
現在では、保育士の数は少なく、保育園なども入園できない児童が非常に多く存在します。
保育所等における保育士の業務において負担となっている書類作成等の業務につき、ICT化推進のための保育業務支援システムの導入に必要な費用の一部を補助することで、保育士の業務負担の軽減を図るための補助金です。
今回は、そんなITにまつわる補助金を紹介します。
ICTとはなにか?
ニュースでITやICTやIoTという単語を聞きますが、どんな意味があるのかがわかりません。
答えは、ITは「情報技術」、ICTは「情報通信技術」、IoTは「モノのインターネット」の総称です。
ニュースや新聞の記事で「IT」や「ICT」、「IoT」などの言葉を見かけることがありますが、どれも似たような単語で、どんな意味があるのかよくわかりませんよね。
次の表ではIT、ICT、IoTの特徴を紹介しているのでご覧ください。
【ITとICT】
ITは「情報技術」、ICTは「情報通信技術」を指す言葉です。
言葉の意味はほぼ同じですが、ITは「情報技術そのもの」、ICTは「情報通信技術の使い方」と区別することもできます。
国際的にはIT、ICTどちらの技術も「ICT」と認識されているため、日本でもICTという言葉が定着し始めています。
私たちが何気なく使っているインターネットの利用方法(SNSなどで情報を共有、検索サイトで情報の検索、インターネット通販など)はICTの発展によるものです。
このほかにもICTの技術により、学校でタブレット端末を教科書代わりに授業をしたり、観光地でフリーWi-Fiを使ったりすることなどが可能になりました。
また、NTT西日本でも観光地の活性化のためICT技術を用いてサポートしています。次のページでは観光まちづくりのICTサポート例を紹介していますので、ご覧ください。
【IoT】
離れたモノの状態を確認・操作するなど、モノをインターネットに繋げて遠隔操作をする技術はIoTの発展によるものです。
IoTの指す「モノ」とは、冷蔵庫やエアコン、スピーカーなどの従来はインターネットと繋がらないだろうと思われていたモノのことです。
テレビのCMなどで見かける「スマート家電」といわれる電化製品にもIoTの技術が使われていますよ。
例えば、冷蔵庫だと外出先で冷蔵庫の中の食品を確認できたり、エアコンだと外出先でもスマートフォンで温度調節ができる製品があります。
また、自宅で留守番をしているペットの様子を外出先で見守ることができる「見守りカメラ」もIoTの技術を使っています。
子ども用のIT導入補助金
皆さんは経済産業省のIT導入補助金をご存知でしょうか?
これは中小企業や小規模事業者を対象とした補助金です。
保育事業者も申請が可能です。平成30年度の一次公募は2018年4月20日スタートし、コストを抑えて業務の効率化を図る絶好のチャンスが到来しています。
この補助金は、保育士が不足している保育園などで多く取り入れら得ています。
平成30年度IT導入補助金の募集がスタート
保育ICTシステムは、平成30年度IT導入補助金の募集がスタートしました。
この補助金はどんなICTシステムが対象なのでしょうか?
そんな疑問を下記に紹介していきます。
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IT導入補助金とは
国が掲げる政策目標を達成するために、さまざまな補助金が設けられています。
中でもITシステムを導入する際の経費の一部を国が負担する「IT導入補助金」は、対象企業や店舗の業務効率化や売上アップをサポートしようとするものです。
なお、平成30年度の1次公募は2018年6月4日までとなっています。
IT導入補助金は、ソフトウエアやクラウド利用費、導入関連経費などを補助するもので、補助率は1/2以下、金額は15万円~50万円と定められています。
補助金の対象となるシステムやサービスはあらかじめ指定されているので、事前にきちんと必要な情報を集めておくことが必要です。
IT導入補助金対象のおすすめシステム7選
IT導入補助金の対象となっているシステムは、IT導入補助金サイトの「ITツール選定ナビ」で簡単に検索することができます。
IT導入補助金の対象は保育園の運営に関わるものだけではないため、メール配信システムや人材派遣システムなども検索結果として表示されますが、それでも30件を超える候補が出てきます。
そこで、今回は保育園などの施設で採用されている、保育ICTシステムを選んでみました。
是非、7つを確認してみましょう。
CoDMON(コドモン)
保育園専用に開発された「コドモン」は、保育士だけでなく保護者の利便性も考慮された機能が豊富です。
オプションという形で利用したい機能が追加できるので、少しずつ使う機能を増やしていくこともできます。
音声入力機能もあり、パソコンやタブレットに苦手意識があっても安心して使えます。
パステルApps(パステルアップス)
パステルAppsはクラウド型の園児管理システムです。
園児や職員の名簿をクラウドで管理するので、インターネットに接続できれば時間や場所を選ばずシステムにアクセスできる便利さが魅力です。
登降園管理や指導案の作成、保護者への連絡などの機能があり、預かり保育の申込みや園で子どもたちが必要とする物品の販売も、携帯電話やスマートフォンから受け付けることができます。
おが~るシステム
自治体と大学の共同研究で誕生した「おが~るシステム」は、園児一人ひとりの情報をきめ細かく記録できるように設計されています。
自治体側がクラウドシステム「おが~るウェブレポ」を使っていれば、園の「おが~るシステム」と連携できるので、自治体への書類提出などの効率化が図れる点も魅力です。
ChiReaff Space(チャイリーフスペース)
日本ユニシスの「ChiReaff Space」は、保育士が子どもの記録をつけながら子どもの発達に関する知識を閲覧できる画期的なシステムです。
画面上で保育理論を確認しながら記録をつけるので、子どもの発達状況に合わせた保育を検討しやすくなります。
Hoisys(ホイシス)
0歳児保育を行っている園では突然死などのリスクもあり、午睡チェックのような園児記録が重要です。
「Hoisys(ホイシス)」には登園・降園管理や園児の記録、従業員管理といった機能に加え、園児一人ひとりの健康チェックを簡単に行える仕組みが備わっており、お昼寝や夜間保育の睡眠チェックも5分ごとに記録できます。
保護者とのコミュニケーション機能はありませんが、無料のスマートフォン向け連絡帳アプリ『hugnote (ハグノート)』 との連携が可能です。
KidsDiary(キッズダイアリー)
「KidsDiary(キッズダイアリー)」は保育園の運営に必要な基本機能に加え、園のオリジナルアプリを作ることができる保育ICTシステムです。
保護者側もカスタマイズできるので、必要な機能だけを表示させることができます。
連絡帳機能だけでなくアルバムやバスの位置情報をアプリで確認することもでき、園と保護者がスケジュールを共有することも可能です。
あんしんノート
指導案のコピー機能やICカードやタッチパネルによる登降園管理機能など、保育園の運営にまつわる業務を効率化してくれる「あんしんノート」は、園のスタイルに合わせてシステムをカスタマイズできるのが魅力です。
慣れ親しんだフォーマットを活かすことで、手書きからシステムへの移行をスムーズに行います。
「ICT化促進」で最大100万円の補助金!?
