
ディーゼル車というと、音がうるさく黒い煙を出しながら走る環境に悪い車、というイメージがありました。
実際に、従来のディーゼル車はそのイメージ通りの車でしたが、近年では環境問題が深刻なことから規制が厳しくなっています。
クリーンディーゼル車は、その厳しい規制もクリアするエンジンで、粒子状物質(PM)や窒素酸化物(Nox)の排出量が少ないディーゼル車に生まれ変わりました。
クリーンディーゼル車を普及させるために、購入する際には補助金をもらえる制度もあります。
この記事では、クリーンディーゼルとは何か、補助金を受け取るにはどのように申請をすれば良いかの解説をします。
INDEX
クリーンディーゼル車の補助金
ガソリン車よりも購入するよりもお金がかかってしまうクリーンディーゼル車ですが、有害ガスや二酸化炭素の発生を大幅に抑えて環境に配慮したエコな車として購入に際しての補助金の対象となっています。
補助金は国や自治体から受け取ることができます。
補助金の名称
クリーンディーゼル車の補助金の名称は、クリーンエネルギー自動車(CEV)等導入促進対策費補助金です。
プラグインハイブリット車や電気自動車も同じく、この補助金の対象となっています。
補助金を受け取るには、対象車を購入した後に申請をして審査に通れば2~3ヶ月後に指定の口座に振り込まれます。
クリーンディーゼル車の補助金の手続き
クリーンディーゼル車を購入した際に受け取れるクリーンエネルギー自動車(CEV)等導入促進対策費補助金は、申請をする必要があります。
補助金を受け取るのに必要な書類と、申請について確認しましょう。
補助金の申請手続きは、地方公共団体・その他の法人、個人、リース会社とそれぞれ必要書類などが異なります。
ここでは、個人が申請する場合を解説します。
9つの必要書類
補助金の申請書に必要な書類は、以下の9つになります。
■補助金交付申請書
■申請者の本人確認書類(運転免許証・健康保険証・住民票の写し・印鑑登録証明書の写しのいずれか)
■申請車両の確認書類(車検証または標識交付証明書)
■申請者が車両の所有者で使用者だということを証明する書類(保管場所標章番号通知書など)
・車両代金を支払ったことを確認できる書類(申請者宛ての領収証・銀行発行の振込証明書・車両販売会社からクレジット会社宛ての領収証など)
■車名および購入価格の確認書類(注文書、請求書、契約書など)
■下取車がある場合は下取価格が車両代金の一部に充当されたことの確認書類
■型式が不明な場合の車両の仕様確認書類
■補助金を受けた書類の管理のための書類
書類についての詳細は、次世代自動車振興センターのウェブサイトにありますので、記入の仕方などをご確認の上書類を作成してください。
次世代自動車振興センターに輸送
申請書類が準備で来たら、次世代自動車振興センターに送付します。
申請書の受付期間(平成30年の場合)は、受付期間が平成30年4月20日~平成31年3月4日(必着)で、初年度登録期間が平成30年2月1日から平成31年2月22日までの車両が対象となっています。
注意しなければいけないのは、申請書類の提出は車両の初年度登録の日から1か月以内ということです。
初年度登録した日付の1ヶ月後の前日の消印までが有効です。
たとえば、6月5日に車両を初めて運輸支局に登録申請した場合は、7月4日の消印までが有効ということになります。
万が一、支払いなどの関係で間に合わない場合は例外的に申請できますので、次世代自動車振興センターに連絡をしてください。
申請後2~3ヶ月後に入金
申請をすると次世代自動車振興センターにて審査が行われ、審査通過後に銀行振り込みで補助金を受け取ることができます。
申請から大体2~3ヶ月後に入金されます。
クリーンディーゼル車の補助金での注意点
車体価格や維持費がガソリン車よりも高くなるクリーンディーゼル車ですが、補助金制度があるのは嬉しいですね。
しかし、補助金を受ける場合は注意することがありますので気を付けてください。
手放す際は補助金を返還する必要がある
国から補助金を貰って購入した車をすぐに売却するなどの転売や悪用を防ぐため、補助金を受けた場合には、定められた期間(3年ないし4年)は車両の保有が義務付けられています。
もし、その期間内にやむを得ない事情で車両を手放さなければいけない場合は、処分する前にセンターに連絡をする必要があります。
その際は、補助金の一部を返納することになります。
ただし、車両の処分が以下のように所有者の責任ではない場合は返納する必要はありません。
■ 天災などにより走行不能や行方不明となり抹消処分した場合
■ 過失の無い事故により走行不能となり抹消処分した場合
■ その他、一般社団法人次世代自動車振興センターが特に認めるもの
センターでは、補助金を支給した車両については定期的に保有状況を確認しますので、勝手に処分することの無いように注意しましょう。
処分する時には必ずセンターへの届け出が必要になります。
万が一、センターに届け出をしないで処分したことがわかると、補助金の全額返納ということにもなりますので、必ず届け出をするようにしてください。
値引きや下取りの影響で補助金の金額が下がる
クリーンディーゼル車への補助金は、上限が15万円です。
補助金額算出方法はこのようになります。
■ 補助金額=(車両本体価格-基準額)×補助率
車両本体価格とは、メーカー希望小売価格で消費税抜きの価格です。
ただし、この価格は実際に支払った税抜きの価格が考慮されます。
もし定価から値引きや下取りがあった場合には、補助金の金額が下がる場合もあります。
基準額とは、補助金を申請するクリーンエネルギー自動車と同種・同格のガソリン自動車の価格と、クリーンディーゼル自動車の一定年数分の燃料代などのランニングコスト削減想定分を加えた価格を指します。
補助率とは、補助すべき比率のことで、クリーンエネルギー自動車の区分ごとの補助率となります。クリーンディーゼル車の場合は1/12です。
そもそもクリーンディーゼルとは何か?
