転職をしようと考えた時に、堅実な印象と安定した収入が得られる金融業界は、誰もが一目置かれる転職先ではないでしょうか?
そして、金融業界に転職するのなら、ある程度の「知識や資格が必要なのか?」が気になるところです。
こちらの記事では、金融業界で役立つ資格を始めとして、資格の種類、キャリアップに役立つ会計士の資格、自分に合った資格を選ぶ方法を解説しています。
合わせて「金融機関未経験者に向いている7つの資格」も詳しく紹介していますので、金融機関の業界に興味がある方は、ぜひご覧なってください。
金融業界へ転職したいなら必要な資格を取得
金融業界で働きたいと思っていても、「他の業界からでは難しい」と感じている方は少くありません。
しかし、資格を取得し知識を身につけることで、金融業界の転職への可能性が高まってきます。
また、転職のみならず、金融業界でのキャリアアップを考えた時にも資格や知識は自分自身を高めてくれる財産となるでしょう。
金融業界で役立つ資格の種類にを紹介しながら、「自分にあった資格を選ぶ方法」「未経験者でも目指せる資格」「キャリアアップを目指せる資格」を説明していきます。
金融業界で役立つ資格の種類
資格は数多く存在していますが、金融業界に関わっている資格は大きく分けると3つの資格にわけることができます。
①専門的に業務が遂行できる業務独占資格
②会社で働くための必要不可欠な資格
③知識を蓄えて転職に役立つ資格
次に、どのような資格なのかを詳しく解説していきます。
①専門的に業務が遂行できる業務独占資格
業務独占資格を持っていると、資格を持っていない者が携われない禁じられている業務を独占的に行うことが可能になる資格です。
金融業界においては、公認会計士や税理士がそれにあたります。
②会社で働くための必要不可欠な資格
業務独占資格ではなくても、業務を遂行するにあたって必須となる資格も存在しています。
その資格とは、株式や債券などの金融商品を扱い販売する場合、また勧誘を行う時には証券外交員の資格がないとできません。
また、資格のみではなく、一定の実務経験を積むことで受験可能となる資格も存在しています。
③知識を蓄えて転職に役立つ資格
業務に直接関係する訳ではありませんが、知識を収得していることで内容を理解でき、業務がスムーズに行えるようになります。
財務や経理の基礎知識がそれにあたり、たとえば日商簿記2級を取得していることで多くの企業から求められ、履歴書に書くことで知識をアピールすることができます。
業務独占資格となる公認会計士
公認会計士は業務独占資格となるため、会計監査は公認会計士でなければ行うことできません。
独立した立場から、企業の会計監査を行っています。
公認会計士法では、業務の透明性を保つために監査を行う企業や関係者とは、独立した立場で業務を行うことを定めています。
大手監査法人などの企業のなかでは、年収が1,000万円前後の求人もあり、高収入となる可能性が高い資格です。
<試験概要>
試験日: 短答式・年2回(12月、5月)、論文式・年1回(8月)
受験料: 19,500円
受験資格: 特になし
分類:国家資格(業務独占資格)
主な就職/転職先:監査法人、官公庁、会計事務所、税理士法人、銀行、独立開業など
公認会計士ができる仕事
公認会計士が行っている仕事には、法定監査とそれ以外の監査、国際的な監査など、監査の業務に加えて、税務、コンサルティング、組織内会計士などの業務を行うことができます。
「監査」では法定などによって義務付けられた法定検査を行っています。
・金融商品取引法に基づく監査
・会社法に基づく監査
・保険相互会社の監査
・独立行政法人の監査
上記の監査以外にも、多種多様な審査を行います。
「税務」では、公認会計士は税理士登録を行えば税理処理を行うこともでき、さらには経営戦略の立案からの組織再編、システムコンサルティング、経営全般にわたる相談や助言を行えるようになっています。
公認会計士による中小企業支援
幅広い業務を行える公認会計士ですが、公認会計士は高度な知識と高い倫理観のもとに、財務会計、管理会計などを通して、中小企業経営の支援なども行っています。
公認会計士の資格をとれば、企業の全てのライフステージにおいて、役立つ仕事もできるようになるかも知れません。
支援の中には、「事業計画・資金調達支援」「事業計画策定支援」「企業の再生・廃業支援」など、企業の創業や成長、さらには新たな取り組みを行っている中小企業の力につながっています。
金融機関未経験者に向いている7つの資格
数多くある資格の中から、比較的挑戦しやすい日商簿記、証券外務員、証券アナリストなどの資格の8つの資格の基本情報、取得の流れ、役立つ業種を、具体的にご紹介していきます。
日商簿記
難易度★~★★★★(取得する級によって)
企業の経理や財務関係で働くためにの基礎知識が得られる資格です。
