ドローンがすでにさまざまな業界で活用されていることを、ニュースや新聞で目したことがある方もいるのではないでしょうか。
現在では「仕事にドローンを取り入れよう」と目をつけている企業も多くなってきました。
しかし、仕事にドローンを導入するためには、まず従業員にドローンの操縦技術を習得してもらう必要があります。
そうなると、ドローンスクールを受講する費用などがかさんでしまうことで、ドローンの導入をためらう方もいるでしょう。
そんな方はドローン導入に助成金を使ってみてはいかがでしょうか。
今回はドローンの導入を検討している方に向けて、ドローンの助成金について説明していきたいと思います。
ドローンスクール受講で人材開発支援助成金が利用可能
日本では、ドローンの正式な免許は存在していません。
しかし、ドローンを操縦する時に、全くの素人では業務として飛ばす事はできません。
まずは、ドローンの操縦する為にスクールに入校して技術を学ぶ必要があります。
そこで、人材教育に費用が発生していますでしょう。
ここでオススメするのが、人材開発援助助成金です。
人材開発援助助成金は、企業による人材育成を促進するために設けられた制度です。
平成28年度まではキャリア形成促進助成金と呼ばれていたため、こちらの名前で覚えている方もいるかもしれません。
具体的な助成内容は、労働者が専門的な知識や技能を身につける職業訓練などの費用や、訓練を受けている間の給与の一部を援助です。
ドローンを導入するために必要な技能訓練なども、この職業訓練にあたるため、ドローン導入に助成金が使うことができるのです。
最近は、多くのドローンスクールで「人材開発支援助成金」が利用できることをアピールポイントとして打ち出しています。
では、実際どのくらいの補助が得られるのでしょうか。
経費助成は最大45%(上限15万円)、社員パイロットを増やす事が出来る
上記で説明した通り、「人材開発支援助成金」とは、労働者の職業訓練開発に伴う経費・賃金の一部を助成する公的制度です。
従業員をドローンパイロットとして養成するためドローンスクールを受講させた場合、講習費用と受講期間中に支払った賃金の一部が助成されます。
人材開発支援助成金には、特定訓練・一般訓練・キャリア形成支援制度導入・職業能力検定制度導入など7つのコースがあり、ドローンスクールの多くで利用できるのが、特定訓練コースと一般訓練です。
例えば、「ドローンビジネスカレッジ南紀白浜校」で、人材開発支援助成金の適用例を見ると、JUIDA認定操縦技能・安全運航管理者コース受講する場合、その費用(税込) 226,800円。
そこに助成金特定訓練コース (経費助成・賃金助成)117,260円 が適応され、実質負担(概算)は、109,540円と半額以下になります。
働き方改革が求められる中、社員パイロットの複数化にも目処が立つのではないでしょうか。
助成が適用される主な条件とは
助成金が適用される主な条件はコースにより異なり、各コース共通の要件として以下の内容などが挙げられています。
■雇用保険の適用事業所の事業主であること
■事業主が訓練にかかる経費を全額負担していること
■職業能力開発推進者を選任していること
■「事業内職業能力開発計画」およびこれに基づく年間職業能力開発計画を作成し、その計画の内容を雇用する労働者に対して周知していること
この4点をしっかり確認してから申請しましょう。
助成金は国が定めていますので、細かく調べ、審査をします。
その為、申請する側もしっかり書類を集め、認識する事が重要です。
支給金額
人材開発支援助成金は、職業訓練さえしていれば受け取れるものではないので、ドローン導入に助成金を受け取るためには、しっかり条件を確認しておきましょう。
人材開発支援助成金には、特定訓練コースと一般訓練コースの2つがあり、コースによって支給金額も変わってきます。
特定訓練コースの対象は、比較的効果が高いと考えられる職業訓練をおこなう場合です。
効果が高いと考えられる職業訓練とは、たとえば若手の従業員に職業訓練を受けさせる場合があげられます。
ここでの若手とは、採用して5年未満で35歳以未満の従業員を指します。
また、ほかにも技能継承のための訓練や海外関連業務に関する研修などが対象になります。
厚生労働大臣による認定を受けた訓練なども対象なので、一度確認しておくことをおすすめします。
この特定訓練コースでは、訓練にかかった費用の45%と1時間あたり760円が経費や給与として助成金が支払われます。
ただし、どちらも中小企業を対象としたもののため、それ以外の企業では半額程度に減らされるので注意しましょう。
この特定訓練コースに当てはまらない場合は、一般訓練コースの対象となります。
こちらは中小企業、および、事業主団体などにしか適応されません。助成金の内訳は、経費の30%と1時間あたり380円の給与です。
助成金を受け取るまでの基本的な流れ
ここからは、実際にドローン導入で助成金を受給する際の流れを確認していきましょう。
