
次世代に向けた新たな技術開発や研究開発が不可欠となり、製品や技術など強みを活かした販路拡大も必要となってきました。
中小企業者が事業を継続し発展させていくためには、これらの技術開発や販路拡大等に重点を置くことが大切となってくるでしょう。
島根県の「しまね産業振興財団」では、県内の中小企業者に向けて助成金や個別企業へのアドバイスなどを行っています。
島根県で中小企業を営んでいる方は、「しまね産業振興財団」が実施している支援を活用して企業の継続や発展にお役立てください。
こちらの記事では、資金調達として役立つ、次世代技術開発助成金、商社等を活用したものづくり産業販路拡大支援事業助成金、次世代生産技術(IoT、AI等)導入助成金、開発ソフトウェア・サービス販路拡大支援事業、試作・技術開発支援助成事業の5つの助成金をご紹介いたします。
次世代技術開発助成金
次世代技術開発助成金は、島根県内の企業が国内の大学や高等専門学校、研究機関などと連携して行う事業化に向けた研究開発などを支援している助成金です。
次世代技術開発を目的とした、国内の大学、高等専門学校、研究機関と連携して行う研究開発に必要となる費用の一部を補助しています。
助成事業者の要件
次世代技術開発助成金の助成対象の事業者となるには、下記の全てを満たす必要があります。
①県内に事業所を有する中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)第 2 条に定義する中小
企業者であり、かつ製造業を営む、又は営むことを予定している者。
②助成事業の成果をもって新たな製品等の事業化を計画し、当該製品等の生産を県内で予定
している者
助成対象事業
次世代技術開発助成金の助成対象となる事業は、下記の通りとなります。
◆次世代技術開発を目的として、国内の大学等研究機関と連携して事業化に向けた研究開発を行う事業
「次世代技術開発」とは、島根県先端技術イノベーションプロジェクト又は中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針と同水準と認められる研究開発を指しています。
助成対象経費
次世代技術開発助成金の助成対象となる経費は、下記の経費となります。
◆産学連携研究費、専門家経費、旅費、人件費、運搬費、原材料費、機械装置費、構築物
費、工具器具費、研究開発等委託費、外注費、技術導入費、市場調査費 等
助成額
次世代技術開発助成金の助成率と助成限度額、事業期間は下記の通りとなります。
◆助成率 2分の1
◆助成限度額 1,000万円/年
◆事業期間 2年以内(1年以内でも可)
産学連携研究費(大学・高等専門学校との共同研究契約に要する経費)については、下記の通りとなります。
◆助成率 県内大学等との連携 10/10
◆県外大学等との連携 2/3
◆当該区分の助成限度額 500万円/年
商社等を活用したものづくり産業販路拡大支援事業助成金
商社等を活用したものづくり産業販路拡大支援事業助成金は、製品、部品、技術など県内製造業者が有する強みを活かした、商社等による販路拡大を図る取組を促進し、事業者の競争力強化を図るために設けられた助成金です。
製造業者が製造する製品等の販路拡大を図るにあたって、必要となる経費の一部を支援しています。
助成対象事業者
商社等を活用したものづくり産業販路拡大支援事業助成金の助成対象となる者は、下記の通りとなります。
◆島根県内に事業所を有する製造業者が製造する機械金属、樹脂、電気及び電子製品部品等の卸販売や営業代行を行う商社等
助成対象事業
商社等を活用したものづくり産業販路拡大支援事業助成金の助成対象となる事業は、製造業者が製造する製品等の販路拡大を図るために行う、下記の事業となります。
①複数の製造業者が製造する製品の販売促進のために行う展示会出展、情報発信等の事業。
②複数の製造業者への受託加工や請負の受注交渉並びに複数工程の一括受注のコーディネートを行う事業。
③その他、複数の製造業者の取引獲得に繋がる紹介、斡旋等の事業
助成対象経費
