不動産 申告

不動産の資金調達に利用できる4つ助成金と受給後の申告方法

助成金

返済義務がない助成金や補助金は、事業運営や資金調達のサポートとして活用することができます。

特に高額な資金調達を要する不動産関連には、条件を満たすことで数百万円もの補助金が受け取れる場合もあるほどです。

不動産の改修や取得を行う方にとって、このような補助金は力強い支援となってくれますが、不動産関連で手に入れた助成金や補助金は申告しなくてもよいのでしょうか?

こちらの記事では、そのような疑問を解消するために、不動産関連で利用できる助成金や補助金と、受け取った後の申告や減免について解説していきますので、ぜひご覧ください。

不動産を取得する時に利用できる助成金

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国や自治体から支給される助成金は、条件を満たせば支給され返済する必要がないお金です。

多くの資金が必要な不動産の補強や改修、取得時には、自己資金や住宅ローンなどでのやりくりが必要ですが、そのような時に支援してくれる助成金は心強い存在となってくれるでしょう。

では次に、どのような助成金が不動産向けとして用意されているのか見ていきます。

耐震補強工事助成金

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耐震補強工事は、高額な工事費用がかかり、外観や内装での問題が発覚しにくいために先送りされがちです。

しかし、大きな地震がいつ起きるのかわからない現代では建物の耐震改修は欠かせないものとなるでしょう。

耐震補強工事助成金は、そのような耐震工事にかかる費用を自治体が助成しています。

すべての自治体が助成しているわけではありませんが、補強計画に基づく耐震補強工事にかかる費用の一部を助成しています。

補助対象要件

耐震補強工事助成金の主な要件は下記の通りとなります。

◆補強計画に基づく耐震補強工事であること

◆木造耐震診断士が工事監理を行なうこと

補助額

耐震補強工事助成金の助成率と上限額は下記の通りとなります。

◆補助率
・補助対象となる費用の2分の1

◆上限額
・150万円まで

すまい給付金

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すまい給付金は、消費税率の引き上げ後に住宅を取得する場合、引き上げによる負担を現金で給付しています。

住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に行き届かない収入層に対して行われ、収入によって給付額が変わってくる仕組みとなっています。

補助対象者

すまい給付金の対象者となるものは下記の通りとなります。

◆住宅を取得し登記上の持分を保有するとともに、その住宅に自分で居住する収入が一定以下の方が対象

・また、住宅ローンを利用しないで住宅を取得する現金取得者については、年齢が50才以上の方が対象となります。

給付額

すまいの給付金の給付額は、給付額は、住宅取得者の収入及び不動産登記上の持分割合により決まります。

具体的には、持分保有者1名の場合の給付額を給付基礎額とし、収入に応じて決まる給付基礎額に持分割合を乗じた額が給付額となります。

(計算方法)
給付額=給付基礎額×持分割合

エネファーム設置補助金

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エネファーム設置補助金は、家庭用燃料電池システム「エネファーム」を在宅等に導入することを予定の方、リーズ等で提供する方に対して行われている補助金です。

その際の購入する際に必要となる費用の一部を助成しています。

募集期間

エネファーム設置補助金の募集期間は下記の表の通りとなります。

募集期間 2020年4月7日(火)~2021年2月19日(金)17時

(補助金申込・交付申請書のFCA必着)

設置工事完了ならびに補助事業完了期限 2021年3月8日(月)
補助事業完了報告書提出期限 補助事業完了日から起算して30日以内

または下記のいずれか早い日

2021年3月8日(月)17時(FCA必着)

補助対象システムの使用開始期限 2021年5月5日(水)

補助対象者

エネファーム設置補助金の補助対象となる方は、住宅および建築物に補助対象システムを導入・設置する個人、法人等(会社、組合、団体等、地方公共団体を含む)となります。

さらに、補助対象者が補助金を申込・交付申請する時には、下記の申請者に対する要件をすべて満たさなけれななりません。

◆日本国内に在住していること

◆ 自ら補助対象経費を支払うこと

◆補助対象システムに対する他の国庫補助金等を受給しておらず、また受給の予定もないこと

◆ 補助対象システムを補助事業完了日から6年間以上継続して使用できること。

補助額

エネファーム設置補助金の補助額は、固体酸化物形(SOFC700W)の機器価格と工事費の合計価格(補助対象経費)が基準価格以下の場合の補助金額は4万円となります。
・SOFC400Wの場合は3万円

また、補助対象経費が基準価格を上回り裾切価格以下である場合は2万円です。
・SOFC400Wの場合は1万円

なお、設置対象の建物区分が既築、燃料種別がLPガス、補助対象システムが寒冷地仕様、マンション設置の場合は、それぞれ追加補助が行われます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

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長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境等の整備に資する優良なリフォームを支援している事業です。

