伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(VC)の特徴や投資実績など5項目を解説

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伊藤忠テクノロジー ベンチャーズ vc

ベンチャーキャピタルと言っても企業によって特徴があり、銀行などの金融機関が関わっているベンチャーキャピタルもあれば、政府系のベンチャーキャピタル、地域特化型ベンチャーキャピタル、独立系ベンチャーキャピタルなど様々です。

現在日本では事業会社が自社との事業シナジー効果を期待してベンチャー企業とのオープンイノベーションを推進するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を大手企業が次々と立ち上げています。

今回ご紹介する伊藤忠テクノロジーベンチャーズは伊藤忠商事の情報産業部門が主体となって設立されたベンチャーキャピタルで、CVCとしても、独立系ベンチャーキャピタルとしても強みを持ったベンチャーキャピタルです。

この記事では伊藤忠テクノロジーベンチャーズの会社概要や特徴、投資先、投資実績などについて詳しく解説していきます。

伊藤忠テクノロジーベンチャーズについて

伊藤忠テクノロジー ベンチャーズ vc

伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社は伊藤忠商事グループのベンチャーキャピタルで、2000年に伊藤忠商事の情報産業部門が主体となって設立されました。伊藤忠商事はみずほグループの大手総合商社で、日本屈指の巨大総合商社であり、アジア有数のコングロマリット(異業種複合企業体)でもあります。

商社というと、海外から商品を仕入れて日本で販売を行うことを中心にした会社で、中でも総合商社は「ラーメンから航空機まで」とも言われるように取り扱っている商品やサービスが非常に幅広いということが特徴ですが、これは日本独自の業態だと言われています。

しかし更に、伊藤忠商事のような大手商社の場合、総合商社としての業務以外にも積極的な事業投資を行っており、商品の仕入れの他、海外ブランドの買収、海外の発電所建設や炭鉱開発に関わっていたりなどの業務も行っています。最近ではより積極的に事業投資を行うようになっており、今後もこの傾向は高まっていくこととなるでしょう。

伊藤忠テクノロジーベンチャーズは2000年に設立されましたがこの頃はまだベンチャーキャピタルの数は少なく、現在活動しているベンチャーキャピタルの中では老舗に入ります。資本金の出資割合からも分かる通り、伊藤忠テクノロジーベンチャーズは伊藤忠グループの100%子会社となっています。

会社名 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社
ITOCHU Technology Ventures, Inc.
代表者 中野慎三
資本金 100百万円
(伊藤忠商事㈱70%、伊藤忠テクノソリューションズ㈱30%)
設立 2000年7月25日
事業内容 IT及びハイテク分野のベンチャー企業に対する営業支援、経営支援を中心とした
ハンズオン型ベンチャーキャピタル事業
Webサイト https://www.techv.co.jp/

伊藤忠テクノロジーベンチャーズの特徴

伊藤忠テクノロジー ベンチャーズ vc

伊藤忠テクノロジーベンチャーズは自らを「ハイブリッドベンチャーキャピタル」と称しており、独立系ベンチャーキャピタルとしての強みと伊藤忠グループのベンチャーキャピタルとしての強みを活かして高いパフォーマンスを発揮しています。

独立系ベンチャーキャピタルとしては、純粋に投資先の成長やファイナンシャルリターンを追求することを明確な目的としており、投資先企業を選ぶ基準としては「事業の成長性」を重視した判断を行っています。独立した意思決定で様々な業種のベンチャー企業やスタートアップ企業への柔軟な出資が可能というところも伊藤忠テクノロジーベンチャーズの強みと言えるでしょう。

伊藤忠テクノロジーベンチャーズは2000年の設立から現在に至るまで、業界トップクラスの実績を誇っているベンチャーキャピタルでもあり、常に積極的な姿勢で投資を行ってきたからこそ優良案件にアクセスにすることが可能です。日本国内でも有数の経験と実績のあるベンチャーキャピタルと言えるのではないでしょうか。

伊藤忠グループのベンチャーキャピタルとしては、巨大な総合商社である伊藤忠グループの資産や商流、情報、金融、機械、繊維など全ての産業に渡る業界知見、信用力、ブランドなどを最大限活用し、投資先企業の事業開発面や営業面を含めたサポートを行っています。このような今までの資産や経験を活かした独自のサポートが出来るのも伊藤忠グループ傘下のベンチャーキャピタルである特徴です。長年、世界中に対するビジネスネットワークを敷いてきた巨大商社である伊藤忠グループというのは非常に大きな強みと言えるでしょう。

また、伊藤忠グループは世界各国にも有力なネットワークを持っています。海外のベンチャーキャピタルとの関係性を通じてシリコンバレーやイスラエルなど、海外ベンチャー企業・スタートアップ企業への投資も行っているため、海外展開を考えている日本のベンチャー企業は伊藤忠テクノロジーベンチャーズからの資金調達を検討したいところです。

伊藤忠テクノロジーベンチャーズの投資実績

伊藤忠テクノロジーベンチャーズは現在までに4つのファンドを設立、運営してきています。1号ファンドから総額83.5億円という規模の大きなファンドで、2000年組成で2009年に解散。2号ファンドは73億円で2006年組成、2015年解散。

2011年に組成された54億円の3号ファンドは現在も運用中で、2020年に解散。2015年組成の81億円の4号ファンドは2024年に解散予定となっています。

3号ファンドの投資対象分野はIT分野に加え、更にITと高い関連性のあるヘルスケアやクリーンテックの他にもスマートシティー、震災復興、防災、省エネルギー、電力供給などの領域にも注目。伊藤忠商事の他、みずほコーポレート銀行、その他の金融機関、学校法人、独立行政法人中小企業基盤整備機構なども出資をしています。

