企業が資金調達する5つの目的と使途を明確化すべき理由

資金調達

出資・融資・借入など、経営者が企業を円滑に運営していく為には資金調達が必要不可欠です。経営者の方は資金調達を行う前に、必要額・目的・資金使途を明確にしなければなりません

この記事では企業が資金調達する目的や資金使途を明確にしなければならない理由について分かりやすく解説していきたいと思います。資金は企業の血液です。資金調達は経営に置いて避けては通れない道ですから、以下で説明する事は必ず覚えておきましょう。

企業が資金調達する目的

それではまずどうして企業は資金調達をするのかと言う事について紹介していきたいと思います。

赤字企業であれば資金繰りに苦しくなって資金調達をするというのは分かりますが、誰もが聞いた事のある大企業であっても資金調達はしています。なぜ沢山稼いでいるのに?と不思議に感じている方も多いでしょう。

実際に資金調達には色々な目的がありますので、多額の黒字を計上している会社であっても利用します。企業が資金調達を行う目的について以下で紹介していきましょう。

運転資金

まず最も多いと言われているのが運転資金の確保です。会社を回していく為には資金が必要で、小売業などであれば繋ぎ資金などとして運転資金を調達するケースが非常に多いです。

繋ぎ資金として資金調達を利用するのは以下のケースが考えられます。

小売業は商品を仕入れないと商売が出来ません。しかし相手先の支払いサイクル等の問題もあるので売上金が入ってくるのは1ヶ月先。それまでの仕入れる現金がないので1ヶ月先に振り込まれる売上金で返済するまでの繋ぎ資金として資金を調達する。

このようなケースが考えられます。入金よりも支払いが先にくるケースはどのような業種でも考えられる事ですので、ビジネスチャンスを逃さないという意味でも運転資金を調達するというのは非常に重要です。

倒産する会社は全て赤字と思っている人も多いでしょう。しかし最近では黒字倒産する会社が増えているというのをご存知ですか?売上は良いのに現金がなくなってしまって倒産せざるを得なくなってしまうんです。

大きなプロジェクトに参加して大きな利益を上げられる状態にある企業。しかし大きな契約は出費も大きくなります。支払いが売上の入金よりも先に来てしまうので会社に現金がなくなり、プロジェクト後には大きな売上を出す事が出来るがその前に会社として機能しなくなってしまう。

これが良くある黒字倒産の実情です。このような事態を解消する為にも資金調達は非常に重要で、上記例であっても、運転資金を調達する事が出来れば大きなプロジェクトは成功し、大きな利益を産む事が出来ました。運転資金の捻出は資金調達における要になっています。

設備投資

会社を稼動させる為、会社を大きく飛躍させる為には設備を用意しなければなりません。工場であればモノを作る機械を沢山用意しなければなりませんし、IT企業であれば沢山のパソコンが必要になりますよね。そういった設備投資の為に多くの資金を必要としますが、そういった資金も調達しなければなりません。

設備投資は一括で数百万円~数千万円という莫大な資金が必要になるケースが多いので、会社が今持っている資金だけでは対応できないケースが多く、特にスタートアップや起業したばかりの企業であれば当然自社の資金だけでは賄う事が出来ませんよね。

設備投資で資金調達を利用するのは一般的です。利用目的や設備投資により生み出す利益が明確であればある程、資金調達もしやすくなっていくでしょう。一度成功すれば設備増資などでも簡単に資金を調達出来るかもしれません。会社経営を行っていく、または会社規模を大きくしていく為には、設備投資による資金調達は避けては通れぬ道と言えるでしょう。

事業拡大

会社の売上を伸ばす最も手っ取り早い方法は事業を拡大する事です。しかし、どのような事業であっても新規事業に力を入れる為には莫大な資金が必要になります。このような事業拡大目的でも資金調達を利用するのは一般的な目的であると言えるでしょう。

例えば小売店が事業拡大で新店舗を出店しようと考えていたとします。新店舗を出すには、新しい物件・新しい人材の確保・仕入れ代金・新しい設備・広告など…多額の資金が必要になります。

この全てを自社で賄える資金があればそれが一番良いのですが、資金は常にある程度は抱えていないと不測の事態に対応できませんので、事業拡大は資金調達を行ってからするのが一般的です。事業拡大して軌道に乗れば今よりも売上は増えて、調達した資金も返済する事が出来ます。勝算のある事業拡大と見込まれれば調達も容易に行えるでしょう。

