男性 育休 助成 金

男性の育休を支援する両立支援等助成金5つのコースを徹底解説

助成金

お子さんが生まれる従業員にとって育児休暇は欠かせない存在です。
特に最近では、男性従業員のなかでも「子どもが生まれるので、育児休業を取りたい」と思っている方は少なくないのではないでしょうか?
また、介護をしているために、仕事と両立できず退職せざる得ない従業員の方も増えています。
このようなケースは、会社や従業員にとって大きなマイナスになってしまうでしょう。

そこで、こちらの記事ではマイナス面を補える「両立支援等助成金」をご紹介いたします。
「両立支援等助成金」は、育児や介護を両立できるような制度の導入や環境作りを行うと助成金が受け取れる制度です。
仕事と介護や育児が両立できない従業員がいるのであれば、ぜひ「両立支援等助成金」をご活用ください。

仕事と育児の両立を支援する「両立支援等助成金」

男性 育休 助成 金

「両立支援等助成金」は、育児や介護によって仕事が両立できない従業員のために、両立できる職場環境作りを行うと助成金が支給される制度です。
事業主が両立できる制度の導入や利用しやすい環境を作りをした場合、対象となる従業員がそれらの制度を利用したときに、事業主は助成金を受け取ることができます。

5つのコースがある両立支援等助成金

男性 育休 助成 金

「両立支援等助成金」のなかには5つのコースに分けられており、従業員の状況に応じて選ぶことができます。
従業員の状態を把握した上で、コースを検討するようにしてください。

【5つのコース】
(1)出生時両立支援コース
(2)介護離職防止支援コース
(3)育児休業等支援コース
(4)再雇用者評価処遇コース
(5)女性活躍加速化コース
次に、これらのコースの受給するための要件や助成金の支給金額を詳しく見ていきます。

(1)出生時両立支援コース

男性 育休 助成 金

男性従業員にとって育児休業を取得することは、難しいと誰もが感じるかも知れません。
こちらのコースは、そのような男性従業員に育児休業を取得しやすい職場環境作りを行うことで利用できるコースです。
男性従業員に連続した一定期間の育児休暇を取得させた時に助成金が支給されます。

助成金を受給するための要件

男性従業員が育児休業を取得しやすくするために、下記のような取り組みを行う必要があります。
・「男性従業員に対する育児休業制度」の利用を促進するために資料などで知らせる
・管理職に対して「男性従業員の育児休暇取得」の研修を行う
・子どもの出生後8週間以内に連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業を男性従業員が取得する
※ただし、過去3年以内に男性従業員が連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業を取得している場合は対象外となりますので、注意しましょう。
なお、支給対象は1年度につき1人までです。

助成金の支給額について

実際の支給金額は、下記の表の様になっていますが、生産要件については厚生労働省が掲載している基準をご確認ください。
また、中小企業とそれ以外では産業ごとに異ってきます。
その場合には、「資本または出資の額」「常用労働者数」のどちらかで判断することになっています。
【助成金支給額】

  中小企業 中小企業以外
取り組み・育休1人目 57万円(72万円) 28.5万円(36万円)
育休2人目以降 14.25万円(18万円) 14.25万円(18万円)

※( )内は「生産性要件」を満たした場合の金額

(2)介護離職防止支援コース

男性 育休 助成 金

従業員に対して、仕事と介護を両立できるような職場環境作りを行った事業主に対して助成金が支給されます。
介護休業の取得や職場復帰、また業務に従事しながら介護をできるような勤務制度の取り組みなどを行うと利用できるコースです。

助成金を受給するための要件

仕事と介護を両立できるような「環境整備」を行うためには、次の4つの取り組みを全て行なわなければなりません。

・従業員に社内アンケートを実施し、仕事と介護の両立に関しての実態を把握
・育児介護休業法に基づく介護関係制度を参考に制度設計・見直しをする
H29.01・育児・介護休業制度ガイドブック

・従業員に介護関係制度の研修や周知、介護問題を抱える前に従業員を支援する
・相談窓口の設置、および周知することで、介護問題を抱える従業員を支援する

介護休業を利用するときには、次の①~⑤を実施する必要があります。
また、介護制度を利用するときには【介護制度を利用】①~④を実施してください。

【介護休業を利用】
①対象者と上司等が面談をし、「介護支援プラン」を作成
②介護支援プランに沿って、介護休業開始日の前日までに業務の引き継ぎなどの実施
③対象者が介護休業を1ヶ月以上(分割で取得する場合は合計30日以上)取得し、原則的に現職に復帰する
④介護休業終了後から1ヶ月以内に、上司等とフォロー面談を実施する
⑤介護休業終了後、対象者を雇用保険の被保険者として1ヶ月以上の継続雇用する

【介護制度を利用】
①対象者の制度利用開始前日までに、上司等と面談し介護支援プランの作成
②介護支援プランをもとに、対象者が制度利用中の業務体制を検討する
③対象者が次の4つの勤務制度のいずれかを3ヶ月以上(分割して利用する場合は合計90日以上)利用すること
・所定外労働の制限制度
・時差出勤制度
・深夜業の制限制度
・短時間勤務制度
④制度利用期間終了後1カ月以内に、上司等とフォロー面談を実施する

助成金の支給額について

介護離職防止支援コースの助成金の支給額は下記のようになります。

【助成金支給額】

  中小企業 中小企業以外
介護休業の利用 57万円(72万円) 38万円(48万円)
介護制度の利用   28.5万円(36万円) 19万円(24万円)

※( )内は「生産性要件」を満たした場合の金額

(3)育児休業等支援コース

男性 育休 助成 金

育児休業等支援コースは、「育児復帰支援プラン」を作成し、プランに従って従業員に育児休業を取得させ、職場復帰をさせた中小企業の事業主に助成金が支払われるコースです。