上記では様々なICT補助金について説明しましたが、様々な販売会社の問題意見も飛び出していますので紹介します。
対象となるのは、保育所、幼保連携型認定こども園、地域型保育事業の各事業所です。
機器やソフトウエアの購入費、保守料、工事費などの購入にあたって、1カ所につき最大100万円が支給されることになっています。
検索をかけると、今回の補助金に対応したさまざまなICTシステムの販売サイトがヒットします。中には、補助金申請のやり方まで丁寧に解説されたサイトも存在します。
この補助金に目をつけたのがICTシステムの開発・販売業者です。
ネット上で少し検索をかけるだけで、今回の補助金に対応したシステムのプロモーションサイトが山ほどヒットします。そして、中には悪質な業者が存在することも事実です。
大阪市で3つの保育所を運営するある事業所(以下、A園と記す)も、悪質な業者の”餌食”となってしまった例の1つです。
A園はICT化補助金を利用して、営業を受けた市内のある業者から、タブレットで利用できる保育園専用ICTシステムと、周辺機器を一括購入しました。
ところが、業者への入金完了後、不審な点が次々と出てきたようです。
その実態を紹介します。
保育園「補助金100万円」にたかる業者の実態
職員の出退勤をタブレット上で管理することができると説明を受けて、A園では1台15万円のQRコードリーダーを購入しました。
しかし、納品されていざ導入という段になると、操作の説明をするためにやってきた担当者からは「システムが大阪市の形式に対応していない」と説明を受けました。
結局、使い道のなくなったリーダーは返品することになりました。
しかし、問題はこれだけではなかったのです。
複数のパソコンを接続する中継装置、スイッチングハブも購入し、請求書には単価6万円と記されていました。
ところが、納品された商品に記されていた品番をメーカーのウェブサイトで確認してみると、「希望小売価格4万9800円(税抜き)」と書かれていました。
さらに、一般の販売サイトでは、最安値1万3303円で売られていたということでした。
希望小売価格より高い価格で請求されたスイッチングハブ。請求書を確認してみると、「SW-HUB」とデタラメな品番が記されていました。
何かの誤りではないかと思ったA園の職員は、請求書の品番を確認してみたが、項目には「SW-HUB」と記載されているだけで、正確な記載がないといいます。
同職員は、「適正な価格かどうかという追及を避けるための、マスキングのように感じる」と語っています。
契約書が存在しない
業者に不信感を抱いたA園の職員が契約内容を確認しようとしたところ、さらに驚くべきことが明らかになりました。
請求書はあるものの、契約書が存在しないのです。
導入したソフトの「Cプラン」がいったいどのような内容で、適正な価格で請求されているのかすらもわからないのが現状です。
事実上、業者の言い値がすべて通ってしまう状態なのです。
大阪市内にあるICT機器販売業者からは、未だに契約書が送られてきていません。
この状態を危惧したA園の職員は、2017年の3月半ばに業者の責任者を呼び出し、その場で契約書の作成を求めて同意を得ました。
その後、すでに購入しているソフトウエアの契約プランなどが、つじつまを合わせるかのように見積もられた請求書と、あとづけの契約書案が送られてきたが、5月2日現在もまだ、正式な契約書は受け取っていないという内容でした。
このような事件のように、このICT補助金を利用して保育園側を騙して悪用する業者も存在していることが判明しました。
是非、保育園の経営者の方は頭に入れて起きましょう。
まとめ
IT導入補助金の申請手続きについては、システムやサービスを提供している会社が代行してくれるので、システムの選定とあわせて相談できるのもメリットです。
ただし交付が決定する前に契約を結んだり支払をしてしまうと、補助金の交付が受けられなくなってしまうので注意しましょう。
ICT補助金は、保育士のお助けや保育園の業務が少しでも楽になるように国が作った補助金です。
育児系のソフトやシステムなどを導入して少しでも、保育園経営者や保育士の手助けとなる補助金なので、ご興味のある経営者の方は専門家へ相談しましょう。
その際は、よく会社を調べ悪徳業者には騙されないように注意しましょう。