生垣の設置に補助金が使えることをご存じですか。
近年の異常気象や災害の増加は地球温暖化の影響が原因となっていることが、指摘されています。
都市の緑化は、ヒートアイランド現象を軽減させたり、夏場の体感温度を低下させたり、
空気を浄化したり、する効果をもたらします。
多くの地方自治体では、みどりの育成および良好な生活環境づくりの促進のために、助成制度を設けています。
また、生垣や緑化など補助金を設けるもうひとつの理由にブロック塀などの倒壊などによる災害を予防するためでもあります。
重量のあるブロック塀は防災や減災などの観点からみると、必ずしも適切とは言えません。
地震の際に、避難経路を妨げたり、避難時の倒壊は怪我などの原因にもなってしまうため、生垣を設置することで、このようなリスクを避けることに繋がります。
様々なメリットのある生垣の設置ですが、実際に生垣を設置すると費用がかかるのも事実です。
そんな時には国が出している補助金制度を活用しましょう。
本記事では、生垣や都市の緑化について解説するとともに、これから、住宅地に生垣を設置したり、ブロック塀と生垣の置き換えを検討中の人や、都市の緑化に興味のある方はぜひご覧になってみてください。
都市の緑化事業とは
日本は1960年代に高度経済成長期を迎え、土地を切り開き、急速に都市化しました。
著しい工業化は水質汚染や大気汚染などの公害をもたらし、4大公害病などの健康被害が多発したため社会問題化し、日本初の環境法令である公害対策基本法が1967年に制定されました。
その後、世界規模の酸性雨の多発や海洋汚染、大気汚染などの環境問題の対策のためにウィーン条約(オゾン層の保護のための国際条約)などの条約や、各国で環境に関する法律が制定され続けています。
都市の緑化については、近年注目されている都市のヒートアイランド現象などを防ぐ取り組みとして、各地方自治体が力を入れています。
ここでヒートアイランド現象について解説をしましょう。
ヒートアイランド現象(heat island=熱の島)とは都心の温度が周囲の温度よりも高くなる現象のことです。
都市に高温域が島上に出現するのでこのような名称で呼ばれています。
近年では、都市のヒートアイランド現象による熱中症の発症などの健康被害や、伝染病を媒介する蚊の越冬など、本来は見られないような生態系の変化などがおこっています。
都市を緑化する取り組みは、都市の温度を下げて、ヒートアイランド化を減少させることに効果が期待できるため、各地方自治体で、助成事業をおこなっているという側面があるのです。
防災や減災の観点
都市の緑化事業のもう一つの目的は、防災、減災という観点から、ブロック塀などの重量のある塀などを、生垣と置き換えることにより、震災時の避難経路の確保やブロック塀の倒壊による怪我の予防することです。
日本は地震多発国であり、頻繁に地震が起きています。
そのたびに、老朽化したブロック塀が倒壊して、負傷者や死者が出ています。
日本には古いブロック塀が多く存在します。
その多くに補修がなされていない未補修ブロックも含まれているといわれています。
特に、児童や高齢者はブロック塀よりも背が低いことが多く、被害に遭いやすい傾向にあります。
また、ブロック塀自体がコンクリートの塊であり、崩れたブロック塀が、体に接触した場合に大けがを負ってしまう危険性があります。
倒壊したブロック塀自体も避難経路を塞いだり、ブロック片が散乱して、避難中の人達に怪我をさせてしまうかもしれません。
そのような事態を避けるために、自治体はブロック塀と生垣の置き換えを推奨しているのです。
ブロック塀を生垣に置き換えるメリット
ブロック塀を生垣に置き換えるメリット・デメリットを解説します。
生垣の設置をするメリットとしては、防風、防火、目隠し、環境の保持、防音などのメリットや景観を装飾する効果もあります。
生垣には、花が咲くものや、紅葉するものもあるため、四季を通して、いろいろな景観を作り出すことができることは大きな魅力でしょう。
景観と調和するので、見栄えが良く、植物が好きな人には喜ばれます。
景観を整えるだけではなく生垣が、ブロック塀と比べて崩れにくいという特徴があるので、防災や減災の観点から見た場合も有効です。
生垣のデメリット
逆に生垣のデメリットは何でしょうか。
生垣のデメリットは、生垣が文字通り植物であることです。
ブロック塀はコンクリートの塊を積み重ねたものなので、時間による劣化はありますが、成長するようなことはありません。
また、生垣を構成している植物が成長すれば、景観は損なわれますし、放っておくと、害虫が発生することもあります。
変色や、鳥や野良ネコなどによる食害や糞害の温床になってしまう恐れもあります。
手入れにはコストがかかるため、ブロック塀と比べて費用がかさむところが一番のデメリットでしょう。
たとえば、樹木であれば、剪定(せんてい)が必要になりますし、害虫対策もおこなわなければなりません。
