
観光庁では2021年の東京オリンピックやパラリンピックに向けて、ホテル宿泊施設やバリアフリーの建設など整備を行うための補助金の公募を始めました。
これらの補助金は、受入環境が充分に整っていない地域やバリアフリー化改修などの整備を支援する、観光需要回復に向けた事業です。
新型コロナウイルスで観光需要は落ち込んでしまいましたが、この機会に受入環境が充分に進んでいない宿泊施設や地域は、補助金を利用して反転攻勢に挑んでください。
INDEX
コロナ終息を見極めて開始した1.4兆円の反転攻勢
5月15日に、観光庁の田端長官は専門紙の会見で、新型コロナウイルスの感染拡大によって政府がまとめた緊急経済対策や補正予算案を踏まえての観光分野の対応策を説明しています。
観光業の雇用維持、事業継続などの支援をすることに加えて、国内のコロナ感染終息後には1兆円超えの予算を見据えた「Go To Travelキャンペーン」を行う予定です。
かつてない規模で観光需要喚起策を間髪いれずに反転攻勢へと転じるために、国内観光の回復と観光による大規模な地域活性化に向けた事業の取り組みを検討しています。
Go To Travelキャンペーンとは?
Go To Travelキャンペーンは、国内観光の需要喚起に向けて、全国を対象に6ヶ月わたり、消費者の宿泊費や旅行費用などを国費で補助する事業です。
予算額は観光予算としては、2020年度補正予算案として約1.4兆円が計上される前例のない規模の事業となっています。
『宿泊・日帰り旅行商品の割引と、地場の土産物店、飲食店、観光施設、アクティビティ、交通機関などで幅広く使用できるクーポンの発行をセットで行う。これは地域での消費を促すために導入した初めての仕組み。長期旅行も楽しんでいただけるようにするため、日数の上限をあえて設けず、(補助額は)1人1泊当たり2万円という上限を設定している』
基盤整備のための事業の公募が開始されました
観光庁は旅館やホテルなどの宿泊施設に対して、宿泊施設の整備基盤を整えるためのバリアフリーやインバウンド受け入れ環境整備を取り組む事業に、必要な経費の一部を補助する「宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業」の公募を開始しました。
2021年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、これまでに訪日外国人観光客の受け入れ環境が整っていなかった地域を支援する「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)」、バリアフリー化改修を支援する「宿泊施設バリアフリー化促進事業」の募集も開始されています。
次に「宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業」「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)」「宿泊施設バリアフリー化促進事業」について、詳しく解説していきます。
宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業
観光庁では旅館やホテルなどの宿泊施設などが行う、インバウンド受入環境の取り組みを支援しています。
観光需要回復に向けた積極的な「助走期間」となり、反転攻勢に転じるための基盤なる補助金です。
宿泊施設のWI-FI環境の整備や案内表示の多言語化等のインバウンド受入環境整備に対しての必要となる経費の一部を補助しています。
補助対象事業
宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業の補助対象となる事業は、下記の共用部における①~⑦の基本的なインバウンド受入環境整備です。
① Wi-Fi 環境整備
② トイレの洋式化
③ 多言語対応を図るための整備
④ 決済端末の整備
⑤ 自社サイト多言語化
⑥ ムスリム受入マニュアル作成
⑦ その他訪日外国人旅行者がストレスフリーで快適に宿泊できる環境を整備するために必要な整備
補助対象事業者
宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業の補助対象となる事業は下記の通りとなります。
◆旅館業法の営業許可を得た宿泊事業者(旅館・ホテル等)「訪日外国人受入体制拡充計画」を策定、申請を行います。
ただし、一定の要件を満たす場合は1者のみで申請ができます。
補助率と上限額
宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業の補助率と上限額は下記の通りとなります。
◆補助率 1/3補助
◆上限額 1宿泊事業者当たり150万円
公募期間
宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業の公募期間と問合せ先は下記の通りとなります。
◆公募期間 令和2年3月31日(火曜日)~6月30日(火曜日)
・観光庁必着
申請は随時審査を行い、効果が特に高いと認められるものから事業計画がにんていされます。
なお、受付した申請書の事業計画額の累計が予算の上限に達した場合は、期限を前倒して公募を終了する場合があります。
申請書類の提出先および問合せ先
宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業の提出先と問合せ先は下記の通りとなります。
◆観光庁観光産業課(宿泊施設インバウンド対応支援事業事務局)
〠 100-8918東京都千代田区霞が関2-1-2
☎ 03-5253-8330
◆受付時間:10:00~12:00 13:00~17:00 (月~金曜日(土日祝・年末年始を除く))
宿泊施設バリアフリー化促進事業
宿泊施設バリアフリー化促進事業は、訪日外国人旅行者すべての方々がストレスなく滞在できる環境を整備するために設けられた事業です。
整備が遅れている旅館やホテルなどの宿泊施設のバリアフリー化改修に対して広く支援を行っています。
バリアフリー環境整備の加速化と底上げを目的とし、宿泊施設が抱える課題に応じて、客室における緊急的な必要最低限の改修、客室の大規模な改修、出入口や廊下等の共用部のバリアフリー化などに必要な経費の一部を補助しています。
補助対象事業
宿泊施設バリアフリー化促進事業の補助対象となる事業は下記3つの事業となります。
①客室における必要最低限の緊急改修等(一般客室のレベルアップ)
(改修箇所)
・客室出入口
・トイレ
