ファクタリングのメリット5つとデメリット3つを分かりやすく解説

ファクタリング

特に中小企業における経営資金確保の方法として重宝される事が多いファクタリングサービス。企業間取引は基本的には現金払いではなく掛け売りによる取り引きが一般的ですから当然リスクは付き物ですよね。現金回収ができないかもしれないというリスクをなくす為にファクタリングを利用しようと考えている企業は多いかと思います。

こちらの記事ではファクタリングサービスを利用する事で得られるメリットとデメリットについて紹介していきたいと思います。資金調達方法の一つとして利用者を拡大しているファクタリングですが、大きなメリットもあればデメリットもありますので企業の資金力や運営資金状況などと照らし合わせてみて、本当に必要なのか否かを冷静に判断していきましょう。

簡単にファクタリングの説明

ファクタリングとは企業が持っている売掛金を買収する事で債務者の返済予定日よりも前に企業活動で生じた代金を現金化する事ができるというものです。企業間の取り引きは売掛金という債務を手に入れる掛取引で行われるのが一般的ですから、サービス提供が完了し実際に物品を売って購入されたとしても実際に現金が手元にくるまでにはある程度の期間が必要になってきます。

この売掛金が実際に現金で手元に入金されるまでは手元の資金は増えない訳ですから、実際に会社の売り上げが順調に上がっていっていたとしても売掛金の売り上げだけでは会社の運転資金が足りなくなり事業の企業運営が苦しくなってしまうという訳です。

  • 資金繰りが苦しいので手元にすぐまとまった現金が欲しい
  • 急に高額の支出が必要な状況になった

このような急に手元にまとまったお金が必要になった時に銀行融資を申請してもすぐには現金を振り込まれる事はありませんし、そもそも融資を断られてしまうかもしれません。そんな時に活用されているのがファクタリングサービスです。ファクタリングを使って企業が抱えている売掛金を決済前に譲渡する事で現金化できます。売掛金は譲渡していますので債権回収はファクタリング会社が後は回収業務を行ってくれるという訳です。

ファクタリングについて簡単に説明してきましたが、詳しい詳細に関しましてはコチラの記事を是非ご参照下さい。

ファクタリングのメリット

企業間取引で使われる掛取引は利便性が高いというメリットがある一方で、代金を回収できないかもしれないというリスクは常に付き物です。大口取引であれば売上債権を全額回収できないと企業運営にも大きな支障をきたす可能性が高く、そのリスクを解消してくれるファクタリングサービスには、大きく分けると5つのメリットがあります。

  1. 最短1日で現金化
  2. 保証人や担保が不要
  3. 手続きが早く簡潔
  4. 貸借対照表のスリム化
  5. 回収不能時のリスクなし

以上5点がファクタリングによる大きなメリットです。以下で一つずつ詳しく解説していきましょう。

資金を最短で即日調達する事が可能!

ファクタリングサービス最大のメリットは資金調達のスピードです。最短で1日で現金振り込みを行ってくれる会社が多くありますので、急にまとまった額の支払いが必要になった場合の資金調達に最も適していると言えます。銀行融資の場合は審査に何週間もかかるのが普通ですから、現金調達スピードでは全くレベルが違うと言えるでしょう。

保証人も担保もいらない!

ファクタリングサービスを活用する時は保証人も担保も必要ありません。というのも、借金の連帯責任を負う覚悟がある方(保証人)が近くにいるのであればその方に直接お金を借りた方が良いですし、担保として使えるような不動産があればそれを元手に費用を調達する事も可能です。

ファクタリングサービスはこのどちらも不要ですから現金が手元になく、手元に現金を置く事ができる状況にもない場合とても最適な取り引きになると言えます。ファクタリングは売掛債権を売却する取り引きですから、簡単に言えば車や時計などの現物を売るのと同じです。つまり不動産抵当権の有無や保証人などは一切不要であるという訳です。

手続きが簡単かつ柔軟

ファクタリングサービス会社へ売掛金を売る時の手続きが簡単な理由は、申し込みする企業の経営や資産状況が審査される事がないからです。融資ではなく債権の買い取りですから売掛金の存在証明と売掛金企業の安定性を説明する事ができれば、債務超過や税金未払いなどの企業的問題があったケースでも融通が効く場合が多いです。

銀行の場合は融資手続きを取る必要がある為に企業の経営資金や資産状況を細かく調べられますし審査に時間がかかります。その点ファクタリングサービスは買い取った売掛金の入金が確実に行われるかどうかだけを調べる為に銀行よりも格段に審査が早く、早ければ当日に審査結果が判明して現金が振り込まれるのです。

貸借対照表が改善される

売掛金は貸借対照表上では流動資産に入っています。売掛金を売却すると流動資産内の売掛金が決済されて現金に変わるという仕分け処理がされます。貸借対照表上で売り上げに対して売掛金が多いとなると金融機関などから資金回収について不安視されたりしますから、売掛金を現金化する事で経営の健全化を図る事ができます。

更にファクタリングは借り入れではなく売買、または譲渡行為にあたりますので会計上も負債に分類される事なく決算書上赤字が増える事もありません。つまり今後の銀行融資審査などに大きなデメリットを与えないというメリットがあります。

