
売掛金(債権)を買い取ってもらい早期に現金化することが出来るファクタリングサービス。このようなサービスを利用する時にまず気になるのがそのコストではないでしょうか。例えば、銀行から融資を受ける際には契約に応じた金利がかかります。では、ファクタリングを利用するときには金利はいくらかかるのでしょう?
結論から言いますと、ファクタリングでは「金利」は発生しません。その代わりに「手数料」が発生します。
売掛金の買取サービスであるファクタリングは欧米圏では19世紀末から20世紀初頭から資金調達の方法の一つとして広く認知されている方法ですが、日本では比較的最近よく利用されるようになってきたサービスです。そのため、ファクタリングサービスの仕組みや手数料について誤った解釈をしてしまっていたり、そもそもファクタリングについてよく知らないというケースも少なくないのです。
しかしながら、貸金業の登録の必要のないファクタリングでは「ファクタリングを装った悪徳業者」も存在しています。信用出来るファクタリング会社で安心してファクタリングが行えるように、まずはファクタリングについての正しい知識を身に着けましょう。
この記事ではファクタリングに金利がつかない理由やファクタリングにかかる手数料相場、ファクタリングを利用する上での注意点についてご説明致します。
ファクタリングは「金利」ではなく「手数料」がかかる
前述の通り、ファクタリングでは金利は発生しません。その代わりファクタリングを行う際には手数料がかかります。
これからその仕組みについて詳しく解説していきます。
金利とは?
まず、金利の定義について簡単におさらいしておきましょう。金利とは、資金の使用料・賃借料のことです。賃借したお金などに対し、一定利率で支払われる対価のことを「金利」と言います。
銀行からお金を借りた時には金利が発生しますよね。お金を借りた人が支払う金利が銀行の利益となるわけです。しかしながら、金利はいくらでも好きなように設定して良いわけではありません。
利息制限法によって、設定出来る金利の上限は年20.0%までと定められているのです。銀行や貸金業者はこの上限金利20.0%までの範囲内で金利を自由に設定することが出来ますが、この上限金利を越えたものは無効となります。また、金利は融資額でも異なります。
【融資額別の金利】
- 10万円未満…20.0%
- 100万円未満…18.0%
- 100万円以上…15.0%
つまり、上限金利を越えた金利でお金を貸し付ける行為をしている業者は貸金業としての登録を行っていない無登録の悪徳業者=ヤミ金です。以前はグレーゾーン金利(利息制限法と出資法の上限金利の間の金利)というものも存在していましたが、2006年12月13日に法改正が行われグレーゾーン金利は撤廃されています。
ファクタリングは貸金業ではないため金利は発生しない
金利は利息制限法によって上限20.0%とまでと定められているとご説明しましたが、ファクタリングは貸金業ではないため金利は発生しません。
「利用者から金利を取ってお金を貸し付けること」を融資と言いますが、ファクタリングは「売買契約に基づく債権(売掛金)の譲渡」であって、金銭の貸し借りではないため貸金業法には該当しないのです。
ファクタリングの手数料の違いと相場
ファクタリングには様々な種類がありますが、ここでは最も一般的な買取ファクタリングの手数料と相場についてご説明していきます。
買取ファクタリングには下記の2種類があります。
- 2社間ファクタリング
- 3社間ファクタリング
このどちらも売掛金を買い取ってもらい、早期に現金化するという意味では同じですが、かかる手数料や契約の仕組みなどが異なります。大手メガバンクが行っているのは3社間ファクタリングのみですが、民間のファクタリングサービス会社の多くが2社間ファクタリング・3社間ファクタリングのどちらも行っています。
まず、利用の際に注意したいことが2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは手数料が大きく異なっているということです。2社間ファクタリングの方が手数料は高くなっています。
2社間ファクタリングの手数料相場「10%~20%」
2社間ファクタリングとは、「利用者(ファクタリングサービスを利用する企業」と「ファクタリングサービス会社」の2社間で行う契約のことです。
利用者が保有している売掛金をファクタリングサービス会社に買い取ってもらい、買取代金を受け取ります。その後、利用者が売掛先(取引先)から代金を回収し、ファクタリング会社に支払うという流れです。
2社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリングを利用することを知られずに手続きをすることが可能というメリットがありますが、手数料は10%~20%前後と高くなります。
3社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社は売掛金を売掛先から直接入金してもらうことが出来るため、売掛金が回収出来ないという可能性は低くなります。しかし、利用者が売掛金を回収しファクタリング会社に支払う必要がある2社間ファクタリングでは利用者が倒産してしまったり代金を支払わないというリスクがあるため、手数料が高めに設定されているのです。
