起業家や経営者にとって非常に重要となるのが資金調達です。優れた技術や画期的なアイディアを持っていても、資金がないために事業を走らせる事ができないという状態に陥ってしまっている企業は数多く存在しています。
自分が考える素晴らしい事業を形にし、ビジネスとして世の中に打ち出していくためにはどうしても資金はかかってしまうものですが、銀行融資や公的融資は審査が厳しく、資金調達を行おうと思ってもなかなか難しいのが現状です。
だからと言ってビジネスローンやファクタリングなどによる資金調達では得られる資金も多くはありませんし、手数料が高くつくことになってしまいます。
そこでこの記事では、銀行融資や公的融資を成功させるための裏ワザについて詳しく解説していきたいと思います。
銀行融資・公的融資を成功に導く3つの裏ワザ
「銀行融資や公的融資を受けたい」そうは思っていても一体どのようにすれば融資審査に通ることができるのかということを知っている経営者や起業家はそう多くはないのでしょうか。
- 銀行の融資担当者について知る
- 貸してくれる仕組みを作る
- 信用保証協会にアプローチする
記事でご紹介する裏ワザはこの3つです。以下で3つの裏ワザについて詳しく解説していきます。
裏ワザその1「融資担当者について知る」
融資を成功させるために、まずは融資担当者について知りましょう。今はAI(人工知能)が様々な分野で活躍を見せていますが、融資決定を行うのはAIではなく人間です。融資担当者について知ることで、より効果的なアプローチを行うことが可能となります。
- 融資担当者が「稟議書」を作成
- 役職者数名による回覧
- 支店長による決裁(本部融資部門に回す場合も)
- 本部融資部門による審査
- 役員による決算
融資決定は以上のような流れで行われますが、非常に重要となるのが融資担当者が作成する稟議書(「クライアントと契約する」「会社のお金を使う」など自分の権限のみで決定出来ないことを説明し上層部に回覧することで承認を得るための文書)なのです。
銀行融資を受けたいと考えている時に支店長に直訴する人もいるようですが、支店長に直訴したとしてもこの稟議書を作るのは融資担当者のため、むしろ逆効果担ってしまう可能性すらあります。
ノルマ
銀行の融資担当者の場合、担当している企業は個人事業主も含めて300社ほどです。1人で回りきれるのはおよそ60社ほどになりますが、その他にも稟議書作成などの業務もありますし、月に数回の訪問が必要となる重要な会社もあります。そのため、毎月訪問する事ができるのは30社から40社くらいになります。
そして、融資担当者には様々なノルマが課せられています。
- 融資額
- 融資先数
- 投資信託
- ローン
- クレジットカード
- 定期預金
- 口座開設
などなど、新人ベテランに関わらずそのノルマかなりきついことが多いようです。ノルマがあるということはもちろん、出世に大きく影響するということです。営業マンである融資担当者はこのように常に厳しいノルマの中で仕事をしています。
銀行の方針
融資担当者はノルマだけで動いているわけではありません。来期の目標は本部が決定しますが、その時に各支店の目標も細かく決定されます。
決算期を目前にして融資額が目標に達してなければ積極的に融資を行う必要が出てきますが、融資額の達成が目に見えていれば来期に回したいと考えるため融資に消極的となります。
融資担当者が求めている情報
融資決定に重要となる稟議書を作成する融資担当者ですが、そんな融資担当者がどんな情報を求めているのかというと「地域の情報」です。なぜなら、地域の情報は新しい融資先を開拓したり、既存の融資先がどのような状況なのかを把握することにつながるからです。
- 地域の情報
- 競合や業界の情報
融資担当者は融資先の経営者からヒアリングすることが出来る以上のような情報に注目しています。
社内評価
融資担当者の社内評価をガタ落ちさせること。それは「借り換え」です。
借り換えには「予定していた利息がなくなる」「融資先が減る」「ライバル企業の売上が上が増加してしまう」「融資目標額達成が遠のく」など数多くのデメリットが存在しており、社内の評価を大きく下げてしまう、融資担当者が恐れていることです。
裏ワザその2「貸してくれる仕組みを作る」
融資担当者について知るだけでなく更に一歩踏み込んで「貸してくれる仕組み」を作るとより融資を受けやすくなります。貸してくれる仕組みは、以下のような方法で作っていくことができます。
- こまめに銀行に足を運ぶ、融資を受ける
- 融資担当者に情報提供を行ったり、ノルマ達成に協力する
- 自社について知ってもらう
- メインバンクを重視
- 決算書確定前に相談を行う
1つ1つ詳しく説明していきたいと思いますがその前に「支店長への直接アプローチは行わない方がいいケースが多い」ということは覚えておきましょう。
前述しましたが、稟議書を作成するのは融資担当者です。支店長が見る融資先候補というのは有力な顧客になりそうな限られた会社であり、大きな売上や利益を上げていなければ結局「融資担当者が回答いたしますのでお待ち下さい」と断られてしまいます。
