コロナ 所得税・法人税・消費税、地方税

所得税・法人税・消費税、地方税に困ったらコロナ特例猶予の検討を

新型コロナウィルス給付金等

新型コロナウイルス防止策などによって、ゴールデンウィークの外出が減り、人々の行動範囲はいつもよりも抑えることができました。
しかし、5月4日の記者会見で5月末までの緊急事態宣言が延長が決定しています。

緊急事態宣言が続くことで、これからさらに生活や経済的に困る方々が増えていくことが考えられるでしょう。

そこで、今回は納税を猶予してくれる特例猶予について、詳しくご紹介していきます。

新型コロナウイルス感染症の影響を受けたために、所得税・法人税・消費税、地方税などの納付がが困難になってしまったのなら、コロナ支援策として設けられた特例猶予をご検討してみてください。

コロナ支援策として新たに設立された特例猶予

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国税の猶予制度とは、徴収期限以内に納めなければいけない納税に対して、猶予を与えてくれる制度です。
一時に納税することで事業の継続や生活が困難となる場合、災害で財産を損失場合などの特定の事情があった場合などに、税務署に申請を行うと最大で1年間の納税が猶予されます。

◆現行法の猶予
①換価の猶予(国税徴収法第151条及び第151条の2)
②納税の猶予(国税通則法第46条)

◆新たに創設された猶予
③納税の猶予の特例(特例猶予)

この度、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が大幅に減少している方に向けて、あらたに「③納税の猶予の特例(特例猶予)」が創設されました。

特例猶予の要件とその効果

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納期期限が令和2年2月1日から令和3年1月31日について、国税が猶予となる特例猶予の要件は、下記の通りになります。

【特例猶予の要件】
◆新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等の収入が前年同期と比較して、おおむね20%以上減少している

◆国税を一時に納付することができない場合には、所轄の税務署に申請すれば、納期限から1年間、納税の猶予(特例猶予)が認められる(新型コロナ税特法第3条)。

上記の要件にあてはまり、特例猶予が認められると、予期間中の延滞税は全額免除されます。
さらに、申請の際には担保の提供は不要となります。

特例猶予では、関係法令の施行から2ヶ月間に限って、既に納期限が過ぎている未納の国税についても、さかのぼって特例を適用することができます。

猶予に対する問い合わせ

新型コロナウイルス感染症の影響によって、国税の納付が困難となり相談したいのなら、下記の電話にてご相談ください。

ただし、猶予制度についての相談の場合には、ご自身の住所(所在地)を管轄している下記の「国税局猶予相談センターの連絡先」での相談となります。

◆国税局猶予相談センター
・受付時間 9:00~17:00(土日祝日を除く)

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために、税務署の窓口混雑しないようにしています。
猶予申請は、なるべくe-Taxによる電子申請や郵送による提出を行うようにしてください。

【国税局猶予相談センターの連絡先】

国税局(所)名 電話番号 管轄している都道府県名
札幌国税局 011-261-2251 北海道
仙台国税局 022-204-5937 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東信越国税局 048-615-3007 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県
東京国税局 03-6672-3503 千葉県、東京都、神奈川県、山梨県
金沢国税局 076-200-6333 富山県、石川県、福井県
名古屋国税局 052-968-5118 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
大阪国税局 06-6630-3680 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
広島国税局 082-511-0512 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
高松国税局 087-806-0040 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
福岡国税局 092-474-6050 福岡県、佐賀県、長崎県
熊本国税局 096-206-9996 熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
沖縄国税事務所 098-942-5501 沖縄県

特例猶予の申請方法

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特例猶予の申請の仕方は、納税猶予申請書(特例猶予用)を国税庁のホームページからダウンロードし必要事項を記入します。

納税猶予申請書を猶予を希望する国税の納期限までに、上記に掲載してある所轄の税務署へ申請を行います。

・関係法令の施行日から2ヶ月の間は、納期期限後であっても申請可能

なお、納税猶予申請書の提出の際には、税務署窓口での混雑を避けるためにe-Taxによっての電子申請や郵送による申請を行うようにしてください。

参照:新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ|国税庁

猶予申請書(特例猶予用)の作成動画

猶予申請書には、申請者や納付すべき国税の他に、収入と支出の状況をふまえて猶予額を計算しなければなりません。

計算は、会計ソフト等で作成した試算表などの代用が可能となっており、書き方がわからない場合には、職員が聞き取りをしながら記載してくれる形も取ってくれます。

また、下記の動画にも猶予申請書の作成方法が詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

参照:自宅のExcelでできる特例猶予の申請書の作成方法」-You Tube

猶予の前に知っておきたい「収入の減少」と「納付可能金額」

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特例猶予を受けるためには、収入と支出の状況を確認して令和2年以降の前年同月と比べて、収入の減少率が大きい月の収支状況を、納税猶予申請書に記載しなければなりません。

