障害者の方のグループホームを新たに開設、運営するにあたり、さまざまな費用を補助する支援制度があるのをご存知ですか?
職員のサポートを受けながら障害のある方が共同生活を送るグループホーム。
安心して暮らせるグループホームを開設し、より長く、安定して運営するために、補助金は事業者にとって大きなサポートになるでしょう。
新たに開設・創設するのに資金繰りを考えている方。
すでに開業していて、入居者の生活水準向上のために施設を整備したい方。
また、入居者の費用負担を軽減したい方。
中には、資金が問題で前に進めない事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このようにグループホームの運営に真剣に悩まれている事業者の方には、是非、補助金制度を知っていただき、条件が合えば利用をおすすめいたします。
補助金は、大きく分けると次の3つとなります。
1.グループホーム施設整備費補助金
2.グループホーム運営費補助金
3.グループホーム入居者家賃補助金
グループホームの開設時だけではなく、そのあとの運営にも資金繰りは大切です。
補助金を知り、うまく利用して、安定した住居とサポートを入居者の方々にご提供ください。
この記事では、各補助金についてそれぞれご紹介していきます。
グループホームの新規開設や施設整備をサポート:整備費補助金
障害者のためのグループホームを新たに開設する事業者や、施設を整備する事業者に向けて各自治体では、補助金制度を設けています。
既存の建物を使ってグループホームを新たに開設する方、建物から作り上げる創設を考えている方。
運営を続けていく中、施設の老朽化による改修や、新たに必要な設備が必要な方。
施設を整備するにあたり、様々な補助金があります。
補助金には、国と自治体とでの補助制度「社会福祉施設等施設整備費国庫補助金」を活用したものや、また、各自治体で独自の制度で交付するものがあります。
是非、ご自身のグループホームのある自治体に問い合わせてみましょう。
社会福祉施設等施設整備費国庫補助金を活用
「社会福祉施設等施設整備費国庫補助金」とは、社会福祉法人等が新たな施設開設する場合や、施設整備に必要な費用を国と自治体が予算の範囲で補助するものです。
入所者等の福祉の向上を図ることを目的としており、障害者施設のほか、保護施設、児童福祉施設、認知症施設も対象となります。
補助基準額を上限に整備費の2分の1を国が補助し、4分の1を自治体が補助、全体で整備に要する経費の4分の3が補助されます。
補助額が大きいので、開設や、運営についての資金繰りをどうしようか悩んでいる事業者には、大変メリットがある補助金です。
施設整備として、創設、新規開設のほか、増築や拡張、老朽化に伴う改築整備や大規模な修繕、そのほか、スプリンクラー設備の整備などが対象となります。
また、整備に伴い、非常通報装置や屋内消火栓設備の設置など、必要な装置を設置する場合も補助の対象になります。
自治体によって予算が異なるので、管轄の自治体に確認をしましょう。
補助金取得にはたくさんの書類を作成したり、申請までに時間がかかったりするデメリットもありますが、前述のとおり、経済的に大変メリットのある制度です。
事業の安定と拡大のために、利用する手はないでしょう。
自治体独自のグループホーム整備支援
「社会福祉施設等施設整備費国庫補助金」のような国が介入している補助金の他、
各自治体独自で実施している支援制度もあります。
一部、自治体の取り組みをご紹介いたします。
補助額や申請の方法等詳細は各自治体にお問い合わせください。
佐賀県 障害者グループホーム開設事業費補助金
佐賀県では、グループホームの開設に伴う初度設備費の費用について補助金を交付し、その活動を支援しています。
開設時には、いろいろな消耗品や備品が必要になります。
細々したものですが、その経費補助があると安心です。
予算の範囲での補助となりますので、詳細はあらかじめご確認ください。
補助対象経費:グループホームの新規開設に必要な消耗品や備品購入費
補助基準額:200万円
問合せ先
佐賀県 健康福祉部 障害福祉課
電話:0952-25-7064
東京都品川区:障害者グループホーム支援事業
東京都品川区では、開設準備に必要な経費を補助金として支援しています。
家屋の借り上げに関する費用の一部も支援対象となっていますので、
品川区で開設、創設をお考えの方は、一度自治体に確認すべきでしょう。
また、施設でとりわけ重要な人材配置のための支援もあります。
〈開設準備経費の助成 〉
・対象経費:
家屋借上げの権利金、礼金、仲介手数料の一部、開設時の備品購入費、事務費の一部を補助します。
〈有資格者の配置助成〉
3年以上の経験のある看護師や精神保健福祉士、臨床心理士、介護福祉士等の有資格者の配置に1人あたり月額10万円を助成します。(1グループホームにつき2人まで)
