エクイティファイナンスによる資金調達の仕組みと7つのメリットデメリット

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ビジネスを今より更に飛躍させる為には資金が必要です。資金調達の方法は大きなカテゴリーで分けると、金融機関から借り入れる方法(デッドファイナンス)と、投資家に新規に株式を発行する方法(エクイティファイナンス)の2種類に分けられます。

金融機関からの借入の場合は返済の義務や利息の支払いが発生しますが、エクイティファイナンスには返済義務がありませんので、借入の返済で資金繰りを圧迫する事はありません。

一見すると魅力しかないように感じるエクイティファイナンスですが、メリットだけでなくデメリットもあり、資金調達の仕組みを完全に理解していないと効果的に利用する事は出来ません。

この記事では金融機関からの借入以外の方法である『増資により資金調達を行う』エクイティファイナンスの仕組みと、メリットデメリットについて分かりやすく解説していきたいと思います。借入以外の方法で資金調達を考えている方は是非参考にしてみて下さい。

デッドファイナンスとの違い

冒頭でも説明しましたが、世の中の資金調達方法は大きく分けるとエクイティファイナンスとデッドファイナンスの2種類に分類する事が出来ます。まずはそれぞれの意味をきちんと理解する所から進めていきましょう。

仕組み

エクイティファイナンスとデッドファイナンスがどのように違うのかを簡単に説明していきます。

エクイティファイナンス

英語表記は「Equity finance」となり、Equityは株式資本という意味を持ちます。企業が新株を新たに発行する事により資金を集めようとする方法の事を指します。増資方法は全部で4種類ありますが、それは以下の項目で詳しく説明していきます。

デッドファイナンス

英語表記は「Debt finance」となり、借入金融という意味です。要するに皆さんに馴染み深い言葉で説明すると“借金”という意味です。銀行からの借入・社債・私募債の発行によって資金を調達する事を指し、企業にとっては一般的な資金調達方法であるとも言えます。

銀行からの借入などの借金をデッドファイナンス、それ以外の株式発行による資金調達方法をエクイティファイナンスと呼ぶと覚えておくと良いかと思います。

返済義務

エクイティファイナンスとデッドファイナンスの明確な違いは返済義務があるか否かです。

デッドファイナンスによる資金調達は単純に他社からお金を借りている訳ですから、当然利子付きでの返済が求められますよね。人や銀行からお金を借りて返済もしなくて良いという訳にはいきません。会社の賃借対照表には負債の項目に金額を記載する必要があります。

しかしエクイティファイナンスは、ただ単純にお金を借りている訳ではありません。新株を発行してその対価として資金を出してもらっている訳ですから返済義務はありません。デッドファイナンスとは違い賃借対照表には資本金に組み入れる形で会計処理を行う事になりますので、自己資本金率が増加します。

エクイティファイナンスによる増資方法

デッドファイナンスは借入、エクイティファイナンスは新株発行による対価で資金調達を行うものであるという明確な違いは理解できたかと思います。

エクイティファイナンスで資金を調達しようと考えた時に、新株を発行して増資を行う方法は大きく分けて下記の4種類があります。1つずつ方法や特徴を紹介していきましょう。

公募(時価発行増資)

時価や時価に近い価格で新株を発行する事を公募や時価発行増資と言います。新株を公募する時は50人以上の不特定多数の投資家に対して、新株取得の勧誘を行います。

時価に近い価格で新株を発行する方法なので、自社の時価が高ければ少ない発行で多くの資金を調達する事が可能になります。時価発行増資による発行価格は一定期間の株価を元にした価格が設定されるのが一般的となっています。

転換社債型新株予約権付社債

投資家が好きなタイミングで、一定の価格で発行された企業の株式に転換できる権利がついた社債を発行する方法の事を転換社債型新株予約権付社債と言います。

株式への転換はあらかじめ価格が決められていますので、株価がその価格以上に値上がりした時には大きな利益が得られる可能性があります。

一定にタイミングで株式に転換する事も出来ますが、転換しなければ普通社債と同じように毎年一定の利回りがあり、満期には額面全額が償還されます。普通社債に比べると利回りは低めになっています。

第三者割当増資

株主であるかどうかを問わずに、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて増資を行う方法の事を第三者割当増資と言います。

取引先や業務提携先との関係を安定させたい時や強固にしたいと考えた時に用いる場合が多く、自社の株価が低く通常の増資が利用できそうにない場合に使われるケースが多いです。

株主割当増資

新株を発行する際に、割り当てを受ける権利を既存株主に保有株数に応じて与える増資方法の事を株主割当増資と言います。割り当てられた新株の申し込みをする義務はなく、割り当てられた新株の全てを申し込み義務もありません。

既存の株主からの申し込みがなければ権利は失効するだけです。通常の時価よりも低い金額で発行されるケースが多いので、それで申し込みをしようかなと考える株主がいるかどうかを待つという訳ですね。

