
中小企業において、従業員に対しての福祉を充実させたり、生活の質をサポートしてあげたりすることは、容易にできることではありません。しかし、中小企業を支援してくれる団体へ加入すれば、従業員の福祉や生活のサポートの手助けが行えるようになります。
こちらの記事では、補償や助成金などで中小企業を支援してくれる公益財団法人の日本フルハップについて、くわしく解説しています。
従業員の補償や福利厚生の質をあげたいと感じている方は、ぜひご覧になってみてください。
INDEX
中小企業を応援している日本フルハップについて
日本フルハップは、昭和63年に「中小企業における勤労者の福祉の向上を促進し、 勤労者生活の質的向上を図ることを目的とした公益財団法人」として、大阪で設立されました。
略称の「フルハップ」の意味は、「FULL(いっぱいの、満ちた」と「HAPPY(幸せな)」という英語を使った造語で、会員が「幸せいっぱいであること」を願って名付けられています。
フルハップの3つの柱で中小企業をサポート
日本フルハップが行っている事業は、中小企業の健全な発展をサポートする目的で、「災害防止事業」「福利厚生事業」「災害補償事業」の3つの事業が設けられています。
それぞれの事業によって、ひとつではなく多方面から中小企業の支援を行っているのが日本フルハップの特徴と言ってもいいでしょう。
「災害防止事業」「福利厚生事業」「災害補償事業」の3つの柱にはどのような特徴があるのか詳しくみていきましょう。
1つ目の柱:ケガの補償(災害補償事業)
日本フルハップの1つ目の柱は「ケガの補償」です。もしも加入者が、ケガをして通院、入院、医師の往診、障害が残った時、お亡くなりになられた時に補償を行っています。
こちらでいう「ケガ」とは、急激かつ偶然の事故(外来)によって、身体に被った障害を指します。
もしもの補償が充実
仕事外のケガも補償!
通・入院、最高1年間の長期補償!
補償内容
ケガによって通院した時の場合、「ケガをした日から起算して180日まで」は1日2,500円、「ケガをした日から起算して181日以降1年以内」は1日2,000円です。
またケガによって入院した場合、「ケガをした日から起算して180日まで」は1日5,000円、「ケガをした日から起算して181日以降1年以内」は1日4,000円となります。
障害が残った時には、1,000万円(1級)~15万円(14級)となり、死亡したときには1,000万円の補償となっています。
1年を補償の限度として、ケガが1年以内に治癒、または症状が固定したときには、その日までの支払となります。
補償の5つの特徴
①仕事中や仕事外を問わず24時間中のケガについて補償してもらえる
②補償の期間はケガをされた日から最高1年間の長期補償が設けられている
③ケガによって障害が残った場合は、障害の程度に応じて、当財団規約に定める障害補償等級区分により最高1,000万円までの補償が受けられる
④通院・入院・往診補償費は治療の初日分からの支払いとなる
⑤補償費は他の保険とは関係なく受け取ることができる
2つ目の柱:ケガの防止(災害防止事業)
日本フルハップの2つ目の柱は、「ケガの防止」となる職場の安全衛生設備や職場環境改善に対してのサポートです。安全で快適な職場となるように助成金などによって支援を行ってくれます。
安全な職場づくりのための助成金
対象となるのは、安全な職場づくりのために、次の項目を購入または実施された場合に助成金が支給されます。
【職場の安全を確保するために】
ヘルメット
安全靴
台車
墜落制止用器具(安全帯)
保護眼鏡、防災面
作業用踏み台・脚立
階段の手すり、階段の滑り止め、安全プレス機械、床材等の防滑加工、床面の段差解消スロープ・・・など
快適な職場づくり
次のような快適な職場づくりを行う際にも助成金が支払われます。
エアコン
空気清浄機
換気扇
照明機器
加湿機、除湿機
電動シャッター
エレベーター、自動ドア、電動シャッター・・・など
職場の衛生向上
職場の衛生を考え向上を図るために、次の項目を実施した時に助成金が支払われます。
防じんマスク
防毒マスク
局所排気装置、集じん機、除じん装置、排液処理装置
作業環境測定
特殊健康診断
その他の助成
上記以外にも日本フルハップでは、「指定の講習を修了した場合」「安全衛生推進者養成講習」「安全運転管理者等法定講習」「プレス機械特定自主検査」を受けた場合などの助成しています。
また、安全衛生啓発活動として会報誌「まいんど」の配布を通じて安全衛生や交通安全に関する情報および資料の提供、無事故・無違反を目指すコンクールの実施、各種安全フェスティバルなども開催しています。
助成される例
災害防止助成制度の例をとってみてみましょう。
事業所にエアコンを8万円のエアコンを設置し、従業員用の3万円のヘルメットと安全靴を購入した場合です。これらの費用総額は11万円となり、その場合の助成額表に当てはめてみると、2万円の助成額となります。
3つ目:福利厚生(福利厚生事業)
最後に、日本フルハップの3つ目の柱となる「福利厚生」は、人間ドックの受診、契約保養施設の宿泊での助成が受けられます。
また、観劇、コンサート、プロ野球観戦の招待などが含まれ、事業主や従業員、さらには家族の方までもの生活を豊かにしてくれる支援を行っています。
人間ドック受診への助成金
