世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染者数は4月24日現在、国外では約250万にものぼり死者数は17万人を超えてしまいました。
日本でも感染者数は1万2千人を超え、全国では新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するために外出自粛や休業要請が行われています。
4月7日に緊急事態宣言が発令から数週間経ち、自粛や要請が長引くほど経済や生活資金に困ってしまう方は増えているのではないでしょうか?
こちらの記事では、コロナウイルス感染症の影響によって生活資金に困窮してしまった方が利用できる生活福祉資金制度の「緊急小口資金」と「総合支援資金」をご紹介いたします。
休業や失業を余儀なくされ収入がなく生活資金に困っているのであれば、コロナ支援策である緊急貸付を今すぐご利用ください。
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コロナの影響で生活に困ったら生活福祉資金制度
生活福祉資金制度は、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えるために設けられている制度です。
現在では、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、休業や失業などにより収入が減少する方が増え、さらにその期間が長く続くことから生活資金に困っている方が多くなってきています。
生活福祉資金制度では、このような新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、対象要件を拡大し、生活資金に困窮している方に緊急貸付を実施しています。
生活資金に困窮している方は、緊急小口資金等の特例貸付を利用することを検討してみてください。
生活福祉資金制度をまずは知っておこう
最近では、失業や収入の減少などにより生活資金に困っている方々が増えている中、生活に困窮した方々に対して生活の立て直しを行えるようにすることが求められます。
そこで、セーフティネット施策の生活福祉資金貸付制度では、平成21年から4つの資金に整理、統合し、貸付利子を引き下げる改正が行われました。
4つの資金種類には、生活に困窮している方への就労支援や家計指導などの継続的な相談を併せて行う「総合支援資金」が設けられ、平成27年4月からは生活に困り悩んでいる方に生活困窮者自立支援制度が始まっています。
また、「総合支援資金」を利用する場合には、生活困窮者自立制度を同時に用いることで、生活の立て直しに対するサポートが手厚くなりました。
このような生活福祉資金貸付制度は、都道府県の社会福祉協議会が資金の貸付と相談の支援を行っています。
貸付対象
生活福祉資金貸付制度の貸付対象となるのは下記の方々となります。
◆必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者世帯」
◆障害者手帳などの交付を受けた人が属する「障害者世帯」
◆65歳以上の高齢者が属する「高齢者世帯」
4つの種類がある生活福祉資金制度
生活福祉資金の資金の種類は、その目的によって、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4つの資金に分けられています。
生活に困窮しているのであっても、使う資金の目的によって違ってきますので、自身に合った貸付を選ぶことになります。
(資金の種類)
◆総合支援資金:生活支援費・住宅入居費・一時生活再建費
◆福祉資金:福祉費・緊急小口資金
◆教育支援資金:教育支援費・就学支援費
◆不動産担保型生活資金:不動産担保生活資金・要保護世帯向け不動産担保型生活費
次に、コロナウイルス感染症の影響となった方が利用できる総合支援資金と緊急小口資金について解説していきます。
総合支援資金
総合支援資金は、社会福祉協議会とハローワークなどから支援を受けながら、社会福祉協議会より生活支援費や住居入居費、一時生活再建などの貸付が行われています。
継続的な相談支援と同時に資金貸付を行うことで、失業などで生活に困っている人の生活の安定と自立ができるようになることを目的としています。
貸付対象
総合支援資金の対象となる方は、貸付を行うことで自立が見込まれる方で、なおかつ下記の要件にすべて該当する方となります。
①低所得者世帯(市町村民税非課税程度)で、失業や収入の減少などによって生活に困窮していること
②公的な書類などで本人確認が可能であること
③現在住居のある人、または、住居確保給付金の申請を行い、住居の確保が確実に見込まれること
④法に基づく自立相談支援事業などによる支援を受けるとともに、社会福祉協議会とハローワークなど関係機関から、継続的な支援を受けることに同意していること
⑤社会福祉協議会などが貸付け及び支援を行うことにより、自立した生活を営むことが可能となり、償還を見込めること
⑥他の公的給付または公的な貸付けを受けることができず、生活費をまかなうことができないこと
福祉資金の緊急小口資金
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方が利用できる緊急小口資金は、福祉資金の中にある貸付の一つです。
福祉資金には福祉費と緊急小口資金の2つの資金が設けられています。
福祉費は、生業を営むために必要な経費、病気療養に必要な経費、住宅の増改築や補修などに必要な経費、福祉用具などの購入経費、介護サービスや障害者サービスを受けるために必要な経費などを目的の資金が対象となります。