エクイティファイナンスで資金調達するメリット

新株発行によるエクイティファイナンスにて資金調達を行うメリットは一体どこにあるのでしょうか。上記で仕組みや特徴、種類などを紹介してきましたので、ここからはメリットやデメリットについて紹介していきます。

返済義務がない

最大のメリットは返済義務がないという点です。エクイティファイナンスによる資金調達は新株発行によるものなので、銀行などからの借入とは違い対価として既に株式を発行している為に、原則として資金の返済義務がないという訳です。

返済義務が定められていませんので経営が圧迫されにく資金調達方法であると言えるでしょう。デッドファイナンスによる資金調達の場合は、毎月の返済と利子に経営が圧迫されるという面は否めませんので、その点が解消されていると言う事については大きなメリットであると言えるでしょう。

財務体質の強化

エクイティファイナンスによる資金調達を行うと、株主を増加させる事により資本が増えますので財務体質を強化させることが出来るという効果があります。

デッドファイナンスによる資金調達は貸借対照表には負債の項目に金額を記載する必要がありますが、エクイティファイナンスの場合は資本金に組み入れる形で会計処理を行うという違いがあります。

貸借対照表は企業の経営状態を表す重要な意味を持つものです。極端に借入が多いと金融機関や投資家などからは借入に依存している企業と判断されて、見栄えが良くありません。

エクイティファイナンスを利用した資金調達であれば貸借対照表の見栄えが悪くなる事はなく、逆に純資産の部が増えて自己資本比率が改善されますので、財務体質が強くなります。

多額の資金調達も可能

デッドファイナンスによる資金調達の場合、その企業の返済能力・余力・企業価値・担保などが加味された上で融資額が決定されますので、資金調達される上限額には限界があります。

しかしエクイティファイナンスによる資金調達には限界がありません。新株を発行する企業の時価が高かったり投資家目線で考えて魅力的な企業であれば、多額の資金調達を一気に行う事も可能です。

上限がある程度決まっているデッドファイナンスとは違い、多額の資金調達を行う事も可能なエクイティファイナンスであれば、今まで実現できなかったプロジェクト等も実行する事が可能になるかもしれないという事です。

会社の発展に繋がりやすい

上記で説明したように、エクイティファイナンスで集めた資金は自己資産となり会社の資本を強化する事が出来るという特徴を持っている為、会社の発展に繋がりやすくなるというメリットがあります。

自己資本が増えなければ必要な部分に投資を行う事ができず、会社の規模は拡大しにくくなります。自己資本である程度の余裕を持って先行投資を行わなければ事業は成功できませんよね。

会社の発展に必要なものは自己資本を増やす事。それを実現できるエクイティファイナンスは会社の発展に繋がりやすいと考えて良いでしょう。ビジネスチャンスを逃さない企業に成長させる事が出来ます

エクイティファイナンスで資金調達するデメリット

返済義務がなくアイディアと企業の魅力さえあれば多額の資金調達も実現できるエクイティファイナンス。一見するとメリットしかないように感じるかもしれませんが、デメリットも当然あります。良い点と悪い点をしっかりと理解した上で利用するようにしましょう。

EPSの低下

エクイティファイナンスにより新株として発行株式が増えると、1株あたりの価値が低下していきます。つまり、1株あたりの当期純利益(EPS)が低下していくという事になります。

当然ですが既存株主にとっては良く思われませんし、エクイティファイナンスによる資金調達で新たな株主が増えれば問題ありませんが、EPSを良く思わない既存の株主が離れていくという事も十分に考えられるという訳です。

経営権を握られる可能性がある

新株を発行した場合、株主構成が大幅に変わる可能性があります。その結果、経営権が握られて会社内の組織や支配関係が大きく変化するという可能性は十分に考えられます。

今まで株主でなかった人が大株主になり、経営に口出しをしてくるようになるという事は十分に考えられます。現経営陣が自由に経営ができなくなる可能性があるという訳です。

合理的な説明が必要

エクイティファイナンスを行うには、会社の関係者や現在の株主に対して『合理的に納得できる説明』が必ず必要です。上記で紹介したようにEPSの低下により元々の株主は配当が少なくなるかもしれませんし、1株あたりの価値は低下していきます。

それでもエクイティファイナンスで資金調達を行った方が良いという合理的な理由をきちんと株主の方に説明して納得してもらう必要があります。結局は得をするという事を理解させなければ、既存の株主の離反に繋がる恐れがあるからです。

まとめ

新株発行による資金調達方法であるエクイティファイナンスについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。資金調達はデッドファイナンスの借入が主流になっていますが、借入だけが資金調達の全てではありません。

会社を発展させていくための多額の資金調達が必要になった場合は、株式発行によるデッドファイナンスにて調達する方法もあるという事は必ず覚えておきましょう。

多くのメリットがある一方、絶対に避けては通れないデメリットも数多く存在しています。自社の状況とビジョン、納得できる説明ができるかどうかで利用すべきかどうかを判断するのが良いかと思います。

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