電子記録債権(でんさい)とファクタリングの違いを3つの視点で解説

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電子記録債権とは手形や売掛債権を電子債権記録機関の記録原簿に電子記録として発生させ、効力を持たせることができ、中小企業の資金調達を円滑にするために創設された金銭債権です。その中でもでんさいネット内で流通する電子記録債権のことを「でんさい」と言います。

「でんさい」は資金調達を円滑にするもので、「ファクタリング」は資金調達方法そのもののため比較する対象になりません。

しかし「でんさい割引」を利用し手形を譲渡することで支払期日前に資金調達をすることができ、似たようなシステムのファクタリングと比較されることがあります。どちらにもメリットやデメリットがあり、利用する際にはその状況に合わせて選ぶ必要があります。

そこで今回は「でんさい割引」と「ファクタリング」の違いについてそれぞれの特徴を紹介しつつ解説していきたいと思います。大企業も続々と利用を開始しているでんさいは、今後普及すれば企業間取引の基本となる可能性もあります。でんさいについて深く知らない方もこの機会に正しい知識を身に着けておきましょう。

電子記録債権(でんさい)とは?

中小企業の資金調達や資金繰りを円滑に行えるように創設されたのが電子記録債権(でんさい)です。簡単に言えば今まで紙で発行されていた手形と売掛債権を電子化しデータとして扱えるようにしたものです。

手形の発行や保管、請求先への取り立てなど無駄が多くありましたが、でんさいに登録を済ませている企業間なら今までよりも簡易的に取引が行えるだけではなく、手形や売掛債権の問題点を一気に克服することができます。でんさいのことを詳しく紹介するために支払企業と納入企業の立場に立ってそれぞれのメリットを解説していきます。

▶︎支払企業のメリット

手形を発行する手間や印紙税コストの削減、支払いを1本化することで効率的に取引を行える。

でんさいを利用することで発行した時の印紙税はなくなりコストを削減することができます。また手形の発行には面倒な事務手続きもありましたが、でんさいを利用すれば手形の発行、振り込みの準備など支払いに関することが全てインターネット上で行うことができます。複数の支払い手段をでんさい1本に絞ることができればさらなる効率化を図ることもできます

▶︎納入企業のメリット

手形の紛失や盗難の心配をなくし、取り立てなどの面倒な手続きを軽減。手形では出来なかった分割が可能となり、必要な分だけ譲渡することで資金調達を円滑に行うことができる。

データ化することで紛失や盗難の心配がほぼ0になります。また手形の情報を簡単に確認することもできるため、債権の存在や帰属がどうなっているのか明らかになり、二重譲渡のリスクがなくなります。

さらに手形の分割が可能になるというのが大きなメリットになります。今まで100万円の手形は100万円の手形にしかならなかったですが、データ化したことで70万円分と30万円分に分けることができるようになり、必要な分だけ分割し譲渡することが可能となりました。後でも紹介していますが、この分割はでんさい割引を行う際時にとても役に立つシステムになります。

でんさいを利用する時のデメリット

ここまでメリットばかりを紹介したので、良いイメージだと感じると思いますが無視できないデメリットも存在します。

  • でんさいネットへの申し込みが必要
  • 取引先がでんさいに対応している必要がある
  • でんさいへ移行するタイミングが難しい

でんさいを利用するにはでんさいネットに参加している金融機関に申し込みを行う必要があります。さらに自社がでんさいの利用を開始したとしても、取引先が対応していなければ意味がありません。でんさい利用を開始する時に複数の取引先に確認を取る必要もあり、どのタイミングででんさいに移行すれば良いのか難しい状況となっています。今後、普及が進み多くの企業が参加すれば参入しやすいと思いますが、現状ではなかなか利用するという決断は簡単なことではない状況です。でんさいの一番の課題は今後の普及だと思います。

でんさい割引とは?

元々手形には手形割引というものがあります。基本的には手形に記載された期日にならないと現金を受け取ることができませんが、資金繰りが苦しくなった時などに手形割引を利用することによって期日前に現金化することが可能となります。手形を買い取ってもらう時に手数料や利息を支払う義務が発生するため、100%の金額を手にすることはできません。

でんさいでもこの手形割引を行うことが可能で、主にでんさい割引と呼ばれています。

普通の手形割引とでんさい割引の一番の相違点は分割ができるかできないかです。上記でも説明した通りでんさいを利用していれば手形を分割することができます。割引も分割で行うことができるため無駄なく効率的に資金調達を行うことができます。

「でんさい割引」と「ファクタリング」の違いを解説

ファクタリングとは発生した売掛債権を期日前にファクタリングと手数料を除いてファクタリング会社に譲渡する資金調達の方法のことを言います。でんさい割引も同じように手数料や利息を除いて期日前に資金調達を行うことができるため、混合する方が多いですが大きな相違点があるのでご紹介していきます。