助成金を受給するための要件

育児休業を取る前には、「育休復帰支援プランによって、従業員の円滑な育児休業の取得、職場復帰を支援する措置を実施する」などを明文化し、全従業員へ周知しておく必要があります。
また、「育児休業取得時」と「職場復帰時」には、下記の取り組みを行ってください。

【育児休業取得時】
①上司との面談によって対象者の業務整理、引き継ぎのスケジュール、復職時の勤務についての話し合いを記録しておく
②育児復帰支援プランの作成する
③育児復帰支援プランの作成をもとにして、育児休業(産前産後休業に続いて育児休業を取得する場合は産前休業)開始日までに業務の引き継ぎを行う
④3ヶ月以上の育児休業を取得する(産後休業を取得する場合は産後休業を含めて3ヶ月以上)。

※「育児復帰支援プラン」は、厚生労働省の「育児復帰支援プラン策定マニュアル」を参考にします。

【職場復帰時】
①育休復帰支援プランに沿って、対象者の休業中に職場の情報・資料の提供を行う
②対象者が職場に復帰する前と後に上司等と面談し、面談結果を記録しておくこと
③原則として対象者を原職復帰させ、さらに3ヶ月継続して雇用する

助成金の支給額について

【助成金支給額】

育児休業取得時 28.5万円(36万円)
職場復帰時 28.5万円(36万円)
対象者の職場支援の取り組みをした場合 19万円(24万円)

※( )内は「生産性要件」を満たした場合の金額
ただし、支給は1企業につき2人までとなりますので、ご注意ください。

代替要員を確保すると助成金が増額

育児休業を取得した従業員の代わりとなる代替要員を確保し、その後休業取得者に原職に復帰させるとさらに助成金が支給されます。
対象となるのは、復帰させた中小企業事業主です。

ただし、下記の3つの取り組みを行わなければなりません。
①育児休業を取得した従業員が原職復帰する前に、「育児休業が終了した従業員を原職に復帰させる」旨を就業規則に規定する
②対象となる従業員が育児休業を3ヶ月以上取得した上で、事業主がその間の代替要員を確保する
③対象となる従業員が原職に復帰し、さらに6ヶ月以上継続して就業する

【助成金支給額】

支給対象労働者1人あたり 47.5万円(60万円)
支給対象労働者が有期契約労働者の場合 9.5万円(12万円)加算

※( )内は「生産性要件」を満たした場合の金額

(4)再雇用者評価処遇コース

男性 育休 助成 金

妊娠や出産、育児、また介護などで退職した従業員に対して、状況が変化し復職が行えるようになったときに支援を行ってくれるコースです。
再就職を希望する者を適切に評価し、配置、処遇される再雇用制度を導入して、再び従業員として雇い入れた時に助成金が支給されます。

助成金を受給するための要件

助成金を利用するためには、下記の2つの要件を満たしておかなければなりません。
①処遇の決定に反映させることを明記した再雇用制度を導入する。
②上記制度に基づいて、退職後1年以上が経過している従業員を再雇用し、無期雇用者として一定期間継続して雇用する。(元々有期契約労働者であったものを無期雇用に切り替えて再雇用し、一定期間継続雇用する場合も対象)

助成金の支給額について

再雇用者評価処遇コースの助成金の支給額は下記のとおりとなっています。

  中小企業 中小企業以外
再雇用1人目 38万円(48万円) 28.5万円(36万円)
再雇用2~5人目 28.5万円(36万円) 19万円(24万円)

※( )内は「生産性要件」を満たした場合の金額

助成金の支払いは、一括ではなく、雇用を継続して6ヶ月後と1年後の2回に分けて半額ずつ支給されますので、お気をつけください。

(5)女性活躍加速化コース

男性 育休 助成 金

女性活躍加速化コースは、「女性活躍推進法」に基づいて、数値の目標を達成に向けて取り組み、目標達成した事業主に支給される助成金です。

助成金を受給するための要件

女性従業員の活躍している状況を把握して、活躍に向けた課題を分析します。
また、課題解決に向けた数値目標と取組目標を盛り込んだ行動計画を決めて公表し、さらに自社の女性従業員活躍状況も公表していきます。
行動計画期間内に目標を達成さえる「加速化Aコース」と、取引目標の達成時から3年以内に目標を達成し、達成状況を公開していく「加速化Nコース」があります。

「加速化Aコース」行動計画期間内に取り組み目標を達成
「加速化Nコース」取組目標達成時から3年以内に数値目標を達成し公開

助成金の支給額について

助成金の支給額は、中小企業と中小企業以外では、加速化Aコースと加速化Nコースによって助成金の支給額が異なります。
【助成金支給額】

  中小企業 中小企業以外
加速化Aコース 28.5万円(36万円) 
加速化Nコース 28.5万円(36万円)
女性管理職比率が基準値以上に上昇 47.5万円(60万円)  28.5万円(36万円)

※( )内は「生産性要件」を満たした場合の金額

助成金が受給できるのは1企業あたり1回限りとなっており、この助成金では産業にかかわらず常用労働者が300人以下の企業を中小企業としています。

まとめ

男性 育休 助成 金

「両立支援等助成金」の5つのコースの解説を始めとして、それぞれの受給するための要件、助成金の支給金額をわかりやすくまとめてみました。
育児や介護と両立することが難しい従業員が、退職してしまうことは、会社にとっても従業員にとっても大きな打撃となります。
しかし、「両立支援塔補助金」を利用すれば、助成金が受給できることになり、労使ともに大きなメリットが得られるのではないでしょうか?
育児や介護での退職に諦めることなく、「両立支援等助成金」を活用して貴重な人材を活かして事業の発展につなげていきましょう。

この記事をシェアする