住宅ローンには減額承認と呼ばれる制度があり、審査の結果希望した融資額よりも、減額されてしまうケースがあります。
例えば、3,500万円の住宅ローンを希望したけれど、審査の結果3,000万円までしかおりなかったというようなことです。
しかし、なぜ希望の融資額を受けられず、減額されてしまうのでしょうか?
当記事では、住宅ローンにおける減額承認とはなにか、融資額が減額されてしまう理由、減額承認されないようにする対処法を解説していきます。
住宅ローンにおける減額承認とは?
住宅ローンにおける減額承認とは、希望した融資額よりも審査の結果減額されてしまうことをいいます。
例えば、3,500万円の住宅を購入するために住宅ローンの申請をしたところ、審査の結果、銀行から3,000万円までしか融資を出してもらえなかった場合のことです。
これは、住宅ローンの融資自体の審査は通ったものの、満額の融資額を返済できる能力がないとみなされて減額してしまっているのです。
また、減額承認は単純に収入面を見られるだけではなく、物件が中古なのか新築なのかでも大きく変わってきます。
では、どのような理由で住宅ローンが減額承認されてしまうのでしょうか?
減額承認されてしまう代表的な理由が以下の4つとなります。
・収入の安定性や住宅の担保価値
・過去にローンを滞納していないか
・キャッシング機能を設定している
・返済比率が超えている
それぞれ理由を具体的に解説していきます。
収入の安定性や住宅の担保価値
まず、住宅ローンの審査で最も重視されるのは、きちんと返済できる返済能力や購入する住宅の担保価値です。
住宅ローンに限らず、融資を受ける際に返済能力が審査されるのは当たり前ですが、職業・年収・勤務年数などから判断され、年収によって融資を受けられる上限額が大きく異なります。
融資希望額が収入と釣り合わない場合は、銀行側から「返済能力がない」とされて希望額よりも減額されてしまう可能性が非常に高いです。
また、購入する住宅の担保価値も減額承認される原因となってしまいます。
担保価値とは、返済が困難になった場合に融資金額を回収できるように、購入住宅に決めます。
例えば、購入する住宅が中古で古かった場合、担保価値は下がってしまうでしょう。融資する金額よりも担保価値が低くなってしまうと、万が一返済してもらえないときに金融期間が大きな損失を受けることになってしまうので減額されてしまいます。
過去にローンを滞納していないか
住宅ローンに審査には、過去のクレジットカードの利用状況や車のローンなど、他の借入れも関係してきます。
特に、過去にローンの滞納があった方は注意が必要です。
一度でも滞納があった方は、金融機関側から、融資してもきちんと返済してくれるのかどうか、信用問題にも関わってきます。
そのため、過去にローンの滞納をしてしまった方は申請時に注意が必要です。
キャッシング機能を設定している
最近のクレジットカードには、急にお金が必要なときに便利なキャッシング機能がありますが、これを設定していると減額承認の対象となる場合があります。
一度も利用したことがないが、万が一のときに備えてキャッシング機能を設定していると、金融機関からは、今後キャッシング機能を利用する可能性があると見なされて、減額承認の対象となる場合があります。
返済比率が高い
減額承認には返済比率も大きく関係してきます。
返済比率とは、年収に占める年間返済金額の割合のことをいい、返済負担率とも呼ばれています。
年収に見合わず、この返済比率が高くなってしまっていると、金融機関は申込者は返済能力がないと判断して融資額を減額してしまうのです。
また、返済比率には基準があり、住宅ローンの一つ「フラット35」では年収400万円未満だと返済比率30%以下、年収400万円以上だと35%以下という基準があります。
この返済比率の基準を超えてしまっていると、融資を返済する額が大きくなり、返済が滞ってしまう可能性が高く、金融機関は融資額を減額にする可能性があるのです。
減額承認を防止する方法
ここまでで、減額承認されてしまう理由を解説しましたが、減額承認されないようにすればどうすれば良いのか、と悩む方も多くいるでしょう。
以下で減額承認を防止する方法を解説します。
減額承認を受けてしまうのが不安、減額承認を言い渡されたが、なぜ減額されたのが分からないという方はぜチェックしてみてください。
信用情報が傷ついている場合
過去にローンの延滞など、金融事故を起こして信用情報機関に傷が付いてしまっており、それが原因で減額されたのであれば、5年後に審査を受けるのがおすすめです。
信用情報に傷が付いている場合、減額承認どころか、住宅ローンそのものの審査も通りにくくなってしまいます。
基本的に信用機関に登録された情報は5年間記録されるため、傷が付いた情報が消えたタイミングで審査を受けるのが賢明です。
