企業の事業内容によっては省エネエアコンを導入すると助成金が頂ける可能性があるのはご存知ですか?
毎年4月〜6月あたりに経済産業省から公募があり、省エネエアコンなどの空調設備を導入する費用を最大半分も補助される補助金制度があります。
この補助金制度をしっかりと活用して、ビルや工場の設備を新しく見直してみてはいかがでしょうか?
この記事では省エネエアコンを導入するにあたって活用できる2つの助成金制度について紹介していきます。
省エネエアコンの導入に悩んでいませんか?
真夏になってエアコンが効きづらく、そろそろ買い替えたいと考えていませんか?
・エアコンを入れ替えるのに補助金があるのは知っているけれど、どうすれば良いのかわからない
・補助金を活用しようと思ったけれど、どうしてよいか分からず断念してしまった
・補助金を活用できるほど人員を割けない
・書類を作っている時間がない
など、悩んでいたりしないでしょうか?
もし、補助金を活用して省エネエアコンを導入したいと考えている企業であれば活用すべきです。
まずは、なぜ省エネエアコンに対して補助金を出しているのか、その経緯をお話していきます。
国の取り組み・補助金について
まず、お話するのは「エネルギー使用合理化事業者支援事業」などの補助金が誕生した経緯をお話していきます。
日本ではエアコンが誕生してから80年以上が経過しています。家庭に必ず一台はあるような普及率の現代ではエアコンはなくてはならないものではないでしょうか。
しかし、エアコンを動かすための電力エネルギーのほとんどがCO₂を排出する仕組みとなっています。エアコンの普及率と共にCO₂の排出が比例して増えていき、環境問題を引き起こしている原因の一つとなっています。
そこで、国は企業に対して補助金を交付する事によって、温暖化などの環境問題の改善をしようと考えました。
また、エアコンメーカーにはCO₂の排出を減らそうと省エネ性能の高いエアコンの開発も促していますり
この状況を考えていくと、古くCO₂の排出が多いエアコンを使っていくと環境問題への悪化が進んでいってしまいます。
古いエアコンを新しい省エネ性能の高いエアコンに入れ替えるよって補助金が交付されたり、電気代が安くなって良い事尽くめになります。
2つの補助金
省エネ性能の高いエアコンを導入するにあたって、2つの補助金制度があります。
・エネルギー使用合理化事業者支援事業
・電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金
この2つの補助金がいったいどのようなものか個々に説明していきます。
エネルギー使用合理化事業者支援事業
エネルギー使用合理化等事業者支援事業とは、国内で事業を企業や個人事業に向けて省エネ対策を支援する補助金制度です。略して「エネ合」と呼ばれる事もあり、聞いた事がある人もいるかもしれません。
このエネルギー使用合理化事業者支援事業は経済産業省が行う事業の一つです。
平成30年度までは「一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)」が執行団体として公募・採択を行っていて、平成31年度も同団体が執行団体になると決まっています。
では、いったいどのようなものが対象なのか、詳細を下記に紹介します。
【1.補助対象者】
全業種の法人及び個人事業主
【2.間接補助対象事業】
(1)工場・事業場単位:既設設備・システムの入替えや製造プロセスの改善等の改修やエネルギーマネジメントシステムの導入により、工場・事業場等における省エネ・電力ピーク対策を行う事業。 ※電力ピーク対策事業については、複数年度継続事業の後年度事業分のみを対象
(2)設備単位:既設設備を、補助対象設備ごとに定められた省エネルギー効果の高い設備への更新を行う事業。
【3.補助対象設備】
(1)工場・事業場単位:一定の要件を満たす全ての設備を対象とする。 ※具体的な要件については、経済産業省と協議の上決定する。
(2)設備単位:平成27年7月に策定された「長期エネルギー需給見通し」における省エネ量の根拠となった産業・業務用の設備のうち、業種横断的に使用される省エネルギー性能の高い機器又は設備を対象とする。想定する補助対象設備は以下のとおり。なお、補助対象設備については今後追加等があり得る。
<想定補助対象設備>
①高効率空調
②産業ヒートポンプ
③業務用給湯器
④高性能ボイラ
⑤高効率コージェネレーション
⑥低炭素工業炉
⑦冷凍冷蔵庫
⑧産業用モータ
※具体的な基準については、経済産業省と協議の上決定する。なお、トップランナー制度対象機器の場合、トップランナー基準以上の設備を補助対象とする。
【4.間接補助対象経費(消費税及び地方消費税額は対象外)】
(1)工場・事業場単位:【2.間接補助対象事業】に要する経費のうち、機器又は設備の設計費・設備費・工事費
(2)設備単位:【2.間接補助対象事業】に要する経費のうち、機器又は設備の設備費
【5.1事業当たりの補助率】
(1)工場・事業場単位:1/4以内、1/3以内、1/2以内とする。 ※なお、補助限度額(上限額及び下限額)については、経済産業省と協議の上、決定する。
(2)設備単位:1/3以内とする。 ※なお、補助限度額(上限額及び下限額)については、経済産業省と協議の上、決定する。
【6.募集方法】
一定期間の公募により実施する。
電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金
次は電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金です。この補助金は「省エネルギー設備」への入替支援のために行われている事業です。
電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金についてを見てみると
工場等における省エネ設備や省電力設備への入替促進のため、対象設備を限定しない「工場・事業場単位」及び申請手続が簡易な「設備単位」での支援を行います。また、複数事業者が連携した省エネ取組への支援を強化します。
とありました。
