融資 ファイナンス

ファイナンスとは?ファイナンスの概要と5種類のまとめを紹介

融資

ファイナンス、という言葉はおそらく誰もが耳にしたことがあるのではないでしょうか?

金融関係の言葉でしょ?と答えられる人も多くいるとは思います。

しかし、いざファイナンスとは?と言われた際にきちんと説明できる人は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、ファイナンスの概要と、ファイナンスの以下5種類のまとめを紹介していきます。

①ストラクチャードファイナンス
②エクイティファイナンス
③デットファイナンス
④プロジェクトファイナンス
⑤コーポレートファイナンス

ファイナンスとは

融資 ファイナンス

ファイナンスとは、日本語で訳すと、

・事業などを行うために必要な金。資金。財源。
・事業や活動を行う資金の調達や管理。財政。財務。
・資金の供給。金融。融資。

といったようになります。

ビジネス用語のファイナンス

ビジネス用語としてのファイナンスは、金融に関する言葉です。

しかし、ちょっとした言い方の違いでいくつかの意味合いがありますので、それらを確認していきます。

⑴金融・資金調達
・金融、といえば漠然と感じるかもしれませんが、お金を供給すること、と考えれば分かりやすいかと思います。

・もうひとつは、資金の調達という意味があります。

どちらも、得られた利益ではなく、現金そのものを取り扱います。

⑵財政・財務
・財政とは、企業や一般家庭においては「経済状態」を、国や地方団体においては事業を行うための収入や支出を営む「経済行為」のことです。

・財務とは、企業の資金繰り、予算管理、資金調達を担当する業務です。
財務は、資金調達(銀行融資、株式発行など)や、余裕資金の運用(投資、M&Aなど)計画を考え、金融機関と折衝したりするため、専門知識だけでなく企画的な要素も求められます。

⑶財源・資金
・財源は、支出の出どころを表す言葉となります。

たとえば、家賃収入で得たお金を固定資産税にあてる場合は、家賃収入が財源になります。

・資金とは元手のこととも言って、使用目的をもって保有されている貨幣か、容易に貨幣にかえられる金融資産のことです。

①ストラクチャードファイナンス

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企業資産の証券化、流動化など「仕組み(Structure)」を工夫し新たな金融商品を生み出して、資金調達を望む企業と投資家を結びつけます。

市場リスクや信用リスクをコントロールすることで資金調達に繋げる高度な金融技術です。

ストラクチャードファイナンスの定義

特に決まった定義はありませんが、簡単に述べると「何か仕組みがひとひねり入ったファイナンスの形」などと、広い意味で使われています。

企業が行う事業や保有する資産の価値に着目することで企業本体の信用力から切り離された資金調達を可能にする方法などと解釈されます。

メリット

ストラクチャードファイナンスは、利用する企業にとって、資金調達手段の多様化や効率化、オフバランス化によるバランスシートの圧縮、ROEや自己資本比率の改善など財務面のメリットがあります。

②エクイティファイナンス

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エクイティファイナンスとは、株式会社が新株を発行して、事業のための資金調達をすることを意味します。

「エクイティ」(株式資本、自己資本)を増加させる資金調達方法のため、このように呼ばれています。

エクイティファイナンスで資金を調達することで、貸借対照表(バランスシート)の資本が増加します。

資金調達方法

⑴公募増資(時価発行増資)
公募増資とは、新しい株式を発行するに当たり、不特定かつ多数の投資家に対して取得の申し込みを勧誘することです。

設備投資などの資金を広く一般投資家から集めるのが公募増資の目的です。

同時に、株主層の拡大や株式の流通量の増加というメリットもあります。

公募増資の際の価格は通常、時価に近い多少割安な水準に決められて、既存株主の利益を損なわないように配慮されています。

⑵株主割当増資
新株を募集する際に、特定時点の既存株主に対して、一般の投資家より優先して新株の割り当てを受ける権利または新株予約権を付与して、既存株主から新たな資金を募集する方法です。

株主割当は、増資後の株主構成に大きな変化がないのが特徴です。

⑶第三者割当増資
第三者割当増資とは、会社が特定の第三者に対し新株を引き受ける権利をあたえ、発行した新株を割り当てる(購入してもらう)ことで資金を集める、資金調達方法のひとつです。

第三者割当増資は、中小企業の資金調達手段として、非常に多く使われています。

エクイティファイナンスは、基本的には返済期限がない資金調達方法となります。

そのため、金融機関から借入れをするときのように利息の支払いをする必要がなく、必要な資金が無駄なく確保できます。

それだけでなく、株主を増加させることにより資本が増えることから、財務体質を強化する効果もあります。

エクイティファイナンスのデメリット

株主側からすると、新株として発行株式が増えた分、一株の価値が減少します。

そのため、株主割当以外のエクイティファイナンスの場合、既存株主に対して合理的な説明を行って、理解を得る必要があります。

また、新株の多くを第三者が握った場合には、経営に口出しをされ、会社の支配権や配当方針に影響が出る可能性も出てくるというデメリットも生じます。

③デットファイナンス

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デットファイナンスは借入れによる資金調達。借入金融ともいいます。

