、当記事では2019年10月の消費税率10%への増加に伴って始まった、キャッシュレス・消費者還元事業について紹介しました。
キャッシュレス・消費者還元事業は、近年普及率が増加し続けるキャッシュレス決済端末を導入するにあたっても補助が受けられる魅力的な補助金です。
小規模事業者からすると、キャッシュレス端末の導入の金額が高くて導入できないとお考えの方もいたかもしれませんが、今なら1/3程度の負担だけで導入することができます。
また、消費者の方も増税したからと言って、黙って消費税を支払うだけではなく、キャッシュレス決済で支払いを行い、ポイント還元を受けるなどをして、無駄のないようにしましょう。