
最近になって、ファクタリングという言葉を耳にする機会が増えてきました。
ファクタリング自体の歴史は古くから存在しますが、日本では1991年頃から普及し始めた新しい形の資金調達のやり方です。
そのため、ファクタリングに対して、言葉は聞くけれど「内容は知らない」「ファクタリングの意味はわからない」と言う方も少なくありません。
そこで、こちらの記事では、資金調達として利用できるファクタリングを理解していただくために、意味や仕組みなどをご紹介いたします。
資金調達につなぐことができるファクタリングを、この機会に確認しておきましょう。
ファクタリングが普及した背景
日本の企業間では、商品やサービスを提供し、その後に代金を支払う信用によって成り立つ掛け取引が行われています。
信用取引によって売掛債権が生じてくるのですが、当初は信頼関係を維持するために第三者に売掛債権を売却すると言うファクタリングは受け入られませんでした。
しかし、代金が未回収であれば、人件費、営業活動の経費、仕入にかかるコストを維持していく資金が底をつきてしまうため、会社の運営に支障をきたすことになります。
銀行融資を検討することもできますが、資金繰りが苦しんでいる経営者にとっては厳しく、まして売掛先が倒産や手形の不渡りなどを起こしてしまうと、資金がショートしてしまう危険もでてきてしまいます。
手形があれば銀行が手形割引をして買い取ってもらえますが、手形を持たない企業は売掛債権を現金化するしかありません。
このような背景のもとで、売掛債権を現金化できるファクタリングを利用する企業が増えてきました。
ファクタリングが持つ言葉の意味
ファクタリングを英語にすると「factoring」と綴られ、もともとは「factor」という言葉からきています。
元となる「factor」という言葉は、因数分解、要因、要素、代理人という意味があり、日本でも「ファクター」として、ビジネスやコンサルタントや経営者などでよく使われています。
そして、ビジネスで使われるファクタリング「factoring」は、売掛債権の買取業務をさしている言葉です。
◆ファクタリング=売掛債権買取業務
売掛債権買取業務というのは、売掛先企業と利用客の間にファクタリング業者が入り、支払いの流れを行う仕組みのことを言います。
売掛債権とは?
売掛債権とは、日本で行われている掛け取引は現金の支払いをすぐに行わず、売掛債権を用いて後日に代金が支払われます。
売掛債権は、まだ受け取っていない売掛金を請求できる権利のことを指しています。
『売掛債権は、商取引において、商品やサービスを顧客に提供したものの、まだ代金を受け取っていない状態で、受け取っていない代金の請求ができる権利のこと』
掛け取引とは?
日本の企業間の取引では、主に掛け取引が用いられています。
掛け取引とは、商品やサービスの提供を先に行い、後から代金を請求する信用取引のことを指しています。
◆掛け取引の流れ
①販売企業:商品やサービスを納品する
②売掛先:納品されたものを検収
③販売企業:納入業者が請求書を発行する
④売掛先:請求書の支払い期限までに代金を支払う
ファクタリングの流れをわかりやすく解説
ファクタリングは、商品やサービスを売掛先に提供しているファクタリング利用者と、商品やサービスを受け取る売掛先、ファクタリング業務を提供しているファクタリング会社の3者によって行われます。
◆企業(ファクタリング利用者)
◆売掛先
◆ファクタリング会社
ステップ1:ファクタリングを検討する
企業は取引先に商品やサービスの提供し、後に請求書を送り代金の支払いを求めることになりますが、企業の都合ではなく主に売掛先の都合によって支払期日が決められてしまうことがほとんどです。
このような場合、すでに商品の納入を行っているのに代金の支払いがありません。
先延ばしの売掛金の支払いによって、資金繰りの悪化や最悪な場合には債務超過に陥ってしまう時に、ファクタリングを検討することになります。
ステップ2:ファクタリングを実施
企業がファクタリングを実施する時には、ファクタリング業者に「売掛債権がいくらで買い取れるか?」などの見積もりを立ててもらいます。
ファクタリング業者は、売掛債権の金額、売掛先の信用度、企業と売掛先の取引関係などを確認しながら、独自の基準でファクタリング手数料を決定します。
ファクタリングの手数料を支払うので、利益は軽減していまいますが、それでもなおかつ十分な利益が出ていれば、売掛債権が現金化でき資金繰りの改善につながるでしょう。
ファクタリング会社と正式な売掛債権譲渡の契約書を交わして、ファクタリングが実施されます。
上記は2社間ファクタリングの場合ですが、3社間ファクタリングの場合には、売掛先に売掛債権譲渡通知を送り、請求書の入金先がファクタリング会社の口座に変わることに対して、承諾を得る必要があります。
◆2社間ファクタリング
・企業(ファクタリング利用者)とファクタリング業者の2社間の取引
◆3社間ファクタリング
・企業(ファクタリング利用者)と売掛先、ファクタリング業者の3者間の取引
ファクタリングを行った結果
ファクタリング業者と企業(ファクタリング利用者)との間に売掛債権譲渡の契約を交わせば、企業(ファクタリング利用者)の口座に手数料を引いた現金が振り込まれます。
売掛先は、請求書の期日にファクタリング会社に代金の支払いを行います。
◆企業(ファクタリング利用者)は、ファクタリングを利用することで手数料は引かれますが、早い時期に資金調達ができ、資金繰りの悪化を防ぐことが可能となります。
◆売掛先は、支払う期日も金額も変わりません。
◆ファクタリング業者は、手数料が利益になります。
このような一連の取引をファクタリングと呼んでいます。
ファクタリング業者の4つの役割について
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング業者に譲渡することによって得られる資金調達法ですが、ファクタリング業者はどのような役割を持っているのでしょうか?