商社等を活用したものづくり産業販路拡大支援事業助成金の助成対象となる経費は下記の通りとなります。
・展示会、商談会出展料
・展示会出展に係る装飾費
・会場費
・広告、宣伝に係る経費
・旅費
・輸送費(展示品、商品輸送など)
・展示会での展示品製作に係る経費
・その他代表理事副理事長が必要と認める経費
助成額
商社等を活用したものづくり産業販路拡大支援事業助成金の助成率、助成限度額、助成期間は下記の通りとなります。
◆助成率 対象経費の2/3以内
◆助成限度額 300万円
次世代生産技術(IoT、AI等)導入助成金
ものづくり産業においてIoT、ビッグデータ、AIなど次世代製造技術を活用し大幅な生産性向上を目指す動きが世界的に活発化してきています。
次世代生産技術(IoT、AI等)導入助成金は、島根県内ものづくり産業の生産性向上を図るため、県内他の中小企業者のモデルとなる次世代生産技術(IoT、AI等)を導入・実証する事業の取組みに対して支援を行い、導入や実証に必要となる経費の一部を助成しています。
助成対象事業
次世代生産技術(IoT、AI等)導入助成金の助成対象となる事業は、「導入型」と「実証型」の下記の事業となります。
◆導入型
① 生産現場の生産性向上を図るため、IoT・ビッグデータ・AI 等を活用した次世代生産技術を県内に所在する事業所に導入する事業。且つ、その取組が県内他社のモデルとなる事業。
② 助成金交付決定の日から1年以内に事業を完了し、経費の支払いが完了する事業(なお、事業および経費の支払いの完了日は、代表理事副理事長が必要と認めた場合は延長するこ
とができる。)
◆実証型
① IoT・AI 等を活用した次世代生産技術を導入するにあたり、県内に所在する事業所において、生産性向上効果の実証を試みる事業。
② 助成金交付決定の日から1年以内に事業を完了し、経費の支払いが完了する事業(なお、事業および経費の支払いの完了日は、代表理事副理事長が必要と認めた場合は延長することができる。)
助成対象事業者
次世代生産技術(IoT、AI等)導入助成金の助成対象となる、導入型と実証型のそれぞれの助成対象となる方は、下記の通りとなります。
◆導入型
① 島根県内に事業所を有する中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に定義する中小企業者であって、製造業に取り組む企業。
② 成果の公開が可能な企業
◆実証型
① 島根県内に事業所を有する中小企 業基本法(昭和38年法律第154 号)第2条第1項に定義する中小 企業者であって、製造業に取り組 む企業
助成対象経費
次世代生産技術(IoT、AI等)導入助成金の助成対象となる経費下記の通りとなります。
導入型と実証型では助成対象経費が異なりますので、よくご確認ください。
◆導入型
・次世代生産技術の導入に必要な、ソフトウェア・設備・機器等の開発費・購入費・据付費・借用費、技術指導の受入費及び知的財産権の導入費等
◆実証型
・次世代生産技術の生産性向上効果を実証するために必要な、ソフトウェア・設備・機器等の開発費・購入費・据付費・借用費、技術指導の受入費及び知的財産権の導入費等
助成額
次世代生産技術(IoT、AI等)導入助成金の導入型と実証型のそれぞれの助成率と助成限度額は、下記の通りとなります。
◆導入型
・助成率 2分の1(1千円未満切り捨て)
・助成上限:5,000千円
・助成下限:1,000千円
◆実証型
・助成率 2分の1(1千円未満切り捨て)
・助成上限:1,000千円
・助成下限: 100千円
開発ソフトウェア・サービス販路拡大支援事業
開発ソフトウェア・サービス販路拡大支援事業は、島根県内IT企業の皆様が自社で開発したソフトウェア製品等の販路を拡大に対して支援を行っています。
県外市場での新規顧客開拓等を目指す取り組みを促進し、競争力強化を図る事業に対して、必要となる経費の一部を補助しています。
助成対象事業
開発ソフトウェア・サービス販路拡大支援事業の助成対象となる事業は、下記の通りとなります。