クリーンディーゼルとは、環境に悪い従来のディーゼルエンジンのデメリットを改善した新しいディーゼルエンジンです。
ディーゼルエンジンによる排ガス問題から自動車NOx・PM法やディーゼル車規制条例などが施行され、環境基準をクリアしないディーゼル車は一部の地域を通ることができなくなるなどには風当たりの強い時代もありました。
しかし、各自動車メーカーが改良を加えた結果、クリーンディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも優れた環境性能を持つようになりました。
CO2の排出量もガソリンエンジンに比べて少なく、クリーンディーゼルは次世代自動車の一つとして認定されています。
ディーゼルエンジンの特徴
ディーゼルエンジンは軽油を燃料として動くエンジンです。
熱効率が良く、パワフルで燃費が良いのが特徴です。
ガソリンよりも安い軽油で動くので費用が安く済む、ガソリンエンジンよりも排出する二酸化炭素が少ない、低回転でも高いトルクが得られるなどのメリットがありました。
一方で、出力が大きいことから、トラックやバスなどの大型車に使われますが、粒子状物質(PM)や窒素化合物(NOx)の排出などで環境への悪影響が懸念され、エンジン自体がガソリンエンジンよりも高価なことと、エンジン音が大きいというデメリットがありました。
デメリットを技術で解消
ディーゼルエンジンのデメリットを解消しようと、様々な改良がおこなわれて誕生したのがクリーンディーゼルです。
ディーゼル車の排ガス規制は年々厳しくなり、現在敷かれているポスト新長期規制は世界基準で見てもとても厳しいもので、以前の基準に比べてNOxは84%減、ススは98%減と決められています。
その厳しい排ガス規制をクリアするために、各メーカーは工夫を凝らしてきました。
コモンレールシステムという新しい燃料噴射技術は、従来よりも燃料を細かく霧状に噴射することで燃え残りを少なくし、不完全燃焼によるNOxやススの発生を押さえることに成功しました。
クリーンディーゼルのメリット
クリーンディーゼルのメリットは、ランニングコストが良く、パワフルで地球にやさしいということです。
そのメリットから、環境問題の事も考え補助金ができました。
燃料が軽油
ディーゼル車は、軽油を燃料としています。
軽油はガソリンに比べて安く、燃焼効率も良いので燃費が良くなります。
ディーゼルエンジンは、エンジン内部の圧力を高くすることによって軽油を自然発火させて燃焼させる仕組みです。
それに対して、ガソリンエンジンは、エンジンの内部にガソリンを取り込み、スパークプラグから出る火花で着火してガソリンを燃焼させます。
ディーゼルエンジンは圧縮比がガソリンの約2倍高いので、低回転でも高いトルクが得られて発進や加速の際にガソリンエンジンよりもパワーを発揮します。
高い耐久性
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べてシンプルな構造をしているので壊れにくいと言われています。
ディーゼルエンジンは軽油を噴出して燃やす際の空気の圧縮率がガソリンエンジンよりも高いので、それに耐えられるようとても丈夫に作られているのです。
クリーンディーゼルのデメリット
では、クリーンディーゼルのデメリットとは何でしょうか。
一番は、コストがかかるという点です。
ガソリン車より価格が高い
クリーンディーゼル車は、排ガス規制をクリアするためにススなどを取り除くフィルターを装着するため、エンジンの価格が高価になります。
エンジンの振動と音もガソリン車に比べると大き目で、気になる人にとってはデメリットです。
維持費も高め
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて早めにオイル交換をする必要があります。
ガソリン車の場合は大体7,500~1万kmを目安にオイル交換をしますが、ディーゼル車の場合は5,000kmを目安にオイル交換をします。
そして、ディーゼルエンジン用のオイルは、ガソリンエンジン用よりも高価な傾向にあります。
また、排ガスを処理するためにアドブルー(尿素水)を使用している車種では、定期的に補充をする必要があります。
アドブルーが不足している状態では排ガス処理ができないので、そのまま走ることはできません。
まとめ
ディーゼルエンジンは環境に悪いというイメージがありましたが、近年は排ガスなどの規制により、各メーカーがディーゼルエンジンを改良してクリーンディーゼルエンジンとして生まれ変わってきました。
ガソリンエンジンよりもパワフルで燃費が良く、ランニングコストが良いというメリットを持ったクリーンディーゼル車ですが、購入費や維持費が高いというデメリットもあります。
環境に良いクリーンディーゼル車を普及させようという補助金の申請の仕方もご説明しましたので、新車を購入する際にはクリーンディーゼル車も検討してみてはいかがでしょうか。