売掛債権をファクタリング業者に譲渡した企業は、資金提供を受けたり、貸し倒れのリスクを移転することが可能となります。
また、ファクタリング業者によっては、記帳の事務の代行やコンサルティング業務を請け負っている会社もあります。
企業が売掛債権を回収するためには、売掛先に請求書を発行してなくてはなりません。
もしも、代金の支払いが遅れているのであれば、督促を行ったり、時には法的手続きが必要となるでしょう。
ファクタリングを利用すると、ファクタリング業者がこのような面倒な売掛金の回収が合理化し、企業の負担を軽減してくれます。
売掛債権を買い取ってもらうことだけではなく、売掛債権の回収をスムーズに進めていくというサービスも同時に利用してみてはいかがでしょうか?
1.資金の提供
2.売掛債権の回収リスクを移転
3.記帳の事務の代行
4.コンサルティング業務など
ファクタリングの金融サービス
ファクタリングを利用すると、売掛債権を現金化することに加えて、売掛債権の回収リスクを移転することができます。
一般的なファクタリングで行われるのは、償還請求権なしでのファクタリングです。
償還請求権なしのファクタリングでは、売掛先が倒産して売掛債権の回収が不可能となった場合に、生じたリスクをファクタリング業者が全て請け負う形となるのです。
◆ファクタリングの金融サービス
・売掛債権の買い取り
・支払期日前の現金化
・売掛金の回収サービス
・回収リスクの引受け
信用調査と事務処理
ファクタリング業者は回収のリスクを背負う形となりますが、そのようなリスクを減らすために、売掛先の信用調査をし、信用力に見合ったファクタリングを行います。
売掛先の信用調査は、ファクタリングを利用した企業にも報告され、売掛先に対しての販売や与信管理の相談をすることができます。
◆信用調査サービス
・信用調査を行い情報を提供
・信用調査によるデータベースの構築
・売掛債権の与信管理
◆事務処理サービス
・売掛帳簿の作成
・記帳事務
・売掛債権の期日管理などの代行業務
◆コンサルティングサービス
・会社の経営に関してのコンサルティング
・経営管理資料等の提供
経営の改善に役立つファクタリング
ファクタリングを利用して資金調達を行えば、資金繰りが改善され事業がスムーズに進んでいく特効薬になってくれる可能性があります。
せっかく製品の競争力やマネジメント力があったとしても、資金不足ではどうにもなりません。
そのような時に、ファクタリングを組み込んでおけば、必要な資金として効率よく活用することができるでしょう。
売掛債権からの回収を考えるのではなく、企業の営業活動の中からどれだけ利益を生み出せるかを目標として行くことができます。
資金繰りの改善
資金繰りを改善させるためには、不足している資金を調達することが必要です。
銀行などから融資を行った場合には、借入金となり返済が必要となってしまいますが、ファクタリングを利用した資金調達ならば借入ではないので、返済や利息の負担がありません。
特に仕訳をする際には、融資を借入れたのなら負債の仕訳となりますが、ファクタリングの仕訳では現金が増加となり、負債の項目には入ってきません。
さらに、融資で必要となる担保や保証人が必要なく、早ければ即日に資金調達することも可能となる場合もあります。
「借入をこれ以上増やしたくない」「資金繰りが悪化して融資の審査におちてしまった」のなら、ファクタリングでの資金調達を検討してみてください。
まとめ
最近になって普及し始めたファクタリングの背景と同時に、ファクタリングの言葉の意味、ファクタリングの流れ、ファクタリング業者の4つ役割などを、わかりやすく解説してきました。
ファクタリングとは売掛債権業務のことをいい、ファクタリング会社に譲渡することで現金化が可能となり、さらに回収のリスクを軽減することができます。
また、融資のように借入にならないファクタリングは、資金繰りの改善にも役立つことができるでしょう。
売掛債権を譲渡するとき、ファクタリング会社に手数料を支払わなければなりませんが、資金繰りの悪化や融資の審査に落ちて悩んでいる企業は、売掛債権を売却するファクタリングでの資金調達を考えると良いかもしれません。