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個人事業主におすすめできる3つの借入方法を解説

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個人事業主として起業するとき、開業資金の全てを自己資金で補うのは難しいために、資金調達が必要となってきます。
しかし、法人が利用できる資金調達と、個人事業主が利用できる資金調達は異なっており、実績のない個人事業主に民間の金融機関は、なかなか融資を受け付けてくれません。

こちらでは、個人事業主が活用できる資金調達法をおすすめ順に「第一候補「第ニ候補」「第三候補」に分けてご紹介しています。

特に「第一候補」の日本政策金融公庫は、個人事業主に向いている資金調達先として、詳しく解説していますので、個人事業主として起業を検討している方は、ぜひご覧になってみてください。

【第一候補】日本政策金融公庫からの借入

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個人事業主におすすめの資金調達法は、日本政策金融公庫からの融資です。
国から100%出資されている政府の金融機関である日本政策金融公庫は、中小起業者や小規模事業者に向けて、数多くの支援制度を実施してます。

日本政策金融公庫が個人事業主に向いている理由と同時に、その反対にどんなデメリットがあるのか確認していきましょう。

個人事業主の借入に向いている5つの理由

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民間の金融機関よりも、日本政策金融公庫の借入が個人事業主に向いている理由として、融資が受けやすい、低金利、保証人や担保がいらない、長期金利などが上げられます。

次に、個人事業主の借入に向いている5つの理由を解説していきます。

①他の金融機関よりも借入しやすい

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民間の金融機関では、実績や信用がないと借入れることが難しく、起業する方にとってはハードルの高い借入先と言えるでしょう。

しかし、日本政策金融公庫は、政府が運営している個人事業主や中小企業者を支援するために、設けられた金融機関です。
そのため、個人事業主にとって借りやすく、資金調達先として有力な候補となります。

事業計画をきちんと立てていないと、融資を受けられない場合もありますが、事前に準備をしてきたのであれば高確率で資金を借入れることができます。

②低金利の借入が可能

日本政策金融公庫は、政府系金融機関となっているので、民間の金融機関よりも低い金利での借入が可能です。

実際に、日本政策金融公庫で設けている【新創業融資制度】【中小企業経営力強化資金】との金利を見て確認してみましょう。
【新創業融資制度】(令和元年12月2日現在 年利%)

基準金利 2.56~2.85
特別利率A 2.16~2.45
特別利率B 1.91~2.20
特別利率C 1.66~1.95
特別利率E 1.16~1.45
特別利率J 1.51~180
特別利率P 2.36~2.55

金利は、このようにいくつかの段階によって分けられていますが、個人事業主が日本政策金融公庫から借入を行う際には、「基準金利」が適用されるのが一般的です。
他の金利が適応となるには、「申込者の年齢」「性別」「事業内容」などによって決まります。
また、自身で、特別利率を選ぶことはできません。

(参考例)
女性・35歳以下の若者・55歳以上の方の申し込みにした場合には、特別利率Aが適応。

【中小企業経営力強化資金】
※創業1年目から7年目までの方で認定支援機関を経由して利用した場合

1.融資限度額のうち2000万円以内で無担保・無保証人の場合 特別利率S
2.26~2.45
上記“1”以外 基準利率
担保不要とする融資の場合 2.16~2.45
担保を提供する融資の場合 1.21~2.10
災害貸付等を利用される場合 1.36~1.65

日本政策金融公庫の金利は上記のような利率ですが、他の金融機関と比較するとどの程度低くなるのでしょうか?
次に「銀行」「信用金庫」「消費者金融」との金利を比較してみます。
【個人事業主が借入できる他の金融機関と金利を比較】

借入先         金利(年利)
日本政策金融公庫(新創業融資制度及び中小企業経営力強化資金を利用した場合) 1.16%~2.85%
銀行 3.0%~15.0%
信用金庫 2.0%~4.0%
消費者金融 3.0%~18.0%

資金調達というと、銀行が候補に浮かびますが、銀行の多くは事業用資金、大企業との取引、取引の長い企業を対象としています。
銀行から、中小企業や個人事業主が直接借入をすることは難しく、もしも借入れるのであれば、高金利の商品であるビジネスローンなどとなってしまう可能性がたかくなります。
ただし、一部の地方銀行や信用金庫などでは、地域活性化を目的として中小企業や個人事業主への積極的に融資を行っているところもあります。

しかし、総合的に金利を比較してみると、日本政策金融公庫の金利は金融機関の中でも、低い金利となっていることがわかります。

次に、実際に金利の違いによって、「どの程度の利息の差額が生じてくるのか?」具体的な金額を比較していきます。
【金利の違いによる利息の差額】
日本政策金融公庫から金利2%、銀行や消費者金融などの金利15.0%で借入した場合

借入額 金利2.0%の利息 金利15.0%の利息 利息差
100万円 51,666円 427,396円 375,730円
200万円 103,332円 854,792円 751,460円
300万円 154,998円 1,282,188円 1,127,190円
500万円 258,330円 2,136,980円 1,878,650円
800万円 413,328円 3,419,168円 3,005,840円

