フジロックフェスティバルやSUMMER SONICなどの大型イベントやアーティストのライブ・コンサート、季節に合わせて開催される大きなイベントなど規模の大きなものから、地元の町内会のお祭りなど小さな規模のものまで、毎日のように様々なイベントが開催されています。
これだけイベントの数が多くなったのを見ると、自分がイベント主催者となりイベントを主催するという経験も随分身近なものになったと言えるのではないでしょうか。
そこで今回は、イベントを成功させるためにも欠かすことが出来ない「イベント主催のための資金調達」について詳しく解説していきます。また、イベント開催にかかる費用やイベント開催へ向けてやるべきことなどについてもご紹介します。
イベント開催にかかる費用
イベントを成功させるのはイベントプロデュースのプロでも難しいと言われています。しかし、自分がイベント主催者となるならばイベントを成功させたいと思うのが当たり前ですよね。
イベントを成功させるためにはアイディアや工夫ももちろん大事ですが、それを具現化するためにも十分な資金を調達することが大切です。主催するイベントは一体どのくらいの費用がかかるのかを考えながら資金調達の計画を行なっていきましょう。
イベント開催では、主に以下のような費用がかかります。
- イベント会場のレンタル費用
- ポスターやチラシ、ホームページなどのデザイン費・印刷費・制作費
- テーブル、椅子、テントなど設備費
- 映像・音響設備のレンタル費
- 運営スタッフの給料
- 司会者や出演者の出演料
- 交際費(挨拶回りなど)
1つ1つにどれほどの金額がかかるかはイベントの内容や規模によっても異なります。
イベント開催のための3つの資金調達方法
イベント開催にかかる費用を踏まえた上で、ここからはイベント開催のための資金調達方法について解説していきます。
資金調達が思うようにいかないと、イベント準備が思うように進められなくなってしまうことになります。そうならないように、しっかり計画を立てて資金調達を行なっていきましょう。
資金調達方法1:スポンサー
スポンサーはイベントのための資金調達として最も一般的な方法です。イベントのパンフレットを見てみると「協賛」としていくつもの名前が挙がっていますよね。
大手広告代理店などがプロデュースする大規模なイベントには大手企業がいくつもスポンサーとなり資金提供を行なっています。大手企業にスポンサーになってもらうことが出来ればイベントは成功に大きく近づくことになるでしょう。
ただし、企業イメージ向上や広告効果などのスポンサーとなる見返りを計算した上で協賛を決定しますから、イベント規模や集客数が小規模なイベントの場合は大手企業にスポンサーになってもらうことで資金調達を行うことは現実的とは言えないでしょう。
とはいえ、スポンサーになってくれるのは大企業だけではありません。小規模なイベントの場合、開催地の商店街や地元企業、地方紙の新聞社などがスポンサーとなってくれる可能性があります。イベントが開催されれば地域活性化や町おこしに繋がるため、積極的にスポンサーを買って出てくれるところもありかもしれません。
また、イベントテーマや内容が大企業の興味を引けばスポンサーになってくれる可能性も考えられます。専門性の高いテーマにするのか、それとも多くの人が注目しそうなテーマにするのか。イベントを企画する際にはテーマ設定も重要となるため、よく考えた上で設定しましょう。
夏にお台場で開催されたウォーターフェス「Slide the City」は大きなウォータースライダーでお台場のど真ん中を滑るという夏ピッタリのイベントでしたが、このイベントのメインスポンサーとなったのが「スプライト」です。
Slide the Cityの夏のイメージ、水しぶきのイメージにスプライトはまさにぴったりですよね。時期的にもイベント趣旨的にも相性が良ければ、このようにイベント主催にとってもスポンサー企業にとっても大きなプラスとなります。
資金調達方法2:補助金・助成金
地域活性化のため、全国の自治体の中にはイベントに対する補助金・助成金を給付する制度を設けているところもあります。イベント会場となる地域の地方自治体に補助金・助成金などの制度があるのか事前に確認しておくようにしましょう。
また、地域活性化効果のあるイベントに対する助成事業を行う「一般財団法人地域活性化センター」や「日本財団」のような公共団体も存在しています。
補助金・助成金の給付を受けることが出来るのは厳正な審査を通過した場合のみです。そのため、給付を受けることは簡単ではありませんが、公的機関からの助成はイベントの信用度を高めることになります。
一般財団法人地域活性化センター
一般財団法人地域活性化センターは様々な活動を行なっており、公益財団法人地域社会振興財団と共に行なっている「地域イベント助成事業」は地域活性化と宝くじの普及・広報を目的としています。
地域コミュニティが主体となり創意工夫された地域活性化への貢献が期待できるイベントが助成対象となります。1件のイベントにつき給付される助成金は最大100万円です。
日本財団
日本財団はソーシャルイノベーション実現を目標に活動しており、文化や教育、社会福祉のほか、国際関係や海、船に関連するイベントに対し助成を行なっています。
