
工場を建設する為に補助金を使いたい。
利用するなら「メリット」も「デメリット」もしっかり把握しておきたいですよね。
そこでこの記事では、まず「補助金の概要」を解説した後、
「3つのメリット」
① 種類が豊富
② 支給金額が多い(数百万〜数億)
③ 支給金額に消費税がかからない
「3つのデメリット」
① 公募期間が短い
② 競争率が高い
③ 支給されるまで時間がかかる(約一年後の後払い)
これらを順番に次項より詳しく説明していきます。
補助金ってどんなもの?
まずはじめに、補助金の概要について解説していきます。
厚生労働省は、中小企業や個人事業主の支援を目指して、様々な「助成金」や「補助金」を提供できるようにしています。
補助金も助成金も、基本的には違いはほとんどありません。種類や使用目的などに違いがありますが、どちらも「原則返済不要」で支給される非常に素晴らしい仕組みです。
支給される補助金は、既存事業を拡大に利用したり、新たな事業を立ち上げたり、事業活動をサポートする役割として活用することができます。
要件を満たせば受給することができますし、返済の必要がないので事業活動に有効活用したいところです。
補助金には多くの種類がありますが、税務上では「経費補助金」と「施設補助金」の2つの区分に分けられます。
それぞれ簡単に解説しましょう。
「経費補助金」とは?
経費補助金とは、事業活動のために必要な「人件費」「物件費」「事業経費」などに対して支給される補助金のことを指します。事業で発生する様々な経費類が対象になります。
必要経費を補助金として支給してもらうイメージですね。
支給に際して課税対象になったとしても、その金額と同額分をそのまま必要経費として使用することになるので、支給金と損金が同額で計上されることとなり、結果的に収益が発生せず「課税されない」というポイントがあります。
「施設補助金」とは?
施設補助金とは、主に「建物」「設備」「機械」などの固定資産購入に充てることができる補助金のことを指します。
施設補助金で取得する資産は「固定資産」となりますので、使用期間や購入品の種類に応じて「減価償却」をしていくことになります。
つまり、補助金を使用して購入したものをすぐに損金が発生しないため、補助金を「収入」として勘定する必要があり、一部税金が発生します。
本記事では、「事業活動のために工場を建設する上で補助金を使う」というテーマで解説していきますので、「施設補助金」に該当します。
補助金の3つのメリット
続いて、補助金を使う上での「3つのメリット」を解説します。
やはり、事業拡大のために補助金を利用するのであれば、まずはメリットから押さえておきたいですよね。
メリットをしっかり押さえた上で、補助金を有効に活用していきましょう。
メリット① 種類が豊富
メリットの1つ目は、「補助金の種類が豊富」であることです。
補助金の種類は、実に10,000種類を超えると言われています。ものすごい数ですよね。
しかも、製造業のみという縛りもなく、様々な企業が取り組むサービスや事業に補助金を適用することが可能です。
利用できる範囲が広いというところも重要なポイントですね。
もしも、補助金を利用しようと計画していても、そもそも種類が少なければ応募の要件を満たせない場合もあります。
補助金の用途に応じて様々な種類が設けられていることで、多くの事業者に対してフォローすることが可能になります。
それらの補助金の中から、適用可能な補助金をピックアップしていくことができるので、補助金を利用できるかどうかの第一歩が踏み出しやすくなります。
メリット② 支給金額が多い(数百万〜数億)
メリットの2つ目は、「補助金の支給金額が多い」というところです。
数百万の補助金もあれば、数億円の補助金もあります。
事業拡大や新規事業のために工場を建設しようとしているならば、数億円以上のコストがかかるのは当然です。
工場の規模にもよりますが、建物を立てるだけでなく各種設備の導入なども含めると、コストが非常に嵩む可能性があります。
各部材や単体設備のコストリダクションはもちろんですが、購買メーカーの競合によりコストを抑える策も徹底的に取り組むことと思います。
その中で、数億円規模の補助金を活用することができれば、事業の幅が生まれます。
やはり「補助金の支給金額が多い」というのは、事業者目線だとかなり大きなメリットになりますね。
メリット③ 支給金額に消費税がかからない
メリットの3つ目は、支給された補助金に「消費税がかからない」ということです。
国や地方から企業へ支給される「補助金」は基本的に「収入」として取り扱われることになります。
国からの補助であっても、一時金として企業がお金を得ることになるので、経理処理の上では「収入」となるわけです。
工場の建設や、工場内で利用する設備の導入資金として使用すると、固定資産として計上されますので、一部税金を支払うことが必要になります。
