
研究開発によって、新たな売上や継続的な収益が見込まれていても、多額にかかる経費に開発や研究を諦めてはいませんか?
2018年6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」では、官民が一丸となりベンチャー・エコシステムの構築を加速し、グローバルなスタートアップ企業の創出に取り組む重要性が謳われています。
これに基づいて、研究開発型スタートアップ支援事業では、ベンチャー・エコシステムにおいて重要な役割を果たすベンチャーキャピタル及びシードアクセラレータ等に対しての支援を行っています。
このような研究開発を手がけているのなら、ぜひ「研究開発型スタートアップ支援事業のシード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」をご活用ください。
こちらの記事では、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施している「研究開発型スタートアップ支援事業のシード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援」を詳しくご紹介していきます。
研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援
シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援では、「研究開発型スタートアップ支援事業に関するベンチャーキャピタル等の認定」に係る公募において、NEDO が認定した VC 等が、助成対象費用の 1/3 以上を出資する STS に助成金を交付しています。
STS が必要とする研究開発及び事業化に必要な資金、並びにその活動を支援することにより、将来のメガベンチャーの創出・育成を目指すとともに、グローバルなネットワークを持
つ VC 等の日本での活動を活性化し、エコシステムの強化に資することを目的としている事業です。
◆公募期間
・2020年10月9日~2020年12月3日正午まで(必着)
・郵送及び特定信書便のみ可
助成事業対象者
シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援の助成事業の対象者の要件は、下記の通りとなります。
◆具体的な技術シーズを活用した事業構想を持ち、認定VC から事業構想に係るチェックを受けた上で、提案書における助成対象費用の 1/3 以上の出資を遡及期間内(2020 年6月3日以降)に受けている
◆今後出資が予定されている STS であって、本応募に係る認定 VC の出資が下記の条件に当てはまる
上記のほか、下記の①~⑩のすべての要件を満たすことが必要です。
①日本に登記されている民間企業であって、その事業活動に係る主たる技術開発及び意思決定のための拠点を日本国内に有すること。
・法人を設立準備中の者は、提案書提出時に法人設立準備中であることを証明する資料を提出するとともに、この公募の採択決定日から30日以内に助成対象事業者として日本国内の法人格を有することを条件として応募の対象とします。
②助成対象事業を的確に遂行するに足る技術的能力を有すること。
③助成対象事業を的確に遂行するために必要な資金の調達が見込めること。
④助成対象事業に係る経理その他の事務について、的確な管理体制及び処理能力を有すること。
⑤助成対象事業終了後の実用化を達成するために必要な能力を有すること。
⑥技術開発の成果を事業展開に結びつけるために必要な技術経営力を有すること。
⑦中小企業基本法等に定められている以下の資本金基準又は従業員基準のいずれかを満たす中小企業者に該当する法人であって、みなし大企業に該当しないもの。
⑧本事業に係わるメンバーに関して、前職の離職時に前職と結んだ念書・誓約書等の制限条項に抵触していないこと。
⑨反社会的勢力、あるいはそれに関わる者との関与がないこと。
⑩ 技術研究組合は本事業の対象外とする。
助成対象技術
シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援の助成対象となる技術は、下記の①~③を全て満たすことが必要です。
① 経済産業省所管の鉱工業技術
・例えば、ロボティクス、AI、エレクトロニクス、IoT、クリーンテクノロジー、素材、医療機器、ライフサイエンス、バイオテクノロジー技術、航空宇宙等。ただし、原子力技術に係るものは除く。
② 具体的技術シーズがあって、研究開発要素があることが想定されること
・例えば、スマートフォンのアプリ開発のためのソフトウェアのコーディングなど、研究開発要素が薄いものや、既存製品(購入品)を利用しただけのものについては対象外とする。
③ 競争力強化のためのイノベーションを創出しうるものであること
・実証段階にあっても、技術開発要素があると認められるものについては、応募可能です。創薬(医薬品開発)に係る開発は原則として対象外とします。
・ただし、創薬支援技術の開発や、医療機器、医療検査技術等、経済産業省所管の鉱工業技術に係る複合技術の開発は助成対象とします。
助成対象の2つのコースとそれぞれの助成額
シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援では、幅広い開発フェーズに対応するために、事業期間・助成額が異なる下記の「STS」「STS2」の2つのコースが用意されています。
【コース①:STS】
◆支援期間
・交付決定日から最大 1.5 年以内
◆助成率
・助成対象費用の 2/3 以下
◆助成額