「企業の日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能」が取得できます。
日本商工会議所が行っている検定試験は、初級、3級、2級、1級の難易度によって分かれており、初級は「簿記の基本用語や仕組み」3級は「経理の基礎と小規模事業の経理事務」ができるレベルとなっています。
2級になると「財務担当必須の技能」、1級は「経営管理や分析」ができるレベルとなっています。
簿記の資格を持っていないと財務や経理の仕事ができないということで貼りませんが、取得することによって、業務を正しく理解できる知識が身につきます。
転職するときの自己アピールとなるポイントとなるでしょう。
<試験概要>
試験日:年3回(6月、11月、2月)
受験料:3級2,800円、2級4,630円、1級7,710円
受験資格:特になし ※1級に合格すると税理士の受験資格が得られる
分類:民間資格
主な就職/転職先:企業の総務・人事・経理・財務部門、税理士事務所(補助)など
証券外務員
難易度★
金融商品を扱い取引に従事するのなら、証券外務員という資格を持っていなければなりません。
銀行や証券会社などでは、初期段階から取得することを奨励し、さらには取得することを義務付けられている場合もあります。
他業界から金融業界に転職したいのなら「証券外務員」の資格を持っていれば、戦力になる人材と評価されるでしょう。
証券外務員には、一種外務員資格と二種外務員があり、二種外務員の資格を取得すると「公社債、投資信託の取引、株式の現物取引」などが扱え、さらには「株式の信用取引、レバレッジ投資信託、新株予約権証券、店頭デリバティブ取引に類する複雑な仕組債・複雑な投資信託」などが扱えるようになります。
もちろん、就職活動前に取得していれば、有利な資格となります。
<試験概要>
試験日:月~金曜日の毎日(事前に申し込み全国のテストセンターで受験)
受験料:8,704円
受験資格:特になし
分類:民間資格
主な就職/転職先:証券会社、銀行、生命保険会社など
証券アナリスト
難易度★★★
証券アナリストとは、証券会社などで証券の分析、資産運用の投資についてのアドバイスができる業務につくことができます。
CMA、日本証券アナリスト協会検定会員とも呼ばれている、日本証券アナリスト協会が認定する民間資格です。
証券アナリストの資格は、第1次レベル(通信講座→試験3科目)、第2次レベル(通信講座→試験4科目)に合格すること、また3年の実務経験を認定され必要があります。
もしも、第2次レベルに合格したけれど、実務経験が3年未満という場合には、「検定会員補」に登録でき同称号を使用することが可能となります。
<試験概要>
・第1次レベル
試験日: 年2回(春・秋)
受験料: 12,400円(3科目)
受験資格: 通信講座3科目の受講(受講料一括55,500円、協会会員は割引)
・第2次レベル
試験日:6月上旬
受験料:8,200円
受験資格:第1次レベル合格、通信講座4科目の受講(受講料52,500円)
分類:民間資格
主な就職/転職先:証券会社、銀行、保険会社、資産運用コンサルタントなど
人生のマネープランの専門家、「AFP」
難易度★★★
AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)は、家計、保険、教育資金、相続などの暮らしに関わってくるお金の知識を得て、いろいろな人生のステージの資産設計をサポートする専門家です。
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格の一種となりますが、AFPにおいては実務経験がある方、長期的に勤務する方に向いている資格です。
活動の場も広く、保険会社、不動産業での顧客相談、企業内FPとして、未来の資産設計を支援することができます。
<試験概要>(2級FP技能士、AFP認定の場合)
試験日:年3回(5月、9月、1月)
受験料:8,700円
受験資格:AFP認定研修修了、3級PF技能検定合格、2年以上のFP実務経験、厚生労働省認定金融渉外技能審査3級合格、のいずれかに該当すること
分類:民間資格
主な就職/転職先:証券会社、銀行、保険会社、不動産会社、会計事務所、独立開業など
保険やリスクの数理専門職となる「アクチュアリー」
難易度★★★
日本アクチュアリー協会が認定しているアクチェアリーは、確率や統計などの手法を使いながら、不確定な事象を扱い、保険や金融に係る業務に力を発揮します。
年金、保険、決算など数理業務やリスク管理分析、長期計画の策定などとなりますので、数字に強い人に向いています。
アクチュアリーの資格を持っていなくても業務に従事することができますが、生保数理などの知識を客観的に証明してくれる資格となるでしょう。
<試験概要>
試験日: 12月(第1次試験、第2次試験ともに)
受験料: 1科目10,000円(個人会員等は7,000円)