注目してもらいたい部分は“省電力設備への入替促進”です。
省エネ法で言う「エネルギー」といえば、電気、都市ガス、LPG、LNG、高炉ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油、石炭など様々なものがあります。しかし、ここでは「電気」に限っています。
その理由としては“自然災害による大規模停電リスク・被害を軽減するため”と言えるでしょう。
これは近年度重なる災害で重要視されている「重要インフラの強靭化」「防災、減災、国土強靭化対策」の一環なんですね。
電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金の対象を以外にまとめたので参考にしてください。
【1.補助対象者】
全業種の法人及び個人事業主
【2.間接補助対象事業】
(1)工場・事業場単位:既設設備・システムの入替えや製造プロセスの改善等の改修やエネルギーマネジメントシステムの導入により、工場・事業場等における省電力対策を行う事業。
(2)設備単位:既設設備を、補助対象設備ごとに定められた省電力効果の高い設備への更新を行う事業。
【3.補助対象設備】
(1)工場・事業場単位:一定の要件を満たす全ての設備を対象とする。 ※具体的な要件については、経済産業省と協議の上決定する。
(2)設備単位:想定する補助対象設備は以下のとおり。 なお、補助対象設備については今後追加等があり得る。
<想定補助対象設備>
①高効率照明
②高効率空調
③産業ヒートポンプ
④業務用給湯器
⑤高性能ボイラ
⑥低炭素工業炉
⑦変圧器
⑧冷凍冷蔵庫
⑨産業用モータ
※具体的な基準については、経済産業省と協議の上決定する。なお、トップランナー制度対象機器の場合、トップランナー基準以上の設備を補助対象とする。
【4.間接補助対象経費(消費税及び地方消費税額は対象外)】
(1)工場・事業場単位:【2.間接補助対象事業】に要する経費のうち、機器又は設備の設計費・設備費・工事費
(2)設備単位:【2.間接補助対象事業】に要する経費のうち、機器又は設備の設備費
【5.1事業当たりの補助率】
(1)工場・事業場単位:1/4以内、1/3以内、1/2以内とする。 ※なお、補助限度額(上限額及び下限額)については、経済産業省と協議の上、決定する。
(2)設備単位:1/3以内とする。 ※なお、補助限度額(上限額及び下限額)については、経済産業省と協議の上、決定する。
【6.募集方法】
一定期間の公募により実施する。
2つの違い
2つの補助金を紹介しましたが、省エネルギー”か“省電力”の違いだけで、同じものでは?と考えられたと思います。
2つの補助金の内容を見ていくと、「エネ合」の補助金をベースに作っているので間違いはなさそうです。
違いの一つとして挙げられるのであれば、今回エネ合補助金の工場・事業場単位では「電力ピーク対策」(これまでで言う区分Ⅱ、または区分イ)の新規事業がなくなった様子です。
「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金」の方で力を入れるのか、ある程度電力平準化が進んできたと見ているのか、これまでの採択結果から効果が見込めなかったのかは現時点では明らかではありません。
電力のみが対象でしたので、おそらく「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金」で対応するのだと思います。
また、設備単位を見ると「高効率照明」がエネ合の方からは消えています。
昨年、大企業では工場・事業場単位では照明設備のみの更新が対象外となり、その前には「投資回収年が5年未満の事業が対象です」と明記されるようになるなど効果の高いLEDや高効率照明には厳しくなっていましたが、ついに消えてしまいました。
しかし対象から外されるのは、それだけ「市場に浸透した」「補助金を使わなくとも十分な効果が見込める」と認識されたからでしょう。今回に限れば、照明は電気をエネルギー源として動くので、空調やボイラー、炉などと違いガスや重油から電気エネルギーへの転換、またはその逆がありません。
通常電気→電気への更新なので、エネ合補助金ではなく「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金」での適用になったのではないでしょうか。
結局どっちを使えばいいの?
現状ではエネ合補助金と「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金」の違いを比べて、どう捉えるかは何とも言えません。
しかし、エネ合ではなく、あえて「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金」が創設されたということは当然何らかの意味があるのでしょう。
自然災害による大規模停電リスク、被害を軽減するためとあるので蓄電池や独立型電源の導入に加点がされるかもしれません。
いずれにしろ似通った制度であることは確かなので、今のうちから事前準備や資料の収集を始めておき、どちらが公募開始されても申請できる準備をしておくことが肝要でしょう。
まとめ
省エネエアコンを導入するにあたって利用できるであろう補助金を紹介しました。
もし、ガス空調を電気空調に変更する方であれば、からエネ合の補助金をオススメします。
照明器具をLED化するのみの事業を考えているのであれば、電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金しか使えない可能性が高いです。
また、「どの補助金にすれば良いか分からない」という方は、予算の最も高い「エネルギー使用合理化事業者支援事業」の補助金制度を利用するのが良いかもしれません。
地方自治体によって実施されている補助金や助成金で省エネエアコンを対象にしたものはありますが、補助される金額が少なかったり、その地域にある企業に限定されていたり、意向にそぐわない場合もあります。
そんな時は、地方自治体に補助金についてを問い合わせてみても良いかもしれませんね。