・浴室
・洗面所
・その他宿泊施設のバリアフリー化を促進するために必要であると大臣が認めた箇所
②共用部の改修等
(改修箇所)
・敷地内の通路
・駐車場
・建築物の出入口、フロント等
・廊下、屋内通路
・階段
・エレベーターその他昇降機
・トイレ、洗面所
・浴室・シャワー室、脱衣室・更衣室
・レストラン・食堂、宴会場
・バンケットホール等
・その他宿泊施設のバリアフリー化を促進するために必要があると大臣が認めた箇所
③客室の大規模改修等(車椅子使用者用客室等の設備)
・ユニバーサルルーム化又は高齢者・障害者の利用しやすい一般客室化等
補助対象事業者
宿泊施設バリアフリー化促進事業の補助対象となる事業者は下記の通りとなります。
◆旅館業法の営業許可を得た宿泊事業者(旅館・ホテル等)
なお、風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営む者は対象外となります。
補助率と上限額
宿泊施設バリアフリー化促進事業の補助対象となる事業の補助率と上限額は下記の通りになります。
①客室における必要最低限の緊急改修等(一般客室のレベルアップ)
◆定額補助 上限100万円
②共用部の改修等
◆補助率 1/2補助
◆上限額 500万円
③客室の大規模改修等(車椅子使用者用客室等の設備)
◆補助率 1/2補助
◆上限額 500万円
①と②のどちらかのみ、また②と③を両方実施も可能です。
両方実施の場合も上限額は500万円になります。
公募期間
宿泊施設バリアフリー化促進事業の公募期間は下記の通りとなります。
◆2020年3月31日(火)~6月30日(火) 事務所必着
・申請は随時審査を行いバリアフリー化の効果が特に高いと認められるものから事業計画を認定します。
・受付した申請書の事業計画額の累計が予算の上限に達した場合は、期限を前倒して公募を終了する場合があります。
・実際のバリアフリー化改修工事等は、事業計画の認定ではなく、補助金の交付決定通知を受けた後に、正式に施工事業者と契約を締結することが可能となります。
・事業計画の認定を申請されてから、補助金の交付決定通知を受けるまでには、2ヶ月程度の時間を要します。
・バリアフリー化改修工事は2020年12月までに完了する必要があります。
問合せ先
宿泊施設バリアフリー化促進事業の公募書類の送付の問合せ先は、下記の通りとなります。
(緊急事態宣言期間中の連絡先)
◆観光庁観光産業課
東京都千代田区霞が関2-1-2
〒100-8918
☎03-5253-8330
◆公益社団法人 日本観光振興協会 総合調査研究所
〠105-0001 東京都港区虎ノ門3-1-1虎の門三丁目ビルディング6階
☎03-6435-8910
受付時間:10:00~16:00(月~金曜日(祝日を除く))
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)は、2021年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック協議大会で外国人観光客が見込まれる競技場周辺、ホストタウン、選手村がある地域がストレスフリーで快適に過ごせるように支援を行っている事業です。
これらの地域の中で、受入環境整備が十分に進んでいない地域、公共交通機関から観光案内所、観光拠点、飲食、小売店などが一体となって行う多言語対応、無料公衆無線LAN、キャッスレス決済、バリアフリー化を支援します。
第2期公募が令和2年5月8日より開始されています。
地域要件・整備計画作成主体・補助対象事業者
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)の地域要件、整備計画作成主体、補助対象事業者は下記の通りとなります。
◆地域要件
・ホストタウンに登録された自治体
・選手村が所在する自治体
◆整備計画作成主体
・市区町村
・観光地域づくり法人
・協議会等
◆補助対象事業者
・地方公共団体
・民間事業者
・協議会等
補助対象経費
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)の補助経費は下記の通りとなります。
◆地域がいったいとなったインバウンド受入環境整備費
補助率
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)の補助率は下記の通りとなります。
◆補助率 補助対象経費の1/3以内
公募期間
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)の公募期間は下記の通りとなります。
◆令和2年5月8日(金)~7月31日(金)
・申請は随時審査を行います。
・受付した事業計画額の累計が予算の上限に達した場合は、期限を前倒して公募を終了する場合があります。
申請に必要な書類及び提出先
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)の提出先と問合せ先は下記の通りとなります。
◆提出先
最寄りの地方運輸局等へ提出
◆お問い合わせ先(下記以外の期間)
・ホストタウン等緊急対策事業コールセンター(公社 日本観光振興協会)
☎03-6435-7690
◆緊急事態宣言期間中
・観光庁観光産業課
〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-2
☎03-5253-8330
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00 月~金曜日(土日祝・年末年始を除く)
まとめ
観光庁では、2021年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック協議大会に向けて、また観光需要喚起策として反転攻勢へと転じるため補助金の公募を始めています。
こちらでは、公募が始まっている「宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業」「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(ホストタウン等緊急対策事業)」「宿泊施設バリアフリー化促進事業」について、詳しく解説してきました。
コロナウイルス感染症拡大の影響により観光業は大きな打撃を受けてしまいましたが、この機会に観光庁の補助金を活用して、受入環境が充分に整っていない地域やバリアフリー化改修などの整備を進めていきましょう。