新型コロナウイルス感染症の影響で、経営に大打撃を受けた飲食店は数多くあるでしょう。
そのなかで、売上減少を補うためにも、飲食物のテイクアウトやデリバリーなどを利用して、事業展開を広げようと考える事業主も多くいますが、あらたにテイクアウトやデリバリーを始めるにあたっても、それなりに費用が掛かってしまうのが現実です。
そこで、神奈川県川崎市では、市内の中小業者の経営を安定させるために、「テイクアウト」や「デリバリー」などのサービスを始める際に掛かる費用を補助する「川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金」という補助金事業をスタートさせました。
当記事では、そんな「川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金」の要件などについて解説していきます。
川崎市内で「テイクアウト」や「デリバリー」事業を展開するのをお考えであれば、ぜひ活用してください。
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金について
外出自粛にともなって、外食する人が減少し、飲食店は大打撃を受けているでしょう。
そんななかで、テイクアウトやデリバリーを始める飲食店は増えています。
しかし、新たにテイクアウトやデリバリーのサービスを始めるにしても、経費がかさみ、一歩を踏み出せない方もいるかもしれません。
そこで、神奈川県川崎市では、そんな飲食店を助ける「川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金」を始めたのです。
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金は、新型コロナウイルスの影響を受け、新たに飲食物のテイクアウトやデリバリーサービスを展開するためにかかる経費を補助してくれる補助金です。
補助上限額は10万円で、3/4までと少額にはなっていますが、新型コロナウイルス感染症によって打撃を受けた飲食店にとっては助けになる補助金制度でしょう。
以下では、「川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金」の補助対象者、対象事業、補助額、対象経費などについてまとめて紹介していきます。
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金の対象者
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金の対象者は以下の通りです。
(1) 中小企業基本法第 2 条第 1 項に定める小売業又はサービス業に該当する中小企業者であること(中小商業者であること)
(2) みなし大企業に当たらないこと
(3)大手フランチャイズチェーンの直営店ではないこと
(4)営業許可など行政庁からの必要な許認可等を受けていること
(5)公的な資金の使途として、社会通念上、不適切と判断される事業(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条により定める事業のうち、公的な支援を行うことが不適切であると判断される事業)でないこと
(6)川崎市暴力団排除条例に基づき、暴力団や、代表者又は役員のうちに暴力団員に該当する者がある法人等ではないこと(申請者が暴力団等であるか否かを確認するため、神奈川県警察本部長に対し確認を行うことがあります。)
絶対条件として川崎市内に事業所を有する中小業者が対象となっているので注意してください。
また、他県でも新型コロナウイルス感染症の影響によって打撃を受けているのであれば、事業所のある自治体に補助金制度があるのかを確認してみましょう。
補助率・補助限度額
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金の補助率・補助限度額は以下の通りです。
・補助率 3/4以内
・補助上限額 10万円 (補助金に千円以下の端数が生じた場合は、切捨て)
補助される補助金は、補助対象事業終了後に確定払いになるため、注意してください。
対象・受付期間
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金の対象期間は、令和2年4月1日~9月30日までの間で最長3ヶ月となっています。
期間内であれば、すでに終了した事業や実施中の事業も対象となるため、受付期間の令和2年6月12日~8月31日までに申請書類を提出してください。
補助対象事業
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金の補助対象事業は以下のどちらかに当てはまる事業です。
①.テイクアウト・デリバリー開始事業
飲食店がコロナ禍での外出自粛に対応して新たに始めた事業
②.IT を活用したサービス開始事業
中小商業者がコロナ禍での外出自粛に対応してIT技術を活用して新たに始めたサービス
例えば、①であれば外出自粛に対応して新たに始めた「テイクアウト」「デリバリー」「移動販売」などが挙げられます。
②であれば、飲食物のインターネット通販の導入やWEB講座の開始が挙げられるので、自社の事業が対象になるのか確認しましょう。
事業内容によっては、対象とならない場合があるので、細かい事業内容が決まっているのであれば、自治体に確認してみてください。
補助対象経費