助成申請受付中の事業案内については日本財団の公式サイト内の「日本財団の助成プログラム」で確認することが可能ですので、チェックしてみるといいでしょう。基本的に対象としているのはNPO、ボランティア団体や公益法人ですが、イベントテーマによっては助成対象となる可能性も考えられます。確認だけでもしてみるといいでしょう。
資金調達方法3:クラウドファンディング
インターネットを利用して不特定多数の人々から少額の出資を集めるというクラウドファンディングは今注目の資金調達方法で、実際に数多くのイベントがクラウドファンディングによって実現しています。
クラウドファンディングはただ資金を集めるだけでなくイベントの宣伝効果もあるという一石二鳥な方法で、イベントのための資金調達としては最適でしょう。イベントに賛同し出資までしてくれるという人はそのイベントに興味を持ち、是非開催してほしいと思っている人です。出資だけでなく周囲の人に対して宣伝してくれたり、SNSで発信してくれたりと様々な宣伝効果が期待出来ます。
出資の見返りとしてリターンを用意する必要がありますが、このリターンを魅力的なものにするということもクラウドファンディングでの資金調達は大切です。出資してくれる人は一体どのようなことを期待して出資してくれたのか、どんなリターンを望んでいるのかなどについて詳しく考えた上でリターンを設定するといいでしょう。
例えば、国内初の購入型クラウドファンディングサイトとして知られる「Readyfor」ではクラウドファンディングのプロジェクトを成功させるためのリターンについて、下記のように話しています。
AとB、同額の2つのリターンを用意したことがありました。
Aには、プロジェクトに関係する海外のお土産詰め合わせを。Bには、感謝のお手紙のみを設定しました。
プロジェクトが終了した時、BのリターンはAのリターンの2倍以上の支援が集まっていました。
もちろん、支援額に対して価値のあるリターンを設定することも必要です。しかし、プロジェクトの支援者の方々は必ずしも”モノ”を買いたいわけではありません。
「やりたいことの実現に挑戦するあなたへの応援」や、「プロジェクトの実現への期待」を込めてお金を出している場合が多いと感じています。
リターンを設計する際に意識すべきことは、支援者の方々はモノを購入したいケース以外に、実行者やプロジェクトの成功を応援したいという、支援者心理の存在を把握することです。
リターンというと「いかに魅力的な商品を用意するか」とばかり考えがちですが、出資してくれる人が必ずしも「モノ」を求めているとは限らないということにも注意したいところです。
イベント開催のためにやるべきこと
イベント開催しようと思ったら、資金を調達するだけでなく他にもやらなくてはいけないことがいくつもあります。資金調達と同時進行で進めていかなければ行けない場合もあるため、しっかり計画してイベント準備を進めていきましょう。
運営者を集める
まず、イベント開催において一番最初にやることが一緒にイベント運営を行う仲間を集めることです。イベント開催は一人では出来ません。一緒になってイベントの企画運営を行なってくれる信頼出来る人材を集めましょう。
経験豊かな人材や、コネクションを持っている人材を引き入れればイベントも大きなプラスとなるでしょう。
会場との交渉
どんなイベントになるのかや、イベントの全体像などについて説明し交渉を行う必要もあります。イベント会場によって違いはあるものの、守らなければいけない様々なルールや制約があります。
使用可能時間はどのくらいなのか、トイレなどの施設内設備の使用、駐車場や駐輪場はあるのか、イベント機材の搬入・搬出について、火器類の使用などなど、細かい打ち合わせを事前に行なっておく必要があります。音楽を流すならば近隣住民や周辺施設への影響なども考えなければいけません。
公道を使用する場合は道路使用許可申請を警察署で行う必要がありますが、個人で許可を得ることはまず不可能なため、商店会など団体を通して申請を行う必要があります。
挨拶回り
地域のイベントを開催するという場合、近くで生活する住民の方や周辺の学校、企業、商店会、町会など多くの人と関わることになります。代表者の方へ挨拶を行い、イベントの趣旨や内容、お願い事があれば伝えるようにしましょう。
代表者の方は多くの場合、高齢の方が多いためメールや書面や電話連絡で済ませるより、直接足を運び顔を合わせて挨拶するのがオススメです。もちろんすぐにオッケーが出る訳ではありませんが、イベント実現のためにも根気強く、わかりやすい説明を行なっていきましょう。
まとめ
小さいイベントを含めれば、イベントは全国各地で毎日のように開催されています。現在はTwitterなどのSNSもあるため、工夫次第ではイベントを効果的に宣伝しイベントの集客数アップに繋げることも出来ます。
大企業にスポンサーになってもらうのは簡単なことではありませんが、イベントテーマや内容が大企業によってメリットがある内容であれば小規模なイベントでも大企業がスポンサーとなってくれる可能性もあります。
補助金や助成金については審査に通らなければ給付を受けることが出来ないため、スポンサーもしくはクラウドファンディングによって資金調達を行うことが現実的です。
クラウドファンディングの場合、資金調達が出来るだけでなく宣伝効果もあること、出資者と一緒になってイベントを盛り上げていくことが出来るなど、多くのメリットがあるイベント向きの資金調達方法です。豊富な資金を集めるためにも、1つの方法だけでなくいくつかの方法で資金調達を行うといいでしょう。