グローバル ブレイン vc

グローバルブレイン(VC)の特徴や投資実績など5項目を解説

ベンチャーキャピタル

ベンチャー企業やスタートアップ企業、中小企業にとって資金調達は大きな課題の一つです。資金調達方法は融資やファクタリングという方法もありますが、ICO・IEO・STO・IMOという様々な資金調達方法のあるブロックチェーンや仮想通貨(暗号資産)業界でもベンチャーキャピタル(VC)の出資は52%と大半を占めており、これから事業を展開し、企業を大きく成長させていくベンチャー企業にとってベンチャーキャピタルからの出資がどれほど大切なのかということがわかります。

日本では2012年頃からオープンイノベーション推進のため大企業が次々とCVCファンドを設立しており、第4次ベンチャーブームと言われる現在はベンチャー企業にとっても出資を受けやすいタイミングと言えるのではないでしょうか。

今回ご紹介するグローバル・ブレインはその名の通り、グローバル規模でベンチャー企業への支援を行っているベンチャーキャピタルです。2016年に発表した200億円という大規模な第6号ファンドではメルカリ、ラクスル、エブリーなどに投資。

2018年12月には積極的にオープンイノベーション推進を行っている大企業16社を集め「α TRACKERS(アルファトラッカーズ)」を設立。日本を代表するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)運営企業をコミュニティ化し支援していくことを発表したりなど、ただ投資を行うだけではないそのユニークな試みも注目されています。

この記事ではそんなグローバル・ブレインの会社概要、特徴、投資先企業や投資実績などについて詳しく解説していきたいと思います。

グローバル・ブレインについて

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同じベンチャーキャピタルと言っても企業によってそれぞれ個性がありますが、様々な業種のベンチャー企業へ出資を行っているグローバル・ブレインは徹底したハンズオン支援を行っているベンチャーキャピタルです。

会社名にもあるように、「グローバルに活躍するベンチャー企業を何社創出できるか」ということをテーマに掲げており、ベンチャー企業を支援し成長させていくだけでなく、自らも成長、変革を繰り返しつつグローバルなベンチャーキャピタルを目指しています。

出資しているジャンルも幅広く、EC、ゲーム、メディア、教育、クラウド、Fintech、広告、IoTなど様々な分野のベンチャー企業に投資。2001年に2001年に森トラストグループをLP出資者として20億円の1号ファンドを組成してからKDDI、産業革新機構、ニフティ、SBI証券らを出資者としたファンドを運用し、これまで数多くの企業へ出資を行ってきました。

富士銀行(現みずほ銀行)シティバンク・エヌ・エイ バイスプレジデントを経てグローバル・ブレインを創業したグローバル・ブレイン代表である百合本安彦氏は「ベンチャーキャピタルとして1社でも多くの将来性あるベンチャーキャピタルを支援したい、育てていきたいという気持ちの強さでは、他社には絶対に負けません」とホームページでもその想いを語っており、事実その通り、その気持ちの強さと経験、実績を最大限に活かし現在まで数多くの企業へ投資を行ってきました。

グローバル・ブレインは「グローバル・ブレインの財産は人です」と語っており、社員一人ひとりはもちろん、チームワークを非常に重視している企業です。社員の家族を含めたライフイベントのサポートやオフィス内環境の整備、コミュニケーションの場を取るなど、快適に働けるような環境作りを徹底しており、このような姿勢は出資先のベンチャー企業を選考する際にも影響すると考えていいでしょう。ベンチャーキャピタルは企業ですが、直接やり取りをするベンチャーキャピタリストは一人の人間です。そこも踏まえ、自社や経営陣と相性が合うかどうかを考えてみましょう。

グローバル・ブレインとコンタクトを取りたいという場合にはホームページの「コンタクト」からコンタクトすることも可能です。「ベンチャー支援に関するお問い合わせの場合には貴社事業概要等もご記入ください」とあるので、ここから自社事業についてアピールして見るのも良いかも知れません。

しかしながら、グローバル・ブレインには数え切れないほどのベンチャー企業からの出資の依頼が入っているはずです。目にとまる内容であり、かつ出資を検討させる力のある事業概要でなければまずいい返事をもらうことはできないでしょう。