また、いつ滞納したのか分からないなど、信用情報に不安がある方は、以下の3つの機関で情報を確認できるのでチェックしてみてください。
・指定信用情報機関(CIC)
・日本信用情報機構(JICC)
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
キャッシング機能が設定されている人
先ほども解説しましたが、クレジットカードにキャッシング機能を設定している場合、利用履歴がなくても、キャッシング機能が原因で融資額が減額されてしまうことがあります。
そのため、住宅ローンの申し込み前に、自分が持っているクレジットカードにキャッシング機能が設定されているのかを確認し、設定されていたら申し込み前の解除がおすすめです。
他社の借入れを返済しておく
住宅ローンの審査をする際には、返済比率が見られるため、他社の借入れも確認されます。
他社で借入れが多いと年収に見合った返済比率ではないと判断され、住宅ローンの融資額が減額されてしまうことがあるでしょう。
そのため、住宅ローンの申し込み前に、カーローン、ショッピングローンなど、払えるものがあれば完済しておくのがおすすめです。
減額承認された際の対処法
住宅ローンが希望の融資額を満額受けられなかった場合でも、住宅の購入を諦める必要はありません。
信用情報に傷が付いている場合は、なかなか審査を通すのは難しいかもしれませんが、収入面が問題で減額承認されてしまったのであれば対処する方法はあります。
以下では、住宅ローンが減額承認されてしまった際の対処法を解説します。
夫婦で収入を合算する
一人で住宅ローンを申し込んで減額されてしまった場合、夫婦で協力して借入れすると減額されにくくなる場合もあります。
例えば、妻がパートやアルバイトなど毎月安定した収入を得ているのであれば、夫婦連名で収入を合算する方が減額されない可能性が高まるでしょう。
しかし、夫婦で収入を合算する場合、今後の将来を見据えた計画が必要となります。
例えば、今は妻が働いているから返済も問題ないけれど、将来子どもが生まれたときに、妻が仕事を辞めてしまうと返済が厳しくなるでしょう。
夫婦で合算して住宅ローンの申し込みをするのは、審査が通りやすくなるメリットはあるものの、将来を考えた資金調達の計画を立てるのが重要なのは覚えておいてください。
頭金を増やす
住宅ローンの審査をしても、どうしても希望の融資額を受けられずに減額されてしまう場合は、頭金を増やして借入限度額内におさめることもできます。
頭金を用意しなければいけないので、資金面でも難しいかもしれませんが、金融機関側からは「頭金を用意できる貯蓄がある」と判断され融資額が増える可能性も0ではありません。
他の金融機関で再審査する
上記の方法でも減額承認されてしまった場合、他の金融機関で再審査を行なうのも一つの方法です。
返済比率を超えていたり、信用情報に傷がなければ、他の金融機関で融資を満額受けられる可能性もあります。
なぜなら、住宅ローンの審査基準は、それぞれの金融機関によって異なります。
そのため、ひとつめの銀行では減額承認されてしまったが、別の金融機関で申し込みをしたら満額の融資を受けられたという話も聞きます。
しかし、住宅ローンの審査にはそれなりの時間がかかってしまうため、減額承認を受けたから次を探すのではなく、あらかじめ複数の金融機関を一気に申し込むのが効率的でおすすめです。
フラット35を利用する
収入面に不安があり、融資額が減額されてしまいそうな方はフラット35もおすすめです。
フラット35は金利が高めに設定されているデメリットはありますが、フラット35であれば担保価値が低くても減額承認されることはないでしょう。
そのため、他の住宅ローンの申込みをしても減額承認されて満額の融資を受けれない場合はフラット35を視野に入れるのをおすすめします。
まとめ
以上、当記事では住宅ローンの融資額を減額されてしまう「減額承認」とはなにか、なぜ融資額が減額されてしまうのか、減額承認されないようにする対処法を解説しました。
住宅を購入する際に希望の融資額が満額おりなければ、希望の住宅を購入するのも難しくなってしまいます。
しかし、減額承認されてしまうのには、以下のような何かしらの理由があります。
・収入に対して返済比率が見合っていない
・過去の金融事故の経験があり、信用情報に傷が付いている
・購入する物件の担保価値が融資額よりも大幅に低い
このような理由があれば、金融機関側は「返済能力がない」とみなし、融資額を減額してくるでしょう。
そうならないためにも、融資額が減額されてしまう理由を知り、住宅ローンの申し込み前にあらかじめ対処するようにしてください。
また、減額承認を受けてしまった際は、
・夫婦で収入を合算する
・頭金を増やす
・他の金融機関で再審査をする
・フラット35を利用する
などの対処法があるため、自身にあった方法を試してみてください。