問合せ先
品区 障害者福祉課
障害認定事務係 電話 : 03-5742-6710
障害者福祉係 電話 : 03-5742-6707
神戸市グループホーム整備支援事業
神戸市では、既にグループホームを運営している事業者が既存の建物を活用して、新たにグループホームを新規開設する場合、もしくは新築する場合(創設)、又は既存の施設をを改修する場合に費用の一部を補助して支援しています。
〈消防設備整備費〉
スプリンクラー設備、自動火災報知設備、消防機関への通報装置などの整備
〈緊急通報装置設置費〉
急に発生した緊急事態に対応するための、緊急通報装置設置経費
〈バリアフリー化等改修費〉
新規開設に要するバリアフリーのための改修
エレベーター・リフト設備設置、トイレ・風呂・洗面所・階段・廊下の改修、階段・廊下の手すりの設置、間仕切壁の防火措置に係る改修、耐震改修など
〈老朽化改修費〉
使用に耐えなくなった箇所の改修工事や外壁、屋上等の防水工事等の改修に要する経費
〈創設費〉
新たに住居を整備(創設)するための経費
*それぞれ、新設、創設、改修など条件がありますのでお問い合わせください。
問合せ先
神戸市総合コールセンター
電話 : 078-333-3330
より長く安定した運営をサポート:グループホーム運営費補助
各自治体では、施設の整備に関する費用の支援のほか、グループホームの円滑な運営を促進する為、その運営に必要な費用を補助する制度を設けています。
運営には様々な経費が発生します。人件費はもちろん、施設の維持費、備品費などランニングコストは毎月発生します。
より長く、安定した運営で、入居者の方々が安心して暮らせる住居を確保することが大切だと言えるでしょう。
各自治体では、運営をサポートする補助金制度を設けています。
自治体が行っている運営費補助の一例をご紹介いたします。
千葉県浦安市:障がい者グループホーム運営費補助金
千葉県浦安市では、入居者がより快適に生活できるようグループホームを運営する事業者に対し、運営のための経費の一部について補助金を交付し福祉の促進に努めています。
施設のメンテナンスだけではなく、人に関する経費や消耗品費の補助は、大きなサポートになるでしょう。
〈対象経費〉
指導員など職員の賃金、旅費、需用費、役務費、委託料、使用料および賃借料ならびに備品購入費の補助。
補助額は自治体にお問い合わせください。
問合せ先
浦安市 障がい事業課
電話:047-712-6397
厚木市障害者グループホーム運営事業補助金
厚木市では、グループホームの体制整備を促進するため、家賃の他、グループホームの常勤支援員の配置促進に要する経費を補助しています。
家賃の補助はもちろん、入居者にとって支援のスタッフの存在は大きな安心材料となるため、支援員配置促進の補助は施設の水準向上にもつながるでしょう。
厚木市では、上述の家賃支援や支援員配置促進支援の他、運営費、医療的支援など入居者向けの個別の支援費も設定しています。
一例:
〈居住支援〉
・補助対象:施設利用に係る家賃
・補助基準額 : 利用者1人当たり 家賃の2分の1(上限30,000円/月)
・補助対象期間 : 3年間
〈グループホーム介護支援〉
・事業実施に必要な報酬、給料、職員手当等、共済費、旅費、役務費、需用費など
・補助基準額 利用者1人当たり 9,700円/月
問合せ先
厚木市 障がい福祉課障がい給付係
電話 : 046-225-2225
グループホーム入居者をサポート:家賃補助
障害者自立支援法に基づき、グループホームの入居者の家賃を補助する「特定障害者特別給付費」という制度があります。
入居者の経済的負担が少しでも減ることは、大きなメリットとなります。
全ての自治体で実施している制度なので、対象者は是非利用して入居のサポートを受けるべきでしょう。
特定障害者特別給付費とは
所得の低い方に対して支給決定有効期間内において、グループホームなど障害者の福祉施設における食費や光熱水費の一部を支給するものです。
給付対象者
生活保護受給者・市町村民税非課税世帯の者
給付額
最大月額1万円
問合せ先:各自治体にお問い合わせください。
まとめ
ひとりひとりのニーズに沿った支援を提供することができるグループホーム。
支援を受けながら、障害のある方が少しでも自立した生活を送るのに欠かせない場所となるでしょう。
入居者の方々が安心してグループホームで暮らすには、適した施設設備や、経験と志のある介護スタッフが必要です。
それらを実現するには、長期的で安定した資金繰りが必要となります。
継続的なグループホームの運営のために、国や自治体の補助金制度を是非ご利用ください。
制度は自治体によって様々です。条件や内容も変わることがありますので、早めに確認していきましょう。
福祉の向上のために取り組む事業者の方々の問題解決の糸口になることを祈っております。