・最大7千万円以下
・過去に本事業(STS)の交付決定を受けている者(プレ STS を除く)は応募することはできません。
・NEDO からの補助金を受給中の者は、応募することはできません。
【コース②:STS2】
◆支援期間
・交付決定日から最大2年以内
◆助成率
・助成対象費用の 2/3 以下
◆助成額
・最大2億円以下
・本コース(STS2)の交付決定を受けた者は、STSのコースに応募することはできません。
・本コース(STS2)の採択数は、1者程度を予定しています。
・NEDO からの補助金を受給中の者は、応募することはできません。
助成対象経費
シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援の助成対象となる経費は、下記の通りとなります。
区分 | 経費の内容 |
機械装置等費(生産設備は対象外) | ◆土木・建築工事費 ・プラント等の建設に必要な土木工事及び運転管理棟等の建築工事並びにこれらに付帯する電気工事等を行うのに必要な経費。 ◆機械装置等製作・購入費 ・助成事業に必要な機械装置、その他備品の製作、購入、又は借用に要する経費。 ◆保守・改造修理費 ・助成事業で購入したプラント及び機械装置の保守(機能の維持管理等)、改造(主として価値を高め、又は耐久性を増す場合)、修理(主として現状に回復する場合)に必要な経費。 |
労務費 | ◆研究員費 ・提案書の研究開発体制に登録された助成事業に直接従事する研究者、設計者及び工員等が、助成事業に遂行のために直接従事した時間分の人件費。 ◆補助員費 ・助成事業に直接従事したアルバイト、パート等の経費(ただし、上記の研究員費に含まれるものを除く) |
その他経費 | ◆消耗品費 ・助成事業の実施に直接必要な資材、部品、消耗品費等の製作又は購入に要する経費。 ◆旅費 ①助成事業を実施するため特に必要とする研究員及び補助員の旅費、滞在費、交通費。 ②研究者以外の者に、助成事業の実施に必要な知識、情報、意見等の収集のための国内、海外調査に要する経費で、旅費、滞在費、交通費。 ◆外注費 ・助成事業の実施に必要なソフトウェア、ハード設計等の請負外注に係る経費(研究要素を含むものは外注できません)。 ◆諸経費 ・上記のほか、助成事業の実施に直接必要な光熱水料、会議費、委員会費、通信料、借料、図書資料費、通訳料、運送費、関税等の経費、学会等参加費。 |
委託・共同研究費 | 助成事業のうち、共同研究契約等に基づき学術機関等(国内)が行う技術開発に必要な経費。(委託研究費は計上できません) |
応募する際の注意事項
研究開発型スタートアップ支援事業のシード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援に応募する際には、下記の点に注意しておきましょう。
◆応募に当たっては、必ず事前に e-Rad の登録を行ってください。
・e-Rad への研究機関登録には通常 2 週間程度要するとのことですので、提案を予定の方は早めに登録しておいてください。
◆府省共通研究開発管理システム(e-Rad)による申請と、NEDO への提案書(提出書類一式及び電子ファイル)の提出が必要です。
◆本助成事業は、2 者以上による連名応募は対象としておりません。
・ただし、計上可能な共同研究等の相手先は一機関まで認めます。
◆同一事業者が異なるテーマにより複数の応募をすることは認めません。
・採択に至った場合でも、助成金の交付額は審査の結果及び予算等により提案書記載額等から減額して交付決定することがあります。
◆提案書は日本語で作成してください。
・二次審査は日本語で行います。評価者に非公開としたい内容は、提案書に記載しないでください。
◆持参での受付はしていないので、ご注意ください。
提案書送付先・問い合わせ先
研究開発型スタートアップ支援事業のシード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援の提案書送付先と、応募に関する問い合わせ先は下記の通りとなります。
【提案書送付先】
〒212-8554
神奈川県川崎市幸区大宮町 1310 ミューザ川崎セントラルタワー20 階
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
イノベーション推進部 スタートアップグループ
STS 公募 応募窓口 宛
TEL:044-520-5173
・郵送等の際は封筒に『「STS 公募」に係わる提案書在中』と朱書きのこと。
【問い合わせ先】
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
イノベーション推進部 スタートアップグループ STS 公募担当
〒212-8554
神奈川県川崎市幸区大宮町 1310 番 ミューザ川崎セントラルタワー 20 階
TEL:044-520-5173
FAX:044-520-5178
メールアドレス:vc-vb@nedo.go.jp
まとめ
研究開発型スタートアップ支援事業のシード期の研究開発型スタートアップに対する
事業化支援について、助成事業対象者、助成対象技術、2つのコース、助成対象経費、応募する際の注意事項等を詳しくご紹介してきました。
シード期の研究開発型スタートアップでは、幅広いフェーズに対応するために事業期間や助成額が異なっている2つのコースが用意されていますので、研究開発の状況にあったコースを選び応募してください。
研究開発には時間や労力、さらに資金が必要となりますが、これらの助成金を資金調達につなげて、新たな研究開発に役立てていきましょう。