
補助金申請と言えば、多くの煩雑な手続きが必要でした。
その複雑な手続きの故、申請を躊躇していた方も少なくないでしょう。
しかし、これまでの面倒な手続きが驚くほど簡単になったシステム「jGrants」が誕生しました。
これにより、補助金申請がインターネットで簡単に行えるようになったのです。
本記事ではログインに必要な「gBizID」の取得から、jGrantsのサイト利用方法まで、詳しく解説していきます。
INDEX
補助金申請システム「jGrants(ジェイグランツ)」とは
jGrantsとは、経済産業省が運用している補助金申請システムのサービス名称です。(ちなみにjはJAPANのj、grantsとは補助金・助成金という意味です。)
これまでの補助金は申請する側もされる側も、多くの書類への記入や確認など、非常に煩雑な手続きが必要でした。これらの作業を簡略化するために、ネットで簡単に手続きのできるjGrantsというシステムが開発され、専用サイトで2019年12月23日から運用が開始されています。
jGrantsを利用するメリット
これまで申請する側もされる側も非常に煩雑だった手続きが、jGrantsを利用することで簡略化し、双方に以下のようなメリットが生まれると考えられています。
■申請する側(事業者)のメリット
・24時間365日いつでもネット環境があれば申請ができる
・申請のために役所に出向いたり、書類を郵送する時間やコストが削減できる
・過去に申請した情報が保存され、再度の入力や押印が不要になる
・記入漏れは入力時にエラーチェックされるので、書類の記入不備による手続きの滞りが解消できる
・行政が民間のサービスと提携することで、行政以外にも提出していた書類の入力も簡素化される
・jGrantsに登録されている複数の補助金を、画面上で一度に閲覧できるので、自分の事業に合う補助金を探しやすい
・手続きの進捗状況をマイページでチェックできる
■申請される側(行政、執行団体)のメリット
・紙の書類を審査することでかかっていた時間や人手の不足を解消できる
・本人確認の手続きが単純になる
・補助金の効果が分かりやすくなる
・申請に必要な共通の項目が標準化でき、申請フォームの作成作業が単純になる
・システム上でエラーチェックが行われるので、申請者の書類不備が減る
【ポイント1】まずgBizIDプライムを取得しましょう
jGrantsのサイトを利用して補助金を申請するには、まず「gBIZIDプライム」というIDとパスワードが必要となります。このIDとパスワードを取得することで、jGrantsに限らず、様々な行政サービスにログインができるそうです。早速専用サイトでIDを取得しましょう。(※ gBizIDプライムのアカウント利用者は、「法人代表者本人」または「個人事業主本人」である必要があります。またID登録には2~3週間ほど時間がかかるので、余裕をもって早めに登録しておきましょう。)
ID取得の手順
①印鑑証明書と登録印を用意しておきます。
②パソコンでgBizIDのサイトにアクセスします。
③gBizIDのサイトのトップページにある「gBizIDプライム作成」をクリックします。
④必要事項を記入し、規約を確認した後、「規約に同意する」にチェックを入れて、「申請書作成」をクリックします。
⑤確認画面で申請内容を確認し、問題がなければ「OK」をクリックします。
⑥申請書をダウンロードし、プリンターで印刷します。
⑦申請書に記入・捺印し、印鑑証明書と一緒に郵送します。
⑧不備がなければ2週間ほどで、登録したアドレスにメールが届きます。
⑨メールに記載されているURLをクリックすると、登録したスマートフォンもしくは携帯電話にワンタイムパスワードが送信されます。
⑩届いたワンタイムパスワードをパソコン上で入力します。
⑪これから利用するパスワードを作成します。これでIDの取得が完了しました。
gBizIDを持っていると、自分のアカウントに従業員用のアカウントを追加することができます。また、gBizIDにはアプリもあるので、より手軽に利用したい方はApp storかGoogle playで検索してください。
2020年1月18日現在では、gBizIDのアカウントで「jGrants」のほかに、「保安ネット」という、産業保安・製品安全分野の一部手続きをインターネットで提供するサービスも利用できます。今後、利用できるサービスはどんどん拡大していくと思われます。
【ポイント2】「jGrants」を使った補助金申請の流れを理解しましょう
gBizIDが無事登録できたら、早速jGrantsのサイトにログインしてみましょう。
1.申請準備
jGrantsのサイトの「補助金一覧」から、自分に合った補助金を探します。
2.公募申請
申請したい補助金が見つかったら、公募要項を確認し「公募申請を[自社の会社名]として申請する」ボタンをクリックします。必要事項を記入、必要資料をアップロードし、「保存」と「申請」をクリックします。下書きとして保存しておけば、後から修正が可能です。「申請済み」のステータスになると、取消・修正はできないので注意してください。