一番新しい4号ファンドはIT、インターネット関連技術の他、FinTech、電力の自由化を視野に入れたインフラ・エネルギー関連、クラウドソーシング、農業関連、健康・ソーシャルサービス、スマートフォン関連事業、医療関連、教育関連などの事業に対し出資を行うと表明しています。伊藤忠商事の他、三菱UFJキャピタルなど金融機関、学校法人、中小企業基盤整備機構、更にアドウェイズ、エキサイトなどの事業会社も出資を行っています。

一般的に、ベンチャーキャピタルはファンド解散のタイミングで利益の確定を行います。タイミングによっては強引なイグジットとなる可能性があるため、出資を検討している場合、ファンド解散期限についても注意するようにしましょう。

ファンド名 運用総額 運用期間
テクノロジーベンチャーズ1号投資事業有限責任組合(TV1) 83.5億円 2000年~2009年
テクノロジーベンチャーズ2号投資事業有限責任組合(TV2) 73億円 2006年~2015年
テクノロジーベンチャーズ3号投資事業有限責任組合(TV3) 54億円 2011年~2020年
テクノロジーベンチャーズ4号投資事業有限責任組合(TV4) 81億円 2015年~2024年

イグジットの実績としてはカブドットコム証券(ネット証券会社)が2005年にIPOを果たしています。カブドットコム証券は日本オンライン証券株式会社(伊藤忠が設立)とイー・ウイング証券株式会社(三和銀行が設立)が合併した会社で、2005年に上場しました。同年に株式会社インタートレード(金融ソリューション事業)も上場しています。

有名な投資先としてはメルカリ(フリマアプリ)やRetty(グルメアプリ)、ラクスル(ネット印刷)という企業にも投資を行っています。

伊藤忠テクノロジーベンチャーズの投資先企業

伊藤忠テクノロジーベンチャーズは主にアーリーステージのベンチャー企業・スタートアップ企業への投資を行っています。ただ資金を提供して終わりではなく、投資後は投資先企業の経営にまで深く関わり、常に経営に近い位置から事業展開や企業の成長を見守り、適切なタイミングで必要なサポートを行ってくれるため、事業を走らせて間もないベンチャー企業の経営陣からすれば非常に頼もしい存在となることでしょう。また、この他にもミドルステージやレイターステージを含めたバランス投資というスタイルです。

伊藤忠グループという巨大な企業の傘下の伊藤忠テクノロジーベンチャーズというベンチャーキャピタルは経験も実績も非常に豊富です。そんな伊藤忠グループのアセットをフルに活用し、ハンズオン支援もによって投資先企業の急激な成長を促し、リターンを最大化させるのです。

対象となる投資分野はIT関連全般や、ITによって付加価値を見込むことが出来る新しい成長領域(ライフサイエンスやクリーンテックなど)となっており、平均的な投資額はシードステージやアーリーステージの場合は1000万円から3億円、ミドルステージやレイターステージの場合は5000万円から5億円となっています。

伊藤忠テクノロジーベンチャーズから投資を受けるために

アーリーステージを中心とした出資を行っている伊藤忠テクノロジーベンチャーズですが、対象としては全ての成長ステージの企業を対象としているため、「投資する価値がある」と強く感じてもらうことが出来れば投資対象となることも出来るでしょう。

積極的な投資姿勢や、投資先企業からコンスタントにIPO実績を残していること、そして伊藤忠商事の傘下である伊藤忠テクノロジーベンチャーズから出資を受けることが出来れば企業にとって非常に大きな強みとなるはずです。

ピッチイベントなどに参加して実績を作ったり、知り合う機会を持ったり、直接伊藤忠テクノロジーベンチャーズのホームページから申し込むという方法もあります。ただし、ホームページから申し込む方法の場合、誰でも応募することが出来るためしっかりと的確に自社の強みをアピールする必要があります。

アーリーステージからの投資を中心としているということで、伊藤忠テクノロジーベンチャーズは大きなリターンを期待してベンチャー企業に投資しているということがわかります。そのため、事業構想については大きく語り、かつ、実現までの具体的な計画をしっかりと示す必要があります。投資を行えば将来的に大きなリターンがある、事業や市場に成長性があるということを示しましょう。

また、伊藤忠テクノロジーベンチャーズはホームページにも「事業計画書がいかに素晴らしくても、計画を実行できなければ意味がない。企業の価値を決めるのは起業家の人間の器にほかならない。事業計画書ではなく、起業家その人に投資する」と記載している通り、起業家や経営者の資質を非常に重視しています。

伊藤忠テクノロジーベンチャーズのキャピタリストとの面会や面談の機会に備え、事業計画や今後の構想についてはいつでもわかりやすく、具体的に伝えることが出来るようにしておきましょう。

まとめ

伊藤忠テクノロジーベンチャーズは巨大な総合商社である伊藤忠商事グループの完全子会社であるベンチャーキャピタルで、独立系ベンチャーキャピタルとコーポレートベンチャーキャピタルという2つの面の強みを持ったハイブリッドベンチャーキャピタルです。

全世界とのネットワークを有する総合商社の傘下のベンチャーキャピタルだからこそ出来るアセットや経験、実績を活用したハンズオン支援は日本国内だけでなく、世界へ展開していくことを考えているベンチャー企業にとっては是非出資を受けたいベンチャーキャピタルだと言えるでしょう。

シードステージとアーリーステージは1000万円から3億円、ミドルステージとレイターステージは5000万円から5億円ほどが平均的な投資額となっており、主にアーリーステージのベンチャー企業を対象出資を行っています。自社の成長ステージと合うかということの他にも、経営方針、考え方が合うかどうかも大切です。ベンチャーキャピタルから出資を受ける際には慎重に検討する必要があるでしょう。

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