融資の一本化をすることで、返済負担を軽くしたいと思う会社は多くあるのではないでしょうか?
しかし、融資の一本化をするのにもメリット・デメリットが付きものです。
そこで、融資の一本を考えている際に注意していただきたい、以下のポイントを3つ紹介します。
・一本化にかかる手数料
・銀行から次の融資を断られる可能性がある
・本当にメリットを得られるのかの判断
まずは融資の一本化のメリットとデメリットについて解説していきます。
融資の一本化のメリット
2つ以上の金融機関から融資を受けている会社などでは、それぞれの借入の条件がバラバラで管理が煩雑になってしまっている、などの理由から一本化を考えている方も多いのではないでしょうか。
融資の一本化することによってメリット・デメリットが発生してきてしまいますが、まずは大きく3つのメリットをお話していきます。
金利が低くなる
借入は金融機関や融資額によって、金利が異なりますが、一本化することにより1つの金融機関からの融資額が大きくなるため、基本的には今までよりも金利が低くなります。
このことから、毎月の返済額が抑えられるということもメリットの一つになります。
返済負担の軽減につながる
複数の融資を受けている場合、借入先によって返済日や返済額も異なるケースがほとんどだと思います。
そうなると、毎月の返済の管理が煩雑化してしまい、手間ばかりかかってしまいます。
仕事の繁忙期などには、ついつい返済を忘れてしまうといったリスクにつながりかねません。
融資の一本化をしてしまえば、毎月の返済は1社から1回のみになり、銀行への振り込みや管理などの業務の負荷がかなり軽減されます。
毎月の返済額が減る
複数の融資を受けている場合、それぞれの借入先に最低金額とそれぞれの利息を返済しなければならず、返済額が大きくなってしまいます。
一本化をすれば、返済先は1つになり低くなった金利での返済となるため、経済的な負担も楽になります。
融資の一本化のデメリット
続いて、融資一本化のデメリットについてお話していきましょう。
様々なメリットがある反面デメリットも存在するので、一本化をした後に後悔しないためにも、デメリットを理解してください。
返済が長期化する
融資を一本化することで、毎月の返済額は減りますが、完済までの期間は伸びてしまいます。
毎月の返済は楽になるからとは言え、いつまでも返済が終わらないと考えてしまうと精神的にも負荷がかかるため、一本化を考えている方はそのことも考えておきましょう。
返済の総額が増える可能性がある
融資の一本化のメリットでも紹介した通り、借り換えができれば、金利が下がることがほとんどです。
しかし、返済期間が伸びるため、当然それだけ利息を払わなければいけない回数も増えてしまいます。
結果的に、もともと払わなければいけなかった利息の総額を融資の一本化をしたことによって上回ってしまうケースもあるのです。
特に、多重債務の状態の方は、それだけ貸し倒れのリスクが高いと判断されてしまうため、結果的に金利があまり下がらないということも多くあります。
状況が悪化してしまう可能性がある
経営している会社の状況や申し込みをする金融機関によっては、契約時に保証人が必要になってしまうなど、他人を巻き込んでしまう可能性や、公正証書の作成をさせられることもあります。
不動産担保ローンへの借り換えの場合はもちろん不動産が担保になるわけですから、返済を怠れば不動産が処分されてしまうなど、状況が悪化してしまう可能性も多くあります。
また、「保証人不要」をアピールするような金融機関であっても、場合によっては保証人が必要になってしまうこともあるので注意が必要です。
融資の一本化で得をする会社とは?