債権回収不能になってもダメージがない

ファクタリング契約の多くは償還請求権がない契約です。つまり売掛金を譲渡した後に取引先の会社が倒産するなどして再建の回収が不能になった場合でも申し込みをした会社には負担が一切ないという訳です。債権ごと全て譲渡してしまいますから、その後その会社がどうなるか、債権を回収できるかできないかは全く気にしなくても大丈夫という事になります。

売上債権に償還請求権が適応されないのが理由で、これをノンリコースと呼びます。取引先の倒産による債権回収ができないリスクを回避できるというのは大きなメリットになるかと思います。

ファクタリングのデメリット

上記でファクタリングサービスのメリットを紹介してきましたが、ここからはデメリットを解説していきたいと思います。ファクタリングのデメリットは大きく分けて3つあります。

  1. 手数料がかかる
  2. 債権譲渡登記が必要な場合あり
  3. 2社間取引に大手企業が未参入

大きく分けた3つのデメリットを以下でひとつずつ詳しく解説していきたいと思います。

ファクタリング会社に支払う手数料

当然ですがファクタリング会社に売掛金を譲渡する場合は手数料が引かれますから、本来の売掛金の全てを手にいれる事はできません。買取売掛金額の何%が手数料になるかは2社間と3社間で異なります。

2社間:10%~30%
3社間:1%~5%

ファクタリング会社により異なりますが大体の相場は以上のようになっています。2社間と3社間の違いはファクタリング会社と資金調達をしている申込会社、売掛先である取引先の3社で取引をするというものです。取引先がファクタリング会社を通す事に合意すればスムーズに話は進みますが相手が難色を示し今後の取り引きにマイナスの影響が出るというデメリットがあります。

2社間では取引先には通知されませんからファクタリング会社を通している事を知らないというメリットがありますが、利用会社が倒産したり入金されたお金をファクタリング会社に入金せずに使い込んでしまうなどのリスクがある為に3社間よりも高い手数料設定がされているという事になります。どちらにせよ手数料は必須ですから、売掛金全額を現金化する事ができないというのはデメリットと言えるでしょう。

債権譲渡登記を求められるケースがある

売掛金が高額になればなる程にファクタリング会社に売掛金の受取権利があるという事を公的に証明する為に債権譲渡登記を求められるケースがあります。売掛金の譲渡を誰もが知る事ができるというもので、取引先会社が登記情報を調査する可能性は極めて低いですが完全秘密とは言えなくなってしまうのも事実です。

登記には数万円の費用が発生し、これも手数料とは別に負担する必要があります。しかしファクタリング会社からすると高額な売掛金であればある程、回収できなかった時のリスクが大きすぎますし、受取権利が確実にファクタリング会社にあるという事を証明されないと後でトラブルになったら大変です。しかしこれはなるべく隠密に行いたいと考えている企業サイド目線で考えるとデメリットであると言えるでしょう。

2社間ファクタリングに大手企業が参入していない

上でも説明したようにファクタリングは2社間か3社間かで大きく手数料が変わります。売掛先への通知が必要な3社間ファクタリングの場合、売掛先に「資金繰りが危ない会社」と思われたくないという気持ちや、今後の取り引きの事を考えるとデメリットが多いので多少手数料が高くても2社間ファクタリングを希望している企業が多いが実情です。

しかしここで問題になってくるのが2社間ファクタリングを提供している大手企業がいないという問題です。大手銀行の子会社(みずほ、三菱)でファクタリングを提供してる会社はありますがどちらも3社間ファクタリングしか提供しておらず、2社間ファクタリングのサービスは提供していません。

その最大の理由は『貸金業法との兼ね合い』です。

2社間ファクタリングの手数料相場は10%~30%と非常に高額ですが貸し倒れリスクを考えると高額な手数料に設定しなければ成立しないというのが実情です。しかし貸金業法には利息制限があります。

100万円以上:上限年率15%
10万円以上:上限年率18%

1ヶ月~2ヶ月の前払いでファクタリング手数料が10%~20%になる為に年率換算で考えると利息制限金利を越えてしまいます。ファクタリングが貸金業法に規定する貸金に分類されるかどうかについては明確な定義付けがされていません。

つまり大手銀行が2社間ファクタリングに参入しない最大の理由は…

もしも「ファクタリングが利息制限法に該当する」となった場合、貸金業の登録のはく奪されるリスクがある。

という事が言えます。利息制限法の金利の範囲内であるファクタリング手数料を設定でき、なおかつ貸し倒れリスクの少ない3社間ファクタリングのみを大手銀行の子会社がサービス提供している背景には以上のような事があるのです。

まとめ

経営資金確保の方法として注目されているファクタリングサービスですが、最も大切なのは本当にファクタリングを使うべきか否かを冷静に判断する事ができるかどうかです。簡単かつ即時現金が手元に入る代償として、決して安くない手数料が発生する訳ですから、会社のお金を先食いしているという事になります。

しかし使い方さえ間違えなければ経営難を打破して資金繰りを正常化する事ができる最強ツールになるという事は間違いありません。上で説明したメリットとデメリットをしっかりと理解し、冷静な頭で企業の将来を考えながら利用を検討してみて下さい。

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