サイバーエージェント キャピタル vc

サイバーエージェントキャピタル(VC)の特徴や投資実績など5項目を解説

ベンチャーキャピタル

サイバーエージェントといえばAmebaブログ、AbemaTVなどのソーシャルメディアサービスを展開し、2009年5月からはゲーム事業にも参入。Cygamesと筆頭としたゲーム制作子会社がグランブルーファンタジーなどの人気コンテンツを提供していることでも知られるメディアやインターネット広告事業を行う企業です。

投資育成事業を開始してからは積極的に投資を行ってきており、ベンチャーキャピタルの設立から現在に至るまで日本のみならず、世界中の数多くのベンチャー企業・スタートアップ企業へ投資を行ってきました。今となってはサイバーエージェントの事業の大きな柱の一つとなっているのがサイバーエージェント・キャピタルによる投資事業です。

この記事ではサイバーエージェント・キャピタルの会社概要、特徴、投資方針、投資実績、サイバーエージェント・キャピタルのイベントについて詳しく解説・ご紹介していきたいと思います。

サイバーエージェント・キャピタルについて

サイバーエージェント キャピタル vc

サイバーエージェント・キャピタル(CAC)は2006年にサイバーエージェント・インベストメント(CAI)として設立され、2010年にはサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)と社名を変更しました。そして2019年1月7日に現在の社名であるサイバーエージェント・キャピタルに変更を行ったことで、2度の改称を行っています。

2010年では投資先スタートアップはおよそ100社ほど(うち20社が海外企業)だったのが、現在では世界8カ国で350社への投資を行っています。本社のある東京の他にもアジアを中心として8カ国に10拠点を持っており、これからも日本だけでなく世界へ向けて積極的な投資を行っていくでしょう。

サイバーエージェントは2015年9月の通期決算で2543億円の売り上げをあげており、これはインターネット企業の中でも圧倒的な数字です。日本マクドナルド、カルビー、ハウス食品といった名のしれた大企業群の売り上げが2200〜2300億円ということを考えれば、いかに新興企業であるサイバーエージェントの売り上げが高いのかということがよくわかります。

会社名 株式会社サイバーエージェント・キャピタル(株式会社サイバーエージェント・ベンチャー)
代表者名 近藤裕文
資本金 1億円
設立 2006年04月03日
所在地 渋谷区道玄坂一丁目12番1号
Webサイト  https://cyberagentcapital.com/

サイバーエージェント・キャピタルの特徴

サイバーエージェント キャピタル vc

日本の巨大なインターネット関連企業であるサイバーエージェントには豊富な事業の成功経験、失敗経験に裏付けされたインキュベーションのノウハウ、そして世界を見据えたビジネス展開を加速させるネットワークで世界に大きなインパクトを与えるインターネットビジネスをアジアから展開させるということを目指しているサイバーエージェント・キャピタルはインターネットビジネスに特化しているという特徴があります。

まずひとつのサイバーエージェント・キャピタルの大きな強みというのが専門性の高いインキュベーションです。インターネット業界は非常に変化が著しく、流行の移り変わりも目まぐるしい世界ですが、そんな業界で着実に、そしてスピーディーにベンチャー企業の成長を後押しします。

具体的には投資先企業の成長ステージやサービスに合わせたマーケティングのサポート、基本戦略だけでなくUIやUXまで、ユーザー目線でのサービス開発の徹底、ユーザー動向や最新のインターネットビジネスのトレンドの共有、更に、今までに数多くのインターネットビジネスを生み出してきたサイバーエージェントグループの事業や組織構築ノウハウを提供してもらうことが出来るというのは、企業にとっては飛躍的な変化をもたらす可能性を秘めた非常に魅力的な内容でしょう。

また、前述の通り、サイバーエージェント・キャピタルは日本だけでなく世界各国にも拠点を持っています。アメリカ・サンフランシスコ、中国、韓国、台湾、ベトナム、タイ、インドネシア、そして日本と世界8カ国に10拠点を設置。このようなビジネスネットワークが国を飛び越えたサービスの提携や各国のマーケットへの相互進出を生み出しているため、海外進出を視野に入れている企業はぜひサイバーエージェント・キャピタルからの出資を検討したいところでしょう。サイバーエージェント・キャピタルから出資を受けることが出来れば、アジア最新マーケット動向の共有や各国の優良ローカル企業とのサービス提携支援も行っていくことが出来るため、海外展開を考えている企業にとっては非常に心強い味方となってくれるはずです。

また、ベンチャーキャピタルによっても投資後でどのように投資先企業に関わっていくかは異なりますが、サイバーエージェント・キャピタルの場合は創業準備段階からアーリーステージのハンズオン支援に力を入れています。事業の立ち上げ期であるシードステージから、事業を加速させていくアーリーステージの段階の企業の経営ままで深く関わり、事業拡大や企業の成長を力強くサポート。また、創業準備段階での出資やサポートも行っています。

事業計画、経営戦略、事業を成功させるノウハウの提供、マーケティング、人材の紹介や採用支援、大手企業や有望ベンチャー企業とのパートナー提携支援、グローバル進出支援、次期ラウンド以降の資金調達支援など、このような幅広いサポートを受けることが出来るというのは、ただ出資によって資金を調達出来るということ以上のメリットがあると言えるでしょう。

サイバーエージェント・キャピタルの投資実績

サイバーエージェント キャピタル vc

サイバーエージェント・キャピタルには2013年に開始された通称「藤田ファンド」というサイバーエージェントの代表である藤田晋氏が若手経営者の応援を目的として立ち上げたシードステージ、アーリーステージのベンチャー企業・スタートアップ企業向けの投資イニシアティブで、LP投資家はおらずサイバーエージェントからの出資となっています。

