あまり知られていない売掛債権の売買や高額な実行手数料などが影響し、ファクタリングという行為自体が違法なのではないかと思っている方がとても多いです。待っていれば支払われる売掛債権の支払いを早める為に債権をファクタリング会社に売るという行為に抵抗を感じるという方も多いでしょう。
更にファクタリングに抵抗が出るようになった理由の一つに、2017年にファクタリング会社を装った会社が貸金業法に違反したとして逮捕されたニュースが大きく影響していると思います。
最初に断言しておきますがファクタリングは違法ではありません!その理由は一体何なのか、ファクタリングを装った会社が逮捕されたのは一体何故なのか。この記事ではその点を中心に詳しく解説していきたいと思います。
ファクタリング業者逮捕のニュースを読み解く
ファクタリングに違法性があるのではないかと疑心暗鬼の感情を持つ方が多くなった事件が起こったのは2017年1月25日。「ファクタリング業者を初摘発」という見出しのニュースが報道され、ファクタリング業界に激震が走りました。報道された内容は以下の通りになっています。
「ファクタリング」と呼ばれる売掛債権の買い取り契約を装い、ヤミ金を営んだとして、大阪府警生活経済課は25日、貸金業法違反(無登録営業)の疑いで、東京都中野区の2業者を摘発し、元経営者の三浦和仁容疑者(36)=同区弥生町=ら男8人を逮捕した。府警によると、ファクタリングを装ったヤミ金業者の摘発は全国初。
摘発されたのは「東洋商事」と「MINORI」。府警は、2業者が平成27年秋から28年11月にかけ、資金繰りが悪化した中小企業を中心に全国約250社に総額3億円以上を貸し付け、1億円以上の利益を得ていたとみて調べる。
逮捕容疑は28年5~9月、堺市と三重県鈴鹿市の会社経営者2人に40~50万円を貸し付け、無登録で貸金業を営んだとしている。三浦容疑者らは「ファクタリングとしての売掛債権の売買であり、貸金業の登録の必要はない」などと容疑を否認しているという。
参考元:産経ウェスト
しかしコチラのニュース内容を読み解くと『ファクタリングを装い』という表現が非常に大切であるという事に気付くと思います。ここで気をつけなくてはいけないのは、逮捕されたのはファクタリング業者ではなく、ファクタリングと装って法外な金利で担保融資を行っていた闇金であるという点です。
全国250社の中小企業に3億円を貸し付け、1億円を越えるお金を騙していたと報道にありますので、法外な30%という手数料を請求していた事が分かります。貸金業者としては明らかに違法な手数料であるにも関わらず多くの中小企業が騙されてしまった背景にはファクタリングを装った巧妙な手口があったからだと推測されます。
逮捕要因はファクタリングではない
メディアなどでは「ファクタリング業者を初摘発」などとセンセーショナルに報道しておいましたが、報道内容を良く見ればファクタリングという言葉を闇金が使用して利用者に安心感を与えただけで、ファクタリング自体には全く違法性があった訳でも法的解釈が変わった訳でもないという事になります。
しかしテレビや雑誌などのメディアなどでは「ファクタリング業者を初摘発」と報道されてしまい、更に普通の人はあまり聞き馴染みのないファクタリングという言葉であると言う事により、あたかもファクタリング会社全般が違法かのように報道されてしまった事で悪い印象が植え付けられてしまったという訳です。
氷山の一角
王道の闇金業が減退している反面、ファクタリング、投資、クレジット現金化…一見するとそれと分からないような巧妙な姿に形を変えて違法な貸し付けを行っている闇金業は数多く存在しているのが実情です。2017年にファクタリングを装った闇金業者が逮捕されましたがそれは残念ながら氷山の一角であり、今現在でも数多くの悪徳業者が営業を続けているというのが実情です。