また、現金や預金残高や当面の支出見込額を参考にしながら、納付可能金額を計算していきます。

このような計算を行うため、「収入の減少」と「納付可能金額」の意味をよく理解しておく必要があります。

次に「収入の減少」と「納付可能金額」を詳しく説明していきます。

収入減少

収入減少とは、事業をされている方の収入が前年同期間に比べて概ね20%以上減少した場合、「収入の減少」となり猶予の対象となります。
対象期間となるのは、令和2年2月以降の任意の期間(1ヶ月以上)です。

また、フリーランスの方などの報酬、派遣労働者の方などの給与(確定申告を行う必要があるもの)についても、同じように減少していれば、「収入の減少」があるものとして猶予の対象となります。

・新型コロナウイルスの発生とは関係なく減少した収入(臨時収入の減少など)については、この「収入の減少」の計算には含まれませんので、ご注意ください。

納税可能金額

納税可能金額とは、当面(向こう6ヶ月分)の事業資金・生活費等を超える現金・預貯金を所有している場合には、その超えた金額については、「納付可能金額」として納期限までに納付する必要がでてきます。

納税猶予申請後の注意点

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納税猶予申請書(特例猶予用)を申請したあとには、申請した内容は税務署での審査となり、猶予を許可する場合には、通知書での知らせてもらえます。

また、納税猶予申請後には、下記のような点に注意が必要となります。

・審査に当たり、職員が電話等で内容確認を行うことがあるので、協力が必要となる場合があります。

・今後(2ヶ月程度)に、地方税や社会保険料などの納税の猶予申請をされる場合には、この申請書の写しを利用できますので、写しを手元に保管しておいてください。

期限内に申請が困難な方への個別申告まとめ

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新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中で、これから申告期限を迎える法人の中には、期限までの申告が困難な方も増えていくと考えられます。

ここからは、期限までに申告が難しくなった方向けに個別申請期限の延長や手続きの仕方などをまとめてみましたので、参考になさってください。

法人が個人延長として認められる場合

法人が個人延長として認められる場合は、新型コロナウイルス感染症の影響でのやむを得ない理由によって、期限までの申請や納付が行えないときです。

やむを得ない理由となるのは、下記のような方々がいることで通常の業務体制が維持できない、事業活動を縮小せざる得ないなどの他にも、取引先関係の会社においての感染症の影響が生じたことにより決算作業が間に合わず、期限までに申告が困難なケースなども該当となります。

◆体調不良により外出を控えている方がいること

◆ 平⽇の在宅勤務を要請している⾃治体にお住いの方がいること

◆ 感染拡大防止のため企業の勧奨により在宅勤務等をしている方がいること

◆ 感染拡大防止のため外出を控えている方がいること

さらに、このような理由以外でも、感染症の影響によって申告や納付が困難となってしまった場合には、個別に申告や納付期限の延長が認められます。

個別延長の申告と納付期限について

新型コロナウイルス感染症の影響により、期限内に申告・納付することが困難な法人については、個別延長の申告と納付期限は、下記の通りとなります。

◆申告・納付ができないやむを得ない理由がやんだ⽇から2ヶ月以内の⽇を指定して申告・納付期限が延⻑される

◆法人の申告書等を作成・提出することが可能となった時点で申告を行う

申請以外の個別延長は対象となるのか?(申請や届出など)

申請以外の個別延長は、新型コロナウイルス感染症の影響により提出が困難な時には、個別での期限延長を取り扱うことができます。

法人税や消費税、源泉所得税に係る各種申請や届出など、申告以外の⼿続きについて
も、個別延長の対象となります。

個別延長の場合の必要な手続きについて

個別延長の場合の必要な手続きは、他に申請書などを提出する必要はありません。

申請書の余白に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」であることを記載しておくだけです。

このため、当初の申告期限以降に申告書の提出を行う場合には、新型コロナウイルス感染症の影響による申告期限及び納付期限を延⻑する旨を下記のように作成します。

◆源泉所得税においては、納付を⾏う際に所得税徴収⾼計算書の「摘要」欄に「新型コロナウイルスによる納付期限延⻑申請」であることを記載します。

◆ この場合には、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出⽇となりますので、お気をつけください。

まとめ

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新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を踏まえて創設された特例猶予について、要件や効果、申請方法、問合せ先、知っておきたい注意点や申請後の注意点などを解説してきました。

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が延長することとなり、外出自粛や休業要請などの予防策が長引くことで、法人の中には納税の申告や期限内の納付が困難となってくる方が増えてくると考えられます。

所得税・法人税・消費税、地方税などの申告・納付が困難な場合には、記事で解説した新しく設けられた特例猶予を受けることをおすすめします。

また、期限までに申告などが困難となる法人には、個別の申告期限延長の手続きも一緒にまとめていますので、ご参考になさってください。

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