3社間ファクタリングの手数料相場「1%~5%」
3社間ファクタリングは「利用者」「ファクタリングサービス会社」「売掛先(取引先)」の3社間で行う契約のことです。3社間で契約するため当然売掛先にもファクタリングサービスを利用していることが知られますが、売掛金の入金は売掛先からファクタリングサービス会社に直接行われるため、ファクタリングサービス会社が背負うリスクは低くなりその分手数料が安く済むというメリットもあります。
3社間ファクタリングの手数料は1%~5%前後となっています。
とにかく手数料を安く済ませたいという場合、3社間ファクタリングを選択することになると思いますが、ファクタリングを利用することを売掛先に知られることで「ファクタリングを利用するということは経営が苦しいのかな?」というイメージを与える可能性も考えられます。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのメリット・デメリットについてしっかりと考えた上でどちらの方法を選択するのか決めることが大切です。
ファクタリングを行なう際の3つの注意点
ファクタリングは早期に売掛金を資金化出来るという、キャッシュフロー改善のためにも重要な方法です。しかし、利用する際には注意点もあります。ファクタリングを有効に役立てるためにもまずは注意点についてしっかり知っておきましょう。
ファクタリングの注意点その1「担保・保証人」
ファクタリングは担保や保証人は必要ありません。融資ではないファクタリングは担保や保証人を用意する必要はないのです。
しかしながら、中にはファクタリング契約にあたり担保や保証人を要求してくる業者も存在しているようです。このような会社は悪徳業者である可能性が極めて高いと言えるでしょう。日本ではまだあまり知られていないファクタリングは、利用者の知識が少ないのを良いことに丸め込んで契約してしまおうと考える業者もいますので、契約の際にはわからないことや疑問点をはっきりさせてから契約するようにしましょう。
ファクタリングの注意点その2「償還請求権」
ファクタリングを行う際には、償還請求権の有無にも注意が必要です。ファクタリングには償還請求権があるウィズリコースと償還請求権のないノンリコースがあります。
- ウィズリコース…償還請求権あり
- ノンリコース…償還請求権なし
【償還請求権】売掛先が売掛金の支払いが出来なくなってしまった場合、ファクタリング会社が利用者に売掛金の買い戻しを請求出来る権利のこと。
償還請求権がある場合、ファクタリング会社は売掛金の回収リスクをほとんど負わなくていいことになってしまいます。そのため、過去の判例では償還請求権があるファクタリングは金銭消費貸借契約にあたると判断されたケースもあるのです。
多くのファクタリングは償還請求権のないノンリコースです。利用者は売掛金を早期に回収出来るだけでなく、債権回収リスクを無くすことが出来、そこがファクタリングを利用するメリットの一つでもあるのです。しかし、中には償還請求権があるウィズリコースのファクタリングも存在しています。
償還請求権について契約書をきちんと作成しようとしなかったり、返答がはっきりしない業者とは契約しないことが大切です。契約書を作成しなかった場合、後になって償還請求権を請求してくるということもあります。契約書がなければ業者や違反をしていたとしても訴えたりすることも出来なくなってしまうため、契約の際には特に注意しておきたいポイントです。
ファクタリングの注意点その3「債権譲渡通知」
2社間ファクタリング、3社間ファクタリングの項でも簡単にご説明しましたが、ファクタリングを行う際には債権譲渡通知にも注意しましょう。
【債権譲渡通知】債権(売掛金)を譲渡することを売掛先に知らせること。
3社間ファクタリングでは利用者、ファクタリング会社、売掛先の3社間で契約するため債権をファクタリング会社に譲渡することを売掛先に知らせる必要があります。
売掛先にファクタリングを利用することを知られてしまった場合、資金繰りに困っているという印象を与えてしまい、今後の取引に悪影響が出てしまうという可能性も考えられます。そのため、売掛先にファクタリングをしていることを知られたくないという場合は売掛先に知られずにファクタリングを行うことが出来る2社間ファクタリングを利用するのです。
取引先に知られずに済むというメリットがある一方で、2社間ファクタリングの場合は手数料が割高になります。また、悪徳業者の中には売掛金の回収が出来なかった際、勝手に売掛先に債権譲渡通知を送ってしまうという場合もあります。くれぐれも悪徳業者には注意しましょう。
まとめ
貸金業ではなく債権の売買であるファクタリングには金利はかかりませんが、手数料はかかります。また、手数料は利用するファクタリングの種類によっても異なっています。
明らかに相場よりも手数料が高すぎる場合、担保や保証人を要求して来る場合は悪徳業者の可能性が極めて高いため、ファクタリング契約を行う際には注意しましょう。