みなさんは創業時に一番に考える事はなんですか?
事業計画に一つでもある資金面の事が頭に浮かぶと思います。
起業時、資金面で困っているとき活用を検討したいのが、国が運営する補助金や助成金、自治体が提供している創業支援サービスです。
そこで今回紹介するのはの3つの補助金・助成金です。
①創業補助金
②小規模事業者持続化補助金
③ホームページ作成に関する助成金
どれもとても有用な制度なので、これからその具体的な中身を見ていきましょう。
①創業補助金
創業補助金とは、創業者向けの補助金制度です。
国や地方公共団体が、都道府県と連携する民間団体などが行う事業を実施する者に対して、事業費などの経費の一部を補助してくれます。
地域の中核企業に育つような成長性の高い創業者を生み出し、日本経済の活性化を図ることを目的としています。
そのように記載すると誰でももらえるように捉えられがちですが、書類審査と面接審査を通過した創業者のみがもらえる助成金です。
創業補助金の対象者
創業補助金の対象として認められる条件としては、以下の3つをすべて満たす必要があります。
・使用目的が事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
・交付決定日以降、補助事業期間内の契約・発注により発生した経費
・証拠書類などによって金額・支払いなどが確認できる経費
例えば、店舗賃借料、設備費、人件費、マーケティング調査費、広報費、旅費、謝金などが補助対象となります。
ただし、消耗品費、水道光熱費、通信費、接待交際費、会議費については、すべて対象となりません。
なお、補助金という名称のとおり、認められる経費でも全額が支給されるわけではありません。
その金額は、認められる全経費の2分の1以内となっています。
補助金は、外部資金調達がない場合は「50万円以上100万円以内」、外部資金調達がある場合は「50万円以上200万円以内」が、補助金の認められる範囲となります。
なお、補助金の下限額は50万円以上となっていますが、事業計画時に補助金の額を提出する必要があります。
創業補助金交付までの流れ
創業補助金交付までの流れを下記に説明します。
1. 事業計画書や申請書を提出
創業補助金の募集期間中に、事業計画書と申請書類を認定市区町村の当該窓口に申請します。
窓口での申請以外にも、毎年開設されている「地域創造的起業補助金事務局」の特設サイトから電子申請することもできます。
2. 資格審査、書面審査
申請後は、まずは募集対象に適合しているか、資格審査が行われます。
その後、資格審査を通過すれば書面審査に移ります。書面だけでの審査であり、面接審査はありません。
審査結果が分かるのは、申請後1~2ヵ月が経過してからになります。
3. 審査結果を通知
審査結果については、書面で採択の可否が通知されます
。
事業内容が評価されて創業補助金の対象となったら、それからおよそ6ヵ月間が経費補助期間となります。
その期間内の経費については、領収書や請求書といった証拠書類といっしょに、報告書を提出する必要があります。
4. 報告書を提出
経費補助期間が終わったら、報告書と証拠書類を提出します。
すぐに補助金を受け取ることができるわけではなく、提出書類のチェックに数ヵ月を要します。
また、証拠書類の不備が見つかった場合、修正対応が必要となります。
5. 補助金交付
書類チェック後、経費が目的どおりに使われたと認められれば、そこでようやく補助金が交付されることになります。
なお、補助金交付後も5年間は、事務局に事業状況を報告しなければいけません。
そこで、一定以上の収益がある場合には、交付した補助金を上限に、一部を納付しなければいけないことがあります。
補助額
では、補助金額はどのくらいなのでしょうか。
・創業:100万円~200万円
・第二創業:100万円~200万円(ただし、既存事業を廃止するときには、廃止費用として800万円を上限に加算可能。つまり最大1,000万円)
補助率
補助率は下記の通りになっています。
補助率は、基本的に2/3になっています。
例えば、創業するにあたり300万円の対象経費を使うと、国があとで200万円の補助をしてくれるというイメージです。
300万円の手元資金がない場合は、補助金の審査に採択されたのち、金融機関から「つなぎ融資」として、経費に充てる額を資金調達することも可能です。