受験資格: 大卒または同等の学力があると認められる者、第2次試験は第1次試験の合格者
分類:民間資格
主な就職/転職先:保険会社、監査法人投資銀行、コンサルタント会社、証券会社など
宅地建物取引士
難易度★★
宅地建物の売買や交換を扱うのなら、宅地建物取引士の資格を持っていなければなりません。
不動産に関わる仕事はもちろんですが、様々な売買・仲介シーンで活躍し、住宅の賃貸購入、投資やローンなどでも生かせ資格なので、金融機関などでも働くことができます。
1度に終わる比較的シンプルな試験で、権利や法令、税金などが出題範囲です。
<試験概要>
試験日: 10月の第3日曜日
受験料: 7,000円
受験資格: 特になし
分類:国家資格
主な就職/転職先:不動産会社、コンサルタント会社、銀行、不動産に関わる営業やマネジメント、独立開業など
中小企業診断士
難易度★★★★
経済産業大臣が登録する国家資格である中小企業診断士は、成長戦略策定、実行のためのアドバイスに加えて、中小企業と行政さらには金融機関の架け橋となる資格です。
試験の難易度は高く、筆記を行う1次試験と筆記試験に合格した者を対象とした2次試験とクリアしなければなりません。
取得するために多くの時間を費やしています中小企業診断士ですが、企業の経営改善の知識、社内では経営参賀や昇進のつながる資格でもあります。
<試験概要>
試験日:8月(1次試験)、10月、12月(2次試験)
受験料:13,000円
受験資格:特になし(2次試験は1次試験合格者、1次試験免除者)
分類:国家資格
主な就職/転職先:コンサルタント会社、マーケティング業、企業の経営・財務部門、独立開業など
社会保険労務士
難易度★★★★★
国家資格となる社会保険労務士の資格を取得すると、社会保険労務法に基づき、労働関係、育児、介護休業法、働き方に関する調停および手続き、書類作成などを行えることができます。
どのような会社でも社会保険に関する申請書類の作成は必要となる業務ですが、外部からの報酬を得て業務を行えるのは、社会保険労務士や社会保険労務法人のみとなっています。
ただし、学歴などの受験資格は難しくありませんが、合格率は10%を下回ることもある難易度の高い資格となります。
<試験概要>
試験日: 8月下旬(日曜日)
受験料: 9,000円
受験資格: 大学・短大卒業等の学歴、3年以上の実務経験、厚生労働大臣が認めた国家試験や司法試験予備試験合格者または行政書士となる資格を有する者、のいずれかひとつに該当していること
分類:国家資格(業務独占資格)
主な就職/転職先:社労士事務所、法律事務所、コンサルタント会社、企業の総務・人事部門、独立開業など
自分にあった資格を選ぶ方法
金融業界に転職したいが「未経験という場合」「スキルおよびキャリアアップを目指す場合」「独立開業および海外勤務を考えた時」など、状況によって役立つ資格は違ってきます。
無駄な勉強にならないように、自分に合った資格を検討していくようにしてください。
未経験の場合
未経験の資格取得には、実務経験が必要なく、合格率が高めの資格を選ぶとよいでしょう。
また、「独学にするか?」「講座に通うか?」を検討し、資格に費やす時間と費用のバランスを考えながら検討してください。
ただし、証券アナリストなどは通信講座を受講しないと受験資格がえられなものもあります。
資格取得を選ぶ時には「自分に取得することができるのか?」を確認するために、受験要項をよく読んでおくととが大切です。
スキルおよびキャリアップを目指す場合
資格の中でも、証券外務員1級やFP技能士1級・CFPのように難しい資格を取得することで、業務範囲が広くなったり、資格手当がつく可能性が高まります。
なお、銀行や証券会社の一部では、資格を取得することを昇進や昇給の条件としてあげている企業もあります。
受験費用や資格の支援をし、金融業界で経験を積みキャリアアップしていく人材をサポートしていく傾向に変わってきています。
独立開業および海外勤務を考えた時の資格
自身で独立開業や海外勤務を検討する際に、高い専門性を生かした事務所、外資系銀行などで投資、M&Aやマーケティングに携わったビジネスを考えるのなら、信頼性の高い資格が必要となります。
法律に基づいた国家資格や専門知識が習得でき、加えて証明もできるMBA、語学の資格などがおすすめとなります。
まとめ
金融機関や業界で働くための役立つ資格やその種類、キャリアップに役立つ会計士の資格や金融機関未経験者に向いている7つの資格について紹介いたしました。
資格は数多くありますが、金融機関への転職を目指すのなら上記のように、未経験者でも目指せる資格をまずは、取得してみてはいかがでしょうか?
会計士のように、高い知識や倫理観を養う資格を取得すれば、転職やキャリアアップの一生を通しての仕事となっていくでしょう。
まずは、手軽に取得できるものから勉強していき、徐々にレベルアップを図っていってください。