日本フルハップに加入となっている方が、人間ドックを受けられた場合には、1人につき1回10,000円まで助成金が支給されます。ただし、1年度1人1回となっており、本人負担額が10,000円に満たない場合には、その金額となります。
助成額
1人1回10,000円
保養施設宿泊への助成金
加入者が契約保養施設に宿泊した場合には、1人1泊につき2,000円、小人の場合は1,000円が助成金として支給されます。ただし、ひとつの事業所において、年度間のなかで3回までとなり、1回あたり2泊が限度となっています。加入数によって利用人数が定められているので、ご確認ください。
日本フルハップでは、全国各地に約90ヶ所もの契約保養施設が存在していますので、そのなかから選ぶことができます。
催物等にご招待
下記のような催し物に招待してもらえます。詳しい内容や応募方法は、会員情報誌である「まいんど」をご覧になってみてください。
観劇、歌謡ショー、コンサート
プロ野球・Jリーグ観戦
お笑い劇場・寄席
映画鑑賞、美術館、水族館、レジャー施設
会員懇親ゴルフコンペ・ボウリング大会の開催・・・など
各種割引サービス
日本フルハップでは様々な分野での各種割引サービスも行っているので、加入者の用途に合わせて利用することができます。
【メンバーズカード割引サービス】
日本フルハップと契約しているデパート、ホテル、旅行会社、レンタカーを利用される場合に割引サービスが受けられる。
【日本フルハップ クラブオフ】
宿泊施設やエンターテインメント施設、ショッピング、グルメ、エステ、育児施設など、多彩なメニューが優待料金で利用することができる。
その他のサービスや支援など
その他のサービスとして、「法律・財務・労務に関する相談」「総合健康懇談」などの相談などを行っており、懇談会の予定日は会員情報誌「まいんど」で確認することができます。
また、「会員の交流と能力開発の支援」として、研修助成、通信教育助成、女性交流などの場を設けての会員同士の親睦や情報交換を行い、さらに「心とからだの健康づくり」などの身体と心に関してのセミナーを開催しています。
なお、日本フルハップからのお知らせや情報の提供をしる会員広報誌「まいんど」は、毎月1回の無料配布です。
介護に携わっている方の疲労回復に対する助成
事業主(法人の場合は代表役員)と同居している要介護高齢者がいる場合、介護をしている加入者が疲労回復のために、柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の施術を利用した時に助成金が支払われます。
助成額は、1回あたり2,000円まで、1年度間にひとつの事業所において3回までです。もしも本人負担額が、2,000円未満だった時には、その金額での助成となります。
助成額 1回あたり2,000円
フルハップに加入して会員となれる方
日本フルハップと加入契約を締結できるのは、法人と個人事業主となります。
常時雇用する従業員の数が300人以下、または資本金の額が3億円以下の中小企業が対象です。
会員となる事業所で働いている方、満18歳以上の次のいずれかに該当する方が加入できます。以下に加入の対象となる方を表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
(1)役員
取締役、監査役、理事、監事などの登記をされている方
(2)事業主
個人事業主の方
(3)家族従業者
役員または事業主の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)にあたる方。ただし、他の事業所でも働いている場合は、他の事業所で働いている時間が会員の事業所で働いている時間よりも長い方は加入できません(会員の事業所が農林漁業である場合を除く)
(4)幹部従業者
役職等にかかわらず、役員または事業主と一体となって事業経営に従事していると認められる方
(5)従業者
常時雇用する従業者の数(役員、事業主、家族従業者、幹部従業者の方を除く)が5人以下の事業所における当該従業者の方
ただし、原則として雇用保険の被保険者でない方は加入できません。
(6)介護従事者
代表役員または事業主の家族(配偶者、直系血族、兄弟姉妹、家庭裁判所が決定したときは3親等内の親族)が介護保険法に基づき要介護の認定を受けている場合、その介護にあたっている方
フルハップの会費について
会費
加入者1名につき月額1,500円
会費は、年齢や業種に関係なく加入者1名につき月額1,500円となっています。会費は、毎月7日(休業日の場合は翌営業日)の支払いです。信用金庫に開設されている法人または個人事業主名義の預金口座から自動振替となっています。
なお、会費のなかには、ケガの補償として852円分が、保険料相当部分の経費として含まれています。
まとめ
中小企業を助成金やサービスで支援してくれる日本フルハップについて、わかりやすく解説してみました。ケガの補償、ケガの防止、福利厚生と3つの柱を軸に、従業員のサポートをしてくれる日本フルハップは、安心して働くことができる公益財団法人といえるでしょう。
いざという時の補償や職場環境を整えることは、中小企業にとっては大きな負担となりますが、月額1人につき1,500円ですむ日本フルハップに加入すれば、小さな負担で補えるのではないでしょうか?
安心できる職場につなげたいと考えている事業主の方は、ぜひ一度検討してみてください。