2019年は、家庭用蓄電池の大チャンス! 蓄電池の設置に補助金が使えるうえに、金額が大きいのも特徴です。
昨年に連続した災害や2019年の卒FITなど、蓄電池需要が非常に高まるなか、補助金の申請は先着順なので、ゆっくりしていると予算がすぐに終わってしまうことでしょう。
補助金を受けるには条件があり、蓄電池の機種にも指定があります。
太陽光発電と蓄電池を一緒に使うことを前提としているのも、本補助金の特徴です。
補助金のルールがいくつもありますので、買う前に条件をチェックしておきましょう。
ここでは、2019年度の家庭用蓄電池の補助金制度について解説していきます。
「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」とは
ここで解説する2019年度の「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」は、補助金額が最大60万円と高額です。
受給には条件がありますので、まずは受給対象になるケース・ならないケースを見ていきましょう。
■対象 10kW未満の住宅用太陽光発電を設置済み(太陽光発電は新築・既築いずれも対象)
■対象外 10kW以上の太陽光発電を設置している
■対象外 太陽光発電を設置せず蓄電池だけを使う
■対象外 補助金交付が決まる前に蓄電池を契約・発注した
重要なポイントはこの2つです。
★10kW未満の太陽光発電を一緒に使う蓄電池であること
★これから蓄電池を買うこと
蓄電池と住宅用太陽光発電(10kW未満)が一緒に設置されていなければなりません。
太陽光発電は既に完成していても構いません。
ただし、蓄電池だけを設置したいケースには、本補助金は使えません。
蓄電池と太陽光発電(10kW未満)の併用が条件の補助金
この補助金が特徴的なのは、10kW未満太陽光発電と蓄電池の設置が条件に挙がったことです。
太陽光発電と蓄電池を併用すれば、停電中でも蓄電池を充電できます。
災害で電力供給が途絶えてもライフラインを守り、非常事態を乗り越えるパワーをもつ設備の普及を促進するのが狙いだといいます。
「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」補助金の概要
対象 | 10kW未満の住宅用太陽光発電を設置している(新築・既築いずれも対象) |
予算 | 38.5億円(1.5万件) |
補助額 | 上限60万円(蓄電池のタイプや容量により実際の補助額は異なる)
例:8kWh蓄電池システム※+HEMSが工事費込で42万円なら補助金額は23.6万円 ※ 災害対応型、15年保証の場合 |
公募期間 | 一次:2019年5月下旬(予定)~9月30日12:00必着
二次:2019年10月1日~11月29日12:00必着 |
今年は、蓄電池の補助金が最大60万がおり、購入には絶好のチャンスです。
補助金でもらえる金額と具体的なチェックポイント
蓄電池のみの蓄電池の補助金制度で貰える具体的な金額はこちらです。
補助金の金額を決めるポイントは2つです。
■蓄電池の容量の大きさ
■蓄電池のタイプ(災害対応型、ネットワーク型、周波数制御型)
蓄電池の補助金額が最大60万円です。しかし、本当にもらえる金額は機種によって違うので要注意です。
容量が大きい蓄電池は本体価格が高いので、補助金額が増えるのは嬉しいですね。
しかし、ここで言う「蓄電池の容量」は、イメージするものとは少し異なるかもしれません。
蓄電池の災害対応型、ネットワーク型、周波数制御型、というタイプも馴染みがありませんよね。
ここからは、補助金額を左右する要素についてご紹介します。
蓄電池の容量で補助金額が違う
蓄電池の補助金額は、1kWhあたり◯万円という計算で決定されます。
つまり、容量が大きいほど、補助金額が高額になるということですね。
補助金を決める「蓄電池の容量」は、「初期実効容量」のことです。
一般的に蓄電池の「容量」と聞いてイメージするのは、電気を最大でどれくらい貯められるかを表す「蓄電(池)容量」です。
補助金を決める「初期実効容量」は、工場出荷時の蓄電池の放電時に供給できる、交流側の出力容量です。
初期実効容量は、蓄電容量よりも少なくなります。
「初期実効容量 ◯◯kWh」といったように、カタログやスペックに書いてあることでしょう。
ニチコンの蓄電池(ESS-U3S1)のスペックを例に、容量の見方を解説します。
こちらに書いてある「蓄電池容量 4.4kWh」は、補助金の計算には使えません。
「初期実効容量(3.3kWh)」という情報は、性能一覧表の下に記されていました。
もらえる補助金の額を計算するときは要注意です。
蓄電池の3タイプ(災害対応型、ネットワーク型、周波数制御型)の補助金額
蓄電池は「災害対応型」「ネットワーク型」「周波数制御型」などのタイプがあり、補助金額が異なります。
それぞれの特徴と、補助金の対象機種をご紹介します。
災害対応型の蓄電池と補助金の対象機種
災害対応型の蓄電池とは、太陽光発電で作った電気を優先的に貯める「グリーンモード」が搭載された機種のことです。
災害の中で電力を自給自足できる蓄電システムが補助金の対象だということです。
また、電力不足による節電要請に対して遠隔操作を含む方法で対応できる機種も、補助金が受けられます。
災害対応型への補助金は、災害の被害を乗り越える力をもつ太陽光発電と蓄電池を後押ししたいというメッセージとも言えるでしょう。
太陽光発電と連携できる蓄電池のほとんどが、グリーンモードを搭載しています。
平時は太陽光発電の電気を活用して電力会社から買う電力量を減らして、電気料金を安くできます。
ネットワーク型の蓄電池と補助金の対象機種
VPP実証事業などに対応する機能をもつ蓄電システムです。
HEMS機器などを経由して監視制御を行う機能を持ち、ECHONET Liteおよび、AIF認証が必要です。