剪定の費用
剪定の料金系は2種類あります。
簡単に分類すると
①日当制・時給制
②単位制
です。
①日当制・時給制とは、1日当たりの工賃、1時間当たりの工賃のことです。
地域差がありますが、大体、庭師1人あたり、1日15,000円~が相場となります。
都市部では地方よりも高額になる場合があります。
時給制では1時間当たり2,000円~が相場となります。
上限は、手間によって変わるため、どこまでやってもらうのかよく検討してから業者を選ぶべきでしょう。
②単位制とは、庭木1本、生垣1メートルあたりの工賃のことです。
庭木の高さや、生垣の剪定の高さや幅によって単位が決まります。
・生垣の剪定の単価(幅1mあたり)
1m未満:約500円
1m~2m未満:約1,000円
2m~3未満:約2,000円
3m以上:個別に見積もりしている事業者が大半です。
また、剪定以外にかかる費用として、剪定により発生した、葉や枝などのゴミを処分するための費用が掛かります。
45ℓのゴミ袋で1個500円程度、軽トラック1台分であれば、3,000円~10,000円程度が相場です。
ゴミの処理については剪定料金に含まれる場合と、含まれない場合があるので、よく確認しておきましょう。
ここを間違えると想定外の費用が掛かってしまいます。
交通費やガソリン代などを含めた出張費などの経費が掛かる場合もあるので、依頼前の確認が必要です。
自分でやるよりは、プロに任せましょう。
素人の庭木の剪定は危険です。
剪定の費用を考えると、自分で剪定をしたほうが安くついてよいのではないかと考える人もいるかもしれません。
しかし、その考えはあまりお勧めできません。
なぜなら、剪定は高いところに登って、作業することもあり、落下してけがをしてしまう恐れもあります。
また、刃物をつかうため、細心の注意を払う必要もあります。
それに、プロと素人の技術の違いは目に見えて明らかですので、はじめからプロである剪定業者に依頼することが安心安全です
生垣設置の補助金について
地方自治体では、生垣の設置を促進するために助成事業を実施しています。
例えば東京では、23区それぞれに、生垣の助成制度があります。
以下に東京都文京区での例を紹介していきます。
東京(文京区)の生垣造成補助金
生垣造成補助金の目的は街並みの美観形成や、災害に強いまちづくりのために生垣による緑化を推奨しています。
また、新たに生垣を造成する工事の費用や、その際のブロック塀の撤去費用費用の一部を助成してくれる制度となっております。
・対象者
区内で新たに生垣を作る人、ブロック塀と生垣を置き換える人。
・対象外になる人
①国、地方公共団体
②不動産業者または開発業者が行として行うもの。
③国、地方公共団体などから、同種の補助金を受けたもの。
④東京都または文京区の緑化基準により指導の対象とする施設緑化事業。
(※基準を満たした上でそれ以上作るものは対象とする。)
⑤その他区長が不適当であると認めたもの。
・補助金交付額
生垣:1mあたり18,000円
ブロック塀の撤去:1mあたり15,000円
(※上の額に満たない場合は実費を支給。)
(※ブロック塀撤去の箇所は生垣を造成する範囲に限る。)
申請の流れとしては
1.事務局との事前相談
2.生垣造成補助金交付申請書提出(添付書類あり)
3.書類審査・現地調査
4.工事
6生垣造成実績報告書の提出※工事完了後30日以内(添付書類あり)
7.書類審査、現地調査
8.生垣造成補助金交付
(※東京都文京区ホームページを参照)
という流れとなります。
生垣造成については、地方の自治体にも数多く助成制度があるので、詳しく知りたい人は、行政窓口に問い合わせてみることをお勧めします。
まとめ
今回は、生垣の設置について、環境問題や防災・減災などの考え方をふまえて、自治体でおこなわれている助成事業を紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
東日本大震災を機に、日本全国の自治体で、防災や減災への取り組みがなされています。
自分の住んでいる自治体に助成制度があることを知らない方も多くいると考えられます。
地方自治体では、劣化ブロック塀については、突然崩壊して、負傷者や死者を出してしまうおそれがあり、そのようなブロック塀の撤去を推進していますが、費用面で、ブロック塀の所有者が難色を示したり、持ち主不明のブロック塀も数多く残されています。
ブロック塀を生垣に置き換えることができれば、倒壊の恐れがなくなり、負傷のリスクも減らすことができます。
また、日本は四季のある美しい国です。
生垣は、適切に管理をすれば、環境調和に優れていて、目隠しや防音などの役目も担うことができます。
自宅のブロック塀を生垣に置き換えたい人や、新たに生垣を設置したい人はぜひ本記事を参考にしてみてください。