新型コロナウイルスの感染者が次々と増えていく状況の中、外出自粛や休業要請が続き、事業者は資金繰りに悩んでいる人が多いと思います。
金融機関では飲食業・御売業・建設業・製造業・小売業などいろんな業種から、資金繰り支援についての相談が殺到中です。
今回は民間金融機関が実施している対応についてや、無利子・無保証料の融資制度等を解説していきます。
金融機関に金利0%で資金を出すと発表
新型コロナウイルスの影響で厳しい状況を支援するために、日本銀行は国債を買い入れる追加の金融緩和を決定し、実質無利子・無保証人の融資を後押しするという新たな制度をつくると発表しています。
資金繰り支援策が大幅に充実し、住宅ローンに関する資産を担保として受け入れて金融機関に資金を出すことで、企業・個人事業主にも融資ができるように対応するとのことです。
さらに、日本銀行は融資を後押しするために金融機関に金利0%で資金を出すことにしようと言っています。
借金なんて抵抗があるかもしれませんが、新型コロナウイルスの影響で資金繰りにピンチな人にとって融資は大変便利な方法です。
無利子の融資は現在申請が殺到して時間がかかる
無利子・無保証人の融資はすでにいくつか受付が始まっており、現在は申請者や相談者が急増しています。
そのため、1人1人を対応してお金を貸付できるには1~2ヶ月かかるケースが多いとのことです。
特別貸付の申込件数は2020年4月19日までで26万1,575件で、融資が決まった人は13万3,529件です。
金融機関の職員は「現在はパンク状態で案件んがさばききれていない。小規模事業者等への融資は電話回線がつながらないほどになっている。」また、「中小企業向けの審査は1~2ヶ月かかっていた。書類を簡素化しても時間がかかる。」と話しています。
外出自粛が続けば資金繰りがさらに厳しくなる
休校が延期になったため、外出・営業自粛も6月以降も続くのではないかと言われています。
自粛が続くと業績は悪化し続け、資金繰りがさらに厳しくなります。
海外では新型コロナウイルスの患者数が減ってきているとの情報があり、日本も早く対応していかなければ今後もダラダラと自粛が続いてしまいます。
民間金融機関が1人1人の対応をいつまでも続けられることは困難かもしれません。
緊急で資金が必要な企業・事業者に少しでも早くお金が手元に行けるように、そして1日も早く自粛が終わるように動いていくことが課題です。
民間金融機関で受けられる無利子・無保担保融資を解説
新型コロナウイルスの影響を受けている事業者に対して、すでに受付が始まっている実質無利子・無担保の融資を民間金融機関でも受けられるようになります。
民間金融機関でも受けられる無利子・無保証人の融資を調べたので解説します。
①セーフティネット4号
セーフティネット4号は経営が不安定になってしまっている中小企業者へ、最大2.8億円まで保証する制度です。
セーフティネット保証には1号から8号まで種類があり、新型コロナウイルスに関係するのは4号と5号です。
4号は日本全国47都道府県で利用できるため、どこの地域に住んでいるか関係なく事業者が受けられる保証です。
セーフティネット保証4号は以前よりも条件が緩和され、以下の3つを満たしている人が受けられます。
①指定地域で3ヶ月以上継続して事業を行っている
②災害等の影響を受けた後、原則として最近1ヶ月間の売上高・販売数量が前年同月と比べると20%以上減少している
③売上高・販売数量が20%以上減少したその後、3ヶ月後も売上高・販売数量が変わらず上昇する見込みがない
②セーフティネット保証5号
セーフティネット保証5号は、4号と同じように売上が減少して今後の経営が困難な状況になっている中小企業者を、最大2.8億円まで保証する制度です。
セーフティネット保証5号も以前より条件が緩和され、以下の2つを満たしていることが条件です。
①指定業種に属している事業を行っていて、最近3ヶ月間の売上高が前年同月と比べて5%以上減少している
②製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上で、上昇しているのに製品等価格に転嫁できていない中小企業者
セーフティネット4号と5号の違い
一見、4号と5号の違いは分からないですがそれぞれの違いは、保証割合・対象です。
保証割合とは、「あなたが持っている借金の何%までを保証します」と言った割合のことです。
・4号の保証割合が100%、5号の保証割合が80%
・4号の対象は日本全国、5号の対象は指定業種
例えば、自分が借入している事業融資が5,000万円のばあい、セーフティネット保証4号を利用すると5,000万円をまるまる保証してもらえます。
一方、セーフティネット保証5号を利用すると4,000万円まで保証してもらえるということになります。
③危機関連保証
セーフティネット保証と同じように、経営状況が悪化している中小企業者の資金繰りを支援する制度です。
全国・全業種を対象に、2.8億円で借入債務の100%を保証します。
信用保証協会が通常の保証限度額2.8億円・セーフティネット保証の保証限度額2.8億円とは別枠の2.8億円です。
経営安定資金を100%保証してもらえるので大変便利で助かる制度です。