例えば100万円の手元資金がある方が、補助金に受かった場合、残り200万円を創業融資で調達して、合計300万円を支出します。
その後200万円の補助金を受給して、創業融資の返済に充てていくというスキームも考えられます。
対象経費
起業・創業に必要な官公庁への申請書類作成等に係る経費、店舗等借入費、設備費、人件費、コンサルタント等への謝金、旅費、知的財産権等関連経費、委託費、マーケティング調査費、広報費、外注費、在庫処分費、修繕費、解体及び処分費、現状回復費です。
対象とならない主なものとしては、原材料などの原価となるもの、汎用性のある備品(パソコンなど)、敷金などの返却されるものなどが挙げられます。
②小規模事業者持続化補助金
日本商工会議所や全国商工会連合会の支援を受けながら経営計画書(事業計画書、創業計画書)を作って申し込めば50万円の補助金がもらえるという制度です。
対象者
補助金に申し込める方の主な条件は以下の3つです。
1.補助金を申し込む時点で、すでに創業している
創業とは、法人として会社を設立していること、個人事業主として税務署に開業届を提出していることです。
創業する「予定」という方は申し込むことができません。
応募提出書類として、会社法人の場合は「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」を、
個人事業主の場合は税務署に提出した「開業届」を求められているからです。
2.従業員の人数が少ない
「小規模事業者持続化補助金」は、従業員数が少ない事業者向けの制度です。
では、何人以下なら良いのかというと、5人以下または20人以下となっています。
業種によって人数は変わります。
業種 | 人数 |
卸売業・小売業・サービス業(宿泊業・娯楽業以外) | 5人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業以外)・製造業その他 | 20人以下 |
従業員とは、勤務されている方のうち、会社役員や個人事業主以外の方々です。
短期アルバイトやパートの方は人数に含まれませんが、勤務状況によっては含まれる場合があります。
3.商工会議所または商工会の支援を受ける
申し込むにあたっては、最寄りの商工会議所または商工会の相談員から助言、支援を受けて経営計画を作成し、申込書類に印鑑をもらう必要があります。
補助金額
補助率 | 補助金額 |
経費の3分の2まで | 50万円以内 |
例えば、使った経費が60万円だったとしたら、補助率は60万円×3分の2=40万円となります。
補助金額の範囲内なので全額受けることができます。
使った経費が90万円だったとしたら、補助率は90万円×3分の2=60万円となります。
補助金額の上限50万円を超えてしまうので全額受けることはできず、50万円までとなります。
申し込むタイミング
小規模事業者持続化補助金を取り扱っている、日本商工会議所および全国商工会連合会が募集を開始してから申し込みとなります。
いつでも申し込めるわけではありません。
それぞれのホームページで募集を行っていることを確認し、募集期間の期限内に申し込みます。
日本商工会議所と全国商工会連合会が募集を開始するタイミングはだいたい同じです。
どちらか一方をチェックしておけば大丈夫です。
募集開始から締切までの期間は1ヶ月前後です。
③ホームページ作成に関する助成金
ホームページ制作に利用できる助成金・補助金の大きな分類としては、下記の3つがあります。
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・各自治体の補助金
この3つを紹介します。
IT導入補助金
正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」です。
2017年度から中小企業・小規模事業者の売上向上や業務効率化を目的として経済産業省の採択により開始されたものです。
2017年度は100億円だった予算は、2019年度は500億円にまで引き上げられました。
想定される利用企業数は1万5,000社から13万5,000社まで拡大しています。
①CMSを導入したホームページ制作にIT導入補助金を利用する
見込み顧客の新規獲得のためにはホームページ上のコンテンツを継続的に更新し、改善していくことが重要です。
また同時に、そこでの更新作業を効率化する必要になってきます。