会社名 グローバル・ブレイン株式会社
設立日 1998年1月
代表者 百合本安彦
資本金 1億円
所在地  東京都渋谷区桜丘町10-11

グローバル・ブレインの特徴

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株式市場の低迷、経済が落ち込み多くの大手ベンチャーキャピタルがアーリーステージのベンチャー企業への投資を控えた時期でも「100年に1度の投資の好機」ととらえ、むしろ積極的な投資活動を続けてきたグローバル・ブレインは、大手ベンチャーキャピタルとは違う大きな特徴があります。

それが、スタートアップやアーリーステージにフォーカスした出資を行っているということです。出資自体は事業の立ち上げ期であるシードから、上場支援の段階に入るレイターまで、幅広い出資を行っています。

また、投資を行った後も徹底的なハンズオン支援で、その企業に合わせた数多くのサポートを受けることが出来るというのもグローバル・ブレインというベンチャーキャピタルの特徴と言えます。

投資判断に必要な資料を揃えてからおよそ1ヶ月ほどで投資実行となりますが、シードステージ向けの投資プログラムもあり、より素早い資金調達が必要となるシードステージのベンチャー企業は更に短期間で投資を実行することも出来ます。

また、出資者が事業会社というのも大きな特徴でしょう。ベンチャーキャピタルは複数投資家や事業会社から集めた資金を運用する投資会社ですが、グローバル・ブレインの場合は機関投資家へはアプローチも、営業も一切していません。

2009年時点では大体10億円から20億円ほどが一番質が保てるとして、ファンドのサイズを決めていましたが、2016年にはJTB、三井住友銀行、クールジャパン機構、住友林業、電通国際情報サービス、KODENホールディングス、KDDIらを出資者として200億円という大規模な第6号ファンドで投資を開始。ベンチャー企業へ投資を行うだけでなく、常にチャレンジし続ける姿勢を持ったベンチャーキャピタルであると言えるのではないでしょうか。

アメリカ、韓国、東南アジア、イスラエルなどのベンチャーキャピタルとの協調投資によってグローバルなネットワークを構築しつつあり、技術ベンチャーのグローバル展開を戦略的に支援する枠組みができつつあります。

複数の目的の異なるファンドを運用しているというスタイルもユニークで、グローバル・ブレインは他のベンチャーキャピタルとは違ってかなり個性的で挑戦的な企業であると言えるでしょう。

グローバル・ブレインの投資実績

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グローバル・ブレインは今まで数多くのベンチャー企業へ出資を行っており、うちIPO15社、M&A46社という実績があります。

今まで出資を行ってきた企業としてはフリマアプリの「メルカリ」、ハンドメイドや手作り、クラフト作品の販売サイト「Creema」、メッセージを動画コンテンツ化して発信する「ONE MEDIA」スマートデバイス向けのネイティブゲームを開発・運営の「ワンダープラネット株式会社」、印刷のeコマース「ラクスル株式会社」など、数多くの有名企業にも投資を行ってきています。

グローバル・ブレインのホームページでは、このような企業社長にインタビューを行い、どのような流れで出資に至ったのか、グローバル・ブレインについて感じることなどが語られた記事が公開されています。これからグローバル・ブレインから出資を受けたいと考えている経営者や起業家の方は一度参考にしてみるといいでしょう。以下で一部抜粋してご紹介します。

2013年2月に会社を設立し、スマートフォン向けのフリマアプリ「メルカリ」を運営しています。だれでもスマホだけで、簡単かつ安全に売り買いが出来るというコンセプトを実現しようとしたアプリで、去年の7月にリリースして、いま約1年ちょっと経過したという状況です。KPIで言うと、2014年7月現在で、アプリの累計ダウンロード数が400万超、1日の出品数が10万品超で、1か月あたりの流通金額が10億円超となっています。規模感はまだまだ小さいですが、順調に成長していると考えています。

(中略)

―――グローバル・ブレインとの出会いと、投資決定に至ったプロセスについて教えてください。

担当の方とは以前から知り合いでしたので、資金調達活動を始める際に、こちらからお声掛けさせていただいたのがきっかけですね。
世界を目指していくなかで、そもそも資金調達の希望額が大きかったこともあり、それほど多くのVCさんにお声掛けする状況ではありませんでした。

(中略)

ハンズオン支援と聞くと、仔細に渡って管理されるのではと不安になるベンチャーさんもいらっしゃるようですが、VCが細かく投資先企業を把握する事は当然だと思いますし、細やかなハンズオン支援も必要だと思います。グローバル・ブレインさんは、まだ規模的にはこれから、という小さな会社さんにも思いきって投資されてるし、ハンズオン支援はぜひやって頂きたいと思います。