危機関連保証の対象となるのは、最近1か月間の売上高が前年同月と比べて15%以上減少し、その後3ヶ月間も売上高が変わらないと予想できることが条件です。
④信用保証付き融資を無利子にする
都道府県等の融資を活用し、民間金融機関にも実質無利子・無保証人で最大5年の保証料減免の融資を受けられるようになります。
つまり、すでに信用保証付きで融資を受けているお金を、無利子の融資に切り替えることができる資金繰りサポートです。
信用保証付き既往債務も、融資を活用した無利子の融資に借り換えることができます。
対象者は下記の通りです。
①個人事業主・フリーランス・小規模事業者は、売上高が前年同月より5%以上減少している
この場合は保証料・金利をゼロにできます。
①中小企業者は、売上高が前年同月より5%以上減少の場合、保証料を2分の1
②売上高が前年同月より15%以上減少の場合、保証料と金利をゼロ
融資は最大3,000万円までで、無担保で据え置き5年以内で保証料補助割合は2分の1か10分の10になります。
新型コロナウイルスが拡大している状況の中で、信用保証付きの融資を受けている人は無利子の融資へ切り替えることができます。
⑤新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症特別貸付は信用力や担保関係なく一律の金利で、融資後3年間まで金利を0.9%引き下げ、据置期間が最長5年になる融資制度です。
新型コロナウイルスの影響を受けて、一時的に状況が悪化した事業者のうち以下のいずれかに当てはまる人が新型コロナウイルス感染症特別貸付を使用できます。
①最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同月と比べて5%以上減少した
②業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合、もしくは店舗増加・業種の転換等、売上増加に直結する設備投資や雇用等の拡大を行っている企業等、前年・前々年の同月と単純に比較できない場合は最近1ヶ月の売上高が以下の3つのいずれかと比較して5%以上減少している
・最近1ヶ月を含む過去3ヶ月の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月~12月の売上高平均額
運転・設備資金も認められることになり、
・中小事業は、別枠最大で3億円、金利1.11%
・国民事業は、別枠最大で6,000万円、金利1.36%
になります。
⑥マル経の金利引き下げ
マル経とは小規模事業者経営改善資金融資の通称です。
商工会議所・商工会・都道府県商工会連合会の経営指導員から経営指導を受けた小規模事業者に対し、無担保・無保証人で融資を受けることができます。
新型コロナウイルスによる今回の特別措置では、別枠1,000万円の範囲で当初3年間、通常金利から0.9%を引き下げて据置期間が延長されます。
⑦商工中金の危機対応融資
新型コロナウイルスの影響を受けて業績悪化した事業者に対して、商工組合中央金庫が資金繰りを支援します。
信用力・担保関係なく一律金利で、融資後3年間まで0.9%の金利を引き下げ、据置期間が最長5年になります。
新型コロナウイルス感染症特別貸付と同じ条件で以下になります。
①最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同月と比べて5%以上減少した
②業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合、もしくは店舗増加・業種の転換等、売上増加に直結する設備投資や雇用等の拡大を行っている企業等、前年・前々年の同月と単純に比較できない場合は最近1ヶ月の売上高が以下の3つのいずれかと比較して5%以上減少している
・最近1ヶ月を含む過去3ヶ月の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月~12月の売上高平均額
⑧特別利子補給制度
政府の資金施策の
①新型コロナウイルス感染症特別貸付
②新型コロナウイルス対策マル経融資
③危機対応融資
を受けている融資の利子分は、それぞれの上限に限り無利子・無担保で融資を受けることができるようになります。
①新型コロナウイルス感染症特別貸付
②新型コロナウイルス対策マル経融資
③危機対応融資
の3つのいずれかで借入をした事業者のうち、
・個人事業者は条件なし
・小規模事業者は売上高が15%減少
・中小企業者は売上高が20%減少
以上の条件を満たしていれば、利子補給で借入後3年間の利子分を、
・中小事業は1億円
・国民事業は3,000万円
で補給します。
まとめ
以上、民間金融機関の融資について、実質無利子・無保証人・無担保で受けられる融資を解説しました。
新型コロナウイルスの影響で資金繰りに悩んでいる事業者は、民間金融機関や政府融資を選んで、自社の状況に合った融資を使用してみることをおすすめします。
全て同じように見えますが、
「自社の売上高が前年または前々年よりも何%減少しているのか?」
「今後の経営に必要な資金はいくらになるのか?」
を計算してみると選択肢が絞られると思います。
分からない場合や時間がない場合等は、中小企業庁や融資サポートセンターに問い合わせてみてください。