藤田ファンドでは今までクラウドワークス、BASE、ウォンテッドリーなどIPOを果たすまでに成長したベンチャー企業へ投資を行ってきています。2014年秋以降は一時投資活動を凍結していたものの、ワークシェアアプリ「Taimee(タイミー)」への出資で投資活動を再開。他3社への出資も既に決定しています。

この他にもミクシィ、ロックオン、レアジョブ、アイスタイルなども上場を果たしており、リターンも十分に得ているということがわかります。

サイバーエージェント・キャピタルの日本・海外での運用ファンドは以下のようになっています。

CA Startups Internet Fund2号投資事業有限責任組合
ファンドサイズ 50億円
組成時期 2014年5月
特徴 日本を中心としたシード・アーリーステージのITベンチャー企業を投資対象としたファンド
日本

 

CA Startups Internet Fund1号投資事業有限責任組合
ファンドサイズ 24億円
組成時期 2011年7月
特徴  日本を中心としたシード・アーリーステージのITベンチャー企業を投資対象としたファンド
日本

 

CA JAIC CHINA Internet Fund ll
ファンドサイズ 19million USD
組成時期 2010年10月
特徴 中華圏のインターネット関連ベンチャー企業を投資対象としたファンド
 中華圏

 

CA KOREA Fund 1
ファンドサイズ 5.0million USD
組成時期 2014年12月
特徴 韓国
韓国のインターネット関連ベンチャー企業を投資対象としたファンド

 

CA ASIA Internet Fund l
ファンドサイズ 20.1million USD
組成時期 2011年9月
特徴 東南アジアのインターネット関連ベンチャー企業を投資対象としたファンド
東南アジア

サイバーエージェント・キャピタルの投資方針

サイバーエージェント キャピタル vc

世界各国に拠点を持っていることからも分かる通り、サイバーエージェント・キャピタルはグローバルな展開を常に考えており、次のグローバルイノベーションを探求し続けています。

アジアから世界に誇るメガベンチャーを作り上げるべくポテンシャルの高いインターネット関連ビジネスという分野で優秀な起業家・経営者が率いている志の高い、成長性のあるベンチャー企業への投資を行うという、ベンチャー企業にとっての「共創パートナー」をテーマに掲げています。

サービスや事業が徐々に軌道に乗り始めるアーリーステージのベンチャー企業だけでなく、まだ事業を立ち上げる前段階のシードステージにも積極的な出資を行っていることからもわかるように、大きなリターンを得ることを目的としています。アーリーステージ以上に失敗してしまう確率の高いシードステージに投資するのは高いリスクもありますが、企業が大きく成長した時のリターンは計り知れないものがあります。

シードステージやアーリーステージへの投資は行わない大手ベンチャーキャピタルも多い中で、サイバーエージェント・キャピタルはかなり積極的な姿勢を見せているように思えます。

主にシードステージやアーリーステージのベンチャー企業に投資を行っているサイバーエージェント・キャピタルですが、ミドルステージ、レイターステージでも人事制度や構築の支援、事業提携支援、アジア・グローバル進出支援、イグジット戦略についてもサポート体制が敷かれています。

また、株式の20%以上を持たないようにするという投資スタンスを保っていきたいということについても以前語られていました。

サイバーエージェント・キャピタルのイベント一覧

サイバーエージェント キャピタル vc

サイバーエージェント・キャピタルは主催のイベントもいくつか行っています。招待制の日本最大級の資金調達・業務提携ステージや事業会社とITベンチャーの共創促進ステージ、上場企業経営者、投資先同士の知見共有の場など、今後のビジネスにつなげていくきっかけになりえる非常に重要な場であると言えます。

ベンチャーキャピタルとコンタクトを取るためにはベンチャーキャピタルのホームページから連絡をするという方法もありますが、やはりこのようなイベントで直接顔見知りになるということは、後の出資に非常に有利に働きます。

  • RISING EXPO(日本)…国内外の有力ベンチャーキャピタルや大手企業会社が一堂に会する日本最大級の資金調達・事業提携イベント。選考を通過したベンチャー企業は100名以上の有力者にネットワーキングやプレゼンを行う機会が得られる。
  • CROSSOVER(日本)…招待制のイベントで、事業会社とベンチャー企業の共創促進を目的としている。
  • CAC JAM(日本)…支援先のベンチャー企業に限定した定期開催の勉強会。
  • NET IMPACT(海外)…既に実績を上げている起業家やI界のキーマンが最先端のIT・インターネットについての情報を現地起業家に対して提供。
  • CAC Salon(海外)…サイバーエージェント・キャピタルが注目している部分について、キャピタリストと起業家の間で定期的な意見交換を行う。

まとめ

サイバーエージェント・キャピタルはITやインターネット関連に強みのあるサイバーエージェントを親会社に持つベンチャーキャピタルであり、シードステージやアーリーステージと、まだ駆け出しの段階のベンチャー企業にも投資を行っています。

ITやインターネットビジネスの分野は他の大手ベンチャーキャピタルも注目し出資に力を入れていますが、インターネットビジネスに特化したサイバーエージェント・キャピタルから出資を受けることは非常に大きな強みになることでしょう。サイバーエージェント・キャピタルは世界各国に拠点を持ち、グローバルに活躍出来るベンチャー企業を育てたいと考えているため、アプローチする時には海外での経営戦略についても事業計画に盛り込んでおくといいかもしれません。

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