融資の一本化にはメリットデメリットがありますが、そもそも会社によっては適している会社と適していない会社があります。
それぞれの理由を解説するので、自分の会社が適しているのかどうか判断してください。
融資の一本化に適した会社
銀行から新たな融資を受けられるような状態の会社であれば、融資の一本化はそれぞれの返済期限や金利など、毎月の返済負担を楽にするために有効な手段です。
このような会社は借り換えによる一本化により金利も低くなる可能性も高く、利息を含めた総返済額を減額できます。
さらに、必要に応じて融資の上乗せ分も含めた借り換えや、今後も銀行から新たな融資を受けられることを期待できます。
そのような会社であればリスクが少なく、融資の一本化に適していると言えます。
融資の一本化に適さない会社
一方、銀行から新たな融資が受けられないような会社の場合は融資の一本化には適していないといえます。
今利用している融資の返済負担が大きいのであれば、融資の一本化をしても、返済期間が長引く上に、返済の額が大きい分だけ利息もかかってしまう可能性が高いため、抜本的な資金繰りの改善にはなりません。
融資の一本化を行っても、この状態のままでは、いずれ資金繰りに詰まってしまうため、すぐに融資の一本化をしてしまわずに、まずは状況の改善に取り組むべきです。
融資の一本化で注意すべきこと
融資の一本化には、一度自己資金で今ある融資の返済をしてしまい、再度一つの金融機関から借入を行う方法と、金融機関を通じて借り換えることで一本化する方法があります。
自己資金で一度返済をしてしまう方法であれば、金融機関が行う格付けの低下を防ぐことができる上に、完済の実績を作れるので、新たに融資を申請する際にも有利に働きます。
しかし、借り換えによる一本化の場合は、財務業況が悪い場合には、そもそも審査に通らない恐れもあります。
融資の一本化には手数料がかかる
借り換えの場合、現在融資を受けている金融機関に支払う手数料と、新たに一本化を行う金融機関それぞれに支払う手数料があります。
それぞれの手数料の合計金額は約10万円にもなるため、手数料のコストを含めて融資の一本化の検討を行いましょう。
銀行から次の融資を断られる可能性がある
銀行からの資金調達は事業計画書などの形式的なものだけではなく、付き合いが大切な部分もあります。
借り換えによる一本化ということは、今まで融資をしてきた銀行からしてみれば、一度受けた事業ローンを途中でやめられてしまったということになるため、以降の融資を断られてしまう場合もあります。
本当にメリットは得られるかの判断が必要
融資の一本化することは自身の会社にとって本当にいいことなのか、より多くの金融機関からの融資を受けている企業であれば、一本化して負荷軽減を考えることは当たり前ですが、それだけ高い返済を抱えているということになるため、利息は思っていたよりも下がらない可能性が高くなる上、返済期間が長期化してしまえば、結果的に利息を払う回数が増える分、以前にも増して債務を抱えてしまうことにもつながります。
また、今まで付き合いのあった金融機関とのつながりを失ってしまうということは、以降新たに資金が必要になった際にも不利な状況からのスタートとなります。
融資の一本化をすることは、借入金を減らすことではありません。
融資の一本化を行ってしまったために、将来的に資金繰りが難しくなってしまわないように、メリット・デメリットを考慮した慎重な判断をしてください。
融資の一本化を図るための事前にできる対策
メリットを最大限に得るために、会社に合った金融機関の候補をいくつか立てることも、もちろん大切ではありますが、事前に取れる対策や手段もあります。
そこで、こちらでは融資の一本化を図るための事前にできる対策方法についてお話します。
過払金の確認
もし長期間にわたり、グレーゾーン金利で取引をしていた場合、支払い過ぎていた金利を過払金として返還請求することも可能です。
しかし、融資の一本化をしてしまった後だと、すでに元の借入先の金利での完済してしまった後になってしまうため、過払金を全額回収することは難しくなります。
ファクタリングを活用する
ファクタリングは、入金待ちの請求書をファクタリング会社に譲渡することにより、本来の支払い期日よりも早く現金を得る方法です。
ファクタリングを活用することによって得た手元の資金を活用して、借入金を返済することによって、そもそもの返済額を軽減させることによって、一本化した際にも少しでも金利を抑えられる可能性が高くなります。
リスケジュールを行う
多額の融資を受けていて返済負担が大きい場合、すでにある融資の減額や返済の延期など貸付条件を変更する、リスケジュールをすることも視野にいれてください。
もともとの返済負担が多い場合は、融資の一本化をしても結果的に資金不足になってしまうこともあります。
そうなれば、金融機関からの信用も下がり、以降の資金調達にも影響してしまうことは目に見えています。
リスケジュールをすることは、もちろん金融機関からしても、あまりいい印象のものではありませんが、資金計画がしっかりとできておらず、資金不足にもなりかねないような状態の場合は、融資の一本化を図るより先に、思い切ってリスケジュールをし、根本的な部分の立て直しから始めるべきです。
まとめ
以上、当記事では融資の一本化を考える際のメリット・デメリット・注意点を解説しました。
融資の一本化をすることは、毎月の返済利子を減らすことや、管理の手間を省くために有効な手段でもあります。
しかしその反面、会社によってはでデメリットもあり、結果的に返済負担が大きくなってしまうようでは、意味がありません。
融資の一本化を申し込む前に、どのくらい利息を抑えられるか、返済条件は会社にとって有利になるのか、本記事を参考にしっかりとシミュレーションを行った上で、検討していきましょう。