自分を飛び越えて交渉されてしまった融資担当者としても気持ちのいいものではないでしょうし、「顧客に信用されていない融資担当者」として融資担当者の評価が下がってしまう可能性もあります。融資に重要な稟議書を作成する融資担当者とはしっかりとした信頼関係を築いておくことが大切です。
こまめに銀行に足を運ぶ、融資を受ける
経営者は一度に大きな額を調達し事業に専念したいと考えますが、それでは融資担当者の定期訪問の優先順位は下がる事になってしまいます。なぜなら、次の資金需要発生までに長い時間が経過することが考えられるからです。
一度に高額な資金調達を行うより、数ヶ月ごとに数百万ずつ融資を受け、しっかり返済していく方が融資担当者も定期訪問してくれやすくなります。
また、融資担当者を待つだけでなく自分から通うというのも有効です。「面識がある」ことや「頻繁なコミュニケーション」を取れば銀行で働く人たちの自分に対する信頼度アップに繋がります。ビジネスローンのスコアリングシステムとは違い、アナログな側面が強い銀行融資の審査だからこそコミュニケーションが影響を与えるのです。
融資担当者に情報提供を行ったり、ノルマ達成に協力する
上記でも解説した通り、融資担当者は情報を欲しています。
そのため、資金需要がなかったとしても様々な新しい情報を提供してくれる経営者のもとには融資担当者も定期的に訪問してくれる可能性が高まるのです。地域や競合や業界の情報提供や経営者や資産家の知り合いを紹介を積極的に行っていきましょう。
ビジネスはギブ・アンド・テイクが基本です。情報提供を行ったり、融資担当者のノルマに協力すれば融資担当者の中での優先順位は高まり、大切な顧客として扱ってくれるようになるでしょう。
自社について知ってもらう
融資担当者は300社ほどの顧客を抱えているため、その全ての会社やサービスの特徴を深くまで理解するということはとてもじゃありませんが不可能です。
融資担当者と話す際には自社のサービスや商品が他の競合と比較してどのような魅力があるのか、優れているのかということを理解してもらうためにも、商品サンプルを渡したり、社員や製造工程を見てもらったり、現場を見てもらったりするようにしましょう。
また、資金繰りについての情報も融資担当者に伝えるようにしましょう。そうすることで融資担当者が資金需要が発生するタイミングなどを予測することが出来るようになるため、そのタイミングに合わせて融資を持ちかけてくれるようになるのです。
メインバンクを重視
メインバンクの重要性は以前に比べると低くなったと言われていますが、重要なことに変わりはありません。
既に融資しているメインバンクと、新規に融資を依頼した銀行では、経営破綻されてしまって困るのは前者ですよね。そのため、メインバンクでの方が融資は受けやすいのです。
決算書確定前に相談を行う
決算書は減価償却の計上や勘定科目の分類によって数値が変動します。決算書を確定させる際、税理士は利益を圧縮することで税金の負担を少なくしようと考えるでしょう。
確かに税金を少なくすることは可能になりますが、融資審査を考えた場合、利益の圧縮は全くの逆効果になってしまうのです。決算書確定前に融資担当者と打ち合わせし、可能ならばその時に税理士にも同席してもらいましょう。
裏ワザその3「信用保証協会にアプローチする」
信用保証協会の保証を受けるという手もあります。
個人事業主や中小企業が資金調達を円滑に行うことが出来るようにサポートすることを目的とした公的機関が信用保証協会です。信用保証協会が保証人の代わりを務めることで資金調達を後押ししてくれるのです。実際、非常に数多くの企業が信用保証協会の保証を受け保証付き融資を受けています。
- 取引実績のあるメインバンクを通じて申し込む
- 最初は借り入れ金額を少なく設定する
信用保証協会を利用する際には、最も多い取引実績があるメインバンクを通じて申し込みを行います。単純に残高が多い分、有利に働くだけでなく以前から付き合いのある担当者がいれば状況を把握してくれているため話もスムーズに進むのです。
また、実績のない企業に多額の融資をしないのはどの金融機関でも同じです。まずは少ない金額で借り入れ、実績を増やしていくことで取引範囲を広げることが出来ます。追加融資を受けたり、新たな借入も受けやすくなるでしょう。
会社や事業が大きくなれば必要な額も大きくなっていきますが、今後の借り入れ規模拡大のためにも信用保証協会を間口として、可能性を広げていくようにするといいですよ。
まとめ
個人事業主や中小企業の資金調達は一筋縄ではいかず、難しい部分もたくさんあります。しかし、銀行や公的機関から融資を受けることはただ資金を得るだけでなく、自社の信用度をアップさせることにもなるため、今後の資金調達先の確保と取引範囲の拡大につなげることが出来るのです。
資金繰りに悩まされず経営に集中することが出来るよう、是非今回ご紹介した裏ワザを活用して資金調達を行ってみてください。