返済実績

資金を調達する必要がない企業でも、あえて資金調達を行い借金をするというケースがあります。その目的は返済実績を作る事です。

返済実績を作る事で金融機関からの融資を受けやすくなります。返済が出来る企業であるという事を金融機関側に教えて上げる事で「安心して貸し出しできる相手」と評価されますので、後々の高額な資金調達も可能になっていくケースが増えていくという訳です。

個人の借入であっても、最初の限度額は30万円でも返済実績を作る事で限度額の上限が増えたりする事があると思います。企業融資であってもこれは当てはまり、信頼や実績を作る事で上限は上がります。

今後とも取引を続けていきたいと考えている金融機関で最初は少額の資金調達を行い、確実に毎月きちんと返済していきます。実績を積み上げていき、会社も黒字経営で進んでいけば金融機関からすると良いお客様になりますので、いざという時の高額な資金調達も審査が通過しやすくなるという訳です。

ビジネスチャンス

資金調達成功の鍵は“ビジネスチャンス”を逃さないと言う事です。これはどんな業種でも言える事ですが、タイミングを間違えなければ大ヒットしていたであるとか、タイミングさえ合っていれば損をしなくて済んだのにと言う事は多々あります。

ビジネスチャンスを逃さないようにする一番の方法は繁忙期を逃さないという事。繁忙期が来ているのに資金が少なくて多くの商品を製造できないなどのケースに陥ってしまうのが一番残念ですよね。

そういった時に資金調達を利用するケースが多くあります。今がビジネスチャンスで、今多くの資金を費やせばそれ以上になって利益を生み出す事が出来る。そういったベストタイミングを見極めて、資金調達を利用するという訳です。

大きなビジネスを成功させる為には、ある程度の高額な先行投資は必要不可欠です。そういったビジネスチャンスを逃さない為という理由で資金調達を行う企業は沢山存在しています。

資金使途を明確にしなければいけない理由

企業が資金調達する目的は上記で紹介した5種類に分類されます。資金調達に限った話ではありませんが、経営者が会社運営の方針や物事を決める場合は『目標と目的』を明確にする必要があります。

それは資金調達でも同じであり、資金調達する場合は目標と目的を明確にする必要があります。それは一体ナゼなのかを以下で説明していきましょう。

銀行融資の時に必要

一般的に資金調達する事が多い銀行融資で考えてみましょう。金融機関からの融資の場合、必ず面談があり、そこで書類を見ながら話を聞いて最終的に審査に通過するかどうかが決定します。

銀行融資の面談では主に以下のような事を聞かれます。

・何の為に資金調達をするのか?
・具体的に幾ら必要なのか?
・何に利用するのか?
・返済目処は経っていてどれ位かかるのか?

この時に全ての質問に明確にはっきりと答えられないと、「この会社はダメかもしれないな」という印象を金融機関の人に与えてしまい、融資の審査がおりにくくなります。

審査を通過する為には具体的かつ明快な回答が必要です。○○万円を必要としている理由、具体的な使い道であったり、そのお金を使って何をして幾ら稼げる見込みがあるからどれ位で返済できるかという点。これを夢物語ではなく現実的な話として説明する必要があります。

自分の中で目標と目的が明確に決まっていなければ、当然ですが銀行員の方に説明など出来ませんよね。そういった意味でも、今後の企業運営を安定して行っていくという意味でも、資金調達する目的や資金使途は必ず明確にしておくという事を覚えておきましょう。

資金繰り表を必ず作る

中小企業の経営者が陥りがちな罠として、売上ばかりを気にして損益計算書は作成しても資金繰り表は作っていないという方が多くいます。

きちんと資金繰り表を作っていると、必要な金額といつまでも幾ら必要なのかという点を明確かつ具体的に把握する事が可能になります。自社に経理がいれば任せても良いですし、税理士の先生にお願いして作成する事も可能です。

会社にとって大切なのは売上ではなく資金繰り表です。明確な資金調達額を理解する為にも、日ごろからしっかりと記入し作って置く事をオススメします。

まとめ

企業が資金調達を行う目的と使途明確化をすべき理由について解説してきましたが参考になりましたでしょうか。

企業にとって資金とは経営を行っていく上での血液でありガソリンです。しかし上記で説明した黒字倒産のように、売上はあっても手元に現金がなければ会社を回す事は不可能です。その為に運転資金や設備投資金を資金調達を企業は行っていくのです。

赤字企業だけでなく黒字企業であっても資金調達は必要不可欠です。資金使途を明確化し、何に幾ら必要なのかという事を完全に理解した状態で利用するようにしましょう。資金調達の目的やタイミングは企業により様々ですから、その点も利用前に十分注意するようにして下さい。

この記事をシェアする