
ハローワーク(職業安定所)は、会社の人材を採用するときに利用する一般的な募集方法です。
ハローワークで求人募集をするときには、求人申込書に必要事項を記入し、無料の求人票をするだけなので、使い勝手のよい採用方法とも言えるでしょう。
そのようなハローワークで、ハローワークを介して行われている助成金をご存知でしょうか?もしかしたら、ハローワークの担当者から、提案を受けることはあまりないので見落とされているかもしれません。
そこで、こちらではハローワークを介して行われている助成金について解説していきます。
補助金と助成金の違いに触れながら、ハローワークを介して行われている助成金をご紹介しています。
人材の採用を検討している方にとって役立つ情報です。
INDEX
労働者の雇用に優れている厚生労働省の助成金
助成金と補助金は、返済の義務がないというところでは一致していますが、補助金は主に「経済産業省」が管轄となっており、助成金は主に「厚生労働省」の制度です。
また助成金の財源は、雇用保険が中心となっているため、労働者の雇用、教育、待遇改善に関係するものが数多く設けられているのが特徴です。
このような厚生労働省が実施している助成金は、要件を満たしていれば利用できることが多く、予算が残ってさえすれば早期に終了することがないので、助成金は補助金よりも受給しやすいのです。
助成金 | 補助金 | |
関連省庁 | 厚生労働省系・地方自治体 | 経済産業省系・地方自治体 |
対象(財源) | 労働者の雇用・教育・待遇改善など | 技術開発・産業復興など |
難易度 | 形式要件に該当していれば受給 | 上限は確定、評価基準は高い |
公募期間 | 通年が多い | 年1回(1~4週間)が多い |
専門家 | 社会保険労務士 | 中小企業診断士、コンサル等 |
ただし、国の中では、補助金と助成金の区別ははっきりとわかれていますが、自治体や民間の機関が用いる助成金と補助金の言葉の中では、厳密な区別がなされているわけではありません。
ハローワークと関係の深い厚生労働省
厚生労働省の助成金とハローワークには、関係がないように思われますが、どちらとも雇用保険事業の一部として機能している機関です。
また、助成金とハローワークは「安心して働ける環境」「事業者が安心して行える社会をつくる」という同じ目的を持っています。
そして、助成金自体を企画する厚生労働省と、その申請先となるハローワークというように、大きな枠組みでハローワークと厚生労働省は、繋がっています。
人材採用に活かしたいハローワークの助成金
ハローワークには、必要事項に記載するだけで「求人票が簡単に作成できる」「無料で求人募集が行える」という他にも、「助成金を利用できる」というメリットがプラスされています。
ハローワークが人材採用のときに助成金を利用すれば、就職困難者の採用拡大し、障害者雇用においては、職業生活の問題を把握することができるようになります。さらに受給される助成金によって、会社の人件費の削減にも繋がっていきます。
助成金を利用するための条件
厚生労働省が行っている助成金は、主に雇用保険料が資金源となっているために、いくつかの要件を満たさなければ利用できません。
助成金はその種類によって受給条件は違っていますが、基本的な要件について見ていきたいと思います。
【一定の基準を満たす条件】
1.雇用保険適用事業所の事業主であること
2.労働基準法など労働関係法令の違反がないこと
3.支給のための審査協力に応じること
4.支給のための審査に必要な書類(就業規則や出勤簿など)を作成・整備・保管
していること
5.申請期間内に申請を行うこと
厚生労働省『各雇用関係助成金に共通の要件等』より)
助成金を利用するには、これらの要件以外にも助成金によっていろいろな受給要件があります。
採用を行う際に、受給要件に該当するのであれば、助成金を積極的に活用してみてください。
数字でわかる中小企業に分類される範囲
助成金のなかで、中小企業となる範囲となるのは、原則として「資本金または出資額、もしくは常時雇用する労働数」を満たすことで、中小企業と認められることになります。
【中小企業の基準】
産業分野 | 資本金または出資額 | 従事雇用する労働者数 |
小売業・飲食店 | 5000万円以下 | 50名以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100名以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100名以下 |
その他業種 | 3億円以下 | 300名以下 |
ハローワークを介しての助成金をご紹介
ハローワーク介して行われる助成金は、数多くありますが、こちらでは採用計画や労働環境を考えた時に、導入し検討しやすい助成金をご紹介していきます。
特定求職者雇用開発助成金
就職困難者となる高齢者やシングルマザーなどのために設けられた助成金です。
ハローワークを介して、続けて雇用することで助成金が支給されます。
もしも、会社の中で発生する事務処理等を、経理や秘書業務の経験を持つシングルマザーや現役を退いた高齢者が担当するようになれば利用することができます。
「特定求職者雇用開発助成金」は、対象者の範囲が広いという特徴を持っている補助金です。
【支給対象となる事業主】
次の(1)~(2)をすべて満たす事業主
(1)母子家庭の母を、ハローワーク・民間の職業紹介事業者等から紹介された