企業における資金調達の方法のひとつで、社債発行や銀行借入など、他人資本の増加になる調達のことをさします。

デットファイナンスのメリット

⑴自由な経営ができる
エクイティ・ファイナンスでは株式の発行により議決権が渡り、場合によっては自由な経営を阻害されることも十分考えられます。

その点デット・ファイナンスであれば、返済だけしっかりとしていれば経営に余計な口出しをされることはありません。

⑵節税効果がある
債務であるので、もちろん元金や利息の返済は必須ですが、返済に充てたお金は「損金」として扱うことができます。

損金として勘定に加わったお金については非課税であるため、節税効果が期待できます。

⑶銀行との取引実績が作れる
デットファイナンスでも銀行借り入れの場合であれば、金額にかかわらず銀行との取引実績が作れます。

銀行との信頼関係があるというのはとても大事なことで、銀行との取引実績を着実に作っていければ、すぐには無理でも後々はより高額での借り入れができる可能性が高まります。

デットファイナンスのデメリット

⑴利息という新たな経費が発生する
借入を返済する時には元本と利息の支払いが必要になります。

利息は十分な自己資金があれば発生しない経費なので、利息の支払いは利益の減少に繋がります。

⑵自己資本比率が低下する
会計上は負債として計上されることになるため、自己資本比率が低下することも否めません。

財務面で安全性に不安が生じることとなり、外部の債権者に対する債務(他人資本)に依存した経営は傾きやすいことも知っておく必要があるでしょう。

⑶自己資本比率は下がる
負債が増える以上は当然の話ですが、自己資本比率は必然的に下がってしまいます。

自己資本比率は金融機関からの融資審査の際に見られるため、自己資本比率があまりに低いと審査落ちになる可能性があります。

④プロジェクトファイナンス

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巨額の費用がかかるプロジェクトの資金調達において、プロジェクト自体の収益から生み出されるキャッシュフローのみの返済方法になるファイナンスです。

通常は、プロジェクトを遂行する事業会社を設立、その会社が借入をします。主に、インフラ投資支援の方法として用いられます。

プロジェクトファイナンスの分野

プロジェクトファイナンスは、事業計画そのものが担保となる形の融資です。

そのため計画自体に価値がなければなりません。

なのでインフラの整備や発電所の建設といった公共性の高いものが多いのが特徴です。

また、最近ではテーマパークのプロジェクトなど、収益があることが高い確率で見込まれているような事業への融資も行われています。

メリットとデメリット

メリットとしては、大規模な資金をバランスシートに記載することなく調達できるため、借入金比率を低く保つことができ、仮にプロジェクトからの返済が滞った場合でも、返済義務を負わずに済むことができます。

デメリットは、プロジェクト・ファイナンスはコーポレート・ファイナンスと比較して金利が高くなる傾向があり、関係者間での調整に時間を必要とします。

また、プロジェクト・ファイナンスを実行するためにはアドバイザーなど第三者を通じて金融機関に依頼するため、アドバイザーフィーなども発生します。

リスクについて

巨大プロジェクトに関しては、多様なリスクがあるので注意が必要です。

下記の3つが代表的なリスクなので、確認していきましょう

⑴完工リスク
建設・開発が予定どおり進まない時に生じるリスクです。

このリスクには、

・原材料の供給が滞るリスク
・建設業者が工事を予定どおり終了できないリスク
・対象国の政治的リスク

なども含まれます。

⑵操業リスク
操業を開始したが、システムやサービスを安定的に供給できないリスクです。

⑶販売リスク
操業は正常にできているものの、期待通りの販売量を得られないリスクです。

例えばテーマパークに関しては、予定どおりの集客が見込めないリスク、油田開発だと原油価格が見込み以下になってしまうリスクです。

⑤コーポレートファイナンス

コーポレートファイナンスとは、企業価値を最大化することを目的として、資金を調達し、事業に投資し、調達元に資金の返済や還元をしていく活動のことです。

また企業の財務活動のうち、事業に必要な資金を市場から調達する活動ということもあります。

企業価値とは

日本経済にとっては、資本主義をもとに経済活動を行っています。
なので、企業が世間一般から高い評価を受けることは、企業を存続させる上でも重要な要素といえます。

企業価値の算定

起業価値は3つの算定方法をもとに総合的に算出します。

⑴コストアプローチ
コストアプローチとは、純資産をもとに企業価値を算出する方法です。純資産とは、賃借対照表の資産から負債額を引いた残りです。

純資産をもとに企業価値を算定するので、客観性が高く計算方法も比較的簡単でありますが、純資産は売却時によってその価値が変わるので企業価値が常に一定しているとは限りません。

⑵インカムアプローチ
企業価値を算出する3大手法の1つがインカムアプローチです。

企業の将来性に着目する評価方法が特徴であるインカムアプローチには他の手法同様にいくつかの方法が属します。

中でもDCF法はM&Aにおいても広く用いられている計算方法です。

⑶マーケットアプローチ
対象企業と同業他社の時価総額を比較したり、類似の買収事例などを参考に企業の価値を評価する手法です。

一般的に、上場企業の場合は株価を基にして評価しますが、非上場企業の場合は、同類の上場企業を選定し、税引き後利益などの財務諸表値を比較し倍率を計算した後、選定した上場企業の株価にそれを掛け合わせて算出した対象企業の株価を評価します。

まとめ

融資 ファイナンス

今回はファイナンスの概要と5種類のファイナンスを紹介してきました。

ファイナンスとは、会社が事業のための資金を調達・運用することで、企業価値の向上を目的としています。

そして、ファイナンスは企業のあらゆる活動に紐付いています。

なので、身につけるべきなのは経営者だけでなくすべてのビジネスパーソンにあると言えます。

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