補助対象となる経費の一部を補助しています。

補助対象住宅

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助対象となる住宅は下記の通りとなります。

◆リフォームを行う既存住宅(戸建住宅、共同住宅とも対象)
・事務所や店舗など住宅以外の建物は対象外

主な事業要件

長期優良住宅化リフォーム推進事業の主な事業要件は下記の通りとなります。

◆リフォーム工事前にインスペクション(建物の現況調査)を実施すること

◆一定の住宅性能を有するようリフォーム工事を実施すること

◆リフォーム工事の履歴と維持保全計画を作成すること

補助対象費用

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助対象となる費用は、下記の通りとなります。

◆性能向上リフォーム工事等に要する費用

◆子育て世帯向け改修工事に要する費用

◆インスペクション、履歴作成、維持保全計画作成等に要する費用

補助額

長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助率と補助限度額は下記の通りとなります。

◆補助率 補助対象費用の3分の1

◆補助限度額
・リフォーム工事実施後の住宅性能に応じて100~250万円/戸

なお、下記のいずれかの要件を満たす場合には50万円/戸を上限に加算されます。

・三世代同居対応改修工事を実施する場合
・若者・子育て世帯が改修工事を実施する場合
・既存住宅を購入し改修工事を実施する場合

不動産関連の助成金の申告について

不動産 申告

上記のように、不動産関連の助成金や補助金は数多く設けられていますが、場合によっては何百万円も受け取れることもあります。

このような助成金が支給されることで借入の返済が楽になりますが、受け取った後に税金の申告はどうすればよいのでしょうか?

「事業に関する助成金の場合」「事業に関係ない助成金の場合」のそれぞれの申告についてみていきましょう。

事業に関する助成金の場合

事業に関係する助成金や補助金を受給した時には、事業所得となり収入とみなされます。

また、不動産賃貸業を営まれているのであれば、不動産所得という収入になります。

ただし、不動産賃貸業者が助成金や補助金によって賃貸アパートを建築した時に、補助金に対して税金を支払うと資金不足となってしまことが考えられます。

このような場合には「国庫補助金等の総収入金額不算入(所得税法42条・43条)」の制度を利用するとよいでしょう。

事業に関係ない助成金の場合

事業に関連しない助成金や補助金を受給した時には、一時所得という収入になります。

上記の事業所得や不動産所得等と違い、一時所得には税金の軽減制度が設けられています。

◆一時所得の計算方法
『(収入金額-50万円)×1/2』

収入金額から50万円が引かれること、さらに2分の1を行ってから税率がかけられますので、税金はかなり安く抑えられます。

補助金等の交付を受けた時には不動産取得税の減免が受けられる

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国や地方自治体からの補助金を受けて、公益業必要な不動産を取得した場合には、不動産取得税を減免する制度があります。

ただし、減免措置を受けるためには要件を満たし、総合税務事務所に申請しなければなりません。

減免の要件

減免を受けるためには、下記の要件を満たす必要があります。

◆ 国又は地方公共団体から「補助金等」の交付を受けていること。
・「補助金等」とは、国又は地方公共団体から補助金、負担金、その他相当の反対給付を条件としない給付金のことをさしています。

◆ 「公益上必要な不動産」であること。
・「公益上必要な不動産」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

① 公用又は公共の用に供されるもの。
② 不特定多数の者の利用に供され、営利を目的とせず無料又は比較的低廉な対価で利用できるもの。
③ 本来は補助金等を交付する団体が設置すべきものを営利を目的としない者が代わって設置運営していると認められるもの。
④ 農林漁業者の共同利用に供される施設。

提出書類

減免要件に該当するのであれば、下記の書類を総合県税事務所に書類を提出します。

① 県税減免申請書(当所様式)
② 不動産取得税申告書(当所様式)
③ 補助金等の交付決定(写)
④ 補助金等の実績報告書(写)
⑤ 補助金等の額の確定通知(写)

なお、必要に応じて、他の書類の提出を依頼する場合があります。

減額内容

減免の減額内容は、下記の額を「当該取得に係る不動産取得額」から減額することになります。

【当該不動産所得に係る補助金等の額】× 税率 × [課税標準額 / 当該取得に要した実際の取得価格]

課税標準額が当該取得に要した実際の取得価格を超える場合には、課税標準となります。

まとめ

不動産関連の資金調達につながる「耐震補強工事助成金」「すまい給付金」「エネファーム設置補助金」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の4つの助成金と補助金の情報に加えて、助成金や補助金を受け取った場合の申告、さらには不動産取得税の減税が受けられる制度についても解説してきました。

不動産の修繕や取得などには多額な資金調達を要しますが、不動産関係の設けられている助成金や補助金を利用すれば大きなサポートとなってくれるはずです。

ただし、金額の多い助成金や補助金には、税金の申告に対しても気をつけておかなければならないことも覚えておいてください。

上記の記事を参考にして、不動産で受け取った助成金や補助金の申告や減免を忘れないように対処していきましょう。

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