緊急小口資金の場合には、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に貸し付ける少額の費用が対象となります。
コロナ支援策:一時的な2つの緊急貸付
生活福祉資金貸付を実施している各都道府県社会福祉協議会では、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、一時的な緊急貸付を3月25日(水)より開始しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によって、低所得者や収入が減少してしまった方、休業や失業などにより生活資金が足りなくなった方に向けた緊急小口資金と、総合支援資金の2つの特例貸付です。
◆必要な書類
・本人を確認する書類(運転免許証等)
・世帯の状況を確認するための住民票
・収入の減少を確認するための給与明細や預金通帳など
詳しくは各都道府県社協のホームページ、もしくはお住まいの市区町村社会福祉協議会にお問い合わせください。
◆申込・受付先
住んでいる市区町村の社会福祉協議会
次に、新型コロナウイルス感染症の拡大によって設けられた緊急小口資金と総合支援資金の特例貸付を詳しく解説していきます。
緊急小口資金の特例貸付(主に休業された方向け)
緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった時に、少額の費用の貸付を行っています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響に踏まえて特例貸付が設けられ、対象者、貸付の上限、措置期間、償還期限の4項目において緩和されています。
貸付利子、保証人は従来通りとなっており、無利子、保証人不要で利用できます。
貸付対象者
緊急小口資金の貸付対象となる方々は、下記の通りです。
なお、従来の低所得世帯等に限定となっていた対象を拡大し、新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、休業状態になくても貸付対象となっています。
◆新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯
貸付上限額
緊急小口資金の特例貸付の上限額は、下記の通りとなります。
従来の10万円以内とする取り扱いが拡大しています。
・学校等の休業、個人事業主等の特例の場合 20万円以内
・その他の場合 10万円以内
据置期間・償還期限
緊急小口資金の特例貸付の据置期間と償還期限は下記の通りとなります。
なお、償還期間は2ヶ月以内の取り扱いを拡大、償還期限においてはおいては12ヶ月以内の従来の取り扱いを拡大しています。
◆据置期間 1年以内
◆償還期限 2年以内
総合支援資金の特例貸付(主に失業された方向け)
総合支援資金は、生活再建までに必要となる生活費用の貸付を行っています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響に踏まえて特例貸付が設けられ、対象者、措置期間、貸付利子、保証人の項目が緩和されています。
貸付上限額、償還期限においては、下記のように従来通りとなっています。
◆貸付上限額
・2人以上の場合 月20万円以内
・単身の場合 月15万円以内
貸付期間:原則3月以内
◆償還期限 10年以内
なお、総合支援資金の場合には、原則、自立相談支援事業等による継続的な支援を受けることが要件となりますので、お気をつけください。
貸付対象者
総合支援資金の特例貸付の貸付対象となる方々は、下記の通りです。
なお、従来の低所得世帯等に限定となっていた対象を拡大し、新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、失業状態になくても貸付対象となっています。
◆新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯
据置期間
総合支援資金の特例貸付の据置期間は、下記の通りとなっています。
従来は6月以内でしたが取り扱いを拡大しました。
◆据置期間 1年以内
貸付利子・保証人
総合支援資金の特例貸付の貸付利子と保証人は、下記の通りとなります。
従来の条件となっていた保証人ありの場合は無利子、なしの場合は年1.5%とする取扱を緩和しています。
◆貸付利子 無利子
◆保証人 不要
まとめ
新型コロナウイルス感染症の影響によって、生活資金に困った時に利用できる緊急小口資金と総合支援資金の特例貸付を詳しく解説してきました。
これらの資金は貸付となりますが、特例貸付によって従来の貸付対象者の拡大されて、余裕を持って返済することができ、無利子なので安心して借りることができます。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、休業や失業、収入の減少によって生活が困窮しているのなら、ぜひこれらの制度を活用してください。
緊急小口資金と総合支援資金の特例貸付は、3月25日から受付が開始されている今すぐに利用できる貸付となっています。
また、これらを行っている生活福祉資金貸付制度にも触れていますので、特例貸付の全体を把握する意味でも知っておくと安心です。
新型コロナウイルス感染症で生活資金にお悩みの方は、無利子で措置期間が拡大されているこれらの貸付をご検討してみてください。