仕訳は「雑所得」として勘定処理することになります。
雑所得なので、会計処理では課税対象となるように感じますが、「消費税は非課税」「法人税は課税対象」とされています。
補助金は支給された分だけ使用することができますが、その後の減価償却に応じて法人税を支払う必要がある点は、しっかり理解して計画を立てましょう。
補助金の3つのデメリット
補助金を利用するメリットを理解していただいたところで、デメリットについても解説していきます。
こちらも、メリットと同様に「3つのデメリット」をまとめています。
国が原則返済不要で支給してくれるだけあって、当然ながらデメリットもあります。
しっかりとデメリットについても理解した上で、計画的に補助金を利用することが大切です。
デメリット① 公募期間が短い
まず1つ目のデメリットが「公募期間が短い」ということです。
年に数回しか公募されない上に、その期間は「1ヶ月未満」のものが大多数です。
日々、様々な業務をこなしていく中で準備をしなければなりませんから、「1ヶ月未満」という期間は非常にタイトです。
このかなり短い期間の中で、申請を受理してもらうための資料を準備する必要がありますので、普段から事業計画や事業ビジョンを明確に準備しておく必要があります。
事業の計画スケジュール、他者や他のサービスとの差別化、市場ニーズと必要性、事業に必要な費用、収支計画など、いわゆる「事業計画書」を作成して他の申請企業との競争に勝つことが必要です。
定期的に事業計画書の見直しや修正を実施していない場合、かなりの労力をかけて準備することになってしまいます。
短期間で急いで準備すると、内容が薄くなってしまい、補助金を利用できない可能性がありますので、利用の可能性があるならば公募開始前からしっかり作り込んでおきましょう。
デメリット② 競争率が高い
デメリットの2つ目は「競争率が高い」というところです。
やはり、多くの企業が事業拡大や新規事業のために投資をしようと考えています。
特に、生産コストの少ない海外への工場進出が盛んになっていますので、競争率はさらに激化していくことが予想されます。
競争率が高いということは、「公募期間中に申請しても、審査が通らない可能性が高い」ということになります。
公募期間中の事業に関する資料作成にもかなりの負荷が生じる上、補助金が活用できない可能性があるというリスクも考慮しておかなければなりません。
競争率の高さと、適用される予算に限りがあることから、補助金を申請してもその採択率は1割ほどだとされています。
1割という数値から、競争率の高さが伺えますよね。
補助金を利用する前提で事業計画をしてしまうと、審査が降りなかった場合に計画が破綻する場合や、計画の大幅な見直しをしなければならない場合が想定されます。
補助金を当てにした事業計画は控えるべきとも言えるでしょう。
デメリット③ 支給されるまで時間がかかる(約一年後の後払い
デメリットの3つ目は、「補助金が支給されるまで時間がかかる」というところです。
基本的には、補助金を利用する事業が完了した後に支払われるようになっています。
事業完了の後、完了報告を申請して、その申請が受理されたら補助金が支給される仕組みになっているのです。
つまり、注意すべきは「資金繰り」になります。
工場建設には多額のコストが必要となりますし、その間にも基幹事業やその他の事業活動にはコストがかかります。
補助金を頼みの資金計画にしてしまうと、資金繰りが厳しくなり、資金がショートしてしまう恐れもあるのです。
あくまで「補助」金ですから、文字通り「補助的な役割」で活用する計画にしておく必要があります。
節税と同じように、本来は所有する資金の範囲で十分に資金繰りができるという前提で、補助金が活用できればより事業活動に幅が出る、という考えを持って補助金を活用しなければなりません。
まとめ
「事業拡大や新規事業の立ち上げなどで工場の建設に補助金を利用する」その際の「メリット」と「デメリット」をそれぞれ3つずつ解説しました。
補助金は基本的にメリットの方が多く、デメリットは「注意点」に近いものとして捉えてください。
「デメリット=損」ではなく、多くのメリットを受け取る上で注意すべきポイントや押さえておくべきポイントとして「デメリット」を取り上げさせていただきました。
注意点さえしっかり理解して押さえておけば、補助金はメリットばかりなので利用しない手はありません。
利用の幅も広く、支給される金額も多くなってきますので、活用の幅はかなり広くなります。
事業活動は、タイミングを逃すと「機会損失」になってしまい、結果的に利益を逃してしまったり、競合企業に市場を勝ち取られたりする可能性もあります。
「資金不足」が理由で機会損失となってしまうのは非常に勿体ないことですから、すぐにでも利用できる補助金は積極的に活用していきましょう。
まずは、この記事で解説した「メリット」「デメリット」をしっかりと理解し、必要に応じて振り返ってみてください。