マイホームを購入して住宅ローンを組む際に、もし返済が困難になった時に代わりになってくれる連帯保証人を探さなければならないと考えていると思います。
借りた本人が突然失業してしまうなどで保証人が借金を肩代わりする可能性があるため、親戚でも保証人になることを嫌がる人もいます。
実際に、保証人になって他人の借金を返す羽目になったケースもありました。
こう言った理由で保証人がなかなか見つからないことがあるため、なるべく保証人不要の住宅ローンを組みたいと考えている人が多いでしょう。
では、保証人がいない場合でも住宅ローンを利用できるのでしょうか?
そこで、当記事では「住宅ローンは保証人がいないと借りられるのか?」という部分について解説していきます。
一般的には保証人不要
結論を先に言えば、一部の地方銀行や信用金庫などを除いたところでは保証人不要です。
しかし、場合によっては保証人や債務者が必要になるケースもあるため、「一般的に保証人不要ならいっか」と考えると思わぬ壁に当たることがあります。
例えば、審査結果によって保証人が必要だと言われた場合、段取りが間に合わずに契約を解除しなければならない可能性もあります。
保証人が必要になる場合の条件
以下のような場合には保証人や債務者が必要になるケースがあります。
①夫婦などで収入を合算する場合
②土地や建物が共有名義の場合
③ペアローンや親子ローンなど複数の債務者形式になる場合
④自営業など収入が不安定な場合
⑤親の土地にマイホームを建てる場合
つまり、
①マイホームを単独名義で購入する
②収入合算などしなくても借入金額に合う年収がある
以上の2つで審査に問題なければ保証人は不要です。
その代わり、多くの金融機関では信用保証会社による保証が条件となり、保証料を支払う必要があります。
また、保証人が必要になる場合でも、一般的には保証会社の利用が必須になります。
保証料が高額になることがある
保証料の支払いには以下の2種類あります。
①一括払い
②金利に保証料分を上乗せして毎月の返済と一緒に支払う
保証料の金額はいくらになるのかを見ていきましょう。
とある保証会社の場合、
・借入金額3,500万円
・返済期間35年
・一括払い
の保証料は約70万円になります。
しかし、分割方式では合計で約165万円にもなることがあり、一括払い・分割どちらを選んでも保証料はかなりの高額になります。
申込書の審査内容が良ければ高額にはなりませんが、内容によっては借入金額が4,000万円で保証料が300万円以上になることもあります。
住宅ローン申込者本人の審査内容が悪いだけでなく、購入する物件の条件が良くない場合も高額な保証料になりやすいのです。
この保証料を一括払いにするか、毎月返済に加えて支払うか、どちらにしても大きな負担になるでしょう。
フラット35を利用すれば保証人不要になる
保証人がなかなか見つからない人の中には、収入が少ない人もいると思います。
そんな時は「フラット35」がおすすめです。
フラット35を利用すれば原則保証人と保証会社が不要で、収入が少ない人でも利用しやすいです。
ただし、夫婦で収入を合算する場合、片方が債務者になることが条件です。
フラット35って何?
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供している、長期の住宅ローンです。
「フラット」と言う名の通り、借入れから完済までの間は固定金利が続くため、予め返済金額を計算できます。
そのため、ライフプランの中で住宅ローンをいつのタイミングでいくら返済するべきなのかを把握することができます。
子育て費用などを含めて、将来の資金調達・計画をしっかり立てておきたい人でも安心して利用できる住宅ローンです。
また、35年の長期間で少しずつ返済することができるため、収入が少なくても返済しやすいのもメリットです。
保証人がいる方がメリットが大きい
一般的に保証人不要ならば、そもそも保証人が必要である理由は何なのでしょうか?