(2014年7月)

引用元:インタビュー・株式会社メルカリ 代表取締役社長 山田進太郎

弊社の会長である石川と、グローバル・ブレインの代表である百合本さんがパーティーの席で出会ったことがきっかけでした。「ゲーム会社に興味はありませんか?」と石川が持ちかけたところ、百合本さんに興味を持っていただきました。その後、ワンダープラネットがどのような会社で、どのような戦略を持っているのかを担当の方へ説明しに行きました。

実は、投資していただく以前に、メルカリの代表である山田進太朗さんから「百合本さんは男気があって、意思決定が早い。日本でこれほど早く、ボリュームも出してくれるVCはいないよ。」と聞いたことがありました。実際に石川が百合本さんに出会ってから投資決定していただくまでは約1ヶ月。本当に早いスピード感でした。

(中略)

当時、スマートフォン向けゲーム開発会社の資金調達環境が情勢的に厳しいタイミングにあり、私たちも様々な投資家、事業会社とお話しても出資を得ることが困難でした。

そのような中、「ファンドとしてはゲーム会社には出資しない」というルールがあったにも関わらずに、その枠組みを飛び越えて、私たちを信頼し、出資を決めていただけたのがグローバル・ブレインさんでした。

(2016年12月)

引用元:インタビュー・ワンダープラネット株式会社 代表取締役社長CEO 常川友樹

また、前述の通りグローバル・ブレインは2018年12月、積極的にオープンイノベーション推進を行っている大企業16社を集め「α TRACKERS(アルファトラッカーズ)」を設立したりと、CVCを一過性のブームで終わらせないための仕組みを作るという取り組みにも乗り出しています。

2019年には国内外のベンチャー企業・スタートアップ企業に出資する運用総額350億円〜400億円の新ファンドを設立したりと、今後更に投資実績が積み上げられていくことになるでしょう。

グローバル・ブレインの投資先・投資対象企業

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様々な成長ステージのベンチャー企業に積極的な投資を行っているグローバル・ブレインですが、ただ手広く投資をしている訳ではありません。市場の成長性、会社の強み、経営者の資質、起業家精神、道徳性、事業分野などについて1ヶ月半ほどかけて徹底的に検討し、出資企業を決めているといい、100社検討し1社に投資を行うというかなり厳しい選定基準となっています。

しかし、投資が決定した瞬間からは徹底的な支援を行います。主担当と副担当で成長ステージに合わせた支援内容を考え、企業のサポートを行っていきます。初期ならばビジネスモデル構築の支援、その後は営業戦略の立案、人材の採用支援、アライアンス先の探索、IPOが近づけばそのプロセスの支援も行ったりと、そのサポート内容は幅広いものがあります。「グローバル・ブレイン・ヒューマン・キャピタル」という子会社では人材紹介も行っています。

IPO支援では1社あたりに5人から7人の担当者がつき、短くて3年、長くて7年に渡り中長期的なスタンスでの支援を行います。出資先企業の取締役にもなりますが、上場した後も監査役となるケースもあり、IPO後が不安だという経営者や起業家にも大変心強い存在となるでしょう。

グローバル・ブレインの平均的な投資額

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出資金額のレンジは大体3000万円から10億円ほどで、出資額は企業の成長ステージなどによっても異なります。

2017年にはネットビジネスからAIやロボット、IoT(モノのインターネット)などものづくり系のベンチャー企業へ投資先を広げており、この時にはアーリーからミドルの段階により多くの資金供給を目指し、1社あたり2億円から5億円ほどの出資が目安となっていたようです。

まとめ

世界を意識したベンチャーキャピタルであるグローバル・ブレインは徹底的なハンズオン支援を行うベンチャーキャピタルであり、投資先企業の選定基準はかなり厳しくなるものの、投資を受けることが出来れば幅広いサポートによって事業の拡大、企業の成長を強く後押ししてくれる非常に頼もしいベンチャーキャピタルです。

人やコミュニケーション、働く場所の環境を大切にしている企業であるため、グローバル・ブレインに出資を申し込むのであればある程度環境は整えておきたいところです。また、メルカリやワンダープラネット社長のインタビューからもわかるように、人とのつながりは非常に大切です。ピッチコンテストや様々なイベントに積極的に足を運ぶことも自社と相性の良いベンチャーキャピタルと出会うためには必要不可欠と言えるのではないでしょう。

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