闇金業者がファクタリングを装って違法な活動を行っている背景には、ファクタリングの性質にあるとも言われています。ファクタリングを行いたいと考える中小企業はとにかく手元に即現金化が欲しいと困っている方が非常に多いです。資金の工面に困り、資金調達を即時行わなければいけない危機的状況にある方が多いので冷静な判断ができない事が多く、そうなると闇金業者から提示された違法な手数料に関しても深く考えずに契約を成立してしまうという訳です。
ファクタリングが違法ではない理由
上記で説明したようにファクタリングには違法性は全くありませんが、ファクタリングを語る業者が逮捕された事で不信感を抱いている方が多いのもまた事実です。しかし法律的な観点から見てもファクタリング自体は全く違法性のない取り引きで、なおかつ厚生労働省や中小企業庁もファクタリングの使用を推奨している国から認められた資金調達方法です。
- 利息制限法の適用外
- 規制する法律が整備されていない
- BtoBが大前提
以上3点がファクタリングに違法性が全くないと断言できる最大の理由です。以下で一つずつどういう事なのかを詳しく解説していきましょう。
利息制限法は適用されない
ファクタリングは融資ではなく債権の買取サービスなので利息制限法が適用されません。優良企業であっても2社間取引の場合は10%~40%の高額な手数料が必要になる為に違法な貸金業者と間違えられる事がありますが、2社間ファクタリングでは貸し倒れリスクがある為にファクタリング会社は高額な手数料を請求するケースが非常に多いです。
利息制限法が適用されないというのはどういう事なのかと言うと貸金業法で守られていないという事になります。貸金業法には利息制限法という法律により利息の上限が定められていますが、ファクタリングはお金を貸している訳ではなく売掛金債権を買い取っているだけですから金銭を貸している訳ではありません。という訳で手数料が20%を越えるものであっても違法ではないという事になります。
ここで問題になってくるのが手数料が20%を頻繁に越える2社間での取り引き。2社間ファクタリングに現在大手メガバンクが参入していない理由もこの利息制限法が影響しています。しかし2社間では売掛先が倒産するという貸し倒れリスクが高い為に高い手数料でなければリスクと見合わないという訳です。
規制する法律がない
上で説明したように利息制限法の問題が残っていたりするように、日本はまだ海外と比較するとファクタリングの普及が遅れている為に、法律が十分に整備されていない状況にあります。違法行為ではありませんので、すぐに厳しい規制が実行される事はありませんが今後ファクタリングの普及と共に法律が整備されていく可能性は十分に考えられます。
『ファクタリングを規制する法律がない』『厚生労働省や中小企業庁などの国が推奨している資金調達方法』であるという2点が、ファクタリングが違法行為ではないという最大の理由になるかと思います。2社間ファクタリング時の手数料問題は残されているとは言え、それを規制する法律がありませんので違法性は全くないという訳です。
BtoBが大前提である為
BtoCは企業と個人のやり取り。BtoBは企業と企業のやり取りの事を指します。ファクタリング登場以前にシュウリュウとなっていた手形割引はファクタリングと似たようなものですがこちらは貸金業法に当たります。しかし同じようなサービスであるファクタリングは上でも説明したように貸金業法にはあたりません。その理由は簡単です。BtoCかBtoBかです。ファクタリングは企業間でのやり取りが基本となりますので、このような背景から法規制が適用されないという訳です。
まとめ
ファクタリングに違法性なしと断言できる3つの理由を上記で説明してきましたが参考になりましたでしょうか。国が資金調達で推奨しているものですが、海外に比べると法整備が整っておらず、特に2社間ファクタリングに置いては手数料が高く、貸金法の制限が曖昧な為に大手メガバンクが参入していないというのが現状です。
逮捕された悪徳業者やファクタリングの名を騙った闇金です。ファクタリングはきちんと業者を見極めて利用する事で安心な取り引きを行う事が可能です。皆さんもファクタリング利用の際は、冷静な頭で判断し、的確なサービス会社を利用する事を心がけるようにしましょうね。