※返済期間は5年間、元利均等方式として計算しています。借入日と返済日で利息は多少変動します。

上の表から、100万円の借入を5年間した場合では利息差は、約37万円にもなってしまいます。
ビジネスローンなどは即日融資をしてくれるという商品的に優れている点もありますが、金利によって返済金額は大幅に違ってくることを覚えておきましょう。

③保証人や担保を必要としない

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日本政策金融公庫では、保証人や担保がなくても融資が受けられる制度を設けています。

上記の金利で紹介した日本政策金融公庫が設けている「新創業融資制度」「中小企業経営力強化資金」は、担保が必要ありません。
さらに、「新創業融資制度」「中小企業経営力強化資金」を利用するときには、保証人も不要となっているために、保証人を探したりお願いしたりする手間も省けます。

銀行や信用金庫などから借入を行う場合には、保証人が基本条件となっていますので、日本政策金融公庫の方が有利な条件で借入が行えるのです。

④5年以上の長期借入が可能

日本政策金融公庫で借入を行った場合、返済期間は5年以上からの選ぶこととなります。
長期間の返済となることで、1回あたりの返済額が少なくなり、資金繰りの負担が軽くなります。

創業した時の「運転資金」を借りた場合は5年~7年以内の返済することになり、「設備資金」を借りた場合には5年から10年以内の返済となります。

⑤他の金融機関からの融資が受けやすい

一度も融資を受けていない個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けることで、信頼度を得ることができます。

日本政策金融公庫から借入をして、期日通りに返済ができれば、会社としての評価が高まり、他の金融機関から融資が受けやすくなってきます。

日本政策金融公庫で借入する際の2つのデメリット

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様々なメリットがある日本政策金融公庫の融資ですが、いくつかのデメリットとなる部分も存在しています。
借入ことになって困ることのないように、デメリットの部分もしっかりと確認しておいてください。

①多くの書類が必要となる

日本政策金融公庫で借入をする際には、多くの書類を準備しなくてはなりません。
対象者によって書類は異なりますので、自身に必要な書類をきちんと揃えておきましょう。

【必要となる書類】

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②比較的審査が厳しい

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日本政策金融公庫からの借入を行うときには、所定の審査をクリアする必要があります。
金利が低く抑えられている分、厳しく審査が行われるのです。

個人事業主の創業時に行われる審査の中で、ポイントとなるのは「自己資金」です。
返済実績がないと評価基準の設定がしにくいために、「自己資金」にポイントをおいた審査となります。

特に「自己資金」を重視されるのは、個人で申込みをする「新創業融資制度」です。
こちらの制度では、「10分の1以上の自己資金」という要件が設けてあり、「自己資金」がこれに満たないと借入れを行うことができません。

個人事業主に向いている中小企業経営力強化資金

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上記で日本政策金融公庫が設けている制度として、「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」をあげましたが、個人事業主に向いているのは「中小企業経営力強化資金」です。

個人事業主が「中小企業経営力強化資金」を活用すれば、「新創業融資制度」の基準金利よりも低い「特別利率S」で借入れを行うことができます。

ただし、「中小企業経営力強化資金」を利用するときには、認定支援機関の援助が必要となりますので、お気をつけください。

【第二候補】信用金庫からの借入方法

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個人事業主の資金調達法としてあげられる第二候補は、信用金庫から借入方法です。

日本政策金融公庫の方が借入がしやすく金利も低いですが、信用金庫は日本政策金融公庫で借りられなかった方でも、信用金庫なら借入れられたというケースもあります。

【第三候補】親戚や友人から投資家を募る

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個人事業主の資金調達法の第三候補は、自分の周りにいる友人、親戚、投資家などから出資を受ける方法です。

自己資金がなければ、たとえ日本政策金融公庫であっても借入れることは難しくなってきます。
自己資金を友人、親戚、投資家などから出費してもらう方法です

すでにビジネスとして、成功しているのであれば出資してくれる可能性は高くなるでしょう。

【番外編】補助金や助成金を資金調達として活用

補助金や助成金は、金融機関のように先にお金を手にすることができませんが、融資のように返済する義務がないので、資金調達法のひとつとして活用できます。

補助金を利用する場合には、要件を満たすことに加えて、審査を通過することで受給されます。
一方、助成金は、要件を満たしていれば必ず受け取ることができます。

金融機関の融資と違った形の資金調達法となりますが、補助金や助成金を活用すれば、事業の資金繰りをサポートしていくことにつながります。

まとめ

個人事業主が利用しやすい資金方法として、第一候補から第三候補までをご紹介してみました。

第一候補となる日本政策金融公庫は、創業したばかりの個人事業主に借りやすく、低金利、返済期間が長期となっているために、負担の少ない借入方法です。
また、保証人と担保がなくても利用でき、政府が100%出資している金融機関なので、安心して利用することができるでしょう。

日本政策金融公庫からの資金調達を行うことで、倒産する確率は下がり、倒産のリスクも軽減できると言われています。
資金調達を検討しているのであれば、早めに準備を行って、日本政策金融公庫から融資が受けられる体制を整えるようにしておきましょう。

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