新型コロナウイルスの影響により、小売業は時短営業や休業を余儀なくされました。
5月25日に緊急事態宣言が全国で解除となったことで徐々に営業再開や営業時間を普段通りに戻す小売業も増えていますが、これでコロナ禍が終わったわけではありません。
また、外出自粛となったことで消費者は今まで以上にインターネットショッピングを活用しており、今まで実店舗で買い物をしていた人もオンラインへ移行するのではないかと言われています。
まだまだ多くの課題が残っていますが、そのような状況でも事業や雇用を維持していくための「経営に困っている小売業経営社向けの補助金・助成金・給付金・融資等」の制度があります。
この記事では、小売業経営をしている場合に利用できる補助金・助成金・給付金・融資等について詳しくご紹介していきます。
新型コロナウイルス関連倒産が200件に到達
東京都43件、北海道・大阪府が各17件、兵庫県13件、静岡県12件の順で、39都道府県で新型コロナウイルス関連倒産が発生。
業種別で上位を占めたのがホテル・旅館39件、飲食店24件、アパレル・雑貨・靴小売店16件と、テレビなどで話題になっている宿泊施設や飲食業だけでなく、小売業も厳しい状況に立たされているということがわかります。
また、調査の結果、倒産スピードが加速しているということもわかっています。
大手企業や上場企業の再編や法的整理が今後続くことになれば、下請け企業などの連鎖倒産にも気をつける必要があります。
緊急事態宣言はすでに全国で解除されましたが第二波の感染拡大も懸念されており、今までのように飲食店・小売店に客足が戻るまでにはまだまだ相当な時間がかかると予想されています。
小売業向けの補助金・助成金・給付金・融資一覧
現在も厳しい状況ですが、むしろ倒産件数は今後さらに増えていくだろうと予想されており、ここからが本番です。
小売業経営者の方はこれからご紹介する様々な補助金・助成金・給付金・融資を参考に事業資金の確保を行ってみてください。
持続化給付金
持続化給付金は新型コロナウイルスによって大きな影響を受けている事業者のための給付金です。
小売業はもちろん、その他にも製造業、飲食業、農業、漁業、作家・俳優業など幅広い業種の方が利用できます。昨年1年間の売上からの減少分が上限となり、中小法人等は200万円、個人事業者等は100万円と、上限額が異なります。
【売上減少分の計算方法】
- 前年の総売上(事業収入)―(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)
持続化給付金の給付対象の主な要件は下記のようになっています。
- 新型コロナウイルスの影響によってひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者
- 2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を続けていく意思のある事業者
- 法人の場合は「資本金の額または出資の総額が10億円未満」または「左記の定めのない場合、常時使用する従業員の数が2000人以下」の事業者
持続化給付金によって支給された給付金は、事業全般に幅広く活用することができます。
IT導入補助金2020(C類型)
IT導入補助金はITツール導入にかかる費用の一部を補助してくれる補助金です。
自社課題に適したITツールを導入することで業務効率化、売上アップ等、生産性の向上を目的としています。
すでに設けられていた通常枠「A類型」「B類型」に更に、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた事業者を対象とした「C類型」が追加となりました。
テレワーク環境の整備、非対面型ビジネスモデルへの転換、サプライチェーンの毀損への対応など具体的な対策に取り組む事業者を優先的に支援します。
- 補助対象者:中小企業(小売、宿泊、飲食、卸・運輸、医療、介護、保育等のサービス業、製造業や建設業等)、小規模事業者
- 補助対象経費:導入関連費、ハードウェアレンタル費、ソフトウェア費
- 補助率:2/3以内(C類型―1)、3/4以内(C類型―2)
- 補助下限額・補助上限額:30〜450万円
コロナ特別貸付
新型コロナウイルスの影響によって業況が一時的に悪化している事業者を対象にした貸付が日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫による「新型コロナウイルス感染症特別貸付」です。
また、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」によって融資を受けた事業者は「特別利子補給制度」が適用されれば金利は実質3年間0%で融資を受けることができます。
中小企業の場合は最大で3億円、国民事業の場合は最大で6000万円の融資を受けることが可能です。
ただし、「特別利子補給制度」の適用上限が中小企業は最大1億円、国民事業では3000万円となっていますので注意しましょう。
都道府県等による制度融資
また、都道府県等の自治体でも制度融資を行っています。
制度の要件は自治体によって詳細は異なるため、詳しくは事業所のある自治体のホームページなどから制度融資をチェックしてみてください。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は休業た時短営業を余儀なくされていたり、従業員の休業補償に悩む事業者のための助成金です。
新型コロナウイルスの影響により特例措置が設けられ、要件の緩和や助成率の引き上げのほか、内容が大幅に拡充されることとなりました。
アルバイトなど雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当も緊急雇用安定助成金の支給対象となっています。
対象となるのは下記の条件を満たす事業主です。
- 新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
- 最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
- 労使間の協定に基づき休業などを行っており、従業員に対し休業手当を支払っている
休業手当等については、中小企業の場合は4/5 が助成され、解雇を行わないなど特定の要件を満たしていれば9/10の助成を受けることが出来ます。
また、一定の要件を満たせば助成率が特例的に100%に引き上げられるケースもあります。
税金・社会保険料・公共料金の猶予や減免
新型コロナウイルスの影響によって売上が減少しても、税金や社会保険料、公共料金はかかり続けます。
それらの支払いが難しい事情がある方を対象に、延滞税なしかつ無担保で1年間納付が猶予もしくは減免されるよう経済産業省が要請を行いました。
経済産業省は、電気・ガス事業者に対し、個人又は企業にかかわらず、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、電気・ガス料金の支払いに困難な事情がある方に対しては、その置かれた状況に配慮し、料金の未払いによる供給停止の猶予など、電気・ガス料金の支払いの猶予について、柔軟な対応を行うことを要請しました。
猶予・減免の詳細は事業者や自治体によっても異なるため猶予・減免を申請する際には確認しましょう。
まとめ
ご紹介のように、新型コロナウイルスの影響を受けた小売業経営者の方向けの補助金・助成金・給付金・融資(貸付)はいくつもあります。
申請してすぐに支給されるわけではなく、実際に資金が手元に届けられるまでには時間がかかります。
また、申請期限などがある制度もあるため、詳細をしっかりチェックして、利用できる制度は積極的に活用していきましょう。