ITの技術を生かして、自分自身で起業を検討している方は多いのではないでしょうか?しかし、起業するにあたってネックとなってくるのは、起業する際の資金調達です。
民間の金融機関からの融資を受けるのは難しいですが、日本政策金融公庫の融資制度では、創業する方やIT関係に向けての融資を積極的に行っています。
そこでこちらでは、IT企業を立ち上げる際のポイントや日本政策金融公庫の5つの融資制度について解説していきます。
IT企業の設立を検討をしている方にとって役立つ情報となっていますので、ぜひご覧ください。
起業しやすいIT業界
どの分野で起業するかを考えたとき「リスクを最小限におさえらる」「仕事が取りやすく」「飲食店やフランチャイズよりも初期費用がかからない」ということが当てはまるIT分野での起業しやすい事業です。
ただし、ITビジネスは、年を追うごとにいろいろなビジネスモデルが数多くなってきました。
「どのようなITビジネスにするのか?」と迷っている方は多いのではないでしょうか?IT業界には、どのようなビジネスモデルがあるのかみてみましょう。
Webメディア
キュレーションサイトなどのWebメディアは、立ち上げる時間も短くてすみ、費用が安くリスクがおさえられるビジネスモデルです。
ファッションやスポーツなど、自身の好きなものを選んで始められます。
プログラミングでシステム開発
システム開発の需要は年々上がっています。
もしもプログラミング経験があるのならば、システム開発、受託開発などの事業を行ってみるとよいでしょう。
高単価の案件が見つけやすい事業です。
ショッピングサイト
IT企業が行っているショッピングサイトならば、在庫を持たなくてもよいので、商材の販売の際のリスクが少なくてすみます。
ただし、競合がとても多いので差別化を意識したジャンルを探し出してみましょう。
人脈があるならマッチングビジネスも
ご自身と多くの専門家が知り合いだとしたら、Webを介してのマッチングビジネスができます。
弁護士やコンサルタント、税理士などの専門家を、依頼したい人に紹介すれば手数料を得ることができます。
マッチングビジネスは必要な資金が少なく、在庫も必要としません。
資金調達に役立つこと
リスクが少なく起業しやすいIT業界ですが、やはり起業時にはまとまった資金が必要となります。
そこで、資金調達が必要となりますが、融資を受けるためには、どのようなことをすればいいのでしょうか?
借りられる金額も?経験の有無が重要となってくる
若くしてIT企業で独立したいと考える方もいると思いますが、勤務経験が「融資を受けられるか?受けられないか?」に関わってくる場合があります。
勤務経験が6年以上あれば融資を受けられる可能性は高くなりますが、1年程度の勤務経験では可能性が低くなります。
自己資金はほ多いほどベスト
融資を受けるためには、ある程度の自己資金は蓄えは必要です。
およそ自己資金の9倍まで借りられると言われています。
自己資金の多さは、高額融資を受けられるポイントとなります。
1年以上は自己資金を集める期間に
融資を受けるに当たって、通帳の半年分は必ずチェックされると言われています。
その時に起業するための自己資金を1年以上貯めていることがわかれば、高額融資が受けやすくなります。
見込み売上リストの大切さ
融資を受ける際に、起業してからの売上の上昇を想像させることで、融資は受けやすくなります。
そのためには、イメージしやすい書類を作っておくことが重要です。
その書類には、「見込み客リスト」「営業リスト」「取引先一覧表」などを作っておき売上のイメージを連想させるようにします。
例えば、経験して築き上げた人脈を駆使して売上を建てると言った場合には、具体的な人脈リストを資料として添付します。
このような資料を提出すると融資が受けやすくなります。
高額融資のポイントは日本政策金融公庫の5つの融資制度
民間の金融機関では起業するときの融資を受けることは難しいのですが、日本政策金融公庫の融資制度は、積極的に小規模事業者への融資を行っています。
また低金利で保証人の有無も相談できる融資制度は、起業する方にとって力強い味方です。
次に、IT分野で起業するときに利用できる5つの融資制度を解説していきます。
その1:新創業融資制度
起業する方や、事業を始めて間もない方を対象に、無担保、無保人で利用できる制度です。
「創業の要件」となっているのは、「雇用の創出を伴う事業を始める方」「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」などの条件にあてはまる方が利用できます。(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方)
「自己資金要件」では、新たに事業を始める方、事業開始後税務申告を1期終えてない方は、創業時に創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認されますので、ご注意ください。
