助成金には様々な種類がありますが「雇用助成金」は、雇用維持などを含めて様々な種類に分かれています。
メインとして、今回は新たに中小企業が人を雇う時にもらえる助成金制度を取り上げてみましょう。
雇用される高齢者も、中小企業側もお互いに良い条件だと思いますので、是非参考にしてみて下さい。
そもそも雇用助成金とは?
新たに雇用をした際にもらえる助成金ですが、当然ながら「誰でも雇えばもらえる」というものではありません。
助成金の対象者とは、特定就職者雇用開発助成金において、高年齢者、若年者、障害者、特定業種従事者等の就職困難者などが指定されています。
また年収、資格、経験等の一定要件を満たした場合や、介護未経験者で介護事業についたものを雇用した際に支払われる助成金などがあります。
雇用関係の助成金が貰える条件は色々ありますが、例を挙げると下記のような条件があります。
■6カ月~30ヵ月の雇用維持期間にて雇用する
■月平均助成額=助成金額÷助成期間 で計算した金額になる
■ハローワーク・民間の紹介事業者等の紹介により雇用する
■原則3か月のトライアル雇用をする
■1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度である
雇用関係の助成金の目的は?
雇用関係の助成金の目的は、労働者の職業を安定させるために、失業の予防、雇用機会の増大、雇用状態の是正、労働者の能力開発等を図ることにあります。
そのため、新規事業に関する人材の雇用、障がい者の雇用、人材の育成などが一般的な助成金の対象となります。
しかし近年では、創業や就業規則の変更を対象とした、社会情勢を反映した助成金が増えています。社会情勢に応じて、助成金も変化するものです。
新しい助成金ができたり、廃止されたり、助成金の内容や条件等はたびたび変化するので、日々アンテナを張っておくことが重要です。
助成金の変更例を1つ出しますと、2008年から2009年で世界的な景気の急落に端を発する景気の急落により「雇用調整助成金」の活用が製造業を中心に広まり、度重なる受給要件の変更が行われました。
雇用関係の助成金は、受給条件に該当すれば、高い確率でもらうことが出来るものです。しかし、雇用する前に申請することが必要な助成金もあります。
そのため、人を雇用する前に、予め助成金の受給条件について知っておくことが、雇用関係の助成金をもらう上で大切になってきます。
雇用関係の助成金の7つの種類
以下が雇用関係の助成金の主な種類になります。
■高年齢者雇用開発特別奨励金
受給額:90万円
■若年者等正規雇用化特別奨励金
受給額:100万円
備考:雇用開始日の満年齢が25歳以上40歳未満かつ雇用開始前1年間に雇用保険の一般被保険者でない者。 30ヵ月/3年以内
■既卒者採用拡大奨励金
受給額:100万円
備考:大学等を卒業後3年以内の既卒者。1年以上継続して同一の事業主に正規雇用された経験がない者。 6ヵ月/3年以内
■既卒者トライアル雇用奨励金
受給額:80万円
備考:卒業後も就職活動を継続中の高校・大学等を卒業して3年以内の新規学卒者。/ 6ヵ月。
■試行雇用奨励金
受給額:12万円
備考:45歳以上で原則として雇用保険受給資格者の者。40歳未満の者、母子家庭の母、 障害者等/ 3ヵ月。
■派遣労働者雇用安定化特別奨励金
受給額:100万円
備考:期間の定めのない労働契約に対して
■中小企業基盤人材確保助成金
受給額:140万円
備考:5名まで /12ヵ月
上記が主な雇用関係の助成金で、その他、被災離職者、障碍者、元気なシルバー人材なども別途規定で助成金対象となることがあり、地域雇用開発助成金として、雇用機会が特に不足している地域等において、その地域の雇用をすると助成されるものもあります。
ここで上記の中でも2019年オススメの助成金を詳しく紹介します。
2019年オススメの助成金
国や自治体が企業活動を支援する目的で助成金・補助金を交付する制度があります。企業活動を推進するうえで活用を検討してみてはいかがでしょうか。
その中でも2019年にオススメの助成金を紹介します。
トライアル雇用助成金
近年では、若者の正社員離れが進行しています。
また、せっかく就職した若者でもすぐ退職してしまうこともあり、企業側も大変です。
そこでオススメできるのが、トライアル雇用です。
「トライアル雇用」とは、企業と労働者相互の理解を深め、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけづくりを図るために厚生労働省が実施している事業です。
職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者を試行的に短期間雇用(原則3カ月)する場合に助成金が支給されます。
受給のポイントは、事前にトライアル雇用求人をハローワーク(注1)に提出。企業がハローワークの紹介により、以下の対象労働者を試行的に雇い入れ、短期間雇用(原則3カ月)する場合、一定の条件を満たせば助成金が支給されます。
「トライアル雇用」の対象者は、平成31年4月1日より対象者が一部変更になっています。
1.紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している。