助成金を受け取るために必要なのが訓練計画の作成です。
従業員に対しておこなう職業訓練の計画を作成して労働局へ提出します。
期限は訓練実施の1ヶ月前までなので、しっかりと日付を確認しておくことが重要です。
特定訓練コースでは、訓練計画書を作成する前に、実践型人材育成システム実施計画などを申請する必要があります。
この実践型人材育成システム実施計画に対して厚生労働大臣の認定を得たうえで、訓練計画を作成し、提出するようにしましょう。
訓練計画を提出できたら、実際に職業訓練を実施してください。
このときの訓練費用などは、自分で負担しなければいけません。
職業訓練が完了したら、2カ月以内に再度労働局へ向かい支給申請書を提出します。
この後、労働局によって審査され、その審査に通ることができれば、晴れて助成金を受け取ることができます。
ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金も活用しよう
ドローン導入の助成金は、人材開発支援助成金だけではありません。
ほかにもさまざまな補助金や助成金があります。細かい助成金を知る事で、有利な情報を入手する事ができますので、しっかり頭に入れておきましょう。
そのひとつが、全国中小企業団体中央会が支援する「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」です。
これは、生産性を向上させるために中小企業がおこなう設備投資などの支援を目的としています。
ドローンを導入するためには、従業員の操縦技術向上だけでなく、ドローン本体の購入が必要です。
このドローンの購入を設備投資として補助してもらえる可能性があります。
「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」は公募制ですので、しっかりとした手順で申請すれば必ず補助金がもらえるというわけではありません。
しかし、最大1,000万円を受給できるチャンスですので、検討してみてはいかがでしょうか。
ドローン導入やドローンを利用した業務に助成金交付や減税も
では、ドローンの機体やソフトの購入、ドローンを用いた業務が助成金交付や減税の対象となる可能性はあるのでしょうか。
補助金・税制・融資等支援が期待できる制度
国交省の参考資料「ICT施工に利用できる可能性が高い補助金制度」によると、ITツールのソフト本体・クラウドサービス・ 導入教育費用などを対象とした「サービス等生産性向上IT 導入支援事業」や、生産性向上に資する投資計画を対象とした「ものづくり・商業・サービス 経営力向上支援事業」で補助金を受けられる可能性があると見ています。
また、中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制が適応され、減税の対象になる可能性があります。
農業用ドローンの導入なら、農業用機械などの導入を支援する経営構造対策事業(旧経営体育成支援事業)の利用が考えられます。
また林業では、「林業・木材産業成長産業化促進対策交付金」が有望です。
小規模・分散している森林の所有者や境界の確認、各種調査や間伐実施の森林所有者の同意取り付けなどにかかる費用・経費について、森林整備地域活動支援対策事業で支援してくれます。
海外では、実際に薬剤を畑に散布したり、荷物を上まで運んだりする事に実際に使われいます。
チェックしておきたい地元の補助や優遇制度
このほか、地方自治体が主体となった補助制度もあります。
例えば、埼玉県内は「ドローン活用事業創出補助金」制度を設けています。
これは「今後の成長が予測されるドローンビジネス市場への県内企業の参入を促進するため、ドローンを活用した新たなビジネスの創出やサービスの向上に取り組む中小企業に交付する」もので、中小企業がドローンを購入して操縦者育成する場合などの条件に適合する案件に、50万円を上限として補助するものです。
また、岩手県花巻市では、花巻市農業用ロボット・情報通信技術機器導入支援事業として農業用ドローンの導入や、農業用ドローンのオペレーターとして認定を取得するために必要な操作実習教習や学科教習にかかる経費を補助する制度を設けています。
まとめ
本記事では農業などで活躍するドローンの補助金について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
現在では、ドローンを使ったメディアの撮影や、空の運送業空が現実味を増しています。
今後も、ドローンの事業は確実に需要が上がっていくでしょう。
運送業でも、既にネットショッピングなどの需要が上がり、空を使う事が重要視されています。
そして、ドローンを活用するのに「人材開発支援助成金」や「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」が使える可能性があるため、一度自治体に問い合わせるなどをしてご検討してみてはいかがでしょうか。