◆中期的な販売計画に基づき開発ソフトウェアの販路拡大を目的として実施する県外で開催される展示会等への出展等および当該出展等と連携して行う県外での営業活動並びにインターネット広告を活用した営業活動を助成対象事業。
・島根県内で開催される展示会等は助成対象事業から除外
助成事業対象者
開発ソフトウェア・サービス販路拡大支援事業の助成対象となる者は、下記の通りとなります。
①県内に開発ソフトウェアの技術開発拠点を有する企業であること
②開発ソフトウェアを有すること
なお、助成事業期間中にリリース予定の場合も対象となります。
助成対象経費
開発ソフトウェア・サービス販路拡大支援事業の助成対象となる経費は、下記の通りとなります。
・会場借料(小間料、会場使用料、ウェブ展示会への出展料)
・会場整備費(会場装飾費、電気・電話・インターネット等工事費)
・会場設備等使用料(会場備品使用料、電気・電話・インターネット等使用料)
・旅費(交通費、宿泊費)
・広告宣伝費(インターネット広告経費)
・PR用ツール等制作費(チラシ・カタログ等の作成・印刷経費、プロモーションビデオ等映像制作費、開発ソフトウェアのホームページ制作・改修費)
・その他(アシスタント経費、販売計画構築コンサルティング経費、市場調査費等)
助成額・助成期間
開発ソフトウェア・サービス販路拡大支援事業の助成率と助成限度額、助成期間は、下記の通りとなります。
◆助成率 対象経費の2分の1
◆助成限度額 150万円
◆助成期間 交付決定日から1年以内
試作・技術開発支援助成事業
試作・技術開発支援助成事業は、島根県内産業の新たなマーケット創造や顧客開拓に繋がる支援を行っています。
IT関連技術を用いた独創性や新規性に富む試作・技術開発を行う際に必要となる経費の一部を助成しています。
助成対象者
試作・技術開発支援助成事業の助成対象となる者は、下記の通りとなります。
①島根県内のIT事業者
②県内の「サービス事業者」。但し、当該サービス事業者がサービスを開発するにあたって、システム開発等を県内のIT事業者に委託する場合に限ります。
③島根県内のIT事業者とサービス事業者で組織されるコンソーシアム、これらを出資者とする法人、又はこれらを構成員とする組合等。
助成対象事業
試作・技術開発支援助成事業の助成対象となる事業は、県内産業の新しいマーケットの創造や顧客開拓に繋がると認められ、IT関連技術を用いて独創性や新規性に富む試作・技術開発を行うものについて、下記のいずれかに該当する事業となります。
①VR(仮想現実)、AR(拡張現実)やドローン、ウェアラブルデバイス等の先進的なコンテンツ制作技術やAI、IoT技術等を用いて、顧客候補へ完成品に近い試作を実体験させ顧客ニーズを確かめることで、市場参入の可能性を探る事業
②IT関連機器類の開発に技術的リスクが存在する事業で、当該機器の開発を自らが行えるかどうか試作において技術検証し、市場参入の可能性を探る事業
助成対象経費
試作・技術開発支援助成事業の助成対象となる経費は下記の通りとなります。
◆人件費、外部委託費、他
助成額・助成期間
試作・技術開発支援助成事業の助成率、助成限度額、助成期間は下記の通りとなります。
◆助成率 対象経費の2分の1
◆助成限度額 50万円以下
◆助成期間 交付決定日から3ヶ月
まとめ
しまね産業振興財団が行っている次世代技術開発助成金を始めとして、商社等を活用したものづくり産業販路拡大支援事業助成金、次世代生産技術(IoT、AI等)導入助成金、開発ソフトウェア・サービス販路拡大支援事業、試作・技術開発支援助成事業の5つの助成金について、詳しく解説してきました。
島根県のしまね産業振興財団では、中小企業が行う技術や研究の開発、販売促進において、助成金などの支援策が数多く設けられています。
随時に受け付けてくれる支援もありますが、申請の期限が限られている助成金もありますので、ご確認の上で応募するようにしてください。
資金調達としても活用できるこれらの助成金を積極的に利用して、次世代の技術開発、販路拡大に繋げていきましょう。