保証人は絶対に必要ではありませんが、保証人がいた方が多くの借り入れができる可能性が高まります。
そこで、保証人がいる際のメリットについて解説していきましょう。
夫婦の収入を合算すれば審査が通りやすい
夫婦がマイホームを購入する際、2人の収入を合算して購入することがよくある方法です。
夫婦の収入を合算するメリットは、より高めのマイホームを購入することができる点です。
金融機関は住宅ローン借入れ審査基準の一つに、「返済負担率35%以下」とあります。
例えば、金利1%で35年ローンを組むとします。
夫の年収40万円で、約4,100万円の借入れまでならば返済負担率35%以下になるため、1人でも審査が通ります。
しかし、夫が6,500万円の借入れをする場合、返済負担率55%以上になってしまうため審査が通りません。
そこで、妻の収入300万円を合わせれば、返済負担率32%以下になるため、夫1人で受けるよりも審査が通る可能性が高まります。
このように、夫の収入だけで住宅ローンを組むよりも、妻の収入と合わせて住宅ローンを組めば、より多くの借入れができやすくなります。
住宅ローン控除ができる
共有名義で不動産を購入する時、代表者が住宅ローンの名義人で、共有名義者が保証人になります。
共有名義で不動産を購入する場合、住宅ローン控除を夫婦で受けることができたり、相続税の節税ができます。
ただし、売却しにくいことや相続問題が起きやすい注意点があります。
ペアローンや親子ローンを組む場合
ペアローンのメリットは以下の2つです。
①単独で借入れるよりも借入れできる金額が増える
②夫婦別々で住宅ローン控除を受けることができる
逆に返済金額が増えて返済できなくなるリスクが高くなったり、どちらかの収入がゼロになると住宅ローン控除を受けられなくなると言ったデメリットもあります。
親子ローンのメリットは以下の2つです。
①親が高年齢でも借入れしやすい
②返済期間を延ばすことで毎月の返済負担額を軽減できる
ただし、新しく借入れしにくくなるのがデメリットです。
自営業者でも審査が通りやすくなる
自営業は収入が不安定だと判断されやすく、借入れ審査が通りにくいです。
保証人を付ける他に、以下の3つのポイントを押さえると審査が通りやすくなります。
①3期連続で収入に大きく変わっていないこと
②税金・保証料などを滞納していないこと
③事務所と兼用する時、2分の1以上を住居扱いにすること
金利が低い住宅ローンを借りやすくなる
保証人がいない場合よりも、返済能力が高いと判断されれば、金利が低い住宅ローンの審査に通りやすくなります。
保証人なしで借入れできる住宅ローンでは、貸し倒れのリスクがあるため審査が厳しめになります。
住宅ローンの借入れ金額は大きく、金利が少し違うだけでトータルの返済金額に大きな差が出やすくなります。
そのため、少しでも金利が低い住宅ローンを利用し、保証人をつけて低金利の住宅ローンを借りるようにした方が良いです。
しかし、金利が安くても借入れ・繰り上げ返済をする際の手数料が高い住宅ローンもあるため注意が必要です。
借入れをする際は、金利だけでなく諸経費も考えて、お得になる住宅ローンを選ぶことが大切です。
利息額が増えるデメリットもある
夫が住宅ローンの借り入れ名義人で妻が保証人になれば、夫婦の合計収入に合う金額を借入れすることができますし、より高めの価格の家を買うことができます。
しかし、利率が同じなら借入れ金額が多ければ多いほど、支払うべき利息額が増えてしまうデメリットもあります。
金利負担を軽減できる方法とは?
妻の収入分を頭金にに充てることで住宅ローンの借入れ額全体を減らせば、トータルで支払う金額を軽減できます。
また、借入れ後も妻の収入を活用してローンの繰り上げ返済をすれば返済期間を短くすることができ、金利負担を軽減できます。
収入の他、貯金のことや将来の子供の出費なども含めて計画し、保証人をつけて借入れ金額を増やすかを相談しながら決めていきましょう。
保証人が見つからない時は?
とくに収入が少ない人の保証人になれば、借金を肩代わりする羽目になる可能性もあるため、なかなか保証人になってくれる人がいないケースもあります。
そこで、保証人になってくれる人が見つからない場合の対策を解説します。
保証会社に依頼
保証人の代わりに、保証会社に依頼する方法があります。
保証会社は住宅ローンを返済できなくなった時に、代わりにローンを返済してくれます。
保証会社に依頼すると、まず審査が始まり、年収・返済能力・物件など総合的に見た審査結果によって月々の保証料が決定します。
決まった保証料を一括払い、もしくは分割で支払うことで保証を受けやすくなるシステムになっています。
ただし、保証料だけで100万円以上の高額になる場合があるため、注意してください。
保証料が高くなる原因は、健康状態・購入物件の条件の悪さが挙げられます。
まとめ
以上、当記事では「住宅ローンは保証人がいないと借りられるのか?」という部分について解説しました。
結論から言ってしまうと、住宅ローンは保証人がいなくても借りられます。
しかし、保証人不要で借りるためには以下のような条件があります。
①家を単独名義で購入する
②1人でも借入金額に見合う年収がある
③年収や返済能力などを見て審査に問題なし
ただし、保証人がいないとデメリットになる部分も出てきてしまうので、どちらが良いか検討するようにしてください。
また、保証人がいた場合には、以下のようなメリットがあるので、保証人になってくれる人がいるのであれば、保証人を付けたほうが賢明でしょう。
①夫婦で協力すれば住宅ローン控除・相続税の節税・より高い価格の家が買える
②毎月の返済負担を軽減することもできる
③収入が不安定な自営業者でも審査が通りやすくなる
④金利を安くすることができる
しかし、どうしても保証人になってくれる人がいないのであれば、保証会社に依頼するのも視野に入れるのをおすすめします。