  • 新たな締結の有無
  • 貸し倒れリスクの有無
  • 債権を分割できるかどうか

以上の3つの違いがあります。売掛債権を期日前に現金化するという共通手はあるもののそれぞれに違いがあります。どちらを利用するべきなのか、各々の資金調達方法のことを把握し間違った選択をしないようにしましょう。

でんさい割引では新たな締結の必要がなし

・でんさい割引:取引先もでんさいに登録済みなら締結の必要なし

・ファクタリング:新たにファクタリング会社を利用する度に締結が必要

でんさいは1300を超える金融機関が参加しているため、支払い企業も受け取り企業も自社がそれぞれに口座を持っている銀行が参加していれば新たに口座を開設する必要がありません。またどの銀行を通じて手続きを行ったとしても全国で統一された書式になっておりとても高い利便性となっています。一方ファクタリングは個別での取引が必要となるため、取引先が増える都度新たに締結の必要があります。

簡易的なのはでんさいですが、取引先がでんさいに登録していることがマストになります。現在では、まだでんさいの普及率も高くないため、利用できない可能性も考慮する必要があります。でんさいの登録を済ませていたとしても結局ファクタリングを利用することもあります。

貸し倒れリスクの有無

・でんさい割引:支払い企業が支払えなかった場合、支払い義務が発生。

・ファクタリング:売掛債権を譲渡した時に、ノンリコース契約をすれば支払い義務はファクタリング会社へ移行する。

でんさい割引では割引したでんさいが支払い期日までに決済されなかった場合、不渡りとなり自社で買い戻す必要があります。また不渡りとなった時に債務者には支払い不能処理が科せられてしまい、6か月以内に再び支払い不能になると取引停止処分が科せられその後2年間はでんさいねっとの利用ができなくなる罰があります。

ファクタリングでは基本的にノンリコースで契約を行う場合が多く、不渡りとなっても自社に支払い義務は発生しません。そのため貸し倒れリスクを背負うことなく資金調達を行うことが可能となります。

その代わりファクタリングを利用した際にでんさいよりも手数料が高い場合が多くなります。利用する時はリスクと手数料を天秤にかける必要があると言えます。

でんさい割引では債権を分割して現金化できる

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・でんさい割引:売掛債権を分割して必要な分だけ現金化可能

・ファクタリング:債権そのものを譲渡するため分割はできない

ファクタリングは売掛先から代金を受け取る事ができる売買をするため、債券全てを現金化することになります。しかしでんさい割引ではあらかじめ手形を分割し、必要な分だけを割引で現金化することが可能となります。

そのためもし支払い企業が倒産し、不渡りとなって買い戻す義務が発生したとしても、必要な分だけにしておけばリスクを軽減することができるのです。例えば1000万円の債権があったとしても、800万円と200万円に分割し200万円だけでんさい割引を行えば支払い義務も200万円に抑えるとができます。そもそもファクタリングでは支払い義務は発生しませんが、でんさい割引の大きなデメリットを緩和することは可能です。

でんさいファクタリングについて

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でんさいには割引とは別にでんさいファクタリングというものがあります。でんさいファクタリングに対応している企業と契約をしファクタリングを行うことができます。

でんさい割引のように新たに締結の必要がなく、分割譲渡も可能。さらに通常のファクタリングと同じように貸し倒れリスクを負うことがないというメリットがあります。

しかしでんさい割引と比べると手数料が高くなること、さらに原則3社間ファクタリングのみで2社間ファクタリングが不可能だというデメリットもあります。ファクタリングが普及してきているとは言え、まだまだ3社間ファクタリングを行うことの壁は大きく、2社間で行えないことは大きな壁と言えるでしょう

さらにでんさいファクタリングは対応している会社が少なく、普及しているとは言えない状況です。今後、普及が進めば注目度は高くなると思いますが、現状利用するにはまだまだこれからと言った所です。

まとめ

今回はでんさいについてとでんさい割引とファクタリングの違いについてご紹介しました。どちらも期日前に現金化できるという共通点はあるものの、中身に大きな違いがあります。

  • 新たな締結の有無
  • 貸し倒れリスクの有無
  • 債権を分割できるかどうか

ご紹介した3つの違いをしっかりと考慮し、どちらを利用するべきかを選択するようにしましょう。しかし上記でも紹介したように現状でんさいを利用するメリットよりも、参加している企業が少ないことのデメリットの方が大きいように感じます。

急に現金が必要になった時の方法としてはでんさい割引よりもファクタリングの方がオススメだと言えるでしょう。でんさいファクタリングも3者間のみなので、利用する中小企業は少なく、課題が多く残る状況となっています。

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