周波数制御型の蓄電池と補助金の対象機種
VPP実証事業などに参加する機能をもつ蓄電システムです。
一次調整力相当、または二次調整力相当の需給調整機能をもつとされる蓄電システムです。ECHONET LiteとAIF認証はなくても良いとされています。
「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」に登録された、周波数制御型蓄電池の一覧(2019年6月6日時点 未公表)
災害対応型の蓄電池は、ネットワーク型や周波数制御型の機種に比べて種類が豊富です。
ライフスタイルやご希望に合う機種がどれか分からないときは、蓄電池のプロに相談しながら検討すると良いでしょう。
高額の設備では補助金はなくなる
補助金の条件のひとつに「設備費が目標価格を下回ること」とあります。
これは、「補助金の対象設備であっても、目標価格を下回らなければ補助を受けられない」という意味です。
蓄電池の保証年数ごとに、目標価格が設定されています。蓄電システムの設備費用(工事費、HEMS除く)が上記の目標額を下回らないと、補助金は受けられません。
例えば、保証年数が15年以上で8kWhの蓄電池があれば、2019年度目標価格は1,080,000円です。
この蓄電池の販売価格が1,000,000円であれば、2019年度目標価格をクリアして補助額の対象になります。
目標価格は「2019年度」と「2018年度」の2種類がありますが、どちらの目標価格を達成しても補助金の対象です。
2019年の目標価格が達成できなくても、2018年度の目標価格を下回れば、補助金の半額を受け取れるのです。
蓄電池の補助金にこうした条件がつく理由は、「価格を引き下げる工夫をしてほしいから」といいます。
これらの条件は、相場よりも高額で蓄電池を売ろうとする業者ではクリアできません。
補助金を使うには、適正価格で設備を購入・設置できる優良業者との契約が必須なのです。
5月より受付開始! 先着制の補助金はスピード勝負
補助金の公募は2回に分かれています。
一次公募期間:5月下旬(予定)〜9月30日 12:00必着
二次公募期間:10月1日〜11月29日 12:00必着
先着制なので、公募期間中でも予算が尽きれば補助金はもらえません。
今年の募集は、二次に募集をかける方が多いと思いますが、来年もあると思うので各自治で確認しましょう。
補助金の計算例を紹介
それでは、実際に補助金の申請を行った方の計算例を紹介します。
下記に、2種類の計算例がありますので、ぜひ確認してみてください。
災害対応型
●家庭用蓄電システム販売価格:1,000,000円(蓄電容量8.0kWh 初期実効容量6.8kWh 15年保証) 家庭用蓄電システム工事費:250,000円
●HEMS機器販売価格 120,000円 、工事費 50,000円 の場合
蓄電容量8.0kWh×13.5万円=1,080,000円が目標価格となり、販売価格1,000,000円は目標価格以下のため2019年度目標価格以下の補助額を適用
家庭用蓄電システム設備費補助金額:初期実効容量6.8kWh×補助額20,000円=136,000円
HEMS機器設備費補助金額: 120,000円×1/2=60,000円だが、上限50,000円を適用
工事費補助金額 :(250,000円+50,000円)×1/2=150,000円だが、上限50,000円を適用
136,000円+50,000円+50,000円=236,000円が補助金の額となる
※上限価格は(1,000,000+250,000円+120,000円+50,000円)×1/3=473,333円
ネットワーク型(ハイブリッドPCS)
●家庭用蓄電システム販売価格:1,000,000円 (蓄電容量7.0kWh 初期実効容量6.8kWh 系統側のPCSの定格出力5.8kW 15年保証) 家庭用蓄電システム工事費:250,000円
●HEMS機器販売価格 120,000円 、工事費 50,000円の場合
蓄電容量7.0kWh×13.5万円=945,000円が2019年度目標価格となる。
販売価格1,000,000円は目標価格以上だが、系統側のPCSの定格出力5.8kWh×10,000円=58,000 円を控除(942,000円)すれば、目標価格以下となるので 2019年度目標価格以下の補助額を適用
家庭用蓄電システム設備費補助金額:初期実効容量6.8kWh×補助額30,000円=204,000円
HEMS機器設備費補助金額 : 120,000円×1/2= 60,000円だが、上限50,000円を適用
工事費補助金の額 : (250,000円+50,000円)×1/2=150,000円だが、上限75,000円を適用
204,000円+50,000円+75,000円=329,000円が補助金の額となる
※上限価格は(942,000円+250,000円+120,000円+50,000円)×1/3=454,000円
災害対応型、ネットワーク型では、設備費と工事費の上限額に違いが出ることがわかります。
さらに、ハイブリッドPCS(パワーコンディショナ)を使うと販売価格から控除されるので目標価格をクリアしやすくなります。
太陽光発電と蓄電池を同時設置するなら、補助金に有利な選択肢になるでしょう。
まとめ
今回は、蓄電装置の補助金について紹介しました。
補助金の支給条件を満たす機種選びや手続きには、詳しい業者の選択も重要です。
今回の補助金は先着制で、支給額の条件もよく、スピーディな行動が求められます。
■自分のニーズに合う機種はどれか?
■購入・設置費用はいくら?
■太陽光発電と同時に設置するのにかかる金額は?
これらの情報を自力で調べるよりも、現地を見せて見積もりをとってから検討すると時間の大幅な短縮ができるのでおすすめです。
ぜひ、家庭に設置を検討する際は、補助金の申請をしましょう。