CMSを導入することは、更新担当者の作業コストを抑えることに繋がります。
IT導入補助金は売上向上や業務効率化のための「ITツール」の導入に対して支給されるものになるため、 CMSの導入を目的とする場合は、IT導入補助金の利用が適しています。
②対象者
IT導入補助金の交付の対象者は、中小企業・小規模事業者等になります。
ex. 中小企業、医療法人、社会福祉法人、NPO法人、企業組合・商店街などの組合関連
③上限額・補助率
・上限額:50万円
・下限額:15万円
・補助率:1/2以内
交付金額の上限、下限、補助率に関しては上記の通りになります。
※ 補助金の交付には、30万以上の購入が必要になります。
例えば100万円以上の制作費が必要だった場合、最大50万円の補助金を得られることになります。
ホームページ制作に利用できる助成金・補助金のうち、IT導入補助金は100万円~の比較的大きめの制作予算の場合に向いています。
小規模事業者持続化補助金
地域の小規模事業者の活性化を目的に、販路開拓と業務効率化を補助するものとして設けられた補助金です。
地域の商工会議所・商工会を介して申請を行います。
①ランディングページの制作に小規模事業者持続化補助金を利用する
ネット広告からの流入先としてランディングページを設置しアクセス解析をしながら改善を継続していくことは、集客を向上させるための施策として非常に有用です。
小規模事業者持続化補助金は「販路開拓」のためのものという側面が強いです。
そのため、 ランディングページなど集客に特化したホームページ制作を行う際は、小規模事業者持続特化補助金の利用が適しています。
②対象者
対象者は「小規模事業者」に限定されるので、他の助成金・補助金と比較して対象は非常に狭くなります。中小企業庁が定義する「小規模事業者」の定義としては、下記の通りです。
業種 / 常時使用する従業員の数
1. 製造業、建設業、運輸業、その他の業種(②〜④を除く) / 20人以下
2. 卸売業 / 5人以下
3. サービス業 / 5人以下
4.小売業 / 5人以下
③上限額・補助率
○上限額 : 50万円
○補助率 : 2/3以内
交付金額の上限、補助率は上記の通りになります。
75万円以上の制作費が必要だった場合、最大50万円の補助金を得られることになります。
小規模事業者持続化補助金は、50~100万円の制作予算の制作に向いています。
各自治体の助成金・補助金
地域の自治体が提供している助成金・補助金のなかにも、ホームページ制作に利用できるものがあります。
但し、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金に比べると金額が非常に小さいものが多いです。
①小規模なホームページの制作に各自治体の助成金・補助金を利用する
起業や新規事業の立ち上げの直後など、ホームページ制作に割ける予算が少なく、掲載するコンテンツも少ない場合があります。
とはいえ最低限のサービス/商品紹介、会社紹介、お問い合わせフォームを持つホームページは持っておきたい…。
各自治体の助成金・補助金は支給金額が少額なため、 小規模のホームページを制作する際の制作費の一部にあてるという利用の仕方が良いでしょう。
②対象者
基本は該当の自治体に所属する企業、組織が支給対象になりますが、自治体によって違いがあります。
支給対象が限定されている助成金・補助金もありますので、個別に内容を確認する必要があります。
③上限額・補助率
上限が5万円前後のものもあれば50万円前後のものもあり、自治体によって違いが大きいです。
多くは上限5万円前後、補助率も1/2程度のものになります。
この支給金額と専門家に相談する費用を考慮すると、内容を調べたり申請手続きに関してはご自身で行うことが現実的です。
各自治体の担当職員に相談をしながら進めると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか、今回は創業補助金を取り上げ、その補助金と助成金に関して紹介してきました。
なかでも、インターネットが普及している現代で自社の宣伝をしたいときは、ホームページ作成に関する助成金の活用を是非おススメします。
せっかく用意された制度を無駄にしないためにも、今一度、その特徴や陥りやすい点を整理し、もれなく有効活用できるように準備を進めていきましょう。