・資金の使いみち 起業するとき及び事業開始後に必要な設備資金や運転資金
・融資限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円)
・返済期間 各種融資制度で定めるご返済期間以内
・利率(年) 日本政策金融公庫のHP参照
・担保・保証人 原則不要
※原則、無保無保証人の融資制度ですが、法人で希望される場合は、代表者が帯保証人となることで利率が0.1%低減されます。
その2:IT活用促進資金
IT活用促進資金(企業活力強化貸付)は、情報化の推進を行っている事業に対して融資を行ってくれる制度です。
例えば、顧客やデータ管理やニーズを把握できるPOSシステムの導入を行い、売上につなげていく方法。情報通信業などであれば、システムを独自に開発し、電子通信工事会社と連携することで、工事技術者を素早く派遣できるようになります。
また、関連設備や建物だけでなく、「ソフトウェアの取得や運用などにかかる資金」「IT技術を活用するための人材教育に必要な資金」など、人材に対しても融資の対象となる特徴のIT活用促進資金です。
起業に特化しているわけではありませんが、IT分野を起業するのであれば検討したい融資制度となっています。
・資金の使いみち コンピュータ関係の設備投資、関連設備、被制御設備など(詳しくは日本政策金融公庫のHP参照)
・融資限度額 7,000万円(うち運転資金4,800万円)
・返済期間 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
・利率(年) 日本政策金融公庫のHP参照
・担保・保証人 相談可
その3:新規開業資金
新規開業資金は、新たに事業を始める方や事業開始して約7年以内の方が利用できる融資制度です。
・資金の使いみち 起業するとき及び事業開始後に必要な設備資金や運転資金
・融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
・返済期間 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
・利率(年) 日本政策金融公庫のHP参照
・担保・保証人 相談可
その4:女性、若者/シニア起業家支援資金
女性や若者、シニアが起業する際に利用できる融資です。
女性もしくは、35歳未満か55歳以上の方で新たに事業を始める方、事業を開始して7年以内であれば利用することができます。
女性や若者、シニアの方でならば、積極的に利用したい融資制度です。
・資金の使いみち 起業するとき及び事業開始後に必要な設備資金や運転資金
・融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
・返済期間 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
・利率(年) 日本政策金融公庫のHP参照
・担保・保証人 相談可
その5:挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)
利用できる方は、起業や新事業展開、海外展開、事業再生に取り組む中小企業や小規模事業者です。
さらに地域経済の活性化のために、「一定の雇用が見込まれる事業」「地域社会にとって不可欠な事業」「技術力の高い事業に取り組む方」などが対象になっています。
・融資限度額 4,000万円(条件によって別枠4,000万円)
・返済期間 5年1ヶ月以上15年以内
・返済方法 期限一括返済(利息は毎月払い)
・利率(年) 日本政策金融公庫のHP参照
・担保・保証人 無担保・無保証人
※詳細はこちらを参考にしてください。
創業後ならば、すぐに融資を
日本政策金融公庫の融資制度は、IT分野で起業する方にとって融資が利用できるおすすめの資金調達先だと言うことになります。
起業したてで資金調達先に悩んでいるのなら、まず最初に日本政策金融公庫での検討を考えてみてはいかがでしょうか?
特に、個人事業主であれば会社設立後が、一番融資を受けやすい時期です。
ほとんどの事業は半年ほどは黒字に転換しにくく、それまでは赤字となってしまうケースが多いとされています。
このような起業したての赤字が出る前に、融資を検討していくことが大切なのです。
まとめ
IT分野を起業するときの資金調達に役立つことや、活用できる日本政策金融公庫の融資制度についてまとめてみました。
起業したての融資は民間の金融機関で難しくなっています。
しかし、日本政策金融公庫の融資制度では、起業する方を積極的に応援してくれる融資制度が数多くあります。
また、IT分野に特化したものや、資本性ローンのように技術力に注目してくれる融資制度も提供してくれています。
ご自身の技術に自信があるのなら、このような制度にも挑戦してみる価値はあるのではないでしょうか?
IT分野の起業を検討している方、もしくは起業して間もない方にとって、日本政策金融公庫の融資制度は、有効に活用できる資金調達先となってくれるはずです。