2.紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている(注2)。
3.妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業(注3)に就いていない期間が1年を超えている。
4.紹介日時点で、ニートやフリーターなど(注4)で45歳未満の人。
5.紹介日時点で、就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する人(注5)。
(注2)パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていないこと
(注3)期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間と同等であること
(注4)安定した職業に就いていない方で、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている方
(注5)生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇い労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者
企業はトライアル雇用の期間中に、対象労働者の適性や業務遂行能力などを実際に見極めたうえで、その後に本採用するかどうかを決めることができます。
助成金の支給により対象労働者の常用雇用を義務付けるものではありませんが、上記の対象労働者1から5については、できる限り常用雇用に移行するよう、業務等の助言・指導を実施することが求められます。
申請に当たっては、支給対象事業主の要件を満たす必要があります。詳細は以下のパンフレットをご参照ください。
人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
人材確保等支援助成金は、従業員の離職率低下に取り組む企業に対して助成を行う制度で、雇用管理制度(評価・処遇、研修、健康づくり、メンター<先輩サポート>)の導入によって雇用管理の改善を推進し、人材の定着・確保と魅力ある職場環境を創出することを目的としています。
事業主が新たに雇用管理制度の導入・実施を行い離職率の低下が目標に達した場合に「目標達成助成 57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)」が支給されます。
雇用管理制度の種類は下記の通りです。
目標達成助成に至っては、制度導入助成に基づく施策を実施した結果、雇用管理制度整備計画期間の終了から1年経過するまでの期間の離職率を、雇用管理制度整備計画を提出する前1年間の離職率よりも、下表に掲げる目標値(注6)以上に低下させた場合、目標達成助成金が支給されます。
新たに認定を受けた雇用管理制度整備計画に基づく雇用管理制度を導入・実施します。
導入・実施開始後1年間は「雇用管理制度整備期間」となり、離職率低下の目標値達成に向けて雇用管理制度の浸透を図ります。
この人材確保等支援助成金は、平成28年4月より重点分野関連事業主以外の事業主も対象となり、平成30年4月1日より職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、保育労働者雇用管理制度助成コース、介護労働者雇用管理制度助成コース)が統合された制度です。
この2つが現代の社会においてオススメできる助成金になります。
助成金申請の流れ
助成金を申請し受給するまでには、当然ながらいくつかの順序があります。助成金を受給するまでの流れについては、助成金によって多少異なりますが、一般的な助成金を受給するまでの流れを押さえておけば、大体イメージがわいてくると思います。
まず最初に厚生労働省の雇用助成金(補助金)等のページで該当する助成金があるかチェックします。
国や都道府県で一定の基準を満たした個人事業や、中小企業等に対して支給しています。助成金は返還の必要がありません。
雇用関係の助成金は厚生労働省より、ハローワークなどを通じて公募しています。
新規雇用や人材育成に対する助成、新しい従業員の環境に関する就業規則の変更などが該当します。返済の必要はありません。受給時期は申請してから半年後や1年以上先になることがあります。
助成金は基本的に申請すればほぼ受給できますが、きちんと条件を満たしてないと申請がおりないこともあります。
該当している助成金があった場合、公募のページより申請書をダウンロードし、必要書類をそろえて申請する必要があります。場合によっては電子申請出来るものもあります。
まとめ
助成金申請は難しいですか?と尋ねられることがあります。
簡単だと思えるのは、何度か経験した後かもしれません。初めのうちは面倒と思われることも多いでしょう。
ただし、コツを覚えられたら何度でも助成金がもらえることもあります。
自分の会社に合った助成金を探したいという場合は、専門家である社会保険労務士に無料相談してみるのもおすすめの方法です。
締め切りごとに助成金のカレンダーを持っている社会保険労務士もいるので、ご自身の事業や企業で該当する人を雇用する予定があれば、活用しない手はありません。