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金の対象となる経費は以下の通りです。
①フードデリバリーサービス利用料
フードデリバリーサービスの利用に要する経費
【対象経費の例】
ア フードデリバリーサービスの初期登録料
イ フードデリバリーサービスの月額利用料・配送手数料
※タクシーによる宅配サービスを利用した場合、通常のタクシー利用と違いが分かるよ
うに領収書に「宅配費として」など記載が必要。
②広告宣伝費(販売促進費)
商品の販売やサービス提供に係るチラシ等の作成や広告掲載等に要する経費
【対象経費の例】
ア WEBサイトなどの作成委託費
イ チラシ・カタログなど印刷物の制作委託費
ウ 新聞・雑誌・インターネットなどへの広告掲載費
エ 看板・POP・のぼり製作費
【対象外】
・新たに取り組むサービスについてのPRに関わらない広報物
③設備装置費(リース含む)
事業実施に必要な設備や装置等の購入や貸借に要する経費
【対象経費の例】
ア 弁当の温度管理に必要なクーラーボックスなどの設備
イ デリバリーに使用する宅配用バイクのリース
ウ デリバリーに使用する宅配用バイクの改造費
【対象外】
・ITサービス導入に係る機器設置等費は、「ITサービス導入費」に計上すること。
・汎用的に利用できる自動車や自転車等の購入費
・ガソリン代や駐車場代など機器の維持管理に必要な経費
④ITサービス導入費
新しいサービスの提供に必要となるITサービスやシステム導入に要する経費
【対象経費の例】
ア 新しいサービスの提供に必要な通信環境(WiFi等)の整備に係る初期導
入費(機器購入・設置費)又はリース料
イ 新しいサービスの提供に必要なタブレットやWEBカメラなどの機器の購入費
ウ ネット通販などサービスの利用に係る利用料
エ フードデリバリーサービスやテイクアウトオーダーエントリシステムに付随する専門端末の購入費など
【対象外】
・汎用的に使用できるパソコンの購入費
・既に導入しているソフトウェアの更新料や、既存パソコンのOS更新料
・インターネット利用料金、電話代
⑤消耗品費 新しいサービス等の提供に必要となる消耗品等に要する経費
【対象経費の例】
ア テイクアウトやデリバリーに使う容器や割りばし、お手拭き等の購入費
イ 感染防止に資する ついたて、ビニールカーテン等の購入費
ウ 食中毒を防止するための冷却材等の購入費
【対象外】
・名刺や文房具など、通常の事務に係る消耗品代
・既存器具の買い替え
・飲食物の材料費
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金に申請する際の注意点
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金は、これからテイクアウト、デリバリー、移動販売を開始する事業者を助けてくれる補助金です。
しかし、申請の際に注意しなければならない点があるので、解説していきます。
国の補助金と重複申請には注意
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金は、国が実施する内容・補助対象経費が同じ補助金制度と重複申請はできません。
たとえば、「神奈川県中小企業・小規模企業再起促進事業費補助金(神奈川県産業労働局)」や「小規模事業者持続化補助金(独立法人中小企業基盤整備機構・日本商工会議所)」などは、同じ対象経費の区分があるため、申請が重複しないように注意してください。
経費の証拠書類が必要
デリバリー事業などの開始によってかかった費用を川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金で賄うのであれば、経費支出の証拠書類の提出が必要となります。
以下の証拠書類は、事業終了後の実務報告書に添付する必要があるため、必ず保管しておきましょう。
■物品やサービスの支払日や支払金額が確認できる書類の写し
領収書、レシートのコピー、銀行の振込記録、インターネットバンキングの画面印刷 など
■物品やサービスの数量、金額、契約先が分かる書類の写し (ア で内容が確認できる場合は不要)
契約書、発注書、納品書、請求書 など
■支出成果が分かる資料
新たに始めたサービスの内容が分かる資料、チラシ・ポスター等の作成物、看板・のぼりや購入・リースし
た設備の写真 など
まとめ
以上、当記事では神奈川県川崎市で実施している「川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金」について解説しました。
川崎市中小商業者テイクアウト等参入支援事業補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響によって打撃を受けた事業者が、新たにテイクアウトやデリバリーを始める際にかかる経費を補助してくれる補助金です。
補助上限額は10万円で、3/4までと大きな額が補助される補助金ではありませんが、新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少した状況を打破するために、テイクアウトやデリバリー事業を始める方はぜひ活用してください。
しかし、「神奈川県中小企業・小規模企業再起促進事業費補助金(神奈川県産業労働局)」や「小規模事業者持続化補助金(独立法人中小企業基盤整備機構・日本商工会議所)」などの補助金は、対象経費が同じになってしまうため、同時申請することができません。
そのため、どの補助金が対象となるのか、どれが一番助けになるのかを見極めて申請するようにしてください。