審査結果の確認
事務局による審査が終わると、登録していたメールに通知が送られてきます。通知が届いたらjGrantsのサイト上でマイページにアクセスして、審査結果を確認することができます。
交付申請
採択通知を受け取ったら、交付申請を実施します。マイページの事業一覧から対象の事業を選択して、「交付申請を(自社の会社名)として申請する」ボタンをクリックします。必要事項を記入、必要資料をアップロードし、「保存」と「申請」をクリックします。
交付決定・事業開始
事務局による審査が終わると、事務局からjGrantsに審査結果がメールで送られるので、jGrantsのマイページにアクセスして、事業を開始します。
事業の実施
jGrantsでは以下の手続きができます。(※事業を実施するうえで、補助金の対象となる経費の領収書や証拠書類はすべて保管しておきましょう。)
・状況報告・概算払請求・計画変更・中止,廃止・事故報告・申請取り下げ・年度末実績報告
事業完了
事業が終了したら、jGrantsで実績報告を実施し、jGrantsから「額の確定通知」のメールを受け取ったら「清算払請求」を実施します。
補助金受け取り後
事業を完了して補助金を受け取った後、以下のような手続きが必要となる場合があるので、事務局の指示に従って手続きを行ってください。
・修正実績報告・消費税等確定,還付報告・収益状況報告・各種変更手続き・財産処分
【ポイント3】現在、jGrantsで申請できる補助金の種類を知っておきましょう
現在jGrantsのサイトで選択することができる補助金の一覧は以下の通りです。(2020年1月18日現在)詳細はjGraqntsのサイトでご確認ください。
技術協力活用型・新興国市場開拓事業(研修・専門家派遣事業)補助金
目的:日本の企業の海外展開に必要となる現地拠点強化を支援、開発途上国における民間企業の現地の人災育成。
対象者:以下の要件を満たす企業・団体。
①日本に拠点を有する②この事業を的確に遂行する組織・人員を有する③この事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤を有し、資金等について十分な管理能力を有する④経済産業省からの補助金交付など停止措置又は指名停止措置が講じられていない。
低炭素技術を輸出するための人材育成支援事業補助金
目的:日本の海外生産拠点を担う現地人材を育成することにより、日本の省エネ技術の海外展開を促進し、アジアの産業分野におけるエネルギー利用の効率化を図り、温室効果ガスの排出削減に貢献すること。具体的には、この事業を行う上での必要な現地人材の育成支援。また、海外拠点の中核人材を日本に受け入れて行う実務研修の支援。また、日本法人の指導者を海外に派遣して行う技術指導に対する支援。
対象者:以下の要件を満たす企業・団体。
①日本に拠点を有する②この事業を的確に遂行する組織・人員を有する③この事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤を有し、資金等について十分な管理能力を有する④経済産業省からの補助金交付など停止措置又は指名停止措置が講じられていない。
社会課題解決型国際共同開発事業(ビジネスサポーター支援事業)
目的:アフリカ等の発展途上国におけるビジネスサポーター(現地の具体的なニーズを把握して日本企業に情報提供し、現地でのビジネスサポートをする主体)へ助成を行うことで、開発途上国の社会課題の解決や、中小企業の海外展開を促進すること。
対象者:発展途上国での事業展開を目指す中小企業のビジネスサポーター。海外展開する企業の裾野拡大を目指す事業が補助対象となる。
伝統的工芸品産業支援補助金
目的:「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」の規定に基づき、経済産業大臣が指定した工芸品の組合、団体及び事業者等が実施する事業の一部に関して、国の補助により、伝統的工芸品産業の信仰を図ること。
対象者:以下に該当する事業。(詳細はjGrantsのサイトでご確認ください。)
後継者育成事業、技術・技法の記録収集・保存事業、原材料確保対策事業、需要開拓事業、意匠開発事業、需要開拓等共同展開事業、新商品共同開発事業、活性化事業、連携活性事業、人材育成・交流支援事業、産地プロデューサー事業
まとめ
現在jGrantsのサイトに掲載されているものの他にも、今後様々な補助金が掲載されていくと思われます。また、gBizIDを取得しておくことで利用できる行政サービスも増えていくので、経営者の方はまず取得に2~3週間かかるgBizIDを取得しておき、jGrantsで自社に合った補助金が掲載されているかどうか、こまめにチェックしておきましょう。
これまで手続きが大変そう、という理由で補助金を利用していなかった経営者の方も、このシステムを利用して、是非積極的に補助金の利用を考えてみてください。