(2)母子家庭の母を継続して雇用し、雇用保険に一般被保険者として加入させている。
【支給金額】
30万円~240万円
参考:特定求職者雇用開発助成金(特定集力者困難者コース)
トライアル雇用助成金
職業経験不足や技能や知識の少ないことによって、就職が困難となる求職者がハローワークや職業紹介業者などの紹介で一定期間の試行雇用したときに利用できる「トライアル雇用助成金」です。
一定期間を雇用することによって、求職者の適性、業務遂行の度合いを見極めることができます。
また求職者と求人者の間で、理解することによって正規雇用へと導いてくれる助成制度です。
【支給対象となる事業主】
次の(1)~(3)をすべて満たす事業主
(1)母子家庭の母を、ハローワーク・民間の職業紹介事業者などから紹介された
(2)原則3カ月のトライアル雇用を行う
(3)(母子家庭の)母の1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度(30時間)
【助成金支給額】
最大5万円
人材開発支援助成金
労働者のキャリアを形成し促進するためを目的とし、職業訓練や人材育成制度を導入し労働者に適用した場合に利用することができます。
若年層の訓練を行う「特定訓練コース」、「職務に関連した技術や知識を習う「一般訓練コース」、非正規雇用の労働者のキャリアアップを目指す「特別育成訓練コース」が用意されています。
参考:人材開発支援徐栄金
キャリアアップ助成金
「キャリアアップ助成金」は、有期契約社員やパートタイム、派遣労働者などの非正規雇用労働者を、安定した雇用となるように処遇を改善した時に得られる助成金です。
「キャリアアップ助成金」は、その状況に応じて7つのコースに分けられています。
【キャリアアップ助成金7つのコース】
①正社員化コース
②賃金規程等改定コース
③健康診断制度コース
④賃金規程等共通化コース
⑤諸手当制度共通化コース
⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース
⑦短時間労働者労働時間延長コース
【キャリアアップ助成金の支給対象となる事業主】
次の(1)~(4)をすべて満たす事業主が支給対象となります。
(1)キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
(2)キャリアアップ計画(※)を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けている
(3)対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している
(4)キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んでいる
【正社員化された労働者1人あたりの支給額の場合】
※< >内は「生産性要件」を満たしている場合
支給対象者 支給額(大企業は下記額の75%支給)
(1)有期雇用労働者 → 正規雇用労働者 57万円 <72万円>
(2)有期雇用労働者 → 無期雇用労働者 28万5,000円 <36万円>
(3)無期雇用労働者 → 正規雇用労働者 28万5,000円 <36万円>
参考:キャリアアップ助成金
障害者初回雇用奨励金(ファースト・ステップ奨励金)
障害者を雇用したことのない中小企業が初めて障害者を雇い入れることによって、要諦雇用率を達成する場合に利用することができます。
中小企業の障害者雇用の促進を図ることを目的として設けられました。
【支給額】
100万円
参考:障害者初回雇用奨励金(ファースト・ステップ奨励金)|厚生労働省
両立支援等助成金
仕事と両立して行う育児や介護に取り組んでいる従業員を援助するために設けられた助成金です。
従業員の職業生活や家庭生活を両立するための支援、女性の活躍推進などのために取り組んだ事業所に助成金が支払われます。
両立支援等助成金には、6つのコースがあり、一定の条件を満たすことで助成金を利用できるようになります。
【6つのコース】
①出生時両立支援コース
②介護離職防止支援コース
③育児休業等支援コース
④再雇用者評価処遇コース
⑤女性活躍加速化コース
⑥事業所内保育施設コース
【中小企業事業主に対する支給額】 ※< >内は「生産性要件」を満たしている場合
条件 支給額
取り組み目標を達成し、加速化Aコースを申請した中小企業 28.5万円<36万円>
数値目標を達しし、加速化Nコースを申請した中小企業 28.5万円<36万円>
女性管理職比率が基準値以上となった場合 47.5万円<60万円>
大企業では、女性管理職比率が基準値以上となった場合 28.5万円<36万円>
※助成金が支給されるのは、各コース1企業1回限り
※業種に関係なく常時雇用する労働者が300人以下の事業主のみを対象
事業主の方への給付金のご案内|厚生労働省
まとめ
ハローワークを介して行われている助成金についての解説と、使い勝手のよい助成金6選をご紹介いたしました。
ハローワークで求人募集を行っている企業でも、「助成金を利用したことがない」というのならば、ぜひハローワークの助成金を検討してみてください。
様々な種類や受給条件がありますので、会社の条件と合う助成金を探し出すことができる可能性は大いにあります。
助成金によって人件費のリスクも下がり、助成金は使途が指定されていないために、自由に使うことも可能です。いつも求人募集で利用しているハローワークで、助成金を視野にいれてみてはいかがでしょうか?